公文で九年

公文式教室を9年間経営していた学習塾経営者です。
公文教室とはどういうものか私の視点で公開したくなりました。

儲かる?

2006-07-25 | くもん教室の経理
このあたりで、以前ある知人に相談された公文教室経営で高収入を得るには?
という命題についての試算をご披露いたしましょう。
私もその話が出るまで、その角度から計算してみたことは無かったので、結果には驚きました。

ま、欲をかかず、年収手取りで三百万ていどあれば、とにかく人一人の生活はできる範囲だよね、ということで。
そこから逆算していくと、なんと、毎月の学習者、教科数が四百以上いないと無理。
ロイヤルティ四十パーセントを払い、諸経費を支払って残りの手取りが二十五万以上残らないといけないわけですから。
教科数が四百の生徒を維持する為に必要な経費はというと。研究会の試算とは異なるかもしれませんけれど。
座席数が最低でも百必要です。
時間差でひとつの座席を二~三人で使いまわしていくということで、実際の生徒数より少ない数です。
百の座席を作る為には、けっこうな広さが必要ですから、二間程度のアパートなどでは到底無理です。
少なくとも三十坪程度の、畳六十枚分ぐらいのスペースが必要でしょう。
地方都市で二十万ぐらいの家賃がかかりそうです。

アシスタントは、教科数二十五~三十に一名の割で必要ですから十五人程度はいるでしょう。
採点等を教室開設時間外にするなどの工夫をすれば、教室での人員はもう少し少なくできますが、
一人当たりの実働時間は増えますから、実質十五人分の人件費がかかります。
一人一ヶ月五万円程度として、七十五万円。
生徒はいくら学習を継続してくれている、といってもいずれは必ず卒業していくものですし、
引越しその他で、安定している教室でも、毎年一割~二割の退会があるのが普通です。
となれば、常にその人数分の新入会が無ければ現状維持はできない。
いくらなんでも口コミのみで毎月七教科の新入会というのは無理でしょう。
従って、広告宣伝費をかけていくことになります。
仮に、一教科の新入会に必要な宣伝費が
一万二千円として、年間八十人募集する為の一ヶ月あたりの広告費は十万円。

さてココまでで、百五万、開設初期費用は一切計上せず、
パソコンなどのちょっと高額な備品も計上せず、月々の経費のみで、です。
他にも、 (教室便りなどの) 印刷費や文房具やら修繕費やら細々としたもの、
の経費を五万ぐらいは見ておかないと。
で、百十万で、自分の手取りの二十五万とロイヤルティに百万・・・・・
と、まあこういう計算になります。

パソコン等を購入したり、教室の内装にお金をかけることになれば四百教科の生徒数では手取り二十五万は稼げません。

この辺で気づいたのは、私は生徒が一番多い時で二百程度だったので、
九年間で四千万を超えるロイヤルティを払っていますが、
自分の収入は九年間で一千万になっていないということです。
研究会に払うロイヤルティの四分の一弱が自分の稼ぎであるということに納得がいくのであれば問題はありませんね。

ただし、生徒が増えれば生活していけるぐらいの収入になるといわれて、
インストラクター契約をしていた知人は、
二間のアパート・二十席でのスタートで、二年間で生徒数は三十教科にも達せず、
地の利のいいところへ教室を移動することなども研究会からは勧められましたが、
「とてもじゃないけど、食べていけるようになるとは思えないし、
これまでにかかった費用の回収すらまったくできていない状態で・・・・」と
「費用の百万円は人生経験、勉強をさせてもらったと思うことにしました」と、
教室を続けることは断念しました。

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