何があろうと、綾野剛!

俳優綾野剛さんの活躍をずっと見守っていきたい。

その光に希望がのぞく清冽な日本映画

2014-06-05 00:05:01 | 「そこのみにて光輝く」

脇を固める俳優陣はもちろんのこと、中心となる三人の俳優がすばらしい。

綾野剛演じる達夫は、人間というより弱りきった動物だ。

無表情が9割のその顔は支えきれないほどの内面の重さを想像させ、
驚く程地味だが艶やかな色気がある。

菅田将暉は、対象的におどけた軽みで映画に浮力をつけている。
一途さがあり、観ながら深く惹き込まれた。

池脇千鶴演じる千夏。身を売りながら、汚れながら、彼女は無垢な輝きを失わない。

姉弟(千夏と拓児)に達夫を加えた三人が、町の食堂でビールを飲むシーンには、
唯一明るい笑顔がこぼれたが、ものがたりは更に、もうひとつの転落を用意している。

踏まれても、踏まれても、底の底から頭をもたげて来る、雑草のような希望がのぞいている。
不思議だが、私は最後まで前方から差し込む、光のようなものを信じることができた。

清冽な美しさを持つ日本映画だ。漲る弓のような強度がある。

                    (「家庭画報5月号」より抜粋 文・小池昌代)


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