清冽なる狂暴 澤田亜希という始まり
Q.「555」という一筋縄ではいかない作品に途中から参加。
それまで進行していた作品をどのように把握してたか?
当時は「なんで芝居しなきゃならないんだろう」という気持ちが圧倒的に強かった。
初日の撮影のあと、これは見なきゃヤバイと思って、直近の話とかそれまでの完バケを
見せていただいて、入ってから姿勢を正しいであろう方向に持っていったので、事前に
どうこうとかは覚えてないくらい洗練されていない、不甲斐ない姿勢で立ってました。
(現場は)素人に毛が生えたような人もいれば、僕のようにまだ毛も生えてない人間もいて、
ベテランの方もいらっしゃるような、ある種社会を凝縮したような、現代社会において
できる人間とできない人間がどう融合しモードを把握し、共存していくのかという縮図が
あの環境の中にはあったと思います。教育ではなく、社会。
馴染んでいくというほど、丁寧な考え方はできていなかったです。 いっぱいいっぱいで
笑って話していられなかったし、右も左もわからない状態だったので、他の出演者も気を
使って話しかけたりしてくれたけど、その日の僕にとって信じられるのは監督だけでした。
監督に「お前、ちょっとよくなったな」と言われることがすべてで、コミュニケーションは取れ
てなかったと思います。
Q.石田監督とは積極的に話したか?
う~ん、できてなかった(笑)。 逆に安心しちゃったんですよ。
これだけ怒られるし、みっともない姿も晒したので、もうどう怒られようと怖くないし、
素直に受け止められる。言葉でコミュニケーションをとるより、真摯にこの時間を
豊に過ごそうと向き合って、姿勢だけはきちんと作っていこうと努めました。
毎回自分を発見する時間が多くて、でもそれを自分の中で精査する能力がなかったので
発見、発見、発見...って溜めていったら(線には結べなくて)点だけが集まった状態でした。
そのときはそれでいいなと思ってて、3~4ヶ月の撮影期間の間、いろんな人の支えや
なんかがあって、最後の最後、それこそ自分の最後の出番のオンエアを見て、ようやく
感想を言えるようになったので。
自分は案外無神経な人間だと思ってたけど、わりと繊細なんだなというのも発見でした。
(「平成仮面ライダー」キャスト・インタビューより 聞き手=編集部)