GLAY Story

GLAY関連の書籍を一つにまとめてみました。今まで知らなかったGLAYがみえてくる――。

 TAKURO、彼女との別れ

2009-09-15 | デビュー前



 メンバーの中で「恋人いない歴」は、TAKUROくんが一番長かった。

 しかし、私の記憶では、93年の暮れくらいにTAKUROくんの理想の人が現れた。それはTAKUROぐんと同い年くらいの女性だった。その女性は、毎回GLAYのライブに足を運んでいた。


●メンバー公認の仲

 その女性についてTAKUROくんは、「なかなかチャーミングで話の合いそうな人だよね」 なんてことを言ったことがあった。私もTAKUROくんの好みはなんとなくわかっていた。

 「TAKUROくん、おめでとう。いいじゃない。そろそろ恋人いない歴に終止符を打ったほうがいいんじゃないの?」 こう言うと、TAKUROくんはうれしそうに私のおでこをこづいた。

 それからというもの、TAKUROくんがライブの時に着ている衣装はきちんと洗濯され、アイロンがかけられているようになった。

 2人がどんな付き合いをしていたのか、私は知らない。ライブの当日、私が店の前に出てチケットを売っていると、「これ、TAKUROくんの今日の衣装なの」と言って、その女性が手渡してきた。

 2人のつきあいはメンバー間でも公認の仲になっていた。好きな人や恋人がいれば日々の生活に潤いが出てくるというもの。心なしか、TAKUROくんも恋人ができてからというもの、ライブなどでも和んだ顔をするようになった。


●デビューに向けて頑張る

 年が明けて94年3月の初旬に、メンバーはデビューシングル『RAIN』のレコーディングのためロサンゼルスに出発した。

 ロスのTAKUROくんから私のところに、帰国した後のバンド活動のことで電話が入った。私は何気なく、「TAKUROくん、ちゃんと恋人にはお土産買ってきてあげるんでしょ?」こう聞くと、TAKUROくんはサラっと言った。

 「由貴ちゃん、実は俺、ロスに着いてから彼女に電話をかけて、『さよなら』って言ったんだよ」

 私はその言葉を聞いた時、信じられなかった。「えっ、どうして?だってTAKUROくんも彼女のこと好きだったんでしょ?」と言うと、TAKUROくんはこう言った。

 「うん、好きだったよ。でも俺にとって今一番しなきゃいけないことって、バンド活動なんだよね。高校時代からメジャーデビューを目指ししてきたわけだから。恋人はほしいけど、今はGLAYのリーダーとして、メジャーデビューに向かって頑張らないといけない時期だからさ。女の子と付き合っている暇はないんだよ。」

 TAKUROくんがこう言うのを聞いて、私はちょっと虚しい気分になった。

 「バンドも大切かもしれない。でも自分たちの目標に向かう一方で、人間として生まれてきた以上、自分の心や相手の心をないがしろにしていいのか。そんなことをできるTAKUROくんが信じられない。」 本当にそう思った。

 「あの人、TAKUROくんに尽くしてくれたんでしょ?」 こう聞くと、「うん、そうなんだ。俺ってひどいよね。でも、もう決心して別れたわけだから、東京に帰っても電話もしないし会いもしないと思うよ」 こう言って、TAKUROくんは電話を切った。

 当時は女として、「TAKUROくん、ひどい」 こう思っていた。

 しかし、メジャーデビューして次々と新曲を作らなければならず、さらにリーダーとしてもメンバーを引っ張っていかなければならない。そういったことを考えたあげく、「もう会えないんだよ」といった電話をロスの空港からかけたTAKUROくん。

 きっと、色々深いことまで考えて彼女との別れを決意したのだろうと、今では思えるようになった。





【記事引用】 「GLAYインディーズ回想記/清水由貴・著(インディーズ時代のスタッフ)/コアハウス」 


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