Takの秘密の木

誰にもいえない気持ちは、誰もしらない秘密の木の洞に、こっそり語って蓋をするんだって。@2046

社長とJARVISとアベンジャーズその4

2015-07-10 | マーベル関係
アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン、アメコミ映画初心者向けレビュー。シリーズその4。
アイアンマン中心。レビューというより感想。

MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)はアベンジャーズ1しか観ていない、もしくは、実はこのAOU(エイジ・オブ・ウルトロン)が初MCUだという人に、アメコミ素人が素人らしく素人に解説する素人ファン向けのレビュー。
記述内容に間違いがあったらご指摘ください。ただし私は素人です。
それから、自分とは解釈が違う、とか、感性が違う、とかいう突っ込みはご遠慮ください。ご自分のSNSやブログに持論をお書き込みください。
私はRDJファンゆえにMCUを追いかけてるだけの映画好きの一般人です。
だからこそ、近い立場の人にはわかりやすいレビューが書けるかな・・・?と思って、この記事を掲載しています。

さて、日本公開されて間もないですが、ざっと見た限りでは7:3くらいの割合でAOUは概ね好評といったところでしょうか?
明らかに不評の場合は、とにかく何が何だかつまらない、という感じでしょうか。
しかし、良いにつけ悪いにつけ、一抹の納得のいかない感、意味不明感、おいてけぼり感、腑に落ちない感を覚えている人が大半のようで。
実は私もそうです。
最初から、AOUはスターウォーズの2作目(帝国の逆襲。エピソードで言えば5)のようになるとは思っていましたが、中途半端に一応はウルトロン騒ぎを解決してしまったのが、スターウォーズにはなりきれなかったところかな?と。
「SW帝国の逆襲」っていう作品は、なにも解決していないお話なのですよ。勧善懲悪になっていないし、主役級のキャラクター(ハン・ソロ)の生死は知れず、どちらかといえば、悪側の勝利で終わる。でも、スターウォーズ・シリーズの中で1、2を争う人気エピソードで名作と言われてる。
ある意味、連続ドラマの最終回直前の回のような感じで、繋ぎとラストへの導入部であることに開き直ってる感もあるユニークな作品です。ラストのための最重要布石をすることがメイン。「I'm your father」ってやつです。
AOUの布石は、ラスボスのサノスと6ストーンの存在の認識、アベンジャーズ内の不協和音、新キャラクター(マキシモフ姉弟とヴィジョン)の紹介ってところでしょうか。

アベンジャーズ1しか観てない人向けフォローアップ事項
■ニック・フューリー、キャプテン・アメリカ、ブラック・ウィドウ、ホークアイ、マリア・ヒル、フィル・コールソンが所属する組織・シールドは崩壊しました。ヒドラ(ナチスをモデルにした悪の組織)が内部に入り込み、中枢が蝕まれていた為、キャップが壊滅させた。@CAWS
■ロキの杖は、シールドが保管していたが、内部のヒドラにより持ち出されてしまっていた。アベンジャーズはそれを回収するために再結集し、ヒドラの拠点を急襲。
■ソーは、6ストーンの内の1つが巻き起こしたアスガルドの内戦で母のフリッガとロキを失っている(もちろんロキは死んだふり)。ストーンは奪還したが、地球でジェーンと暮らす決意をする。王位はオーディンが引き続き守っているように見えて、実は中身はロキ。@TDW
■アスガルドと地球は、門番ヘイムダルが守るビフレスト(虹の架け橋)以外にも抜け道のように時空が繋がっている場所が何か所かあるらしい。@TDW
■ソーのハンマーは、「アスガルドの王の資格がある者」が持ち上げられる。当然、ロキは持てず、トニー他アベンジャーズも持てないが、アメコミ原作ではキャップは持てるシーンがあるらしいです。重さや物質的な問題ではなく魔法の範疇ですかね。
■アイアンマン3を観て、トニーはアイアンマンを引退したと思った人もいるようですが、スーツ依存症を克服しただけでアイアンマンであることを止めたわけではないです。(製作当時はRDJの契約がIM3までだったので、RDJの卒業=アイアンマンが引退の印象を強くしてしまったのかも知れません)@IM3
■パーティーのシーンでキャップと話しているのはファルコンことサム・ウィルソン。機械の翼を背負って戦う退役軍人さんでキャップをサポートする新しい相棒。@CAWS
■6つのストーンの内、四次元キューブ、ロキの杖が既出ですが、ソーがダークワールドで奪還したものと、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー内でも一つ登場します。MCU全体では4つが既出。@TDW&GOTG

AOUはアベンジャーズのラスト・バトルとなるインフィニティ・ウォーのための布石回だけど、ウルトロン事件を結構厚く描いてしまったことで、重要な布石が逆にぼやけてしまった形かな、と。結果、もやもや感がずるずる引きずられることになったとでもいいますか。・・・
既出キャラクター達のスタンスを掘り下げて見せるためのウルトロン(まあ前座?)だったと思うのですが、AOU単体でエンターテイメント作品として成立させるために、ウルトロンとのバトルをクライマックスに置いてしまった。
しかし、普通の勧善懲悪ヒーローのどんぱちアクションものを観に来た人にとっては、懲悪されるためのボスキャラにしてはウルトロンは弱いし、勧善のわりにはヒーロー達がそれほど善らしくもないという・・・。
アベンジャーズはスターウォーズではないですし、場所もどこか遠い宇宙の話ではなく地球上のお話。現代社会はもっと善悪や正義が複雑化してる、勧善懲悪ヒーローものを造りにくい社会になってるんですよね。
「現代の現実社会を舞台にした爽快なヒーローものは造れない」というのは簡単だけど、そこに敢えて挑戦してるのがMCU、アベンジャーズという作品、ともいえるのかも知れません。
まあぶっちゃけ、アメリカ自身(軍事力)がその存在意義を模索してるのかな、とも思ってますが。(苦笑)


AOUという作品の大局的な位置づけはこんな感じかと思うのですが、作品単体として、内容についての私見は以下となります。

■大衆に支持されないヒーロー
たぶん最初に大方の人が違和感を覚えたのは、アイアンレギオンやアイアンマンが大衆に支持されていないシーンが出てきたところでしょう。
皆に愛されるヒーロー!アベンジャーズ万歳!!というのをもう一度体験したかったのに、のっけからこれでは気持ちが乗って行かないのは仕方ないですよね。
特に、ヒーローものが好きでマーベルに嵌ってる人、悪が懲らしめられるのを見てすっきりしたい人にとっては戸惑いや不審しか産まないシーンでしょう。
このシーンがあるせいで、「アベンジャーズが支持されないのはアイアンマンのせい」って落としどころで納得したい人がかなりいるようにも思えます。
「アイアンマンの失態でアベンジャーズも批判される」とか「アイアンマンが善人(正義)じゃないから」とか。
しかし、人々がヒーロー(アベンジャーズ)を支持しない理由をアイアンマン個人に落とし込こむと、正直、キャプテン・アメリカ/シビル・ウォーを観るときに困ることになるでしょうね。
じゃあ、なぜあの人々はアイアンレギオンを応援しなかったのか?
まず第一に、スターク社製の残留兵器が紛争国に横流しされていたからでしょう。
アイアンマン1で、トニー・スタークは自社の兵器生産を中止しますが、社内の人間が勝手に生産を続け売りさばいていた。
こういう兵器は、生産元が取引中止にしてもブラック・マーケットに流れてやり取りされてしまいます。特に、型が古くなると安くなるから資力がない小勢力が買うことになる。ひょっとしたら、MCUでは米政府が軍事介入したこともある国なのかも知れませんね。
こういう紛争地帯では、軍人だけではなく一般市民も兵器に触れる機会が多いから、スターク社製兵器は見慣れたもので、犠牲になった人も多いのでしょう。マキシモフ姉弟がそうであったように。
そして、トニーが顔見知りの武器商人が出てきますが、トニーがスターク社製の武器を市場から一掃しようとした過程で知り合ったのかも知れません。

第二には、劇中にも出てくる「スターク基金」というのが鍵だと思います。(吹き替え版では何故か「救援ボランティア」?となっています)
アイアンマンって、アベンジャーズ絡みの問題のフロントマンになっていたのではないでしょうか?
実際、人々がアベンジャーズに対して何かを訴えたいと思った時は、トニー・スタークしか窓口がないでしょう。
アベンジャーズは米国政府や軍管轄の組織じゃないし、シールドは壊滅、そのシールドも表立った組織ではなかった。
アイアンマンは顔も身元も知られてて、メディアに出てインタビューも受ける。
しかも、スターク・タワーをアベンジャーズの拠点として提供している。
例えば、アベンジャーズ1のニューヨーク決戦で被害を受けた人々は、その補償をどこに訴えるのかといえば、トニーしかいないんですよね。
ニック・フューリーの存在を知っていたとしても、彼には補償金を出すほどの資力も権力もない。米政府は、大統領命令でない上に米軍の戦争でもなく、賠償を訴える相手が地球上にいない補償に、そう簡単にお金を出すとは思えません。
アベンジャーズの事後処理には、有名で顔も知られた当事者なだけに、アイアンマンが矢面に立たされるのは必定でしょう。
被害者にしてみれば、「地球が守られて良かったねめでたしめでたし」だけでは済まない現実がある。そして援助を求める声が届きそうな相手はアイアンマンしかいない。
そこで「スターク基金」を立ち上げた、というのは、敏腕実業家のトニーらしい、非常に現実的な方策だと思います。
国からお金を引き出せなくても、アベンジャーズの活動に協力したい世界中の個人から出資を募り、被害者に分配する。
これ、言うのは簡単だけど、実際にシステムを立ち上げ機能させ、資金を集めるのは相当な能力が必要で、しかも迅速でなければならないんですよね。
ある意味、トニーだからできることと言うか。たぶん一番の大口寄付者もスタークだと思うし。・・・逆に言えば、ニックやキャップにこれだけのレスポンシビリティがあるのか疑問。
フロントに立つ、というのは、賞賛も批判も両方受けることで、批判を受けた時にどういう対応ができるかでその能力が問われる。
どんな人間でも、100%の賛意が得られるわけではないし、正義は立場によって変わるもの。アベンジャーズに対する非難や不満を一人矢面に立ってフォローして、実質的な対処をしていたのがアイアンマンともいえるのかな?と。
こうも思うんですよ。キャプテン・アメリカはアベンジャーズとして正義のために戦ったけど、それによって被害を被った人間が、その存在を否定し憎んできたらどう対処するんだろう?と。
誰かにとってのヒーローでも、他の誰かにとっては加害者でしかないこともある。
自分が正義と信じて疑わない人であるほど、相手の正義が理解できない。

■キャプテン・アメリカという存在
アメコミ原作に馴染みがなく、ヒーローに憧れを抱かない人間にしてみれば、その名前からして受け入れにくいキャラクターですよね。・・・
このキャラクターを主人公にして、国内だけでなく世界中でそれなりのヒットにするハリウッド映画はある意味すごいですよ。
私も最初はどうかと思ったし、未だに、やはりそれほど思い入れはできないキャラクターではあります。
キャプテン・アメリカ2(ウィンター・ソルジャー)の中で、キャプテン・アメリカをテーマにした特別展がスミソニアン博物館で催されているシーンが登場します。
日本で言えば、戦争で目覚ましい戦功を上げた軍人の生涯を讃える展示会を国立博物館で行っているようなものです。
アメリカは戦勝国だから、といえばそれまでですが、私は正直、あのシーンにはかなり引いてしまいました。
だけど、外敵によって我が身が危険に晒された時、頼りたくなるのは戦士ですよね。
戦闘経験が豊富で、人の命が奪われても平静を保て任務を遂行できる人。
スーパーソルジャーと言えば聞こえが良いけど、キャプテン・アメリカって、究極の人間兵器だと思うのですよ。
トニーの父親のハワードが彼を産み出すことに一役買ってるというのも、兵器だから、なのかも知れません。
スティーブ・ロジャースは第2次世界大戦下の価値観と愛国心で、自ら望んで人間兵器になった。
ヒドラ(ナチスをモデルにした悪の組織)を倒して、彼らに苦しめられている人々を解放するという正義のために。・・・アメリカの軍事介入の理由は、現代も大抵これですよね。
でも、アメリカは解放というけれど、その対象となる人々がアメリカに解放されたがってるかどうかというのは、現地の人々にしかわからない、というのが現代社会。
キャップは極めて優秀な司令官で、正義の元に先頭きって勇猛果敢に戦うけど、戦後の荒野のフォローはできない人。
アメリカ人でなければ、キャプテン・アメリカというキャラクターに感情移入するのはなかなか難しいですよね。
でも、彼自身も、自らの存在意義に悩んでいたら?
彼が現代に蘇ったのは、彼が望んだことではない。
それでも自分が信じる正義を貫くけど、世界大戦当時のように、誰もが絶賛してくれるわけではない現実。
しかも一番賛同して欲しい人とは対立してばかり。人間兵器だから家には帰れない。軍関係にしか居場所がない。
彼の悲哀と苦悩には同情の余地はあるよなー・・・と。
しかし「アベンジャーズが戦わずに済み、みんなが家に帰れる」ことを目的とするトニーの正義に、彼は共感しきれない。

■JARVISとウルトロンとヴィジョン
トニーが結果的に悪ウルトロンの誕生を誘発してしまったこと、それ自体を非難されることは仕方がないでしょう。
でも、アベンジャーズ1でのハルクやホークアイの暴走、AOUでのチョ博士の暴挙等はロキの杖のせいで、なぜトニーの失態だけはロキの杖のせいではなくトニーがすべて悪い、となるのかは不思議ですよね。(苦笑)
冒頭で、トニーはワンダに悪夢を見せられた上に、ロキの杖を手に取らされているんですけど。・・・
ウルトロンの基本プログラムは、ストーンの力を利用しようとしたヒドラの影響もあるわけで、それをジャーヴィスが制御しきれず、暴走し勝手に動き始めた結果、産まれたのがウルトロン。
そして、ヴィヴラニウムという金属と有機体を融合させた細胞に、今度は直接ストーンが埋め込まれたことで完成した新次元の肉体。しかし身体だけでは物に過ぎず、肉体を動かすためには脳(心)が必要。
トニーは、今度こそ、脳としてジャーヴィスを搭載できれば完璧だ、と考えたんですよね。
ジャーヴィスは無意識下でも核発射の暗号コードをウルトロンから防御し続けていた。そのスタンスは人類の味方という判断もできるわけで、なにより、トニーとジャーヴィスは長年の付き合いだから。(笑)
ソーの電撃でジャーヴィスを身体に入れることは成功したけど、ジャーヴィスという個性は変容を見せた。
ヴィジョンが誕生。
このヴィジョンというキャラクター、元々アメコミ原作にも登場し、シビル・ウォーにも参加するそうです。でも原作ではジャーヴィスはそもそもが人間なのでMCUとは設定が違います。
MCUのAIジャーヴィスはどうなったのか?は、世界中で話題にされてますけど、今のところ分かりません。
ヴィジョンが自分の中のプログラムをコピーしてネット上に置けば、ジャーヴィスになると思いますけどねー・・・だめかしら?(笑)
ヴィジョンを演じるポール・ベタニーは、引き続きジャーヴィスも演じる、というような情報が一度流れたような気もしましたが、まあマーベルのみぞ知るですかね。
あ、そうだ。
ラストのウルトロンとヴィジョンの会話には、ヴィジョンの人類に対する愛情が感じられましたが、それってジャーヴィスが抱いていた愛情じゃないかと思うのです。
そしてその愛情は、トニーによって齎されたものとも言えるのではないかな、と。

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