秋深まってブログでご紹介したこれまた古い時計のこと。
オリエント・スターって言う国産の小型時計。
作られてからおそらく50年近く経ってると思われた。
ベルトを付ける部分がバネ棒ではなくてベゼルに取っ手がロウ付けされてることからみても古い。
この時計置いておくとすぐに止まってしまう。
こんなに可愛いんだからオーバホールすることに。
正月過ぎに修理完了の連絡を貰ってさっそく作業開始。
革ブレスを作るに当たって考えたことは二つ。
1.作業中の衝撃をなるべく与えない構造にしたいこと
2.ゼンマイを巻くための空間的な余裕をとること
革を縫うための穴を開けるときに菱目打ちという道具を使うのだが衝撃がかなり伝わる。
で、時計を付ける部分の穴開けは最小の作業で済むようにしたい。
従って、こんな構造にして第二番目の条件を満たすべく時計の真下には
座布団のように別の革を入れて時計が浮き上がっている状態を作りたい。
真ん中が座布団。両側はトンネルを形成するための隙間を生み出す革。
その上からブレスレットのメインとなる革をかぶせる。
だいたい、こんな感じにしておいて
時計の両端に付けた革の部分は最後に差し込んで最小限だけ穴を開けて縫う。
と、ここまでの構想は万全だった。
ところが人間ってものは醜い性格をしておりまして
ブランドみたいなタグをつけようという助平根性が出たのが悪かった。
裏革にタグを作ってエンボスを施した。
これも得意満面でやった作業。
その時のオイラの顔を見てみたい。
ところが・・・
これを裏革として貼り付けて風呂に入ったってもんです。
ああ、やれやれとね。
風呂でゆったりしてるときにふと気が付いた!
最後に時計の両側をトンネルに潜らせて上から縫い付けたら!
自慢のタグごと糸が通ってしまうぢゃないか!って。
風呂に浸かってるバヤイぢゃないぞ、これわ!!
風呂から飛び出して
さっき貼り付けた時計周辺の革をひっぺがした。
この時のオイラの顔も見てみたい。
まるで漫画だわ。
時計の部分を縫つけてその後全体を縫わないといけない。
そうすれば、タグには傷がつかずに綺麗に仕上がる筈だ。
だいたいが、タグなんか縫い付けて威張ろうと言う根性が悪い。
どうせ縫い付けるなら真ん中に来ないように端っこに付けるべきであった。
一晩たってたら・・・革が接着剤で固定されて
剥がすときにボロボロになる運命だった。
そんな顛末を経て、なんとか時計ブレスが出来上がりました。
正面の時計の上下にタテに3針ほどの縫い跡が裏革を剥がして表革だけに縫い付けた証拠です。
最初の予定では裏革も縫い付けてから最後に時計を止める糸はヨコに10目ほどになる筈だった。
妙なアドリブをしたのでなんとか裏に貼ったタグ革に糸目が出ずに済みました。
晩秋の贈り物も、これにて一件落着しました。
一発で腕に付けられるような金具を買って装着します。
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