ボルボ V60 FB4164T 2011年式 101700キロ

この車に搭載されているミッションは6速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)で自動変速機(分かり易くいうとオートマ)の一種になります。
DCTは欧州車によく採用されてるわけですがメーカーによって名称が違い、フォルクスワーゲンだとDSG、アウディだとSトロニック、アルファロメオはTCTって呼んでます(^^)
ATやCVTの弱点はせっかくエンジンで発生させたエネルギーの伝達効率が悪いこと。それに比べるとMTには劣りますがDCTは伝達効率が高く中高速域に優位性があります♪
CVTは逆に発進時や低速域に優位性があり、日本の交通事情に適しているってことで日本で普及したわけです(^^)
ちなみに~車業界の略語ではアルファベット三文字で表されることが多く、このDCTもそのうちの1つなわけですが、DTCもよく使われる略語の1つ。DTCは当ブログでもよく使いますがダイアグノーシストラブルコードの略で、警告灯が点いたときなどに車載コントロールユニットに記憶されるコードになります。
CとTの位置が変わることで全く意味が違いますが、ぱっと見では間違えそうな感じ(^^;) そしてなぜこのような話をするかというと、、、予測変換で入力してるとたまに間違えてしまうかも?だから間違えてても指摘せずに上手く読み替えてね~っていうお願いです( ̄∇ ̄)
で、次はフルードのお話し。
DCTは当店がメインにしてるワコーズには適合しているフルードが無いので(^^;)
他メーカーで対応してます。
ということで、当店のDCT対応在庫をご紹介。

モチュールのマルチDCTF。
当店のラインナップの中では価格が1番安く、スタンダードなポジションです(^^)

ペトロナスのマルチDCT700。
価格、性能ともモチュールよりワンランク上になります(^^)

ロイヤルパープルのシンクロマックス。

ロイヤルパープルのシンクロマックス。
性能はピカイチ。それに伴い当然のように価格も、、、(^^;)
とはいえ純正フルードよりも安いのに性能は上ですからね!
それではやっと作業へ(*・ω・)ノ
まずはいつものようにロードテストへ~
お客様が言われてた通り変速ショックも気になりますが、ゼロ発進でギアに繋がる時にドカンときますね(^^;)
急に繋がって発進する感じ(>_<)
特にバックが酷いですね~(ノД`)
あとは回転数の上がり方が若干滑ってるように感じます。
お店に戻りスキャンツールを接続。



結構な数のDTCが記録されてましたが一旦消去しておきます(^^;)

続いてはエンジンルームの確認。

ミッションはエアクリーナーボックスの下らへんにあるので

取り外して上からの作業スペースを確保しておきます(^^)

次にフロント左タイヤを外してフェンダーライナーも

取り外すとミッションケースに側面からご対面出来ます(*・ω・)ノ

で、後で取り外すことになるDCTフルードフィルターケースを確認。

下廻りはアンダーカバーで覆われてるので

取り外してミッションとご対面。
オイルパンがサイドにありフルードの漏れも無いので、ドレンプラグからの排出後に圧送交換という流れになります。
ちなみに~このミッションにはドレンプラグが2箇所あるので順番にドレンアウトしていきます!

まずは手前のドレンプラグから排出。

約2.5L排出しました(^^)

続いて後ろ側のドレンプラグを取り外し。

こちらからは先程よりも多い約3.5L。
ミッションの容量的には7.3Lのところ、合計で約6.0Lを排出してるので、かなりの高排出ですね~(^^)

タイヤハウスに戻りフルードフィルターハウジングを取り外します。


フィルターは真っ黒(^^;)
そして毛羽立ってます(>_<)

圧送交換をする為にフィルターブラケットを外す必要があるので再び上からアクセスするんですが

バッテリーケースに怪しげな何か垂れた跡を発見(^^;)

一瞬ミッションマウントのオイル漏れかなと思いましたが、バッテリーケースは上にあるしミッションマウント周辺は綺麗だし違いますね。

で、上を調べるとバッテリーケースの蓋の溝に入ってるゴム?が溶けてました(゜Д゜;)
とりあえず支障はなさそうなので今回はそのままにしておきます。

気を取り直して~フィルターブラケット取り外し~

アタッチメントを取り付けてトルコン太郎のホースを接続します。

お客様がチョイスしたのはどうせ交換するなら良い物を!ってことでペトロナスのマルチDCT700。
良い選択だと思います(*´∀`*)ノ

初期充填をしてエンジンスタート♪

初期充填をしてエンジンスタート♪

左 新油ペトロナスマルチDCT700
中 最初にドレンアウトしたフルード
右 現在ミッション内を循環しているフルード

暫く新油でクリーニングした後に圧送交換スタートです(*・ω・)ノ

最初に排出されてくるフルードは真っ黒ですが



徐々に変わっていきます(^^)








1回目の圧送交換が終了。フルードはまだ真っ黒ですね(>_<)
トルコン太郎は自動的にクリーニングモードに切り替わります。

クリーニングモードも終了。
ミッション内部が汚れてるせいで圧送交換終了直後よりもフルードが黒くなってます(゜Д゜;)

というわけで2回目の圧送交換スタート♪










圧送交換が終わりクリーニングモードに移行しました(^^)
新油に近い色になってますが

クリーニングモードが終わる頃には真っ黒ってわけではありませんが黒みが増してますね(^^;)
ですが、ここで予定交換量に達したので終了です。

圧送交換回数、交換量は事前にお客様と打ち合わせをして決定しています(^^)
お預かりでの作業になるため、お客様に直接汚れ具合を見てもらうことは出来ないので、事前にどうしたいのか?を聞いてます(^o^)
徹底的に綺麗に!っていうお客様も勿論居られますし、ある程度綺麗になればいいってのもあります。状況をみてその場の判断に任せます、、、等、色々です。
ただ出来れば真っ黒な状態では終わりたくないので、交換歴や現在の走行距離を元に最低でもこれぐらいは交換した方がいいですね~っていうアドバイスはさせてもらってます(^^)
この車も低温時の調整なので翌日に


エンジンを掛け直してフルード油温が規定値に入ったことを確認してから


オーバーフローさせて油量調整が完了となりました(*・ω・)ノ

この後は元に戻していくので~アタッチメントを取り外して、新品のガスケットを使ってフルードブラケットを取り付け~

フィルターとハウジングも新品を取り付けます(^^)

取り付け完了(*・ω・)ノ

左 最初にドレンアウトしたフルード
右 最後にオーバーフローしたフルード
画像だとちょっとわかりにくいんですが、右は若干透明度がある茶系の色になってて、交換前とは全然違います(≧∇≦)b
廃棄するときを比べてみると

最初にドレンアウトしたフルード

最後にオーバーフローしたフルード

最初にドレンアウトしたフルード

最後にオーバーフローしたフルード
、、、やはりわかりにくいですね(^^;)
カメラの性能が良いスマホに替えるべきなんでしょうか、、、(ノД`)
それは今後の課題として作業の続きを、、、
DCTフルード交換をした後はスキャンツールを使ってキャリブレーションです(^^)


ステップ1から順番に実施していきます。

ステップ1完了。

ステップ2完了。
で、ここで問題発生。
ステップ3が完了しません(゜Д゜;)
油量調整同様にキャリブレーション実施中の規定温度があるので、油温が上がり過ぎないようにミッションに風を当てて冷やしながら実施していたんですが、一向に終わらないのでいつの間にか規定値超え(^^;)
やむなくキャリブレーションを中断して一旦ミッションを冷やします(>_<)
油温が下がったところで再び実施するもやはりステップ3が完了しません(ノД`)
もう何回試したかわからないぐらいやりましたが、、、 (。・ω・。)
幸いだったのはキャリブレーションを中断してますが、エンジンが掛かりギアが入り車が動くこと(^^;)
DTCが出てないか確認すると

P0060 内部コントロールモジュール プロセッサ監視パフォーマンス
ん~ミッションのコントロールモジュールに問題があるのか、、、
何度かキャリブレーションを試したりロードテストを繰り返してどのタイミングでDTCが入っているのか確認しましたが、キャリブレーション中にしか発生しないことを確認。
そしてキャリブレーションは完了していませんが、圧送交換でフルードは完全に入れ替わっているのでロードテスト中に感じた状態はというと、、、
非常に調子が良いですね(゜ロ゜;ノ)ノ
まず発進時のドカンときていた繋がりは無くなってクリープがしっかりと有り、スムーズに発進します。そして変速ショックも無くなり滑ってる様な変な回転数の上昇も無くなってます(^^)
結果的にはいつもの圧送交換が無事に終わった時と同じで、圧送交換前に感じた症状がほぼ解消されてます♪

走行後のDTCに
P250F エンジンオイルレベルが低すぎる
P0039 ターボチャージャーアクチュエーター閉に固着
が決まって記録されてるので点検したんですが、エンジンオイルは問題なし。これに関しては入庫時にも記録されてて、逆の『エンジンオイルレベルが高すぎる』も入っていたので、恐らくレベルセンサー不良ですね。
価格を調べると恐ろしく高かったので、これはお客様と相談して今回は様子を見ることに(^^;)
ターボチャージャーのアクチュエーターに関しては直接ロッドを動かして固着を取り除いたことで、その後のロードテストではDTCが記録されなくなったのでとりあえずオッケーかなと(^^)
で、お客様にキャリブレーションが上手く完了しなかったこと、コントロールモジュールの部品代、ロードテストの結果をお伝えして、今回はこの状態で作業完了とすることになりました。
若干、消化不良ではありますが(>_<)
でもギクシャクしてた車が圧送交換で調子良くなったのは間違いないです(≧∇≦)b
皆様からの整備のご依頼をお待ちしています。