氷見市のお客様からATの変速不良についてご相談です。
加速時の2速から3速、3速から4速への変速時に滑るような感じがあり、他店でATFの圧送交換をしたが直らなかったとのこと(゜o゜;
症状的にATF不良(油圧不足)の可能性もありますが、この車に搭載されている6HPミッションの場合はバルブボディの上にあるスリーブ部分から油圧が逃げている可能性が高いです。
お客様にATF圧送交換時にバルブボディ脱着があったか?など確認しましたが恐らくしてないとのことだったので、スリーブ交換を提案させて頂きご了承頂きましたm(_ _)m
ジャガー XJ J12LA 2011年式 56900キロ

まずは症状を確認するために試乗です。
ちょっと乗ってみた感じでは残念ながらお客様が言う症状は確認出来ませんでしたが、全体的にまったりとした加速。そして2000回転弱で若干ジャダーがありますね〜


リフトアップして下廻りの確認、、、ですがアンダーカバーで何も見えず(^_^;)

取り外してミッションを確認です。

オイルパンがなんとなく湿ってますね(^_^;)




オイルパンから漏れてますね〜
以前に圧送交換をしたとのことでしたが、その時にオイルパンの交換してないんですかね(゜o゜;
以前に圧送交換をしたとのことでしたが、その時にオイルパンの交換してないんですかね(゜o゜;
取り付けボルトも錆が見えるのでオイルパン含めて再使用してガスケットだけを交換してるのかな?



そして今回の作業とは関係ありませんが、エアコンのコンプレッサーからエアコンオイルが漏れしてました(;´Д`)
とりあえず綺麗にして様子見ですね〜

では作業に取り掛かります!
ドレンプラグを外してATFを排出。

ドレンアウトでは約2.4Lでした。
ちょっと少ないような気もします(^_^;)

そしてATFは真っ黒(゜o゜;
圧送交換してからそんなに走ってないはずなんですけどねぇ

そしてATFを抜いてから気付いたんですが充填&オーバーフロー用のプラグがめっちゃ舐めてます(;´Д`)
本来?は六角の溝になってるのでヘキサゴンレンチがピッタリとくるんですが、緩々でトルクスレンチを入れると何とか引っ掛かる感じ(^_^;)
前に交換された方、トルクスで緩めてトルクス締めたんでしょうか、、、しっかりと締まってないからここから漏れてるんかな〜
でも緩む気配無し(;´Д`)
ミッションとボディの隙間があまりなくガッツリと工具を入れれないので、このまま中途半端に工具を入れて緩めようとすると完全に舐めてしまって、かなりヤバいことになるので(すでに十分ヤバいような気もしますが)

ミッションメンバーの取り付けボルトを外してミッションを出来るだけ下げて

隙間を確保。
それでも頭が舐めてしまってるのは変わらないので慎重に力を掛けて、、、

緩みました(^^)/

ちなみに外れたボルトですが遠目で見ると六角ではなく丸に見えます(^_^;)

よく見ると六角のようなトルクスのような、なんとも言えない形状。
本来はパッキンが一体式で再使用不可なので取り外した時に工具を間違えてちょっと舐めてしまったとしても、取付時に工具を間違えるわけはないのでどうしてこうなったか非常に謎です(^_^;)
唯一考えられるのは再使用不可部品の再使用ですが、普通舐めたボルト使いますかね〜(;´Д`)オソロシイ、、、
無事外せたので気を取り直して作業を進めます!



オイルパンを取り外しました〜

6HPのミッションはストレーナーがオイルパンと一体になっているので基本的に再使用出来ません。が、オイルパンガスケットは単品供給があるのでメーカー的には再使用してもいいとなってるんだと思いますが、ガスケットだけ交換してオイルパンを再使用した場合はほぼオイル漏れが発生してるみたいなので、オススメしません(^_^;)


オイルパンはMAHLE製でした。純正じゃなかったので一度誰かが交換したのは間違いないですね。

ですがオイル漏れしてたんですよね〜(^_^;)


取り付けボルトは錆の具合から察するに交換されてないと思います。アルミのボルトなので基本は再使用不可なんですけどね〜(^_^;)


今回のメイン、バルブボディを取り外しました〜


今回のメイン、バルブボディを取り外しました〜

バルブボディを外した上にあるこの黒いのが今回交換したかったスリーブ。

そしてこっちの4つの丸いスリーブも交換したかったんですが、BMWに搭載されている6HPとは微妙に形状が違ってて(゜o゜; こちらはどこを探しても単品での部品供給が無かったので交換出来ず(>ω<)

コネクタスリーブはよくオイル漏れを起こす部品なんですが、前回の作業時に交換してあるかわからないので念の為交換しておきます。

先程のスリーブの新旧比較。

真横から見ると古い方はリップが潰れてるのがわかります。

新品のコネクタスリーブとオイルパン取り付けボルト。

そして取り外しに苦労したオーバーフロープラグ。
新品の溝は綺麗な六角です(^^)/
それでは取り付けていきます!


スリーブの取り付け〜

バルブボディを綺麗にしてから取り付け〜

オイルパンはもちろん新品です。


安価な社外品ではなくミッション製造元のZF社製のオイルパンなので、オイル漏れの心配はほぼありませんし、純正品を注文しても同じ物が届きます(^^)

で、取り付け完了(^^)/


ドレンアウトで2.4Lほどの排出でしたが、オイルパン・バルブボディの取り外しで3.1Lほど追加で排出したので合計5.5L。
これでもまだ全容量の半分ぐらいしか排出してません(^_^;)

使用するATFはワコーズのプレミアムスペック。

使用するATFはワコーズのプレミアムスペック。
今回は圧送交換ではなくスリーブ交換がメインだったので、普通に充填です(^^)/

そしてお客様が添加剤でなんとかならないかな〜と先に購入されていたワコーズのCORE701を

一緒に充填しておきます♪

エンジンを掛けてフルード温度が規定温度になったところで

余分なATFをオーバーフローさせて油量調整完了です。
充填した量は7.1Lでした。バルブボディの脱着でオイルシートに染み込んだ分やオーバーフローした分を差っ引いても、やはり元々少なかったようです(;´Д`)

左が最初にドレンアウトしたATF
右が最後にオーバーフローしたATF
今回は圧送交換をせずに希釈しただけですけど、これだけ綺麗になったということは前回の圧送交換でそれなりに交換されてたのかな〜と。
作業が終わったので再び試乗へ〜
最初の一発目だけ3速から4速への変速時に滑ったような症状が出ましたが、その後は出なくなり、交換前に感じていたジャダーは気にならなくなってました(^^)
添加剤の効果は徐々に出てくると思うので、さらなる変化が期待出来ます♪
皆様からの整備のご依頼をお待ちしています。