先週末、4月6~7日は絶好の花見日和となった都下でしたが、仕事のため、私的な花見=お弁当持参のそれは叶いませんでした。
それでも、壺中居店舗前の通称「さくら通り」、東京駅八重洲口前から茅場町まで続く相当の規模ですが、そのサクラ並木は年々成長して、年ごとに見応えのある花が咲き乱れ、今年も壮観といえました。
このたびは例年より花持ちが長く、私どもも連日「花見」を決め込むことが出来ましたので、相当な贅沢といえましょう。
翻って、自宅界隈の飛鳥山と六義園はさすが大名所であって、連日の大賑わいだったのですが、人ごみに辟易する私は、今年も拝見を遠慮いたしました。
東京に移住してはや30年以上が経ちますが、都心に限定しても、いままで相当数のサクラを目睹してきました。
これは先年、駄文に綴りましたが、自然環境の豊かなエリアよりも、都心で目にする満開のサクラには、規模の大小は問題ではなく、例外なく感激感嘆してきたものですし、今後もこれは変わらないことでしょう。
都下、本駒込に在る諏訪山・吉祥寺様(曹洞宗)は、文京区内では恐らく最大規模の境内を誇るでしょうが、こちらには実に見事な枝垂桜があり、年々その存在感を増しているようです。
4月頭に思い立って、実に久しぶりに吉祥寺様を訪れましたが、相当の人手にまず驚きました。境内での飲み食いは出来ませんので、訪問者はマナーを遵守して「花見」を楽しみ、大満足したことでしょう。枝垂桜のほかにも、別種で、やはり立派なサクラが点在し、文京区内の一大サクラ名所といって言い過ぎではありません。
今時分、無性に出かけたくなる美術館博物館がありますが、それが、台東区根岸に在る
台東区立書道博物館であって、当館は存在意義と運営の在り方、コレクションの質の高さが三位一体となった、ユニークなもの、良い意味で異彩を放つ好博物館のひとつです。
洋画と書の大家・中村不折(1866-1943)の作品と、彼が収集した書に関連する美術品と歴史資料が良質コレクションの中核となっていること、ご周知の如くです。
重要美術品5件、重要文化財12件を所蔵すること自体、まずは圧巻なのですが、年に4回実施する企画展と特別展は、毎回内容が濃く、充実したもの故に、惜しみない拍手を送るものです。
当館は1936年に開館して以来、現役で機能する本館と、2000年に台東区が中村家から受贈して、新規に建てた新館=中村不折記念館との2棟で構成されています。
本館と新館とのはざまに、ささやかな規模ながら、清々しい好空間=庭園空間がありますが、その一角に、サクラの大木、種は不明ですが、実に立派なそれが「異彩」を放ち、来館者の眼を驚かせ、かつは楽しませています。
私が初めて当館を訪問したのが1989年の5月で、本館のみ拝見したのですが、当時は迂闊にもこのサクラが目に入りませんでした。
リニューアルオープンしてから、最初の4月頭に、家内と二人して再訪しましたが、このときは正に満開に遭遇し、覚えずアッと息を呑み、そしてその絢爛かつ繊細な花の美と、樹木の立派さとに酔いしれたこと、いまでもアリアリと思い起こします。
今年も変わらぬ立派な咲きぶりを誇ったことだろうと想像します。
良質の博物館と良質のサクラを併せて拝見出来る、稀有な存在かとみるものです。ぜひ一見をお薦めいたします。(by kiyo)