ばとろん日記５

　うはｗ protoとかｗｗｗ ktkrｗｗｗｗ――最初にまず，gakyoはこう思った．戦場で知人の姿を見かけて，ちょっとハイになっていたのだろう．つまるところこうである「フルぼっこにしてやんぜー！！」　意気揚々と武装を選択する．派手にいこうミサイルがいい．相手の装備などロクに見もしなかった．準備完了．小汚くなった液晶にロード画面がそっけなく表示され，gakyoは少しいらいらして戦闘の開始を待つ．

　戦闘が開始されて数十秒後，gakyoは奢っていた自分に気がついた．
　当たり前である，忍子で無課金育成していたなら，選択肢は限られるのだ．その多くは，ややスキルポイントの高い，回避型に育つ．武器の選択肢はほぼ三つだ．ひとつ，近距離で攻撃力を伸ばして，鎌だけ持たせて叩ッ切るか，ふたつ，意外と威力の出る手裏剣を中距離から投げつけるか．みっつ，遠距離から命中率の高い苦無を確実に当て続けるか．
　さて，バトルロンドに参加して間もない紳士がやりそうなこととして，これら三種が混在した装備で戦闘を続けさせてきた，とそう仮定しよう．この場合，忍子さんのＡＩの好みから言って，間違いなく投刃属性の手裏剣やら苦無を使う機会が増える．それはもう投げる投げる．Ｃクラス初期，鎌しか知らなかったはずの忍子さんは飽きもせず手裏剣をぶん投げては負け，負けてはマゾヒスティックな性癖を露出して叱責を強請り，ぶん投げては勝ち，清楚なフリをして，恥ずかしそうに俯くのである．
　そうして，気がつけば中距離から遠距離の適性が高いＡＩが出来上がる．オーナーが意図して鎌だけを持たせ，なるべく鎌だけを使わせて勝たせるなんてことをやらない限り，普通はそうなるのだ．protoの場合も，きっとそうだったのだろう．
　戦い方の他に，もうひとつ付け加えるなら，無課金忍子さんの特徴はこれだけではなく，見かけ以上に素早い，ということだろう．彼女らは無課金プレイで得たアイテムを目一杯装着したとしても，軽量である．それに，そもそも忍子は例外的にやや高い機動性能が保証されている．
　さて，ここでgakyoの花子に目を向けてみよう．中型ミサイルをばらまく装備は，重量級の上，gakyoは機動増加のパーツ購入にまでは至っていない．しかし，それでも追いつけないこともない，といった申し訳程度の機動は確保してあった．問題は，花子のＡＩの方で，彼女はあまり動きたがらないのだった．相手がどんな距離にいようと，もしその場から届く武器があれば，命中率や威力など無視してそれを使うのだった．つまり，例え自分が不得意な距離であってもその場凌ぎの戦いをしてしまうのがgakyoの花子の性格であり，欠点なのだった．対して，和風装備のコーディネート特典で向上した命中に加え，少なくとも不得意ではないだろう遠距離戦で仕掛けてくるのが相手である．これまでの遠距離戦軽視の結果，花子の攻撃・命中・回避・防御の各性能の低下は甚だしい．距離適性なんてクソ喰らえだ，とgakyoが小さくコナミを呪う．しかし，試合前によく考えれば，わかったはずなのである．

　花子の断末魔が聞こえた．

　四十敗の記録が情け容赦なくカウントされた．gakyoは自室でひとり遠距離適性の低さに泣く．自らの不覚を嘆く．決して，三十九敗のまま，十何勝もして，Ｓクラスに昇格できるなどと都合良く夢想していたわけではない．よりにもよって，たまたま出くわした知人に舞い上がったあげく，その一切の可能性を潰えさせたことが，何よりも堪えたのだった．
　五月末のことであった．

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　MOTTAINAIの大義名分の元，mixiのコメント用に書き下ろした駄文をリサイクル！ 地球に優しいgakyoでした．
　内容についてはいろいろと怪しげなので鵜呑みにはしない方が身のためです．もし，「どう考えてもここおかしいだろ」なんて思ったら，追加攻撃で「こいつバカだなぁ」とニヤニヤしておくことをおすすめします．