Now Know No Limits.

なののり。日々のしょうもない書き散らし。

ザ☆妄言

2006-06-11 23:37:47 | 書き散らし



 家に着くと玄関には彼の靴があった。珍しいな、仕事終わるの早かったのかな、なんて考えながら靴を脱ぐ。
 部屋に上がると良い匂いがした。どうやら夕食の準備までしてくれているらしい。ここまでくると何か変だ。絶対におかしい。台所へ顔を出すと、彼が妙ににこやかな表情で私を出迎えた。彼の唇が開きかける。身構える私。

「○○。おかえりんこ♪」
「ただいまん、――ッ!!」

 たぶん、私は赤面していたのではないかと思う。ギリギリセーフだったとはいえ、反応しかけた自分が恨めしい。
 私怒ってるんです、とにらみ付けてやると彼は飄々として一言。

「ぷっ。ダメだなぁ、ただいまんもす、だよ」

 やられた。完全にしてやられた。
 こいつのことだ。これをやりたかったがために夕食の準備までしたに違いない。怒った私を宥めることまで計算尽くなのだ。

「っのばか!」
「痛っ」

 何か無性に腹がたってひっぱたいてやった。

 ――カレーの味は、悪くなかった。




 妙に時間がないのかあるのかわからん近頃です。


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