自己免疫疾患 薬剤誘発性エリテマトーデスSLEを起こす経口投与の薬物(抗原)
2020/09/26赤字部分を追加
神戸大学 塩沢教授は、過剰抗原により臨界値を越えると自己免疫が発生することを証明しました。その実験は、全身性エリテマトーデスSLEの発症を示しました。
抗原(ワクチンなど)の過剰投与により自己免疫が自然発生し、細胞・臓器の破壊が起きる、神戸大学 塩沢俊一教授
次の文献で報告されている薬剤誘発性SLEは、神戸大学 塩沢教授の説明に従えば、薬剤が過剰抗原となり免疫システムの臨界値を越えてしまい、SLEを起こしたと考えられます。
この報告に書かれているように、
「自己免疫結合組織疾患であるエリテマトーデスLEと薬剤使用の関連については、多数の症例報告と複数の疫学研究が報告されており、亜急性CLE(皮膚LE)の約30%、SLE(全身性LE)の約15%が薬剤誘発性であると推算されている。また、関連が疑われている薬剤クラスは10クラス以上、種類にして100種類超に上る。」
と、100種類以上の薬物が、過剰抗原により臨界値を越えると自己免疫を発生させると考えられます。
日本で問題となっている薬物の過剰使用、多剤併用は、自己免疫疾患の原因の1つであると考えられます。
それには、ワクチンの乱用・過剰用を推進するVPD(ワクチンで防げる病気)も、大きく寄与しているはずです。
薬剤誘発性エリテマトーデスの関連薬を特定
メディカルトリビューン2020年09月11日
炎症性の自己免疫結合組織疾患であるエリテマトーデス(LE)は、薬剤使用に関連して発症する場合があることが、これまでに症例報告や疫学研究で示唆されていたが、系統だった研究は行われていなかった。
デンマーク・Gentofte University HospitalのJeanette Halskou Haugaard氏らは、同国の全国患者登録データに基づくシステマチックな薬剤スクリーニングの結果、これまで報告されていない複数の薬剤と全身性LE(SLE)および皮膚LE(CLE)発症に有意な関連が示されたとJAMA Dermatol(2020年9月2日オンライン版)に報告した。
システマチック研究はなかった
LEと薬剤使用の関連については、多数の症例報告と複数の疫学研究が報告されており、亜急性CLEの約30%、SLEの約15%が薬剤誘発性であると推算されている。また、関連が疑われている薬剤クラスは10クラス以上、種類にして100種類超に上る。一方で、この問題に関する大規模なシステマチック研究は行われていなかった。
デンマークでは医療費は原則として税金で賄われるため無料であり、診療データは全国的な患者レジストリ(Danish National Patient Register)で管理され、処方薬だけでなく薬局で購入された薬剤の記録も残っている。Haugaard氏らは、こうした長所を生かして、システマチックな薬剤スクリーニングにより、薬剤使用とその後のCLEまたはSLE診断との関連を検討する症例対照研究を実施した。
2000年1月1日~17年12月31に全国患者登録に登録されたCLEおよびSLE新規発症患者を全例抽出し、年齢と性を一致させた一般人口対照群(1症例に対して10例の比率)と比較した。薬剤の分類は、解剖治療化学分類法(ATC分類)に準じ、特定の薬剤への曝露とその後のCLEまたはSLE診断との関連についてオッズ比(OR)を算出した。
フェキソフェナジン、レボチロキシン、メトクロプラミドなど
症例は合計3,148例を特定した。内訳はCLE患者が1,298例(女性78.7%)で診断時の年齢中央値50.5歳〔四分位範囲(IQR)39.4~62.2歳)〕、SLE患者が1,850例(女性83.1%)で年齢中央値45.0歳(IQR 33.6~56.4歳)であった。対照群は3万1,480例(女性81.3%)が設定され、年齢中央値は47.5歳(IQR 35.9~59.5歳)であった。
さまざまな薬剤について使用後のCLEおよびSLE診断との有意な関連が観察されたが、そのほとんどは初発症状バイアス※によるものと考えられた。
しかし、初発症状バイアスの可能性が低く、これまでに報告のない薬剤で、新たにCLE/SLE発症との因果関係が有力な薬剤も複数検出された。
例えば、
抗アレルギー薬フェキソフェナジン(SLE:OR 2.61、95%CI 1.80~3.80、CLE:同5.05、3.51~7.26)、
甲状腺ホルモン製剤レボチロキシン(SLE:同2.46、1.97~3.07、CLE:同1.30、0.96~1.75)、
消化管運動機能改善薬メトクロプラミド(SLE:同3.38、2.47~4.64、CLE:同1.47、0.85~2.54)、
抗菌薬メトロニダゾール(SLE:同1.57、1.09~2.27、CLE:同1.93、1.25~2.97)
などである。
これらの薬剤とCLE/SLE発症との関連は、感受性解析でも追認された。
最新の薬剤情報に通じるとともにバイアスも意識を
今回の研究は、観察研究であり因果関係を結論づけることはできない。ただ、これまでの症例報告や研究と比べて大規模であること、新規症例のみを対象としたこと、バイアスを極力減らすために感受性解析を実施していることなどの強みがある。その結果、バイアスの可能性が低いと考えられる新たな関連が特定された。
Haugaard氏らは「LEを誘発しうる薬剤のリストは、新薬の登場に伴い常に変化するため、医師は最新のリストに通じ、新たな関連に注意する必要がある。一方で、発表バイアスや初発症状バイアスについても意識しておかなければならない」と指摘している。
※ 疾患の初期症状を治療するために投与された薬剤が、症状誘発に関連していると誤って検出されること。例えば、LEの場合、関節痛に対して非ステロイド抗炎症薬を投与していた場合などが考えられる。
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(1)SLEについて
公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター
全身性エリテマトーデス(SLE)(指定難病49)
https://www.nanbyou.or.jp/entry/53
(2)投与薬剤の抗原性に関しては、次の総説を参照
誌上シンポジウム 薬剤アレルギーの発症機構とその診断検査への取り組み
著者: 宇野 勝次
薬学雑誌2018 年 138 巻 2 号 p. 151-167
DOI https://doi.org/10.1248/yakushi.17-00174-1
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/138/2/138_17-00174-1/_pdf/-char/ja
(3)このブログ記事には、薬剤誘発性エリテマトーデスSLEについてまとめられています。
「id:tuneYoshida
リウマチ膠原病関連の勉強を始めたものです。
https://tuneyoshida.hatenablog.com/entry/Drug_Induced_Lupus
リウマチ膠原病徒然日記
2020-01-31
高齢発症SLE!!!と思う前に~薬剤誘発性ループス~」
『高齢発症のSLEを見たら、まず薬剤性ループスを疑います。外来に2名疑わしい患者さんがいるため、この疾患について久しぶりに知識をUpdateしました。
UpToDateが最もまとまっており、これに最新の論文を付け加えてまとめました。』
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JAMA Dermatol(2020年9月2日オンライン版)
https://jamanetwork.com/journals/jamadermatology/article-abstract/2770072
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32876672/
JAMA Dermatol
. 2020 Sep 2.
doi: 10.1001/jamadermatol.2020.2786. Online ahead of print.
Association Between Drug Use and Subsequent Diagnosis of Lupus Erythematosus
Jeanette Halskou Haugaard 1, Kristian Kofoed 1, Gunnar Gislason 2, Lene Dreyer 3 4, Alexander Egeberg 1
Affiliations expand
- PMID: 32876672