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布教師寮@Net

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ネット上に仮想バーチャル布教師寮を設けてみました♪

「お預かりいたします」

2009年02月15日 23時00分58秒 | サプリメント仏教

こういう世界に長く身を置きますと、まれに「お寺にお布施を取られた」という言葉を耳にすることがあります。

私が直接言われた訳ではありませんが、他のお寺の檀信徒の方と話をする機会があるとよく耳にする言葉です。

中には「どこどこの坊主にお布施を取られた」と個人が特定できる場合もあり ここまで来るとその住職に対する恨み節にしか聞こえません

悲しいかな、そういう言葉を耳にするたび「もしかして、私も他で言われてたりするのかな???」と少々不安な気持ちにもなります

でも、「お布施」って本当に「取られたりするもの」なのでしょうか

もちろん、その言葉に込められた感情の部分を我々は真摯に受け止めなければならない時もあります。

単純に僧侶側の都合や事情のみでその問題を計ることはできないでしょう。

今回は、私たち僧侶の側も襟を正すべきことを前提に、ちょっとこの問題を違った角度から眺めてみたいと思います。

私は以前、ある尊敬する僧侶の方から次の様な事を言われたことがあります。

葬儀やご法事の際に頂くお布施は、必ず「お預かりいたします」という気持ちで受け取りなさい―と。

それ以来、私は浄財を檀信徒の方から頂く際には、必ず「お預かりいたします」と口にするようにしています。

そうした方が、法や喜捨に対して謙虚な気持ちになれる様な気がするからです。

皆さまご存知の様に、葬儀やご法事の際に頂く「お布施」に関しては、本来宗教法人の運営のための財源に当てられるものであり、一度公金として法人会計に納めなければなりません。

まれに、その全てが住職の個人所得になるものと誤解を受けがちですが、決してそうではなく、まず第一に檀信徒各家のご先祖さまがお祀りされるお寺の護持運営や環境整備に当てられるものです。

現行のシステムですと、宗教法人会計は原則非課税ですから、その頂いた「お布施」を法人会計に納めることなく、住職個人が私利を目的として使用すれば、それは立派な脱税行為となります(個人所得として処理する場合も確定申告を要する)。少なくとも、私の理解はそうです。

ゆえに、「お預かりする」という言葉の意味は、私にとってそのシステムの自覚と自戒の念を促す役割を果たしていると言えましょう。

もう少し踏み込んで説明すると、私たちの生活費(給与)はその法人会計から人件費として計上されるもので、その人件費に関しては一般企業と同じ様にきちんと課税されております。

その意味において、葬儀やご法事の場で頂く「お布施」は純然たる公金です。ゆえに、「お預かりする」なのです。

いずれ間接的にその一部が我々の人件費として計上されても、この様に「お預かりする」といった姿勢は至極全うな態度とも言えます。

そういったシステムの上においては、いわゆる僧侶に対する「布施」といった概念は多少意味が喪失していて(僧侶といえども納税義務があるゆえ)、いわゆる「お布施」というものは寺院の護持運営(諸行事や伽藍等の環境整備など)を介して、いずれ間接的に檀信徒各家に還元される仕組みとなっているのです。

住職の本葬や晋山結制といった慶弔行事や、大規模な普請事業といった特別事業については、都市部の一部の寺院を除いて全て特別会計事業(寄付事業)として営まれますが、そこまで負担を求められない小規模事業(法人施設の維持、修繕にかかる費用など)に関しては、それこそ法人会計に納められた公金(いわゆる「お布施」)から賄わなければなりません。

その意味においても、いずれそれらの公金(お布施)が各家のご先祖様がお祀りされる菩提寺の護持に当てられる現実を鑑みても、決して「取られた」という表現は妥当でない事が分かります。

もちろん、公金としての「お布施」が適切な使われ方をしていない現実を指して「取られた」と言う場合もありますが、だいたいは我々僧侶側が説明責任を果たす事でその誤解は解けるものと考えます。

その条件として、やはり我々僧侶側の規範意識は求められて当然のことでありましょう。

それゆえ、私は一生この「お預かりいたします」という姿勢を貫くことにより、自らの襟を正していく精神的“よすが”にしていければと思っております。

まさに、檀信徒各家の信用と信頼をも「お預かりする」といった姿勢でしょうか 合掌

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14 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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失礼いたします。 (tenjin95)
2009-02-17 14:19:45
> 管理人様

やっぱり、『随聞記』ですねぇ。
返信する
助化師さま (布教師@Net)
2009-02-19 16:46:48
>長円寺本『正法眼蔵随聞記』巻6-6

> 示ニ云ク、学人、人の施をうけて悦ぶ事なかれ。またうけざる事なかれ。故僧正云ク、「人の供養を得て悦ぶは制にたがふ。悦ばざるは檀那の心にたがふ。」ト。是の故実は、我レに供養ずるにあらず、三宝に供ずるなり。故に彼の返リ事に云フべし。「こノ供養、三宝定メて納受あるらん。申シけがす。」と云フべきなり。

目から鱗が落ちた想いです

この「悦ばざるは檀那の心にたがふ」という部分も、自らの実践も含めた更なる修行が必要な説示ですね。

ありがたいご提唱ありがとうございました
返信する
滑稽本さんからのコメント(管理人校正あり) (滑稽本)
2009-03-12 23:32:44

http://blog.goo.ne.jp/docho-net/e/5330282658adb9f976d8f131077f198c
こちらにて、
>私の主張が「突っ込みどころ満載」であれば、貴氏のブログでどしどし「突っ込んで」下さい。
とのリクエストを管理人さんより頂きましたので、
http://ameblo.jp/kokkeibon/entry-10214268728.html
上記エントリを建てたワケですが、それに対し、このエントリのコメント欄にて
>まずは、TBありがとうございました。
(「ありがとうございます」って言うのも変ですね。また、言われた貴氏もお困りだと思いますが......)

との事、自分で他人にリクエストを出しておきながら、他人が自分のリクエストに答えたらまともに礼のひとつも言えない腐った根性を持っている「のが堂頭@Net」(管理人訂正)である、という事が分かりました。

更にその後、突っ込まれて完全にその価値を否定されたにも関わらずそのエントリのURLを再び貼り付けて読む事を強要するその姿勢、人としてまともなのでしょうか?
いやまぁ、それが普通なんでしょうけどね、「堂頭@Net」(管理人訂正)としては。(その後に続くコメントもございましたが、當寮コメント覧にそぐわない内容ゆえ、管理者権限により全文削除とさせて頂きました)



【 「堂頭内寮@Net」管理人からのご報告 】

以上のコメント原文の一部に、當寮のコメント覧掲載にふさわしくない不適切な表現等が確認できました。
よって、当該箇所に関しては管理者権限により訂正(文中カギカッコ)・削除といった処置を施させて頂きました。
あくまで公序良俗に反する内容と判断したゆえ、書き込み者の意図を損なわない程度の配慮を施したつもりです。
但し、広義における「言論の自由」を保障する観点、並びに第三者による評価の正当性を担保する意味で、コメント原文を閲覧できるURLを以下に貼付しておきます。

※コメント原文閲覧用URL:
http://ameblo.jp/kokkeibon/entry-10214268728.html

コメントの原文を確認したい場合は、お手数ですが以上のURLの3月8日のコメントをご参照下さい。
今回の対処の意図は少なからずご理解いただけるものと思います。
返信する
他寮にて失礼いたしますm(__)m (堂頭@Net)
2009-03-12 23:39:09

堂頭内寮@Netの管理人です。
この度はお騒がせをしております

さて、今回ご訪問いただいた皆さまに、上記コメントの詳細についてご理解いただくためには、これまでの議論の経緯をご確認いただく必要があるかと思います。

よって、興味や関心がある方は、大変恐れ入りますが以下URLよりこれまでの議論の経緯をご確認頂きたくお願い申し上げます。

①「駄目なものは駄目」(管理人アップ):
http://blog.goo.ne.jp/docho-net/e/66939a18f27b8108d9ae94f50fb03202
※コメントのやり取りもご確認願います

②「全ては偶然の産物だ」(先方アップ):
http://ameblo.jp/kokkeibon/entry-10111787022.html
※コメントのやり取りもご確認願います

③「人が人を殺すのは自然なこと」(先方アップ):
http://ameblo.jp/kokkeibon/entry-10179767782.html
※コメントのやり取りもご確認願います

④「たかが駄弁、されど駄弁」1~6(管理人アップ):
http://blog.goo.ne.jp/docho-net/e/3507f048d01c52d8c799daf1237ff85c
※コメントのやり取りもご確認願います

⑤「【続】たかが駄弁、されど駄弁」7~12(管理人アップ):
http://blog.goo.ne.jp/docho-net/e/5330282658adb9f976d8f131077f198c
※コメントのやり取りもご確認願います

⑥「曹洞宗は掃討宗!?」1(先方アップ):
http://ameblo.jp/kokkeibon/entry-10214268332.html
※タイトルは原文ママ

⑦「曹洞宗は掃討宗!?」2(先方アップ):
http://ameblo.jp/kokkeibon/entry-10214268728.html
※タイトルは原文ママ
 コメントのやり取りもご確認願います

以上、今回URLリンクを載せた記事内容の一部に、当初の議論の主旨から逸脱した不適切な表現、または特定の組織に対する誹謗中傷などの表現等が見受けられますが、その点の改善要望等につきましては、既に先方には以下の如く通達済みです。予めご了承願います。


【 以下、改善要望文転載(上記⑦記事における2月28日コメント参照))】

>それと最後に、私個人に対する誹謗中傷は一向に構いませんが、「曹洞宗」という組織に対してまで風評被害を及ぼすのは止めて頂けませんか。これに関しては公然と抗議をいたします。しかも、今回は「オウム並み」というかなりヒステリックな表現まで加味されております。これはブラックユーモアの域を完全に超えているのではないでしょうか。私以外の曹洞宗侶の方々に対して大変失礼な発言です。

【 以上、改善要望文転載 】


ご覧になってお分かりのように、これまで個人的なやり取りとして非公式に対応しておりましたが、諸般の事情にて、今後すべての評価と判断を第三者の読者の方々に委ねることにいたしました。

もちろん、個人的な私信のやり取りですので、興味や関心のない方はスルーして頂いて結構です。

今回の処置は、これまでの議論とは無関係な當寮へコメントを寄せたことに対する特例措置であることをご理解願います。

>滑稽本さんへ

今回お寄せを頂いた貴氏からのコメントの一部に、當寮のコメント欄にそぐわない不適切な表現や見解等が確認できました。既述もいたしましたが、該当箇所は管理者権限により訂正並びに削除といった処置を施させて頂きました。ご了承願います。
今後も公序良俗に反する書き込み等はご遠慮いただき、少なくとも拙ログ上では互いの品位を損なわない内容の書き込みにご協力願います。
お互いマナーを守ったうえで健全な議論を心掛けてまいりましょう
返信する
Unknown (匿名希望)
2009-03-13 15:47:12
よくぞここまで・・。ただただ頭が下がる思いがします。あっぱれですね
私に同じ対応ができたかどうか???あなたは僧侶の鏡です。あとで個人的にメールします。
返信する
災難でしたね (TK)
2009-03-19 20:03:58
お相手の方、かなりいっちゃってますね
もう関わり合わない方がいいっすよ!
きっとゴミ屋敷の主人や騒音おばさんってあういう人がなるんでしょうね。言っていることも支離滅裂で、完全に自分しか見えてないタイプです。まじやばいっす
よく冷静に対処していると思います。私には到底マネできないこと。その点は勉強になり感心しました
返信する
やっと読み切りました(-.-;) (皆空)
2009-03-21 21:25:32
 私も管理人さんの冷静かつ大人の対応に一票!
 最近はバーチャルなネットの世界でしか自己主張できない方が多くて、えてしてそういう方々は自分の主張のみが一番だと勘違いしています。
 ま、それだから社会にも適応できないのでしょうが・・・・・・。
 医学的にもそれは精神疾患の一症例と診断され、人格障害や統合失調症と診断されるケースが多々あるそうです。
 おっしゃるとおり、言葉のキャッチボール成り立たない点は、異なる価値観を生理的に拒絶してしまうことが原因なのでしょう。ある意味かわいそうな方です。
 逆を言えば、自分の主張と異なる価値観を冷静に分析できない弱さを持つ人です。今までそういう人生しか歩めなかったかわいそうな方かもしれません。
 まずは患者さんと接するような慈悲と寛容の精神が必要でしょうね。大変でしょうが頑張ってください。管理人さんの真価が問われますね。
 私は個人的に関わりたくありませんが(苦笑 
返信する
きついですね。 (とも)
2009-03-22 11:02:20
相手のブログ・・・・・・私も読んでいて吐き気をもよおしました。



なぜ、あそこまで見知らぬ人に下品な言葉を吐けるのか神経を疑います。



管理人さんは、仏門に身を置くのであればあういう人にはもっと厳しく対処されてもよいのでは?



ホントおつかれさまでした。

返信する
失礼極まりないヤツですね (テンボス)
2009-03-25 13:41:36
で、あの方はなぜ堂頭ネットさんに突っかかってきたのでしょうか?
堂頭ネットさんの言う「ダメなものはダメ」という言葉の意味を、単なる思考の停止としか理解できなかったのであれば、よくよく前後の文脈を理解して下さいよって突っ込み入れたくなりますよね。単なる自己顕示欲の強いナルシストなのでしょう。極めて知的に不誠実な方だと私も思います。
返信する
TKさんとともさんへ (神楽坂)
2009-03-26 20:55:20
>きっとゴミ屋敷の主人や騒音おばさんってあういう人がなるんでしょうね。
>管理人さんは、仏門に身を置くのであればあういう人にはもっと厳しく対処されてもよいのでは?

そういう意見もありでしょうが、私も他の方と同じように、管理人さんは僧侶の身だからこそ冷静に、しかも親切に今回対応されたのだと思います。
はからずも今テレビで、お笑い芸人の小島よしおが、ゴミ屋敷の老婆を説得して屋敷のゴミを片付ける企画がありました。そのゴミ屋敷の老婆の説得に成功したのも、小島よしおが老婆に拒まれても拒まれても、なお献身的に優しく説得にあたった態度があったからです。
ゴミ屋敷の主人や騒音おばさんも、結局は現代社会に巣食う心の問題です。相手の方も、やはりどこかに心の闇を抱えた方なのではないでしょうか。管理人さんはきっとどこかでそれを感じたから親切丁寧に対応されたのだと思います。
きっと親切に接することで少なからず心を開く日が来ると信じます。そういう慈悲の精神が現代社会の心の闇を照らすのだと思います。だから、私は今回の管理人さんの対応は間違ってなかったと思っています。
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