前回の記事でも、「子を持つ親の身」ならではの心情を吐露しましたが、相変わらず原発問題を抱える被災地では「風評」の迷走に拍車がかかり混乱をきたしています。
今の社会は総じて「風評被害」という言葉を乱発しますが、前回の記事でも述べた通り、ここで言う「風評」の信憑性が問われることはあまりありません。それより深刻なことは、今の社会に「政府が出す情報」より世間から漏れ伝わる「風評」の方が信頼に値するといった空気が蔓延していることです。
その理由はどこにあるのでしょうか -- ?
福島第一原発の深刻な状況(メルトダウンのみならずメルトスルーの現況など)や、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムSPEEDIの試算結果を公開してこなかった事実など、巷間(被災地)では「官房長官の記者会見」より「チェーンメールの情報」の方が信頼に値するといったブラックジョークが飛び出すほどです。
さらに我々を惑わせるのは、以下の記事
東大放射線科・中川恵一准教授 「人体への影響 100ミリシーベルトが目安」(産経新聞) - goo ニュース
※上の記事が消されてしまった場合は、関連記事が下から閲覧できます。
「福島原発における放射性被ばくの解説」
「国際放射線防護委員レポート111号(ICRP111)」
もしくは、2011年4月17日放送の「やしきたかじんのそこまで言って委員会」での中村仁信先生(日本医学放射線学会理事)の発言
「やしきたかじんのそこまで言って委員会」(中村先生は31:00頃から登場)
に象徴される専門家の見解(年間許容被ばく100mSv/y容認派)と、以下の記事
「社会を混乱させる放射線医学・防御の専門家」(中部大学・武田邦彦教授のブログ)
に象徴される専門家の見解(年間許容被ばく1mSv/y堅持派)が、真っ向から対立しているという点です。
またそれに呼応するが如く、當寮記事でも取り上げた以下のような国の対応
方針転換に学校は混乱 「20ミリシーベルト」→「1ミリシーベルト」(産経新聞) - goo ニュース
が出てくると、一体何を信用していいのか分からなくなります
そもそも、素人の我々が足許にも及ばない著名な研究者の見解が真っ向から対立している点も、いわゆる「風評」の迷走と混乱に拍車をかけている要因でしょう。
参考までに、既述した研究者のブログは以下から参照できます。これほどまでに両者の意見が対立していると、どちらのどの主張を信じて良いのか分からなくなります
上記の東大放射線科・中川恵一准教授のブログ : 「team nakagawa」
上記の中部大学・武田邦彦教授(元内閣府原子力安全委員会専門委員)のブログ : 「中部大学 武田邦彦」
ことは命にも関わる問題ですので、科学の世界での決着はさておき、たとえ見解の相違があっても国には一刻も早く説得力ある安全基準を提示してもらいたいものです。
當寮では、以前メディア・リテラシーの必要性を説いた経緯がありましたが、ここまでくると個人のリテラシースキルも追い付かないレベルの議論になります。その意味においても、原発被災地の命運は専門家の判断に委ねるしかありません。
前回も触れましたが、やはり今こそ「風評被害」と「実害」との線引きを勇気をもって社会に提示すべきです。もちろん、その煽りを喰う生産者の方々には、国が責任をもって保護(反故ではない)すべきでありましょう。生産者の方々に全く罪はないので、その補償されあれば断腸の思いで出荷制限等の煮え湯も呑んでくれるものと思います。それが結果的に「風評被害」を淘汰する術ともなるのです。
まさに花道を飾る最後の英断を切に期待いたします--。
一押し頂けたら幸いです
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屋外の公共施設の利用者からは、毎日のように問い合わせが絶えませんし、逆に『公共施設のくせに、安全性も確保できないのか!!』とお叱りを受ける日々です。
都道府県、市町村レベルで独自に計測し、HPで公表しているのも、言葉の独り歩きの要因の一つだと思います…。
測定場所や、機械の性能によってかなりの誤差が出るみたいですし…。
しかし、一番の原因は、国が然るべき根拠を基に指針を打ち出せていない事です。
私共も、指針の確認のために、厚生労働省や保健所の担当者に問い合わせても、『指針がないのでお答えできません』という回答にはア然…。
『それを早急に定めるのが、貴方がたの早急の仕事だと思うんですけど$OT!!!』と、嫌味をチクリと言いましたが、どこまで効いたのか…。
独自で検査をするとなれば、一定の安全性を保証する『情報』にはなるのでしょうが、専門知識を有しない我々にとって、却って不安材料を与えてしまうのではないか…というジレンマがあります。
おまけに、採取した検体の検査は公的機関では受付ておらず、民間の然るべき検査機関に依頼すると、1検体あたり7万円~とのこと。
『商機到来』とばかりに、吊り上げている様です。
秋葉原では、γメーターがバカ売れしているみたいですし…。
一日も早く、被災地はもとより、国民が納得できる『指針』の早期策定、政策の施行を切に願います。
この問題に関しては、官の立場からのコメントをお寄せ頂き、いつもありがたく思っております。
>しかし、一番の原因は、国が然るべき根拠を基に指針を打ち出せていない事です。
まさに上の一言に尽きると思っております。
現場の混乱は、かなりのものです。
混乱する現場の気持ちも当事者ゆえによく分かりますし、だからと言って現場を説得できるだけの知識と情報も持ち合わせておりません。
まさに負のスパイラルに突入している感さえあります。
目処は目処でも、予算の目途が立たない現状も理解はしているのですが、やはりこういう有事の時は予算よりも人命に重きを置いてもらいたいものです。
水俣病から始まる薬害エイズ問題まで、国(官)は過去に学習してきた経緯があると思います(その意味で言えば、まさに「官」のみならず「菅」も同様でしょう)
すーちゃんさんの忸怩たる思いも理解できます。しかし、時は一刻を争う時だと思いますので、そこは手続きよりも多少の冒険をしてもスピードを重視して欲しいですね。
しかし、今回は官も政治の煽りを受けている感じは否めませんよね……。