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誰も知らない認知症;脳のはたらき(知的機能)からみた老人性認知症の予防と介護

老人性認知症の確実な予防方法と認知症高齢者の適切な介護方法をシリーズで解説します。

69 性格の把握

2019-08-09 04:21:20 | 日記

 今回は「障害と個性に応じた適切な介護」を展開していくための「性格の把握」について、以下に列記した3つのポイントを説明していきます。
〔性格を把握する際のポイント〕
 (1) 性格には様々な側面(多様性)があることを意識する
 (2)「短所的な性格」ではなく「長所的な性格」を把握する(探し出す)
 (3) 性格は「変わらない」「変えられない」「変えようとすべきでない」

(1) 性格には様々な側面(多様性)があることを意識する
 人の性格は多種多様で「様々な性格の人がいる」ことは述べるまでもありませんが、「ある個人の性格には様々な側面がある」ことについてはあまり意識されないようです。私たちが誰かに家族や友人の性格を尋ねられた場合には、「その人の最も特徴的な性格」や「その人はこういう性格だと思い込んでいる性格」のような「その人の性格の一面」だけを無意識に伝えることが多いと思います。したがって、家族や関係者などから伝えられる性格は一面的なものであり「ある認知症高齢者の性格には様々な側面があること」を十分意識し、詳しく聴き取っておく必要があります。また、介護を継続していく中で認知症高齢者の性格の様々な側面を発見していくことも大切です。
 例えば、認知症高齢者に限らず、このブログの読者の方々が自分自身の性格を振り返ってみた時には「他人に対する性格」「仲間に対する性格」「自分に対する性格」が異なることに気付かれることと思います(どれが本当の自分の性格?)。また「気分が良い時の性格」と「気分が悪い時の性格」も異なるのが普通だと思います。



(2)「短所的な性格」ではなく「長所的な性格」を把握する(探し出す)
 性格を把握する際の重要な視点として「短所的な性格」ではなく「長所的な性格」を把握するよう心掛けることが大変重要なポイントです。特に、不穏や興奮、暴言、妄想、介護への抵抗などの問題行動(行動心理症状)の出現や増悪には認知症高齢者の「性格」が大きく影響し、ある特定の「短所的な性格」が「本人の性格」(本人を象徴する性格)と決めつけられる場合が少なくないように思われます。
 『世の中には「良い性格の人」も「悪い性格の人」もいない。人の性格には「良い部分」と「悪い部分」があるだけのことである』という言葉を意識し、「この人は性格が悪い」と思った時には、敢えて「その人の性格の良い部分」(長所的な性格)を探し出し、それを活かすように工夫する技術を磨くことも介護のプロに課せられた試練なのかもしれません。つまり、介護や恋愛、脳リハビリに共通する大切なポイントは「好いとこどり」(好い部分だけを見る、好い部分しか見ない)であると思います。





(3) 性格は「変わらない」「変えられない」「変えようとすべきでない」
 「あの人の性格が変わった」という言葉(表現)を耳にすることがありますが、「あの人の心理環境や気分が変わった」と解釈すべきだと思います。つまり、性格は「変わらない」「変えられない」ものであり、良くも悪くも性格は「その人らしさ」であると考えたいと思っています。もし何らかの方法で自分自身の性格を無理やり変えられてしまったならば「本当の自分って何だろう?」と自分自身を見失い、自己の喪失や変調に陥りかねないと思われます。つまり、「性格が変わる」状況(思い込んでいた性格とは異なる性格に気付く)があったとしても「性格(そのもの)を変える」方法はない、「性格を変えようとすべきではない」ではないと思います。
 一方、どのような性格にも、解釈の仕方によって「良いところ」と「悪いところ」の両面があることにも気付いていただきたいと思います。例えば、「頑固」は「意志が強い」、「わがまま」は「主体性がある」、「そそっかしい」は「行動力がある」と解釈することができるのではないでしょうか?



 今回のブログでは、「障害と個性に応じた適切な介護」を展開していくための「性格の把握」に関する3つのポイントについて解説しました。次回のブログでは、「障害と個性に応じた適切な介護」を展開していくための「知的機能の把握」に関する3つのポイントについて解説する予定です。

 ・・・ 恋愛の 好いとこ取りを 介護でも ・・・


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