心理学の領域では「心(こころ)の定義」はない、つまり「心とは何か」を定義していないようです。誰もが承認するような言葉で「心」を言い表し、定義することは心理学者にとっても難しいことなのでしょう。今回のブログでは「心(こころ)とは何か」について考究し、「心の定義」に言及してみることにします。
「心とは何か」を言葉で説明したり記述したりすること、ましてや「心」を定義することはかなりの難題であることは覚悟しています。そこで、取り敢えず「心」についてウェブ検索をしてみると
「人間の精神作用のもとになるもの。また、その作用。知識・感情・意思の総体。」(広辞苑)、
「いわゆる感覚、知覚および知・情・意の働き、ないしはその座をいう。」(日本大百科全書)、
「知、情、意によって代表される人間の精神作用の総体、もしくはその中心にあるもの。」(世界大百科事典)
などの記述がみられました。
また、ウェブ検索の定番である「ウィキペディア(Wikipedia)」の冒頭には「心(こころ)は非常に多義的・抽象的な概念であり、文脈に応じて多様な意味を持つ言葉であり、人間(や生き物)の精神的な作用や、それのもとになるものなどを指し、感情、意思、知識、思いやり、情などを含みつつ指している」と記述されていました。
このような(言葉を用いた表現の)「教科書」を目にすると「心とは何か」を理解したつもりになってしまいがちですが、今回は何か消化不良のような違和感が残り、「心(こころ)とは何か/心の定義」について自分なりの言葉で書き述べてみようという気持ちになってしまいました。
そして、しばらく悶々と考えを巡らしたところ、上記の「心とは何か」の記述において「脳」という言葉が全く用いられていないことがこの違和感の理由ではないだろうかと思い付きました。上記の「心」についての記述を再読すると「精神」「知識」「感情」「意思」「感覚」「知覚」「知」「情」「意」「思いやり」などの言葉(用語)を抽出することができますが、これらの「心」を説明する言葉(用語)は「実体がないもの」つまり「抽象的な概念」です。また、「心」という言葉(用語)も「実体がないもの」つまり「抽象的な概念」です。したがって、「実体がないもの」(心)を「実体がないもの」(精神、感情、意思など)で説明しようとすればするほど、言葉遊びという表現は言い過ぎだとしても、誰もが承認できるような「心」の定義を導き出すことは益々困難になっていくのではないかと考えました。
一方、「脳」は「実体のあるもの」であり、「心=脳」という考え方には賛同できないとしても、「心とは脳のはたらきである」という考え方は多くの方々に支持されています。そのような意味において、「心」(実体がないもの)を「脳」(実体があるもの)で説明することが、「心とは何か」を説明し、「心(こころ)の定義」に言及するための最も適切なアプローチであると思われました。つまり、このブログの今回のテーマは「脳のはたらき」から「心とは何か」を説明し、「心(こころ)の定義」に言及していく試みであると理解していただければ幸いです。
「心」を説明する用語、あるいは「心」に関連する用語は数多くありますが、類似する用語や対比できる用語を整理しながら、その一部を以下に列記してみたいと思います。
・「心」「精神」「気持ち」
・「知」「情」「意」
・「心」「意」「気」
・「感情」「情動」「気分」
・「理性」「感性」「知性」
上記以外にも「意思・意志」「知識・意識」「知覚・感覚」などの様々な用語(言葉や概念)が湧き出てきます。そして、これらの(実体がない)用語を理解したり説明したりする場合にも(実体がある)「脳」という言葉を用いることが適切ではないかと思われます。このブログ「誰も知らない認知症」では、これまでにも「心・意・気」や「感情・情動・気分」などの「実体がないもの」を「脳」という「実体があるもの」で説明する試みを続けてきました。特に「知られざる脳」である「大脳辺縁系」をテーマにしたブログ「48 大脳辺縁系/情動機能〔2018/12/12〕」は、これまで多数の読者の方々に閲覧していただき大変嬉しく思っています。

そこで、今回のブログのテーマである「心(こころ)の定義」に言及する前に、「心とは脳のはたらきである」という考え方の「脳のはたらき」という言葉(用語)について、このブログで説明してきた内容を再確認しておきたいと思います。一般的な考え方はともかく、老人性認知症に本質的な病態を考究してきたこのブログ「誰も知らない認知症」では「脳のはたらき」を「知的機能」と言い表しています。
そして、ヒト(人間)における「知的機能」の進化と退行に言及しながら、ヒト(人間)の「知的機能」を構成する3要素として「統合機能」「認知機能」「情動機能」を位置付け、それぞれの機能を担う「脳」の領域が「前頭葉」「大脳後半部/左脳・右脳」「大脳辺縁系」であることを解説してきました。また、前頭葉が担う統合機能を「意」、左脳と右脳が担う認知機能を「知」、大脳辺縁系が担う情動機能を「情」と端的に表現し、ヒト(人間)の「知的機能」は「意」「知」「情」のネットワークとして機能していることを詳しく説明してきました。

これらの詳細については、以下に列記するこのブログのバックナンバーを参照していただければ幸いです。
・02 知的機能(1)〔2018/05/01〕
・03 知的機能(2)〔2018/05/07〕
・04 知的機能(3)〔2018/05/09〕
・41 脳は「1つの脳」(重要)〔2018/11/07〕
・42 再び「知的機能」(重要)〔2018/11/09〕
・43 前頭葉と「心」「意」「気」〔2018/11/10〕
・44 こころの知能指数 〔2018/11/12〕
・45 左脳と右脳 〔2018/11/21〕
・47 理性と感性 〔2018/12/05〕
・48 大脳辺縁系/情動機能 〔2018/12/12〕
・49 情動/感情/気分 〔2018/12/19〕
さて、そろそろ今回のブログのテーマである「心(こころ)の定義」に言及したいと思います。このブログでは「知」「情」「意」のネットワークが「心」を「創発」しているのではと考えてきました。つまり、「いのち」が「もの」から「創発」されるように「心」は「脳」から「創発」される産物ではないかと考えてきました( 参照; 43 前頭葉と「心」「意」「気」〔18/11/10〕 )。

したがって、「心」とは「脳」ではなく、「心」とは「脳のはたらき(知的機能)が創発した産物」である、というのがこのブログの基本的な考え方なのです。つまり「心とは何か」の説明、そして「心」(こころ)の定義として、以下に列記する幾つかの表現を提案したいと思います。
・「心」(こころ)とは、ヒト(人間)の「脳」の産物である
・「心」(こころ)とは、ヒト(人間)の「知的機能」の産物である
・「心」(こころ)とは、「前頭葉」「大脳後半部/左脳・右脳」「大脳辺縁系」のネットワークの産物である
・「心」(こころ)とは、「統合機能」「認知機能」「情動機能」のネットワークの産物である
・「心」(こころ)とは、「知」「情」「意」のネットワークの産物である
今回のブログのテーマである「心とは何か」、つまり「心」(こころ)の説明や定義としてどの表現が最も適切であるのか、という結論は、このブログの賢明な読者の方々に委ねることにしたいと思います。
最後に、このブログの内容は心理学や精神医学、脳科学などの「専門家」が解説している内容ではなく、何処にでもいるような介護老人保健施設の医師が勝手気儘に神経心理学もどきの妄想を書き述べていることをご了承下さるようお願いします。
科学としての物理学は、「宇宙」の謎を、抽象的な概念ではなく、「数式」で解き明かしてきました。科学としての心理学や精神医学は、「心」の謎を、抽象的な概念ではなく、「どのような方法」で解き明かすことができるのか、「心」から期待しています。

「心とは何か」を言葉で説明したり記述したりすること、ましてや「心」を定義することはかなりの難題であることは覚悟しています。そこで、取り敢えず「心」についてウェブ検索をしてみると
「人間の精神作用のもとになるもの。また、その作用。知識・感情・意思の総体。」(広辞苑)、
「いわゆる感覚、知覚および知・情・意の働き、ないしはその座をいう。」(日本大百科全書)、
「知、情、意によって代表される人間の精神作用の総体、もしくはその中心にあるもの。」(世界大百科事典)
などの記述がみられました。
また、ウェブ検索の定番である「ウィキペディア(Wikipedia)」の冒頭には「心(こころ)は非常に多義的・抽象的な概念であり、文脈に応じて多様な意味を持つ言葉であり、人間(や生き物)の精神的な作用や、それのもとになるものなどを指し、感情、意思、知識、思いやり、情などを含みつつ指している」と記述されていました。
このような(言葉を用いた表現の)「教科書」を目にすると「心とは何か」を理解したつもりになってしまいがちですが、今回は何か消化不良のような違和感が残り、「心(こころ)とは何か/心の定義」について自分なりの言葉で書き述べてみようという気持ちになってしまいました。
そして、しばらく悶々と考えを巡らしたところ、上記の「心とは何か」の記述において「脳」という言葉が全く用いられていないことがこの違和感の理由ではないだろうかと思い付きました。上記の「心」についての記述を再読すると「精神」「知識」「感情」「意思」「感覚」「知覚」「知」「情」「意」「思いやり」などの言葉(用語)を抽出することができますが、これらの「心」を説明する言葉(用語)は「実体がないもの」つまり「抽象的な概念」です。また、「心」という言葉(用語)も「実体がないもの」つまり「抽象的な概念」です。したがって、「実体がないもの」(心)を「実体がないもの」(精神、感情、意思など)で説明しようとすればするほど、言葉遊びという表現は言い過ぎだとしても、誰もが承認できるような「心」の定義を導き出すことは益々困難になっていくのではないかと考えました。
一方、「脳」は「実体のあるもの」であり、「心=脳」という考え方には賛同できないとしても、「心とは脳のはたらきである」という考え方は多くの方々に支持されています。そのような意味において、「心」(実体がないもの)を「脳」(実体があるもの)で説明することが、「心とは何か」を説明し、「心(こころ)の定義」に言及するための最も適切なアプローチであると思われました。つまり、このブログの今回のテーマは「脳のはたらき」から「心とは何か」を説明し、「心(こころ)の定義」に言及していく試みであると理解していただければ幸いです。
「心」を説明する用語、あるいは「心」に関連する用語は数多くありますが、類似する用語や対比できる用語を整理しながら、その一部を以下に列記してみたいと思います。
・「心」「精神」「気持ち」
・「知」「情」「意」
・「心」「意」「気」
・「感情」「情動」「気分」
・「理性」「感性」「知性」
上記以外にも「意思・意志」「知識・意識」「知覚・感覚」などの様々な用語(言葉や概念)が湧き出てきます。そして、これらの(実体がない)用語を理解したり説明したりする場合にも(実体がある)「脳」という言葉を用いることが適切ではないかと思われます。このブログ「誰も知らない認知症」では、これまでにも「心・意・気」や「感情・情動・気分」などの「実体がないもの」を「脳」という「実体があるもの」で説明する試みを続けてきました。特に「知られざる脳」である「大脳辺縁系」をテーマにしたブログ「48 大脳辺縁系/情動機能〔2018/12/12〕」は、これまで多数の読者の方々に閲覧していただき大変嬉しく思っています。

そこで、今回のブログのテーマである「心(こころ)の定義」に言及する前に、「心とは脳のはたらきである」という考え方の「脳のはたらき」という言葉(用語)について、このブログで説明してきた内容を再確認しておきたいと思います。一般的な考え方はともかく、老人性認知症に本質的な病態を考究してきたこのブログ「誰も知らない認知症」では「脳のはたらき」を「知的機能」と言い表しています。
そして、ヒト(人間)における「知的機能」の進化と退行に言及しながら、ヒト(人間)の「知的機能」を構成する3要素として「統合機能」「認知機能」「情動機能」を位置付け、それぞれの機能を担う「脳」の領域が「前頭葉」「大脳後半部/左脳・右脳」「大脳辺縁系」であることを解説してきました。また、前頭葉が担う統合機能を「意」、左脳と右脳が担う認知機能を「知」、大脳辺縁系が担う情動機能を「情」と端的に表現し、ヒト(人間)の「知的機能」は「意」「知」「情」のネットワークとして機能していることを詳しく説明してきました。

これらの詳細については、以下に列記するこのブログのバックナンバーを参照していただければ幸いです。
・02 知的機能(1)〔2018/05/01〕
・03 知的機能(2)〔2018/05/07〕
・04 知的機能(3)〔2018/05/09〕
・41 脳は「1つの脳」(重要)〔2018/11/07〕
・42 再び「知的機能」(重要)〔2018/11/09〕
・43 前頭葉と「心」「意」「気」〔2018/11/10〕
・44 こころの知能指数 〔2018/11/12〕
・45 左脳と右脳 〔2018/11/21〕
・47 理性と感性 〔2018/12/05〕
・48 大脳辺縁系/情動機能 〔2018/12/12〕
・49 情動/感情/気分 〔2018/12/19〕
さて、そろそろ今回のブログのテーマである「心(こころ)の定義」に言及したいと思います。このブログでは「知」「情」「意」のネットワークが「心」を「創発」しているのではと考えてきました。つまり、「いのち」が「もの」から「創発」されるように「心」は「脳」から「創発」される産物ではないかと考えてきました( 参照; 43 前頭葉と「心」「意」「気」〔18/11/10〕 )。

したがって、「心」とは「脳」ではなく、「心」とは「脳のはたらき(知的機能)が創発した産物」である、というのがこのブログの基本的な考え方なのです。つまり「心とは何か」の説明、そして「心」(こころ)の定義として、以下に列記する幾つかの表現を提案したいと思います。
・「心」(こころ)とは、ヒト(人間)の「脳」の産物である
・「心」(こころ)とは、ヒト(人間)の「知的機能」の産物である
・「心」(こころ)とは、「前頭葉」「大脳後半部/左脳・右脳」「大脳辺縁系」のネットワークの産物である
・「心」(こころ)とは、「統合機能」「認知機能」「情動機能」のネットワークの産物である
・「心」(こころ)とは、「知」「情」「意」のネットワークの産物である
今回のブログのテーマである「心とは何か」、つまり「心」(こころ)の説明や定義としてどの表現が最も適切であるのか、という結論は、このブログの賢明な読者の方々に委ねることにしたいと思います。
最後に、このブログの内容は心理学や精神医学、脳科学などの「専門家」が解説している内容ではなく、何処にでもいるような介護老人保健施設の医師が勝手気儘に神経心理学もどきの妄想を書き述べていることをご了承下さるようお願いします。
科学としての物理学は、「宇宙」の謎を、抽象的な概念ではなく、「数式」で解き明かしてきました。科学としての心理学や精神医学は、「心」の謎を、抽象的な概念ではなく、「どのような方法」で解き明かすことができるのか、「心」から期待しています。
