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誰も知らない認知症;脳のはたらき(知的機能)からみた老人性認知症の予防と介護

老人性認知症の確実な予防方法と認知症高齢者の適切な介護方法をシリーズで解説します。

75 受容・共感(2)

2019-10-09 19:36:21 | 日記

 今回のブログでは、「安心・安全・安定・安住のある生活環境(心理状態)の提供」という目標を達成するための「手段」(方法)として実施する「受容的・共感的対応」の代表的な手法である「ミラーリング」について、言葉の「ミラーリング」の具体例を提示しておきたいと思います。

 言葉の「ミラーリング」の具体的な方法は「相手の言葉の一部(または全部)」を「そのまま伝え返す」方法です。そして、会話の全てを「ミラーリング」で対応するのではなく、会話の要所要所で「ミラーリング」を用いていくことが適切であると思います。
 (例1)介護施設の入所者が、30分前に朝食を食べたばかりなのに「食事(朝食)はまだか」と怒った表情で訴えてきた場合には、下図(例1)のように対応してみては如何でしょうか?(対象者のMMS得点が15点~5点を想定)
 (例2)介護施設のショートステイを利用し始めた認知症高齢者が「家に帰りたい」と何度も訴えてきた場合には、下図(例2)のように対応してみては如何でしょうか?(対象者のMMS得点が15点~5点を想定)



 説明するまでもないとは思いますが、最も大切なことは「まず、相手が言った言葉の一部をそのまま伝え返すこと」です。「相手が納得するような説明などはその後で行う」ことが大切なのです。否定も肯定もせずに「受け止めて」「伝え返す」ことが基本です。
 「財布を盗まれた」「お父さんはどこ」などのような良くみられる行動心理症状への対応も、下図(例3、例4)に示されるように、対応の基本は全く同様です。



 ちなみに「受容的・共感的対応」に際して相手の言葉を「聴く」場合には、単に傾聴するのではなく、下図に示されるような「訊く」「聞く」「利く」「効く」を意識して使い分けることも大切です。



 また「受容的・共感的対応」に際しては、下図に示されるように、「ミラーリング」以外にも「ペーシング」や「マッチング」などの手法があることを知っておいていただきたいと思います。おそらく、認知症高齢者の介護施設などで経験を積まれた介護(看護)職員の方々は、すでに幾つかの手法を実践しておられることと思いますが・・・。



(次回のブログに続く)


74 受容・共感(1)

2019-10-02 17:09:17 | 日記

 今回のブログでは、「安心・安全・安定・安住のある生活環境(心理状態)の提供」という目標を達成するための「手段」(方法)の1つである「受容・共感」(受容的・共感的対応)について解説していきたいと思います。



 まず、「受容」(受容的対応)とは「相手の言葉や動作、表情、心情などを『そのまま受け止める』こと」と表現したいと思います。そして、「共感」(共感的対応)とは「受け止めた言葉や動作、表情、心情などを『そのまま伝え返す』こと」と表現したいと思います。



 「受容」と「共感」は「受容的・共感的対応」として一体的に実施される場合が多く、その代表的な手法として「ミラーリング」(鏡のように対応する)という心理学的手法が良く知られています。そして、実際の介護の現場で「ミラーリング」を実施する際には、単なる「オウム返し」や「モノマネ」にならないこと、「さりげなく真似る」という配慮(演技)が大切なこと、「意識し過ぎず」「自然に」相手に伝え返すことなどに留意する必要があります。



 平成23年の東日本大震災が発生した直後から「ACジャパン」(旧称;公共広告機構)がテレビの広告として流し続けていた「こだまでせうか」(著者;金子みすゞ)の詩の一節を記憶しておられる読者の方々も少なくないと思います。



 「思い」は見えないけれど「思いやり」は見える ・・・
 「こころ」は見えないけれど「こころ配り」は見える ・・・

 「受容的・共感的対応」として「ミラーリング」を実施する際には「思いやり」や「こころ配り」が何よりも大切であることを教えてくれているように感じています。

(次回のブログに続く)

73 安心・安全・安定・安住のある生活環境の提供

2019-09-25 20:08:11 | 日記

 認知症高齢者の介護に際して、このブログでは「介護の目標」として「障害と個性に応じた適切な介護の展開」と「安心・安全・安定・安住のある生活環境の提供」を掲げています。そして、「障害と個性に応じた適切な介護の展開」についてはこのブログの「67」〔2019/08/07〕~「70」〔2019/08/10〕の4回シリーズで詳しく解説してきました。
 そこで、今回からの数回のシリーズで「安心・安全・安定・安住のある生活環境の提供」について詳しく解説していきたいと思っています。



 「安心・安全・安定・安住のある生活環境の提供」を実践していただくための基本は、認知症高齢者の「症状」と「障害」との関係を示した下図を理解していただくことです。

※ 参照 06 老化廃用型認知症(1)〔2018/05/16〕
※ 参照 14 認知症高齢者の介護(2)〔2018/06/11〕



 そして、「安心・安全・安定・安住のある生活環境(心理状態)の提供」という目標を達成するための「手段」(方法)として、「受容・共感」および「なじみ」の2つのキーワードを提示してきました。



 つまり、「認知症の症状、特に問題行動(行動心理症状)の軽減、消失」を図るために「受容・共感」(受容的・共感的対応)および「なじみ」(なじみの場づくり)という「手段」(方法)を通じて「安心・安全・安定・安住のある生活環境(心理状態)の提供」を実践していくアプローチであると理解していただきたいと思います。




(次回のブログに続く)


72 認知症の特効薬?

2019-09-18 19:49:26 | 日記

(お知らせ)このブログでは、読者の方々に「是非とも立ち寄っていただきたいブログ」として「エイジングライフ研究所」副所長の高槻絹子さんのブログ「脳機能からみた認知症」( https://blog.goo.ne.jp/ageinglife )を何度かご紹介してきました。今回、閲覧をお勧めしたい最近のブログは「天竜市熊での調査報告 小ボケ・中ボケ・大ボケ;正常から認知症への移り変わり」(9月17日)です。特に、最近の研修会で聴講していただいた「帯広西病院」「帯広第一病院」のスタッフの方々、そして「介護老人保健施設とかち」のスタッフの方々には是非とも閲覧していただきたいと願っています。

 さて、8月下旬には「帯広西病院」の、9月下旬には「帯広第一病院」の、それぞれ看護部が主催する認知症研修会の講演が続き、9月のブログ「誰も知らない認知症」はお休みモードです。

 そのような事情でボーッと過ごしている中、帯広第一病院の研修会の幹事の方(看護師さん)から以下のようなメールをいただきました。

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お疲れ様です。
帯広第一病院 ※藤です。

先日はお忙しい中、勉強会にお時間を頂きありがとうございました。
勉強会、かなひろいテストの参加者ともども興味深く、
また、楽しくあっという間の1時間でした。

勉強会の薬剤の話の中で、「一番効く薬がある、あとで質問に応えます」、という
ところ、答えはなんだったんだろう?と委員で話していたのですが…。
「私達の温かいケア」が答えかな?とおこがましい感じですが、どうでしょうか…??

もっと知りたいな…と思ったところはぜひ、またこういった機会を
委員会で企画していきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願い致します!!

帯広第一病院 緩和ケア病棟
認知症ケア対策委員会
※藤※美


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 確かに「一番効く薬がある、あとで質問に応えます」と言った記憶があります。それは
「認知症高齢者人口の推移のグラフ」をプレゼンしている時、現在の認知症医療の現状に溜息をついた後に「認知症の(予防の)特効薬がありますよ」と思わず言ってしまった言葉なのです。



 もちろん「認知症の(予防の)特効薬」を知っているのですが、言った後すぐに「下手なジョークは言うべからず」と自制し「あとで質問があったらお答えします」と取り敢えずは言い繕ったつもりでいました。

 帯広第一病院の認知症ケア対策委員会の皆様がメールで答えていただいた「私達の温かいケア」、もちろん「認知症の(介護の)特効薬」に間違いありません。大正解です。

 ちなみに、「認知症の(予防の)特効薬」について「下手なジョーク」(自分自身は決してジョークだとは思っていないのですが)を恥ずかしながら書き述べたいと思います。



 上図の「空欄」が答えです。

 「認知症の特効薬」は世界中のどこの製薬会社でも作っていません。ただ、世界中の誰もが持っている「認知症の特効薬」なのです。特効薬の名前は一言では表現できませんが、世界中の誰もが「頭(脳)の中」に持っている特効薬なのです。



 ただし、この「特効薬」は持っているだけでは効果がありません。この「特効薬」は「使わなければ効かない」のです。

 認知症の(予防の)特効薬、それは「脳を使うこと」

 ここまで読んでいただいた読者の皆様、お疲れ様でした、下手なジョークに付き合っていただいて誠に申し訳ありませんでした。

 脳リハは 好きでしたくて できること
 脳リハの 意欲の元は 出る意欲(側坐核)
 かきくけこ 脳の若さを 保ちます



71 和田行男氏のブログ

2019-08-25 11:18:27 | 日記

 このブログの読者の方々に「是非とも立ち寄っていただきたいブログ」として、昨年の8月に「29 高槻さんのブログ」〔2018/08/15〕をご紹介しましたが、今回のブログでは「和田行男氏のブログ/和田行男の婆さんとともに」をご紹介したいと思います。

 和田行男氏は認知症介護の領域では超有名な人物ですので改めてご紹介する必要はないと思います。今回は8月21日に投稿された「何が言いたい・議論したい」の文章の一部を紹介させていただきます。



***** 以下は「何が言いたい・議論したい」から引用 *****

 介護は「待つ」ということが非常に大切。
 グループホーム時代、スタッフは黒子に徹しなさいと言うことを言われた。

 “その方が有する能力に応じ自立した日常生活を営む権利を有する…(介護保険法の目的)”
 できなくなったことをやることが介護と思う方もたくさんいると思うが、出来ないことをできる環境を整理し自立するかもしれない可能性を引き出せることが専門職のあり方だと思う。

 できる環境にして
 できるまで待つ

 ずっーと待つことが正しいわけではなく、
そこで、この方はどこまで待つことができるのかをアセスメントしていくことが大事。
待ち過ぎることで危険を伴う場合もあるため、どこまで?というリスクマネジメントができることが専門職の仕事。
と思っていた。もちろんこれだけではないことは先に述べておきます。

 これ!!
冒頭でも言いましたが、理不尽…
勝手に決めてそれに当てはめようとする。一方通行にもほどがある。
ほんとにそれでいいと思っていますか?
自分たちが高齢になった時、どうせ文句言うんでしょ。
福祉の専門学校で何を学んだんだろ、僕は。

 面白いですよ?
ひとつ例をあげると、、、オムツの当て方は学ぶけど、どうしたらオムツが外れるのか?を学ぶことは全くない。
これってなんだろう、学校って何学ばせたいんだろ、と思ってました。

 福祉って理念ですよね??
そもそもなんで自立!を念頭に置いているんですか?
当事者の人たちが求めているものをなんで突き詰めないのですか?
高齢になるまで汗水流して国を支え続けてくれた人たちにまだ自立!を最優先して求めていくんですか?全くわからない。
もっともっと対話してその人が何を求めているのか、何がしたいのか、もっと知った方がいいんじゃないかと思う。
 自立は最優先事項ではない!
人との関わりとかってもっとシンプルじゃないかな。
“福祉って当たり前の日常の中にある一人一人が大切に思う人と話したり、一緒にご飯食べたりなどして心の栄養補給できると思う。
僕はシンプルにそれを聞いてどう思うかを知りたい。

 まぁ何が言いたいんだ?とお思いかもですが、15年まっすぐ福祉業界で介護に向き合ってきたどうしようもないやつはその業界にたくさんの疑問を感じていて、それをアウトプットして自分やその他の人たちと対話したいと思ったのです。これからが始まりなのかもしれない…

 僕の知人から届いたメールの全文です。
知人の了承を得て掲載させていただきましたが、皆さんは読んでみてどう思いましたか。
僕は、彼が言っている中で「介護保険法の目的に権利という文言はない」ことだけ述べておきますが、内容はともあれ、こういうことについて議論する場がないんだなと思いました。一方的に聞く研修はたくさんありますが、「突き詰めて議論し合う場」ですね。

***** 以上は「何が言いたい・議論したい」から引用 *****


 いろいろと書き述べたいことはありますが、このブログ「誰も知らない認知症」の読者の方々はどう思われましたか?

(追記)
 今年の8月以降、どういう訳かこのブログ「誰も知らない認知症」の訪問者数と閲覧数が急増しています。



 正直なところ「嬉しい気持ち」と「まだ頑張らなきゃいけないのかという面倒な気持ち」の入り混じった複雑な心境です。とにかく「頑固」「我侭」「マイペース」をモットーにしながら「一方通行のブログ」を「テキトー」に続けていきたいと思っています。