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誰も知らない認知症;脳のはたらき(知的機能)からみた老人性認知症の予防と介護

老人性認知症の確実な予防方法と認知症高齢者の適切な介護方法をシリーズで解説します。

80 冬眠中です

2020-02-05 18:18:58 | 日記

 昨日2月4日は「立春」、暖かい春が待ち遠しくなる今日この頃です。冬眠中とはいえ、多くの方々にブログ「誰も知らない認知症」のバックナンバー「01~79」を閲覧していただき感謝しています。



*** 令和2年の「認知症川柳」(新作)をお届けします ***

いきいきと よりよくうまく たくましく
・・・ 脳(知的機能)の使い方、使われ方 ・・・

「真実」と 「事実」が異なる 認知症
・・・ 23 認知症の「事実」(2018/07/11) ・・・

認知症 介護のカギは 辺縁系
・・・ 「快の情動」「不快の情動」 ・・・

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 「寝ボケ」(小ボケ?)状態で「認知症川柳」の新作(愚作)を思いつきました、、、もうひと眠りしたいと思います、、、このブログ「誰も知らない認知症」の内容について、読者の皆様からのご質問やご意見をいただければ、目覚めたいと思っています。

(追伸)
このブログで読者の方々に何度もご紹介している「高槻さんのブログ」(脳機能からみた認知症; https://blog.goo.ne.jp/ageinglife )の最近のブログ『認知症の当事者が情報発信する「希望大使」?!』〔2020/01/28〕」を是非閲覧して下さるようお勧めします。


79 しばらく冬眠します

2019-12-15 15:51:28 | 日記

 帯広は氷点下の日々が続いています。前頭葉が氷結していますので、しばらく冬眠したいと思います。少し早いですが、このブログの読者の皆様におかれましては、どうぞよいお年をお迎え下さい。



*** 令和元年「認知症川柳十選」をお届けします ***

症状に 振り回される 認知症
大多数 頭の寝たきり 認知症
認知症 見えないマヒが ある状態
プロならば 脳のはたらき みる介護
知情意は 人の心の 3要素
快・不快 快護と悔護の 分岐点
恋愛の 好いとこ取りを 介護でも
介護中 演技派女優に なる私
認知症 確かな予防は かなひろい
脳リハは 好きでしたくて できること

***「25 認知症川柳(再掲)」〔2018/04/23〕より ***



78 なじみの場づくり

2019-11-14 04:40:00 | 日記

 今回のブログでは、「安心・安全・安定・安住のある生活環境(心理状態)の提供」という目標を達成するための「手段」(方法)の1つである「なじみの場づくり」について解説していきたいと思います。



 特に介護施設への入所や通所を始めた時期の認知症高齢者には、帰宅行為や不穏、興奮、昼夜逆転などの様々な問題行動が出現しやすくなります。そして、その最大の要因は生活環境や人間関係の「変化・変動」やそれに伴う「不安や混乱」であると思われます。しかし、在宅介護が困難な状態で支援が必要な認知症高齢者に介護サービスを提供し継続していくためにも、介護する側の施設や職員にとっては「避けては通れない認知症高齢者との出会いの機会」であり「介護の力量が試される認知症高齢者との出会いの機会」でもあります。

 このような機会に必ず意識していただきたい言葉が「なじみの場づくり」です。「なじみの場」とは「慣れ親しんだ生活環境や人間関係」のことであり「安心・安全・安定・安住のある生活環境の提供」や「障害と個性に応じた適切な介護」を展開していくために必要不可欠な介護環境です。しかしながら、このような介護環境は一朝一夕に築き上げることができるものではなく、数ヵ月以上の期間を要するものと見込んでおく必要があります。

 なじみ(馴染み)とは「生活環境や人間関係に馴れて染まる」ことであり「慣れ親しむ」と言い換えることもできます。そして「慣れる」ためには一定の期間を費やし適切な対応を反復することが必要であり、「親しみ」を感じてもらうためには快の情動を高めるような対応を反復し続けることが大切です。



 介護施設などで「なじみの場づくり」を進めていく際のポイントは下図(①~⑤)に示されるとおりです。



 まず「生活環境や人間関係の様々な場面で快の情動を高める」ための具体的な対応としては「快適な居住環境を確保する」「体調を管理する」「気分や居心地を良くする」などが挙げられます。また「不安や混乱を十分に意識し、介護の悪循環に陥らない」ための具体的な対応としては「懇切丁寧な説明であっても何度も繰り返さない」「説得や叱責、無視、身体拘束などは避ける」「感性を重視した対応を心掛ける」ことなどが挙げられると思います。「様々な言動や性格に対して、受容的・共感的に対応する」ための具体的な対応としては「言葉や動作のミラーリングで対応する」「短所的な性格ではなく長所的な性格が活かされるように工夫する」ことなどを挙げておきたいと思います。そして、上記の一連の対応(①~③)は「施設全体で共有して実践すること」や「日常的、継続的に実践すること」が大切であり、個々の認知症高齢者の生活歴や性格、知的機能を反映したケアプランを作成することが必要不可欠です。

 「なじみの場づくり」に際して、最も重要で基本的なポイントを1つ挙げるとすれば、それは「快の情動の反復・継続」に尽きるのではないかと考えています。つまり、対象者(認知症高齢者)の気分が良くなる対応を、少なくとも数ヵ月以上、反復・継続することを常に意識した介護を実践することだと思います。



 これとは逆に、対象者(認知症高齢者)の気分が悪くなるような対応は避けることを周知徹底しておく必要があります。「なじみの場」は、スタッフ全員が数ヵ月以上の期間を費やしてようやく築き上げたにもかかわらず、時には「たった一人の、たった一度の不幸な出来事」で一瞬にして崩壊してしまう場合があります。「たった一度の不幸な出来事」の具体的な例としては、認知症高齢者が「恐怖や危険」を感じるような介護(対応)が挙げられます。どのような理由や事情があるとしても、強い口調の命令(指示)や身体拘束などは絶対に避けるべきです。また、たった一人の職員の一時的、衝動的な対応であったとしても、暴言や暴力、虐待などの犯罪的な行為はあってはならないことです。重度の記憶障害や認知障害のある認知症高齢者でも情動機能や右脳が担う認知機能は保持されているので、身に危険を及ぼすような恐怖の体験はしっかりと記憶し判別できることを知っておくことが大切です。

77 受容・共感(4)

2019-11-06 19:43:05 | 日記

今回のブログでは、「安心・安全・安定・安住のある生活環境(心理状態)の提供」という目標を達成するための「手段」(方法)として実施する「受容的・共感的対応」に関する記述の最後に、介護の現場の現実的な問題として苦慮することが多い「受容・共感できない問題行動」への対応について触れておきたいと思います。

 受容・共感できない問題行動の代表的な例として、自殺企図などの自傷行為、暴力などの他害行為、放尿や奇声、大声などの迷惑行為などが挙げられます。このような問題行動には「性格」や「生活歴」が大きく関与していることも事実だと思われますが、下図に示されるように、何らかの「原因」(誘因)の「結果」として発現する場合が決して少なくありません。



 つまり、本人(認知症高齢者)側の要因として前頭葉機能や認知機能の障害が挙げられることは述べるまでもありませんが、見逃すことができない要因として「不快の情動」を伴う体験(妄想的な体験を含む)を挙げておきたいと思います。介護の現場で起きやすい「介護の悪循環」は典型的な要因であり、認知症高齢者の「逃げ場」を失くすような説明や説得、無視、叱責、身体拘束、向精神薬の濫用などが、本能的な攻撃行動や回避行動、ストレス発散の行動として「受容・共感できない問題行動」を誘発している現実は、決して少なくないように思われます。そして、このような要因に気付いたとしても「時すでに遅し」であり、「介護の悪循環」の再発防止の周知徹底が功を奏する可能性は乏しく、他の施設などへの転居を選択することが現実的で賢明な対応かもしれません(介護の敗北)。

 このような問題行動に対応する際に重要なことは、自傷他害行為や迷惑行為そのものではなく、その背景にある相手(認知症高齢者)の「事情」や周囲の「問題」を受容し共感するという視点です。このことは、「問題」行動とは「周囲の問題」行動であるという視点であり、周囲が与えた「何らかの要因」の影響に対する「当然の反応」として発生した、自制できない行動(心因反応)であるという捉え方です。



(次回のブログに続く)

76 受容・共感(3)

2019-10-16 18:26:20 | 日記

 今回のブログでは、「安心・安全・安定・安住のある生活環境(心理状態)の提供」という目標を達成するための「手段」(方法)として実施する「受容的・共感的対応」に際して、是非とも参考にしていただきたい2つのポイントを書き述べておきたいと思います。

(1)「障害と個性に応じた適切な介護の展開」を実践していただくこと
 「受容的・共感的対応」の具体的な内容や方法は、個々の認知症高齢者に応じて工夫する必要があります。つまり、このブログの「67」〔2019/08/07〕~「70」〔2019/08/10〕の4回シリーズで詳しく解説した「障害と個性に応じた適切な介護の展開」を併せて実践することが、最も有効かつ実践的な「受容的・共感的対応」を見出す方法であると考えられます。そして、そのためには、対象となる認知症高齢者の「知的機能」「性格」「生活歴」を把握しておくことが必要不可欠です。



(2)「快の情動」を刺激すること
 認知症高齢者の知的機能は、程度の差はあるとしても、統合機能(人間性を担う前頭葉の機能)や認知機能(理性を担う左脳の機能)は間違いなく障害されています。また、感性を担う認知機能(右脳の機能)には性差や個人差がみられます。
 したがって、「受容的・共感的対応」を実施する際には、情動機能(大脳辺縁系が担う野性/本能・習性)に働きかけることが基本であり、「快の情動」を刺激する対応が大変重要であることを理解しておいていただきたいと思います。



 「快の情動を刺激する」とは、下図に示されるように「快眠・快食・快便が確保されるような快適な(身体的)生活環境」や「安心・安全・安定・安住のある(心理的)生活環境」を提供することが基本になります。
 そして、個々の認知症高齢者(対象者)の「生きがい・なかま・やくわり」や「好きなこと・したいこと・できること」などを把握(受容・共感)した上で、日常生活の様々な場面や回想法、作業療法、音楽療法などを通じて「達成感」や「到達感」「幸福感」などを感じていただけるように働きかけ、その際の対象者の言葉や動作、表情、心情などを「そのまま受け止め」「そのまま伝え返す」ことが理想的な対応になると思います。そして、「快の情動」が刺激されているかどうかを見極める指標は、「快の感情」(喜・楽・愛)や「快の気分」から表出される対象者の「笑顔」に他ならないと思います。



(次回のブログに続く)