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喜べ

祈れ、感謝せよ! (by モーセ神父)

7・24

2014年07月23日 | キリスト教
キリスト教歳時記205  7月24日
B今日の福音
 ルカ12:39-48 このことをわきまえていなさい。家の主人は、泥棒がいつやって来るかを知っていたら、自分の家に押し入らせはしないだろう。あなたがたも用意していなさい。人の子は思いがけない時に来るからである。」
 そこでペトロが、「主よ、このたとえはわたしたちのために話しておられるのですか。それとも、みんなのためですか」と言うと、主は言われた。「主人が召し使いたちの上に立てて、時間どおりに食べ物を分配させることにした忠実で賢い管理人はいったいだれだろうか。主人が帰って来たとき、言われたとおりにしているのを見られる僕は幸いである。確かに言っておくが、主人は彼に全財産を管理させるにちがいない。しかし、もしその僕が、主人の帰りは遅れると思い、下男や女中を殴ったり、食べたり飲んだり、酔うようなことになるならば、その僕の主人は予想しない日、思いがけない時に帰って来て、彼を厳しく罰し、不忠実な者たちと同じ目に遭わせる。主人の思いを知りながら何も準備せず、あるいは主人の思いどおりにしなかった僕は、ひどく鞭打たれる。しかし、知らずにいて鞭打たれるようなことをした者は、打たれても少しで済む。すべて多く与えられた者は、多く求められ、多く任された者は、更に多く要求される。」


C今日の暦
1587年 豊臣秀吉、宣教師に国外退去を命ず。高山右近ら追放。右近は小豆島へ逃れる(→2月5日P ザビエル~禁教~信仰の自由)
1847年 ブリガム・ヤング率いる末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教)員がソルトレイクシティに到着。モルモン教の本拠地として宗教都市を作る(→4月6日C)。第二次世界大戦中、強制収容された日系人を戦後積極的に受け入れ、今も日系人の比率が高い。2002年冬季オリンピックをソルトレイクで開催。
1927年 芥川龍之介没(1892年-)。『鼻』を夏目漱石に認められ、『羅生門』で地位を築く。今昔物語やキリシタンもの(『奉教人の死』)、江戸を舞台にしたものと多岐にわたる小説を描く。晩年は虚無的心情を深め、心身衰弱し、『河童』を発表後自殺。


W今日の言葉   人の子は思いがけない時に来る
 終末の時、イエスの来臨する時。「その日、その時は、だれも知らない。天使たちも子も知らない。ただ、父だけがご存じである(マタ24:36)」(→10月3日B)。
主の来臨の時は、希望の時であり待ちわびる時である。しかし用意のできていない者にとっては、大いなる災いのとき、泥棒の来る時ともなる。 泥棒が来る可能性はないわけではない。何の備えもしないでいれば、いざ泥棒に入られたとき、その被害の大きさを食い止めることはできない。


Pワンポイント  忠実で賢い管理人
 イエスの弟子たちのような教会で特別な職務を担った人たちを指すのだろう。
 彼らには主人が帰って来たとき、「言われたとおりにしているのを見られる」、そのような忠実さが必要とされる。
 そして「時間どおりに食べ物を分配させる」、つまり他の召し使いが生きるのに必要なことをしっかり管理し、むしろ仕える姿勢が大切である。
 そして主の帰りの日を「予想しない日」「思いがけない時」としないよう、必要な備えを絶えずしておく、そのような賢さも求められる。
 それに反して「主人の思いを知りながら」「下男や女中を殴ったり、食べたり飲んだり、酔うようなことになるなら」そのような僕は罰せられる。たとえば律法に明るいはずの学者たちで、彼らは救うべき人々を裁き、自分に甘くして、陶酔している。そのような態度を戒める。

7/23

2014年07月22日 | キリスト教
キリスト教歳時記204  7月23日
B今日の福音
 ルカ12:32-34【天に宝を積む(マタ6:19-21)】小さな群れよ、恐れるな。あなたがたの父は喜んで神の国をくださる。自分の持ち物を売り払って施しなさい。擦り切れることのない財布を作り、尽きることのない富を天に積みなさい。そこは、盗人も近寄らず、虫も食い荒らさない。あなたがたの富のあるところに、あなたがたの心もあるのだ。」
 ルカ12:35-38【目を覚ましている僕(マタ24:45ー51)】「腰に帯を締め、ともし火をともしていなさい。主人が婚宴から帰って来て戸をたたくとき、すぐに開けようと待っている人のようにしていなさい。主人が帰って来たとき、目を覚ましているのを見られる僕たちは幸いだ。はっきり言っておくが、主人は帯を締めて、この僕たちを食事の席に着かせ、そばに来て給仕してくれる。主人が真夜中に帰っても、夜明けに帰っても、目を覚ましているのを見られる僕たちは幸いだ。


C今日の暦
1954年 キャセイパシフィック航空機撃墜事件。公海上で中国人民解放軍空軍によって撃墜された。撃墜の理由は不明のまま。
1993年 カンデラリア教会虐殺事件。リオデジャネイロの教会で、8人のストリートチルドレンが警官を含むグループに射殺された。
 同教会は、違法薬物売買、売春などに関わった、家のない子どもの簡易宿泊所の機能を持ち、食料、シェルター、教育、宗教指導の援助を行っていた。事件前日、子どもたちがパトカーに投石。夜中、数台の車のグループが、子どもたち約70名に発砲した。


W今日の言葉     施し
 キリスト者がすべき重要な行いである。初代教会から始まって、完徳を目指す多くの聖人が、文字通り実践した。
 「もし完全になりたいのなら、行って持ち物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい(マタ19:21)。」
しかし施しは隠れたところで行うべきである(「施しをするときは、右の手のすることを左の手に知らせてはならない。あなたの施しを人目につかせないためである。そうすれば、隠れたことを見ておられる父が、あなたに報いてくださる(マタ6:3-4)」)。
 また貧しい人への愛や思いやりの気持ちが何より大切である(全財産を貧しい人々のために使い尽くそうとも、誇ろうとしてわが身を死に引き渡そうとも、愛がなければ、わたしに何の益もない;Iコリ13:3)。
 たとえ不正にまみれた富であっても、それを善意で友のために使うならば、永遠の住まいに迎え入れてもらえる(ルカ16:8-9)。
※婚宴から帰って    古代中近東の婚礼の祝宴は何日にも及ぶ。場合によっては一週間も続くと言うこともあった。そのためいつ帰るか分からなかった(2月6日P)。


Pワンポイント  主人は帯を締めて、この僕たちを食事の席に着かせ、そばに来て給仕してくれる。
 イエスも最後の晩餐の時に、同じようにされた。「食事の席に着く人と給仕する者とは、どちらが偉いか。食事の席に着く人ではないか。しかし、わたしはあなたがたの中で、いわば給仕する者である(ルカ22:27)」。
 これらのことは、「『夕食の用意をしてくれ。腰に帯を締め、わたしが食事を済ますまで給仕してくれ。お前はその後で食事をしなさい』と言うのではなかろうか(ルカ17:8)」とまったく反対である。神の望みを当たり前に果たすならば、天の国で神が大きな報いを約束してくれる。

7/22

2014年07月21日 | キリスト教
キリスト教歳時記203  7月22日
B今日の福音
 ルカ12:13-21【「愚かな金持ち」のたとえ】群衆の一人が言った。「先生、わたしにも遺産を分けてくれるように兄弟に言ってください。」イエスはその人に言われた。「だれがわたしを、あなたがたの裁判官や調停人に任命したのか。」そして、一同に言われた。「どんな貪欲にも注意を払い、用心しなさい。有り余るほど物を持っていても、人の命は財産によってどうすることもできないからである。」それから、イエスはたとえを話された。「ある金持ちの畑が豊作だった。金持ちは、『どうしよう。作物をしまっておく場所がない』と思い巡らしたが、やがて言った。『こうしよう。倉を壊して、もっと大きいのを建て、そこに穀物や財産をみなしまい、こう自分に言ってやるのだ。「さあ、これから先何年も生きて行くだけの蓄えができたぞ。ひと休みして、食べたり飲んだりして楽しめ」と。』しかし神は、『愚かな者よ、今夜、お前の命は取り上げられる。お前が用意した物は、いったいだれのものになるのか』と言われた。自分のために富を積んでも、神の前に豊かにならない者はこのとおりだ。」


C今日の暦
○聖マリア(マグダラ) →(4月3日W マグダラの女と呼ばれるマリア、 3月27日P)
1946年 キング・デイヴィッド・ホテル爆破事件。過激派シオニスト組織イルグンによって引き起こされた爆破事件。パレスチナのイギリス行政本部を目標にエルサレムにあるホテルを爆破した。91名が死亡し46名が負傷。
1999年 中華人民共和国政府が法輪功(ファルンゴン)への弾圧を開始。気功動作に内面の向上も重要した団体。中国当局も初めは健康にいいと推奨していたが、爆発的に人数が増え、脅威を感じ、弾圧に転じた。数万人が投獄され500人死亡?


W今日の言葉 自分のために富を積んでも、神の前に豊かにならない
人間が本当の意味で豊かになれるのは、神から委ねられた財産や才能や環境を、どれだけ自分のために集めたかではない。どれだけ人に与えたかによる(→3月16日W 冨)。
 「生活を切り詰め、強欲に富を蓄える人もいる。だが、どんな報いがあると言うのか。『これで安心だ。自分の財産で食っていけるぞ』と言っても、それがいつまで続くのか知るよしもなく、財産を他人に残して、死んでいく。契約をしっかり守り、それに心を向け、自分の務めを果たしながら年老いていけ。罪人が仕事に成功するのを見て、驚きねたむな。主を信じて、お前の労働を続けよ。貧しい人を、たちどころに金持ちにすることは、主にとって、いともたやすいことなのだ(シラ11:18-21)」。


Pワンポイント  マグダラのマリア
 マグダラはマグダレナ、マドレーヌなどとも国により呼ばれる。愛称はマルレーン、マレーネ、マリリン。
 magdaleneには「更正した売春婦」「売春婦厚生施設」の意味がある。 映画『マグダレンの祈り』。
 美容師、香水の製造業者、観想的生活、告解者、悔い改めた娼婦の守護の聖人。信心深さのため嘲笑された時、性的誘惑にあった時、マグダラのマリアに祈ることがある。西欧キリスト教美術において、聖母と並ぶ重要な聖書の登場人物となる。
 フランス菓子のマドレーヌは、18世紀にこれを考案した女性の名による。

7/21

2014年07月20日 | キリスト教
キリスト教歳時記202  7月21日
B今日の福音
 ルカ12:8-12【イエスの仲間であると言い表す(マタ10:32ー33,12:32,10:19ー20)】「言っておくが、だれでも人々の前で自分をわたしの仲間であると言い表す者は、人の子も神の天使たちの前で、その人を自分の仲間であると言い表す。しかし、人々の前でわたしを知らないと言う者は、神の天使たちの前で知らないと言われる。人の子の悪口を言う者は皆赦される。しかし、聖霊を冒涜する者は赦されない。会堂や役人、権力者のところに連れて行かれたときは、何をどう言い訳しようか、何を言おうかなどと心配してはならない。言うべきことは、聖霊がそのときに教えてくださる。」


C今日の暦
1590年(天正18年6月20日)天正遣欧少年使節の一行が長崎に帰国。印刷機を伝える(→2月20日C)。
1773年 ローマ教皇クレメンス14世がイエズス会に解散を命じる。
1841年(天保12年6月4日) ジョン万次郎(1827年-1898年;遭難中の土佐の漁師)がアメリカの捕鯨船に救助される。その頃鎖国中のため、漂流者の年配の者はハワイで降ろされるが、船長に頭の良さを気に入られた万次郎は、そのまま航海に出る。船長の養子となり、英語・数学・測量・航海術・造船技術など学んだ。1851年帰国。日米和親条約の締結に尽力し、その後通訳・教師として活躍。
1899年 ヘミングウェイ生まれる(-1961年)。アメリカの小説家・詩人。戦争を背景にした『誰がために鐘は鳴る』『武器よさらば』、『老人と海』。


W今日の言葉  聖霊を冒涜 (→3月31日P 聖霊に対する罪)
 イエスが死んで復活し、昇天した後は、聖霊が教会を導くことになる。この聖霊を否定すれば、神がイエスをとおして今も秘跡の形で行う救いの業、そしてその意味を否定することになってしまう。


Pワンポイント  イエズス会解散 (→7月31日P イエズス会)
 西欧諸国がナショナリズムを強め、王権のもとに国をまとめていこうとしたとき、国境を越えて自由に活躍し、教皇への忠誠を誓うイエズス会の存在が目障りなものとなっていた。18世紀ポルトガルがイエズス会員の国外追放を決めるとフランス、スペイン、ナポリ王国、両シチリア王国、パルマ公国もこれにならった。列強は教皇クレメンス13世にイエズス会を禁止するよう圧力をかけたが、教皇は聞き入れなかった。次のクレメンス14世の時、圧力はいっそう強まり、教皇は、イエズス会かヨーロッパ諸国と教皇庁との関係をとるかという選択を迫られた。欧州諸国と教会との関係修復という観点にたち、1773年イエズス会を犠牲とした(後に世俗国家の要求に屈したと、教皇権の至上を叫ぶウルトラモンタニスム主義者に厳しく糾弾された)。
 ロシアはイエズス会の貢献を高く評価していたエカテリーナ2世が、イエズス会禁止の回勅の発布を拒否。教皇も「列強の圧力に屈しはしたもののイエズス会を完全につぶすのはしのびない」と思っていたため、ロシアにおいて細々と存続しつづけた。プロイセン王フリードリヒ2世も自国へのイエズス会士の亡命を許可し、カトリック系の学校の教師として歓迎した。
 1814年に教皇ピウス7世のによりイエズス会の復興が許可された。

7/20

2014年07月19日 | キリスト教
キリスト教歳時記201  7月20日
B今日の福音
 ルカ12:4-7【恐るべき者(マタ10:28ー31)】「友人であるあなたがたに言っておく。体を殺しても、その後、それ以上何もできない者どもを恐れてはならない。だれを恐れるべきか、教えよう。それは、殺した後で、地獄に投げ込む権威を持っている方だ。そうだ。言っておくが、この方を恐れなさい。五羽の雀が二アサリオンで売られているではないか。だが、その一羽さえ、神がお忘れになるようなことはない。それどころか、あなたがたの髪の毛までも一本残らず数えられている。恐れるな。あなたがたは、たくさんの雀よりもはるかにまさっている。」


C今日の暦
1822年 遺伝学の祖メンデル誕生(-1884年)。オーストリアのアウグスチノ会司祭。メンデルの法則と呼ばれる遺伝に関する法則を発見。
1868年 岩倉具視没(1825年-)。1868年大久保利光、西郷隆盛と組んで王政復古、維新政府樹立を図る。1871年特命全権大使として伊東博文とともに欧米視察(4月17日P)。征韓論に反対した。民権運動に対し井上殻に天皇制擁護のため欽定憲法の原則を起草させた。皇帝財産を確立。
1903年 レオ13世帰天(1810年-)。ローマ教皇(在位1878年-)。『誤謬表(シラブス)』の発表(1864年)以来、完全に断絶していたカトリック教会と近代社会の相互理解を目指した。社会問題を扱った初の回勅『レールム・ノヴァールム』を発表。
1933年 ナチス・ドイツのパーペン副首相とローマ教皇庁のパチェッリ枢機卿(後のローマ教皇ピウス12世)との間でコンコルダート締結。
1944年 第二次世界大戦: シュタウフェンベルクドイツ軍大佐を首謀者とするヒトラー暗殺未遂事件起こる。
1969年 「アポロ11号」が、人類史上初めて月に到達。


W今日の言葉 恐れ②(→4月24日W 恐れ①)
 自分の罪を知り、なおそれを赦す神を知り、信頼し、尊ぶならば、人間は神のみを畏れることになるからである。
 神こそ絶対的に信頼すべきものである。人間が神や神の計画を恐れることを、神は望まず、恐れることを否定する。
  「天使は言った。『恐れることはない。ザカリア、あなたの願いは聞き入れられた。あなたの妻エリサベトは男の子を産む』(ルカ1:13)。
  「天使は言った。「『マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた』(ルカ1:30)。
※アサリオン   ギリシア・ローマの銅貨で、最低貨幣の一つ。1デナリオン(1日の賃金)の1/16。


Pワンポイント  『レールム・ノヴァールム -資本と労働の権利と義務-』(1891年5月15日)
 労働者の権利を擁護し、搾取とゆきすぎた資本主義に警告を行いながらも、台頭しつつあったマルクス主義や共産主義を批判した。
 「少数の資本家が富の多くを占有する行き過ぎた資本主義によって、労働者をはじめとする一般庶民が搾取や貧困、悲惨な境遇に苦しむあまり無神論的唯物史観を基調とした社会主義(のちの共産主義)への移行を渇望しているが、それで人間的社会が実現するというのは幻想である」
 大勢を占めてきた「教会は貧しい者には忍耐を、金持ちには慈善を説けばよい」という考えに対し、労働者の貧困や境遇の改善は(憐れみの対象ではなく)社会正義の問題であるとし、「人格の尊厳と基本的人権を認め、擁護し、愛する」ことを基本とした社会の変革や社会問題への主体的な取り組みを指示した。具体的に資本と労働の関係や政府と市民の関係について述べ共産主義と無制約な資本主義のあいだの道を模索し、私有財産制を擁護しつつも、労働者に労働権を認めて労働組合を結成することを支持し、階級協調を説いた。
 労働者への言及はカール・マルクスらの『共産党宣言』に遅れること43年であった。教会の社会的神学の基本となり、政治面では中道もしくは中道右派的・共同体主義的なキリスト教民主主義などに発展していった。

7/19

2014年07月18日 | キリスト教
キリスト教歳時記200  7月19日
B今日の福音
 ルカ12:1-3【偽善に気をつけさせる】とかくするうちに、数えきれないほどの群衆が集まって来て、足を踏み合うほどになった。イエスは、まず弟子たちに話し始められた。「ファリサイ派の人々のパン種に注意しなさい。それは偽善である。覆われているもので現されないものはなく、隠されているもので知られずに済むものはない。だから、あなたがたが暗闇で言ったことはみな、明るみで聞かれ、奥の間で耳にささやいたことは、屋根の上で言い広められる。」


C今日の暦
○1864年 太平天国が清に敗れる。14年にわたる太平天国の乱が事実上終結した(1月11日C)。
 清朝末期、洪秀全を指導者とする上帝会を中心に建てられた民衆的政権国家。洪秀全は科挙失敗後の病中に見た幻覚を,偶然手にしたプロテスタントの布教文書によって解釈し,みずからを堕落した中国を救う使命を真の神,天父上帝から与えられた者と確信した。1851年、広西省で挙兵、新国家樹立を宣言した。1853年には南京を占領し、天京と改め首都とした。キリスト教思想のもと、清朝打倒・土地私有反対・経済的平等をうたったが、64年、曽国藩(そうこくはん)・李鴻章・ゴードンら英・仏の連合軍によって鎮圧された。弁髪を禁じたため長髪賊の乱ともいう。
○1688年 ジュゼッペ・カスティリオーネ生まれる(-1766年)。イタリア生まれのイエズス会宣教師。 1715年には清朝時代の中国へ渡る。中国名、郎世寧。西洋画の技法を中国へ伝え、美術や建築に影響を与える。宮廷画家。


W今日の言葉 パン種②(→5月21日Wパン種①)
 過越祭の食事で祭壇にささげるパンは酵母を除いた。パンの発酵を腐敗とみたからである。ファリサイ派の人々にはその腐敗のもと、偽善があり、それが大きく広まってしまうと捉えている。
 「あなたがたが誇っているのは、よくない。わずかなパン種が練り粉全体を膨らませることを、知らないのですか。いつも新しい練り粉のままでいられるように、古いパン種をきれいに取り除きなさい。現に、あなたがたはパン種の入っていない者なのです。キリストが、わたしたちの過越の小羊として屠られたからです。古いパン種や悪意と邪悪のパン種を用いないで、パン種の入っていない、純粋で真実のパンで過越祭を祝おうではありませんか(Iコリ5:6-8)」。
※偽善(→3月14日W)


Pワンポイント
 神の国の秘義はすべての人を照らすものである。しかし最初に照らされるべきユダヤ人は、なかなか理解しない。しかしこれは一時的にユダヤ人に隠されることで、ユダヤ教の枠を破って、すべての人を照らすためである。
 なぜならもしもユダヤ人がイエスを受け入れたとしても、結局彼らは、ユダヤ人だけのための救い主、イエスとして受け入れるだけだったろう。そうしたならばイエスがすべての民のための救い主であることを結局は理解せず、今ある世界的なキリスト教としては発展しなかっただろう。ただのイスラエル民族のためだけのイエスとして、ユダヤ教の枠内で終わってしまっただろう。
 だからこそユダヤ人からいったん拒否され、ユダヤ人の手から全く離れる必要があった。しかしそれも一時的なことである。最後には、ユダヤ人を含めたすべての民によって、イエスの教えた神の国は理解されるべきものである(→3月1日W,3月30日P)。
 「人々を恐れてはならない。覆われているもので現されないものはなく、隠されているもので知られずに済むものはないからである。わたしが暗闇であなたがたに言うことを、明るみで言いなさい。耳打ちされたことを、屋根の上で言い広めなさい(マタ10:26-27)」。

7/18

2014年07月17日 | キリスト教
キリスト教歳時記199  7月18日
B今日の福音
 ルカ11:45-54 そこで、律法の専門家の一人が、「先生、そんなことをおっしゃれば、わたしたちをも侮辱することになります」と言った。イエスは言われた。「あなたたち律法の専門家も不幸だ。人には背負いきれない重荷を負わせながら、自分では指一本もその重荷に触れようとしないからだ。あなたたちは不幸だ。自分の先祖が殺した預言者たちの墓を建てているからだ。こうして、あなたたちは先祖の仕業の証人となり、それに賛成している。先祖は殺し、あなたたちは墓を建てているからである。だから、神の知恵もこう言っている。『わたしは預言者や使徒たちを遣わすが、人々はその中のある者を殺し、ある者を迫害する。』こうして、天地創造の時から流されたすべての預言者の血について、今の時代の者たちが責任を問われることになる。それは、アベルの血から、祭壇と聖所の間で殺されたゼカルヤの血にまで及ぶ。そうだ。言っておくが、今の時代の者たちはその責任を問われる。あなたたち律法の専門家は不幸だ。知識の鍵を取り上げ、自分が入らないばかりか、入ろうとする人々をも妨げてきたからだ。」イエスがそこを出て行かれると、律法学者やファリサイ派の人々は激しい敵意を抱き、いろいろの問題でイエスに質問を浴びせ始め、何か言葉じりをとらえようとねらっていた。


C今日の暦
64年  ローマ大火。ネロは火災の原因をキリスト教徒に帰し弾圧した。
1870年 第1バチカン公会議でローマ教皇首位説・教皇不可謬説に関する教義憲章『パストル・エテルヌス』を採択(→3月2日P 不可謬権)。
1970年 東京都杉並区で日本初の光化学スモッグ公害(体育授業中の生徒が突然目の痛みや頭痛等を訴えて倒れ、43人が病院へ運ばれた)


W今日の言葉   不幸だ   ←ουαι(英語woe)
「呪い」「災い」とも。 他の用例。「不幸だ、不幸だ、大いなる都、強大な都バビロン、お前は、ひとときの間に裁かれた(黙示18:10)」「第一の災いが過ぎ去った。見よ、この後、更に二つの災いがやって来る(黙示9:12)」。
 モーセも約束の地を前に、モアブで神との契約を更新するときに呪いと祝福を民に語り聞かせた(「しかし、もしあなたの神、主の御声に聞き従わず、今日わたしが命じるすべての戒めと掟を忠実に守らないならば、これらの呪いはことごとくあなたに臨み、実現するであろう。……篭もこね鉢も呪われ、あなたの身から生まれる子も土地の実りも、牛の子も羊の子も呪われる(申命28:15,17-18)」)。
 約束に祝福と呪いが伴っていることは約束の厳粛さから来る。幸いと不幸、恵みと裁き、祝福と呪いについて、旧約聖書の時代から、ペアで語られてきた。
※背負いきれない重荷  人間の言い伝え(→5月13日W 昔の人の言い伝え)。細かく規程を定めることで、律法が本来求めているものが見えなくなってしまった。むしろ微細なことを守ることに執着し、根本的な正義、愛の実行を軽んじてしまった。
※先祖が殺した預言者たちの墓を建てている  預言者の名誉回復のため墓を建て、先祖の罪を償おうとする。ところが彼ら自身が、同様に、今の時代の預言者を殺すことになる。
※知識の鍵  聖書に関する知識を建物にたとえ、その門を開く鍵。その鍵を自身が持っていると思い、教えるが、実際は、正しい解釈ができず、真理に近づこうとする人を悪い方に導いた(ものの見えない案内人;マタ23:16)。


Pワンポイント   アベルの血からゼカルヤの血
 アベルの血(創世4:8)。兄弟カインにより殺された。聖書で記される初めての殺人事件(→2月27日C、7月10日ひとやすみ)
 ゼカルヤの血(II歴代24:20-23)。
ユダヤ人の使う聖書は「創世記」から始まり、「歴代史」で終わっていた(→3月8日P 律法や預言者)。

7/17

2014年07月16日 | キリスト教
キリスト教歳時記198  7月17日
B今日の福音
ルカ11:37-44【ファリサイ派の人々と律法の専門家とを非難する(マタ23:1ー36、マコ12:38ー40、ルカ20:45ー47)】イエスはこのように話しておられたとき、ファリサイ派の人から食事の招待を受けたので、その家に入って食事の席に着かれた。ところがその人は、イエスが食事の前にまず身を清められなかったのを見て、不審に思った。主は言われた。「実に、あなたたちファリサイ派の人々は、杯や皿の外側はきれいにするが、自分の内側は強欲と悪霊に満ちている。愚かな者たち、外側を造られた神は、内側もお造りになったではないか。ただ、器の中にある物を人に施せ。そうすれば、あなたたちにはすべてのものが清くなる。それにしても、あなたたちファリサイ派の人々は不幸だ。薄荷や芸香やあらゆる野菜の十分の一は献げるが、正義の実行と神への愛はおろそかにしているからだ。これこそ行うべきことである。もとより、十分の一の献げ物もおろそかにしてはならないが。あなたたちファリサイ派の人々は不幸だ。会堂では上席に着くこと、広場では挨拶されることを好むからだ。あなたたちは不幸だ。人目につかない墓のようなものである。その上を歩く人は気づかない。」


C今日の暦
1566年 カトリック司祭ラス・カサス(1484年-)帰天。スペインの聖職者。「新大陸」の先住民への残虐行為を告発。 「スペイン人たちが、インディオの男女の耳や鼻を、ただそうしたかったという理由だけで、何の謂れもなく切り落とすのを私自身の目で見た『1552年インディアスの破壊についての簡潔な報告』)。
1918年 ニコライ2世帰天(1868年-)。ロマノフ朝第14代、最後のロシア皇帝。日露戦争・第一次世界大戦において指導的役割を果たすが、革命勢力を厳しく弾圧したためロシア革命を招く。監禁され、一家ともども殺された。正教会の聖人


W今日の言葉 人目につかない墓
死者に触れること、知らずに墓の上を歩くことは不浄にあたった(「野外で剣で殺された者や死体、人骨や墓に触れた者はすべて、七日の間汚れる(民数19:16)」。
 そこで墓としっかり分かるよう、過越祭の4週間前には、墓を石灰で白く塗って目立つようにしていた(「律法学者たちとファリサイ派の人々、あなたたち偽善者は不幸だ。白く塗った墓に似ているからだ。外側は美しく見えるが、内側は死者の骨やあらゆる汚れで満ちている」(マタ23:27)。
 ここではファリサイ派らは道端に隠された墓のような存在で、交際すると、知らないうちに彼らの悪に染まってしまうと指摘している。
※「杯や皿の外側はきれいにする」(「また、市場から帰ったときには、身を清めてからでないと食事をしない。そのほか、杯、鉢、銅の器や寝台を洗うことなど、昔から受け継いで固く守っていることがたくさんある(マコ7:4)」)。
※「2月13日W 清め」も参照


Pワンポイント  十分の一の献げ物
 年の農作物、家畜、戦利品などの十分の一を神に、また支配者にささげる習慣は古代人で広く行われた。
  「土地から取れる収穫量の十分の一は、穀物であれ、果実であれ、主のものである(レビ27:30)」。
  「アブラムはすべての物の十分の一を彼(サレムの王メルキゼデク)に贈った(創世14:20)」。
 イスラエルの民のうちレビ族は領土を得なかったので、他の部族から産物の十分の一を受けた(申命12::11-12)。そして毎年その年の農産物の十分の一を、牛、羊の初子と共に神の前で食した(申命12:6-19)。
 また「三年目ごとに、その年の収穫物の十分の一を取り分け、町の中に蓄えておき、あなたのうちに嗣業の割り当てのないレビ人や、町の中にいる寄留者、孤児、寡婦がそれを食べて満ち足りることができるようにしなさい(申命14:28-19)」。
 「穀物、新しいぶどう酒、オリーブ油などの十分の一の献げ物(申命12:17)」を主に捧げるよう律法では定められている。ファリサイ派はさらに調味料に用いるわずかな葉や種にも適用していた。

7/16

2014年07月15日 | キリスト教
キリスト教歳時記197  7月16日
B今日の福音
 マタ19:27-30 すると、ペトロがイエスに言った。「このとおり、わたしたちは何もかも捨ててあなたに従って参りました。では、わたしたちは何をいただけるのでしょうか。」イエスは一同に言われた。「はっきり言っておく。新しい世界になり、人の子が栄光の座に座るとき、あなたがたも、わたしに従って来たのだから、十二の座に座ってイスラエルの十二部族を治めることになる。わたしの名のために、家、兄弟、姉妹、父、母、子供、畑を捨てた者は皆、その百倍もの報いを受け、永遠の命を受け継ぐ。しかし、先にいる多くの者が後になり、後にいる多くの者が先になる。」


C今日の暦
622年 ヒジュラ暦1年1月1日。この年内に、預言者ムハンマドはメッカからメディナに移住(ヒジュラ)。太陰暦でこの年の年初にあたるこの日がヒジュラ暦の始まる日になる。
1054年 東西教会の相互破門(→1月5日P 東西教会が分かれた理由)。
1212年 レコンキスタ(キリスト教国によるイベリア半島の再征服活動): アンダルシア州で、イベリア半島のカトリック諸国と騎士修道会の連合軍がムワッヒド朝の軍を破る。
1997年 臓器の移植に関する法律公布(死亡した者が臓器移植の意思を生前に書面で表示し、遺族が拒まない場合、「脳死した者の身体」を「死体」に含むとしてその臓器を摘出できる)。は次の通りである。
 「臓器移植は、提供者の身体的ならびに心理的な危険や緊張などが受け手が求める利益に釣り合っている場合は、道徳律にかなうものです。死後の臓器提供は高潔でいさおしとなるものであり、寛大な連帯精神の表現として推奨されなければなりません。しかし、提供者あるいはその代理人の明白な同意が得られない場合は、それを倫理的に容認することはできません。さらに、たとえ他人の死を遅らせるためであろうとも、人体を切断して障害者にしたり直接死に至らせたりすることは倫理的にゆるされることではありません(『カトリック教会のカテキズム』2296項)」。
2003年 「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」成立。性同一性障害者のうち特定の要件を満たす者につき、家庭裁判所の審判により、法令上の性別の取扱いと、戸籍上の性別記載を変更できる。


W今日の言葉   十二
12は完全な数を象徴している。また全イスラエル部族を踏襲している。
 すなわちヤコブの子ら十二名が起源とされる(創世29-31)。
  ヤコブとレアとの子            ルベン、シメオン、レビ、ユダ、ガド、アシェル、イッサカル、ゼブルン
  ヤコブとラケルとの子(レアとラケルは姉妹)ダン、ナフタリ、ヨセフ、ベニヤミン
 「新しい世界になり、人の子が栄光の座に座るとき、あなたがたも、わたしに従って来たのだから、十二の座に座ってイスラエルの十二部族を治めることになる(マタ19:28)」。
 初めは12の数のこだわり、十二使徒から失われたユダの代わりに、共に生活した仲間の中から、くじでマティアを選び、主の復活の証人として加えた(使徒1:21-22)。


Pワンポイント 先にいる多くの者が後になり、後にいる多くの者が先(→3月30日P)
 救いは約束の民として選ばれたユダヤ人に真っ先に与えられ、まずはユダヤ人が救われるはずだった。しかし救い主イエスを拒むことで、まずはユダヤ人以外に救いがもたらされることなる。


7・15

2014年07月14日 | キリスト教
キリスト教歳時記196  7月15日
B今日の福音
 マコ10:23-27 イエスは弟子たちを見回して言われた。「財産のある者が神の国に入るのは、なんと難しいことか。」弟子たちはこの言葉を聞いて驚いた。イエスは更に言葉を続けられた。「子たちよ、神の国に入るのは、なんと難しいことか。金持ちが神の国に入るよりも、らくだが針の穴を通る方がまだ易しい。」弟子たちはますます驚いて、「それでは、だれが救われるのだろうか」と互いに言った。イエスは彼らを見つめて言われた。「人間にできることではないが、神にはできる。神は何でもできるからだ。」


C今日の暦
○聖ボナベントゥラ司教教会博士(1221-1274年) イタリアで生まれ、フランシスコ会に入会。
 パリの大学で勉強し、神学教授となる。意志を重視し、人々を愛の実行に導くよう教えた。修道者が教えることに反対する勢力により、一時、教壇を去った。36歳でフランシスコ会総会長となる。当時会は、フランシスコが重視した清貧から離れようとするもの、貧困を守ること自体を目的として会の秩序を乱し従順に反するもの、狂信に陥る者などがいて分裂の危機にあった。ボナベントゥラはそうした中、会の一致を保つため努力。教皇と共に枢機卿としてリヨン公会議に参加し、ギリシア正教とカトリックの一致も実現。しかし公会議中に帰天。『神学綱要』『神に至る精神の旅』
1099年 第1回十字軍・エルサレム攻囲戦集結: 十字軍がファーティマ朝軍を破り、エルサレムを陥落。
1606年 レンブラント出生(-1669年)。 ネーデルラント(オランダ)の画家。大画面と明暗を画面上に強く押し出し「光の魔術師」の異名。聖書を主題にした作品と写実的手法による肖像画を描いた。微妙な明暗と色彩で人間精神への深い洞察を託した傑作を残し「魂の画家」とも呼ばれた。
 集団肖像画「夜警」は不評。愛妻の死のあと1656年には破産、さらに第2の妻や子に先立たれ、不遇のうち帰天。
 『聖ステバノの殉教』『エマオの晩餐』『ベテシバ』『三本の木』『放蕩息子の帰宅』『病人を癒すキリスト』
1949年 三鷹事件。中央線三鷹駅構内で無人電車が暴走し民家に突入。


W今日の言葉    らくだが針の穴を通る
 「3月10日P 切り取ってしまいなさい」でみたように、イエスがときどき用いる極端なたとえ。
 らくだは当時知りえた最も大きな動物の一つで、極端すぎるため、らくだがかろうじて通過できる「針の穴」という小門がエルサレムの城壁にあったと唱える人さえ出た。しかしこれには証拠がない。
 またらくだは「カメーロス」、縄は「カミロス」で、一文字違い。後の時代になると耳から聞いただけではほとんど区別できなくなるくらい発音が似ていた。だからもともとは「縄が針の穴を通る方がまだやさしい」とイエスは言ったとする説もある。しかしそれでは弟子はこれほどに驚いたろうか。「人間にできることではないが、神にはできる。神は何でもできる」。


Pワンポイント
 レンブラントは『放蕩息子の帰還』で息子を抱く父親の右手を、ごつごつ骨張っていない母親の手、女性の手のように描いている。これは、無私で無条件の母親の愛を表し、それが、息子をもとの地位に復帰させる家長の権限をもつ父親の愛とともに、神の愛の側面であることを示しているのかもしれない。  参照  ヘンリ・ナウエン『放蕩息子の帰郷』(あめんどう)

7・14

2014年07月13日 | キリスト教
キリスト教歳時記195  7月14日
B今日の福音
 マコ10:17-22【金持ちの男(マタ19:16ー30、ルカ18:18ー30)】イエスが旅に出ようとされると、ある人が走り寄って、ひざまずいて尋ねた。「善い先生、永遠の命を受け継ぐには、何をすればよいでしょうか。」イエスは言われた。「なぜ、わたしを『善い』と言うのか。神おひとりのほかに、善い者はだれもいない。『殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証するな、奪い取るな、父母を敬え』という掟をあなたは知っているはずだ。」すると彼は、「先生、そういうことはみな、子供の時から守ってきました」と言った。イエスは彼を見つめ、慈しんで言われた。「あなたに欠けているものが一つある。行って持っている物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。」その人はこの言葉に気を落とし、悲しみながら立ち去った。たくさんの財産を持っていたからである。


C今日の暦
1789年 フランス革命: パリの民衆がバスティーユ牢獄を襲撃・占領、政治犯を解放。フランス革命の勃発。
 王権への貴族の反抗から始まった擾乱は、全社会層を巻き込んだ。絶対王政は倒れ、立憲王政から共和制に変わる。しかし1794年テルミドール反動(ロベスピエールが処刑される)ののち退潮へ向かい、1799年ナポレオンが政権を掌握し、帝制が樹立された(1799年)。前近代的な封建社会は変革され、近代ブルジョア社会が樹立された。
 カトリックの聖職者は特権階級に属していたため、追放され、教会は略奪・破壊された。1793年全国でミサが禁止され教会が閉鎖され、祭具は没収された。クリュニー修道院など歴史のある修道院も破壊され貴重な蔵書も失われた(1801年にナポレオンが教皇とコンコルダートを結んで和解した)。
 エベールらは「理性」を神聖視し「理性の祭典」を挙行した。ロベスピエールは、キリスト教に代わって「最高存在の祭典」を開催した(もし神が存在しないなら、それを発明する必要がある)。グレゴリオ暦に代わり、フランス革命暦が用いられた。メートル法も施行された。


W今日の言葉   天に宝(参照→3月16日W 冨)
 確かに今まで盗まず、うそをつかず、悪いことをしないでやってこれた。 しかしそれは自分の手柄ではなく、裕福だったり、恵まれた環境にあっただけかもしれない(ヨブ1章)。 もちろん義務を守ることは大事だが、ややもすると掟の中から自分を見るだけで、逆に、義務を守っていない人を裁いてしまうこともある(ファリサイ派と徴税人の祈り;ルカ18:9-)。 神から恵まれて、与えられたてきたならば、それを人々に分けも与えることで、さらに大きな恵みにしていくことが必要だ(五つのパンと二匹の魚;マタ14:13)。 神の完全さにならって、自ら心を開き、義務を乗り越え、積極的に人々の友となっていきなさい(善きサマリア人;ルカ10:25-)。 その時本当に神のみ心にかなって、この世だけでなく(愚かな金持ち;ルカ12:18-)、天において宝を蓄えることになる。
 「自分の持ち物を売り払って施しなさい。擦り切れることのない財布を作り、尽きることのない富を天に積みなさい。そこは、盗人も近寄らず、虫も食い荒らさない。あなたがたの富のあるところに、あなたがたの心もあるのだ(ルカ12:33-34)」。
※ある人  並行個所のマタイでは青年、ルカでは議員。


Pワンポイント
 民族紛争で、異なる民族の人々を何人も殺してしまった人。後悔し、なんとかして自分の罪を償いたいと助けを求めて言われた。「異なる民族の孤児を、自分の子どもとして大切に育てなさい」。 男は悲しみながら立ち去った。

7/13

2014年07月12日 | キリスト教
キリスト教歳時記194  7月13日
B今日の福音
 マコ10:13-16【子供を祝福する(マタ19:13ー15、ルカ18:15ー17)】イエスに触れていただくために、人々が子供たちを連れて来た。弟子たちはこの人々を叱った。しかし、イエスはこれを見て憤り、弟子たちに言われた。「子供たちをわたしのところに来させなさい。妨げてはならない。神の国はこのような者たちのものである。はっきり言っておく。子供のように神の国を受け入れる人でなければ、決してそこに入ることはできない。」そして、子供たちを抱き上げ、手を置いて祝福された。


C今日の暦
1930年 ナオミ・シェメル出生(-2004年) イスラエルの作詞・作曲者。独立記念日の招待曲「黄金のエルサレム」は第2の国歌とも言われる。もともとは3番までだったが、1967年、作られた直後に六日戦争が起き、勝ち取った東エルサレム(神殿の丘と嘆きの壁がある)について4番の歌詞が追加された(→3月26日P 中東戦争)。
1995年 ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争: スレブレニツァの虐殺。8千人のボシュニャク人が殺害される。第二次世界大戦以降、欧州最悪のジェノサイド。


W今日の言葉  子供のように
 神の国は恵み。ただ純粋で素直に、信頼の心を深くもって受け入れることが大事。


Pワンポイント  黄金のエルサレム
①山々の空気は葡萄酒のごとく澄み
松の香は 鐘の音とともに
黄昏の風にのる
その内に城壁をいだき
ひとりたたずむ その町は
樹と石がまどろむとき
夢の中に捕らわれる

(繰り返し)
黄金のエルサレムよ
銅と光のエルサレムよ
わたしはあなたの調べを奏でる
竪琴ではないか

②いかにして貯水槽は乾き
広場や市場は空になってしまったのか
旧市街の神殿の丘を顧みるものは
一人もいない
岩の洞窟には風の音が響き
エリコを通って死海に下るものは
一人もいない

③しかし今日 わたしはあなたに歌を捧げ
冠を結ぶために来た時
わたしはあなたの子の最も若いものより小さく
あなたの詩人たちの最後の者より小さく感じた
あなたの名はセラピムの口づけのように
わたしの唇を焦がすだろう
もし 全てが黄金につつまれる
このエルサレムを わたしが忘れるなら

④ああ今 わたしたちは貯水槽に
この市場に、この広場に 帰ってきた
旧市街の神殿の丘には
角笛の音が響きわたる
岩の洞窟には
幾千もの太陽が輝いている
さあ エリコを通って
再び死海へ下ろう

7・12

2014年07月11日 | キリスト教
キリスト教歳時記193  7月12日
B今日の福音
 マタ19:3-12【離縁について教える(マコ10:2-12)】ファリサイ派の人々が近寄り、イエスを試そうとして、「何か理由があれば、夫が妻を離縁することは、律法に適っているでしょうか」と言った。イエスはお答えになった。「あなたたちは読んだことがないのか。創造主は初めから人を男と女とにお造りになった。」そして、こうも言われた。「それゆえ、人は父母を離れてその妻と結ばれ、二人は一体となる。だから、二人はもはや別々ではなく、一体である。従って、神が結び合わせてくださったものを、人は離してはならない。」すると、彼らはイエスに言った。「では、なぜモーセは、離縁状を渡して離縁するように命じたのですか。」イエスは言われた。「あなたたちの心が頑固なので、モーセは妻を離縁することを許したのであって、初めからそうだったわけではない。言っておくが、不法な結婚でもないのに妻を離縁して、他の女を妻にする者は、姦通の罪を犯すことになる。」弟子たちは、「夫婦の間柄がそんなものなら、妻を迎えない方がましです」と言った。イエスは言われた。「だれもがこの言葉を受け入れるのではなく、恵まれた者だけである。結婚できないように生まれついた者、人から結婚できないようにされた者もいるが、天の国のために結婚しない者もいる。これを受け入れることのできる人は受け入れなさい。」


C今日の暦
1429年 ジャン・ジェルソン(1363年-)。フランスの神学者。パリ大学総長、ピサ教会会議とコンスタンツ公会議を主導し、教皇が3人も乱立する中、教会分裂を終結させた(「公会議の教皇権への優位は、教会分裂などの非常事態に限定される」)
1562年 ユカタンの司教ディエゴ・デ・ランダがインディオの異端尋問を行い、多数のマヤの絵文書の焚書を命じる。


W今日の言葉  あなたたちの心が頑固なので、モーセは妻を離縁することを許した
 律法はこのように寛大な面がある。けっして厳しい掟で人間をがんじがらめにするものでもない。
 イエスは律法を否定していなかった(「律法や預言者を廃止するためだ、と思ってはならない。廃止するためではなく、完成するためである。はっきり言っておく。すべてのことが実現し、天地が消えうせるまで、律法の文字から一点一画も消え去ることはない」マタ5:17-20)。
 イエスが批判したのは、律法主義である。厳しく律法を適用して、罪人と決めつけ人を排除し、軽蔑する。そのようなあり方をイエスは批判した。
※姦通 モイケイア (cf.3月11日W)


Pワンポイント カトリック信者の結婚   「3月11日 P離縁」も参照
 カトリック教会において信者同士による結婚は7つの秘跡のうちの一つである(→1月27日W洗礼)
 秘跡の与え主は、互いの配偶者である。配偶者が生きている間は、この秘跡は1回だけ受けられる。結婚式の司式は信者でもいい。
 結婚は自分の自由な意思による(人から強制されたものではない)こと、初婚同士であること(死別の場合は別)、近親関係でないこと、生涯を一緒に過ごし、子どもが産まれたら大切に育てる気持ちが必要とされる。日本では異宗婚は認められるが許可は必要である。産まれてくる子どもに洗礼を授ける気持ちでいることは望まれる。結婚の前には、事前に結婚の意義を知ってもらうため、結婚講座を受けなければならない。
 結婚式は、行われる場所の主任司祭の許可と証人(誰でもいい)の列席が必要となる。
・どちらかが離婚しており、かつ別れた配偶者が生きている場合、再婚はできない。
  「妻を離縁する者はだれでも、その女に姦通の罪を犯させることになる。離縁された女を妻にする者も、姦通の罪を犯すことになる(マタ5:32)。」
 但し自分が信者で、かつての配偶者が信者でない場合、しかも再婚する相手が信者である場合には、結婚が認められる場合がある(パウロの特権;Iコリ7:12-15)。「信者でない相手が離れていくなら、去るにまかせなさい。こうした場合に信者は、夫であろうと妻であろうと、結婚に縛られてはいません(Iコリ7:15)」。
 また前の結婚が書類上の不備で事前に無効とされたり、教会裁判所で判断し無効とされることもある。
 とにかく再婚など障害がある場合はもちろんだが、いずれの場合も、結婚は信仰生活を続けていく際にとても大切なので、主任司祭に相談することが大切である。

7/11

2014年07月10日 | キリスト教
キリスト教歳時記192  7月11日
B今日の福音
ヨハ10:31-42 ユダヤ人たちは、イエスを石で打ち殺そうとして、また石を取り上げた。すると、イエスは言われた。「わたしは、父が与えてくださった多くの善い業をあなたたちに示した。その中のどの業のために、石で打ち殺そうとするのか。」ユダヤ人たちは答えた。「善い業のことで、石で打ち殺すのではない。神を冒涜したからだ。あなたは、人間なのに、自分を神としているからだ。」そこで、イエスは言われた。「あなたたちの律法に、『わたしは言う。あなたたちは神々である』と書いてあるではないか。神の言葉を受けた人たちが、『神々』と言われている。そして、聖書が廃れることはありえない。それなら、父から聖なる者とされて世に遣わされたわたしが、『わたしが神の子である』と言ったからとて、どうして『神を冒涜している』と言うのか。もし、わたしが父の業を行っていないのであれば、わたしを信じなくてもよい。しかし、行っているのであれば、わたしを信じなくても、その業を信じなさい。そうすれば、父がわたしの内におられ、わたしが父の内にいることを、あなたたちは知り、また悟るだろう。」そこで、ユダヤ人たちはまたイエスを捕らえようとしたが、イエスは彼らの手を逃れて、去って行かれた。
 イエスは、再びヨルダンの向こう側、ヨハネが最初に洗礼を授けていた所に行って、そこに滞在された。多くの人がイエスのもとに来て言った。「ヨハネは何のしるしも行わなかったが、彼がこの方について話したことは、すべて本当だった。」そこでは、多くの人がイエスを信じた。


C今日の暦
○聖ベネディクト修道院長(480-547年) ローマ北部に生まれる。 (→2月10日C 聖スコラスティカおとめ)
 20歳の時堕落を嫌い山中で独り過ごした。一人で生活することの危険も感じ始め、12人の修道者と共に生活するようになり、モンテ・カッシーノの山中に最初の修道院を建て、会則を作る。修道院内で院長に従順しつつ、清貧と貞潔を守りながら、祈りと自給自足の労働をする生活が始まった。土地を開拓し、読書のため大きな図書館も備え、文化の担い手ともなった。られる。20人の教皇がベネディクト会から選ばれた。
1833年 イェーガン射殺される(1795年‐)。 オーストラリア先住民族の戦士。パースに入植しその地を支配したヨーロッパ人に対するアボリジニの抵抗運動において、重要な役割を担った。入植者を何度も襲撃し、懸賞金がかけられていた。
1962年 創価学会が参議院院内交渉団体「公明会」(後の公明党)を結成。


W今日の言葉  石で打ち殺す
 ユダヤの律法で石打ち刑は定められていた。(ある男と婚約している処女の娘がいて、別の男が町で彼女と出会い、床を共にしたならば、その二人を町の門に引き出し、石で打ち殺さねばならない;申命 22:23-24)。
 しかしユダヤはローマの属州となって、死刑を執行する権利は失っていた(ピラトが、「あなたたちが引き取って、自分たちの律法に従って裁け」と言うと、ユダヤ人たちは、「わたしたちには、人を死刑にする権限がありません」と言った;ヨハ18:31)。
 ステファノはこの石打ちによって殺されたが(使徒7:58)、非合法の突発的なリンチ的な行為であった。


Pワンポイント  『わたしは言う。あなたたちは神々である』
 聖書はこのように、神の言葉を受け、神の権威をもって、人々をさばく裁判官を神と呼ぶ。
 「彼らは知ろうとせず、理解せず、闇の中を行き来する。地の基はことごとく揺らぐ。わたしは言った、『あなたたちは神々なのか、皆、いと高き方の子らなのか』と。しかし、あなたたちも人間として死ぬ。君侯のように、いっせいに没落する(詩編82:5-7)」。
 イエスは父なる神と同じ本性をもちつつ、特別の使命のために聖なるものとして選ばれ、世に遣わされた。だからイエスをそのように呼んでいい。

7/10

2014年07月09日 | キリスト教
キリスト教歳時記191  7月10日
B今日の福音
 ヨハ10:22-30【ユダヤ人、イエスを拒絶する】そのころ、エルサレムで神殿奉献記念祭が行われた。冬であった。イエスは、神殿の境内でソロモンの回廊を歩いておられた。すると、ユダヤ人たちがイエスを取り囲んで言った。「いつまで、わたしたちに気をもませるのか。もしメシアなら、はっきりそう言いなさい。」イエスは答えられた。「わたしは言ったが、あなたたちは信じない。わたしが父の名によって行う業が、わたしについて証しをしている。しかし、あなたたちは信じない。わたしの羊ではないからである。わたしの羊はわたしの声を聞き分ける。わたしは彼らを知っており、彼らはわたしに従う。わたしは彼らに永遠の命を与える。彼らは決して滅びず、だれも彼らをわたしの手から奪うことはできない。わたしの父がわたしにくださったものは、すべてのものより偉大であり、だれも父の手から奪うことはできない。わたしと父とは一つである。」


C今日の暦
1808年 ソロモン・ノーサップ生まれる(-1863年)。映画『それでも夜は明ける 12 Years a Slave(2013年)』の実話の著者。
 ニューヨーク州で妻と子供と過ごす自由証明書を持つ黒人で、ヴァイオリン奏者として生計を立てていた。 1841年二人組の男から周遊公演を誘われた後、薬漬けにされ、南部の綿農園へ奴隷として売られた。狂信的な選民主義者ら白人の非道な仕打ちに虐げられながら、自身の尊厳を守る。解放されるまで12年を奴隷として生きた。
1941年 イェドヴァブネ事件。ポーランド人によるユダヤ人虐殺事件。ドイツ軍が関与していたかは不明。


W今日の言葉
※名によって   名はとても大切なものだった(→1月3日P)。たとえばイエスの名は、実体であり人格をも意味した。
 イエスは神の名により神の業を行った。キリスト者はイエスの名によって洗礼を授け、宣教をし、奇跡を行う(→4月12日W)。
※「わたしは言ったが、あなたたちは信じない」  「彼らが、『あなたは、いったい、どなたですか』と言うと、イエスは言われた。『それは初めから話しているではないか。あなたたちについては、言うべきこと、裁くべきことがたくさんある。しかし、わたしをお遣わしになった方は真実であり、わたしはその方から聞いたことを、世に向かって話している』(ヨハ8:25-26)。」


Pワンポイント  神殿奉献記念祭
 シリアのアンティオコ4世エピファネ(前175-164年)が神殿を汚した(「不遜にも聖所に入り込み、金の祭壇、燭台とその付属品一切、供えのパンの机、ぶどう酒の献げ物用の壷と杯、金の香炉、垂れ幕、冠を奪い、神殿の正面を飾る金の装飾をすべてはぎ取った。更に金や銀や貴重な祭具類、隠されていた宝をも見つけ出して奪い取った(Iマカ1:21-23)」)。
前165年のキスレウの月(11-12月)、ユダ・マカバイは清めて新たに奉献した。
 これを記念して毎年同月に8日間祝った(Iマカ4:36-59)。


ひとやすみ
信者 「神父さま、力インの妻はどこから来たんでしょうか?」
司祭 「他人の奥さんの詮索をしてはなりません」
 ※神はアダムを創った。アダムにあう助け手としてエバも創られた(創世2)。罪のため楽園から追放されたこの二人からカインとアベルが生まれた。嫉妬のためカインはアベルを殺し、エデンの東に住むようになった。カインは妻をめとった(創世4)。