goo blog サービス終了のお知らせ 

喜べ

祈れ、感謝せよ! (by モーセ神父)

8/23

2014年08月22日 | キリスト教
キリスト教歳時記235  8月23日
B今日の福音
 ヨハ11:17-27【イエスは復活と命】さて、イエスが行って御覧になると、ラザロは墓に葬られて既に四日もたっていた。ベタニアはエルサレムに近く、十五スタディオンほどのところにあった。マルタとマリアのところには、多くのユダヤ人が、兄弟ラザロのことで慰めに来ていた。マルタは、イエスが来られたと聞いて、迎えに行ったが、マリアは家の中に座っていた。マルタはイエスに言った。「主よ、もしここにいてくださいましたら、わたしの兄弟は死ななかったでしょうに。しかし、あなたが神にお願いになることは何でも神はかなえてくださると、わたしは今でも承知しています。」イエスが、「あなたの兄弟は復活する」と言われると、マルタは、「終わりの日の復活の時に復活することは存じております」と言った。イエスは言われた。「わたしは復活であり、命である。わたしを信じる者は、死んでも生きる。生きていてわたしを信じる者はだれも、決して死ぬことはない。このことを信じるか。」マルタは言った。「はい、主よ、あなたが世に来られるはずの神の子、メシアであるとわたしは信じております。」


C今日の暦
1973年 ストックホルムで銀行立てこもり事件。被害者が犯人に過度の同情や共感をよせる(解放後も人質は犯人をかばい警察に非協力的な証言を行い、1人の人質は愛の告白をし結婚する事態になった)ストックホルム症候群の由来となる。
 「人は、突然に事件に巻き込まれて、人質となる。そして、死ぬかもしれないと覚悟する。犯人の許可が無ければ、飲食も、トイレも、会話もできない状態になる。犯人から食べ物をもらったり、トイレに行く許可をもらったりする。そして、犯人の小さな親切に対して、感謝の念が生じる。犯人に対して、好意的な印象を持つようになる。犯人も、人質に対する見方を変える(Ochberg博士)」。
1976年 安楽死国際会議(東京)。「人間は品位ある死の権利を保有する」東京宣言を発表
2006年 オーストリア少女監禁事件解決。8年間監禁されていた当時10歳の少女が逃走、警察に保護された。犯人は自殺。
 「被害者に、ストックホルム症候群という病名を付けることには反対する。これは病気ではなく、特殊な状況に陥った時の合理的な判断に由来する状態である。自分を誘拐した犯人の主張に、自分を適合させるのは、むしろ当然である。共感やコミュニケーションを行って、犯罪行為に正当性を見い出そうとするのは、病気ではなく、生き残るための当然の戦略である」「脱出することによって、私は自分を迫害していた人間から逃げることができた。それと同時に、いや応なく近くにいた人を失った」「私を殴り、地下室に閉じ込め、餓死寸前まで追い込んだ男が求めていたものは、誰かに抱きしめてもらうことだった」。(本件被害者ナターシャ・カンプシュ)


W今日の言葉   終わりの日の復活の時に復活する
 「多くの者が地の塵の中の眠りから目覚める。ある者は永遠の生命に入り、ある者は永久に続く恥と憎悪の的となる(ダニ12:2)」。
 「邪悪な者よ、あなたはこの世から我々の命を消し去ろうとしているが、世界の王は、律法のために死ぬ我々を、永遠の新しい命へとよみがえらせてくださるのだ(IIマカ7:9)」。
 死者の復活を、サドカイ派以外は信じていた(→4月26日W 死者の中から生き返った)。
※スタディオンは185m。15スタディオンは2775m。ベタニアはエルサレムの南東にある。


Pワンポイント      墓
 富裕者は、岩盤を掘りこんだ(マタ27:60)横穴式の墓を使った。奥行き2.5mくらいのもの。 普通の人は地面に竪穴を掘った(横50cm、深さ180cm)。
 遺体は洗われた後(使徒9:37)、腐敗臭を消すために香料や香油を塗り、布で包んだ(→8月25日W 布)。さらに臭いが漏れないよう、また動物や金めあての盗賊に荒らされないよう、石で墓をふさいだ。
 土葬であるが、1年すると骨壺に入れ直し、再埋葬した。これはファリサイ派らの復活の思想が反映している。

8/22

2014年08月21日 | キリスト教
キリスト教歳時記234  8月22日
B今日の福音
 ヨハ11:11-16 こうお話しになり、また、その後で言われた。「わたしたちの友ラザロが眠っている。しかし、わたしは彼を起こしに行く。」弟子たちは、「主よ、眠っているのであれば、助かるでしょう」と言った。イエスはラザロの死について話されたのだが、弟子たちは、ただ眠りについて話されたものと思ったのである。そこでイエスは、はっきりと言われた。「ラザロは死んだのだ。わたしがその場に居合わせなかったのは、あなたがたにとってよかった。あなたがたが信じるようになるためである。さあ、彼のところへ行こう。」すると、ディディモと呼ばれるトマスが、仲間の弟子たちに、「わたしたちも行って、一緒に死のうではないか」と言った。


C今日の暦
○天の元后マリア
 マリアは神のイエスの母であり神の救いの業の協力者である。エヴァは神に背き罪と死を人間に招いたが、マリアは神に従い切ることによって、人間の救いのためイエスに協力した新しいエバである(→6月28日C 聖イレネオ)。天に上げられたマリア(→8月15日C)は、すべてのものの王であるキリストの栄光にあずかることで、すべてのものの女王として高められている。被昇天の8日目のこの日に祝うよう決められた。
1791年 サン=ドマングでハイチ革命はじまる。フランス領で18世紀から黒人奴隷を入れ、サトウキビ、コーヒーなど栽培していた。フランス革命の影響を受け、奴隷が反乱を起こした。1794年奴隷制が廃止される。
1864年 傷病者の状態改善に関する第1回赤十字条約(ジュネーヴ条約)が調印され、国際赤十字が発足。戦時中の傷病兵、捕虜、抑留者を保護。
1910年 寺内正毅統監と李完用大韓帝国首相が漢城で日韓併合条約に調印。
1944年 学童疎開船「対馬丸」がアメリカ海軍の潜水艦に撃沈され、乗員乗客1418名が死亡。
2005年 シャロンの推進するガザ地区等撤退において、ガザ地区からのユダヤ人入植者全ての退去が完了。


W今日の言葉   死んだ
これまでに2度死者を生き返らせたことがあった(→3月23日W 生き返らせる)。イエスは死を滅ぼし、ただの眠りにすぎないものに変える。今回はそのことをより明確にするために、生きている間には、わざと病気の癒しを行わなかった。
※ラザロ(←エル・アザル;神は助ける)
※トマス(→7月3日C)


Pワンポイント  「わたしたちも行って、一緒に死のうではないか」
 イエスは3度十字架の死を予告していた(5月24日、5月29日、8月28日B)。また弟子はイエスとユダヤの宗教指導者の対立も何度も目にしてきた。トマスもペトロも、イエスの死などあるわけないという思いと、最後まで従いたいという気持ちの中で揺れていた。そんな中、トマスは仲間を鼓舞するように語った。

8/21

2014年08月20日 | キリスト教
キリスト教歳時記233  8月21日
B今日の福音
 ヨハ11:1-10【ラザロの死】ある病人がいた。マリアとその姉妹マルタの村、ベタニアの出身で、ラザロといった。このマリアは主に香油を塗り、髪の毛で主の足をぬぐった女である。その兄弟ラザロが病気であった。姉妹たちはイエスのもとに人をやって、「主よ、あなたの愛しておられる者が病気なのです」と言わせた。イエスは、それを聞いて言われた。「この病気は死で終わるものではない。神の栄光のためである。神の子がそれによって栄光を受けるのである。」イエスは、マルタとその姉妹とラザロを愛しておられた。ラザロが病気だと聞いてからも、なお二日間同じ所に滞在された。それから、弟子たちに言われた。「もう一度、ユダヤに行こう。」弟子たちは言った。「ラビ、ユダヤ人たちがついこの間もあなたを石で打ち殺そうとしたのに、またそこへ行かれるのですか。」イエスはお答えになった。「昼間は十二時間あるではないか。昼のうちに歩けば、つまずくことはない。この世の光を見ているからだ。しかし、夜歩けば、つまずく。その人の内に光がないからである。」


C今日の暦
○聖ピオ10世教皇(1835-1914年)。イタリアの貧しい家庭に生まれる。49歳で司教になり、1903年教皇選出。「近代主義」と「相対主義」を警戒。ヤンセニズム(→4月7日P)の影響で、聖体拝領を敬遠する信徒が多くなっていたことに対しては、頻繁な聖体拝領と子供の早い時期での初聖体を奨励した。苦しむ人、圧迫された人に心を配った。
1940年 トロツキー暗殺(1879年-)。ウクライナ生まれソビエト連邦の政治家、ボリシェヴィキの革命家、マルクス主義思想家。永久革命論を提唱。レーニン死後スターリンと対立し、メキシコに追放されたが、暗殺された。
1983年 フィリピンの反マルコスの指導者ニノイ・アキノ上院議員が、亡命先のアメリカから帰国したマニラ空港で軍により暗殺される。葬儀ミサは、フィリピンのカトリック教会シン枢機卿が司式。マスコミは、政権の不興を恐れ放送を見送ったが、カトリック教会後援のラジオ・ベリタスただ一局が、葬儀の模様を実況中継した。


W今日の言葉     栄光  カヴォード(ヘブライ語)、ドクサ(ギリシア語)
 「栄誉」「誉れ」「冨」とも訳される。
 周りから与えられるものではなく、自らがもつ重さをもともと表す。同時に、人間に重荷を与えるもの(富、業績、高い地位)もさす。
 何より神自身が、永遠に重荷をもつ存在である。人間は神によってこの同じ栄光を与えられる。
○詩編3:4
 「主よ、それでも、あなたはわたしの盾、わたしの『栄え』、わたしの頭を高くあげてくださる方(新共同訳)」。(神に由来するもの)
 「しかし、主よ、あなたこそわたしを守る盾、わたしの顔を起してくださる『栄えある方』(フランシスコ会訳)」。(神自身)
 「しかし、主よ。あなたは私の回りを囲む盾、私の『栄光』、そして私のかしらを高く上げてくださる方です(新改訳)」。(両方にとれる)。
○「国々の『富』を享受し、彼らの『栄光』を自分のものとする(イザ61:6)」。
 「エジプトでわたしが受けているすべての『栄誉』と、あなたたちが見たすべてのことを父上に話してください(創世45:13)」。
 「恵みと慈しみを追い求める人は、命と恵みと『名誉』を得る(箴言21:21)」。
 「わたしは、人からの『誉れ』は受けない。……互いに相手からの『誉れ』は受けるのに、唯一の神からの『誉れ』は求めようとしないあなたたちには、どうして信じることができようか(ヨハ5:41,44)」。


Pワンポイント  人の内の光
 目の中に入った光は留まり、人の理性を照らすと考えた。イエスが光として信じるものの心に留まるなら、その人はその光によりつまずくことはなくなる。
 

8/20

2014年08月19日 | キリスト教
キリスト教歳時記232  8月20日
B今日の福音
 マタ20:1-16【「ぶどう園の労働者」のたとえ】「天の国は次のようにたとえられる。ある家の主人が、ぶどう園で働く労働者を雇うために、夜明けに出かけて行った。主人は、一日につき一デナリオンの約束で、労働者をぶどう園に送った。また、九時ごろ行ってみると、何もしないで広場に立っている人々がいたので、『あなたたちもぶどう園に行きなさい。ふさわしい賃金を払ってやろう』と言った。それで、その人たちは出かけて行った。主人は、十二時ごろと三時ごろにまた出て行き、同じようにした。五時ごろにも行ってみると、ほかの人々が立っていたので、『なぜ、何もしないで一日中ここに立っているのか』と尋ねると、彼らは、『だれも雇ってくれないのです』と言った。主人は彼らに、『あなたたちもぶどう園に行きなさい』と言った。夕方になって、ぶどう園の主人は監督に、『労働者たちを呼んで、最後に来た者から始めて、最初に来た者まで順に賃金を払ってやりなさい』と言った。そこで、五時ごろに雇われた人たちが来て、一デナリオンずつ受け取った。最初に雇われた人たちが来て、もっと多くもらえるだろうと思っていた。しかし、彼らも一デナリオンずつであった。それで、受け取ると、主人に不平を言った。『最後に来たこの連中は、一時間しか働きませんでした。まる一日、暑い中を辛抱して働いたわたしたちと、この連中とを同じ扱いにするとは。』主人はその一人に答えた。『友よ、あなたに不当なことはしていない。あなたはわたしと一デナリオンの約束をしたではないか。自分の分を受け取って帰りなさい。わたしはこの最後の者にも、あなたと同じように支払ってやりたいのだ。自分のものを自分のしたいようにしては、いけないか。それとも、わたしの気前のよさをねたむのか。』このように、後にいる者が先になり、先にいる者が後になる。」


C今日の暦
○聖ベルナルド修道院長教会博士(1090-1153年)。フランス人。1111年当時一番厳しかったシトー会に入会。クレルボーの修道院長として、模範と指導により完徳に進ませた。教会の長上は教会の問題解決のため、彼により頼んだ。そのため教会分裂の際、平和と一致のため西欧中を巡り歩き、またユダヤ人虐殺を身をもって防いだ。
1945年 真岡郵便電信局事件。ソ連軍が侵攻した樺太・真岡で女性電話交換手9名が自決。
1968年 チェコ事件。 ワルシャワ条約機構軍の兵士20万人と5千の戦車がチェコスロバキアに侵攻。ドプチェク党第一書記の自由化政策(プラハの春;事前検閲の廃止、市場経済方式の導入による企業の独立)を弾圧。
1993年 イスラエル(ラビン首相→11月4日C)とパレスチナ解放機構PLO(アラファト議長→10月25日P) が、パレスチナ暫定自治政府創設に関するオスロ合意に署名。
2012年 山本美香没。シリア北部で内戦の取材中のジャーナリスト。シリア政府軍の砲撃を受けた。


W  わたしの気前のよさをねたむ
 原文は「わたしがよいからあなたの目は悪いのか」。 目が悪いとは霊感の光が届かず、人への同情心に欠け、心が暗闇に置かれる状態(マタ6:22-23)。


Pワンポイント (→5月16日W イスラエルの家の失われた羊のところにしか)
夜明けから働いた労働者(ユダヤ人、ファリサイ派)の立場に立つならば、1時間しか働かない労働者(異邦人、罪人)と同じ賃金であることに腹を立てることになる。 逆に1時間しか働かなかった労働者(異邦人、罪人)にしてみれば、朝早くから働いた労働者(ユダヤ人、ファリサイ派)と同じ賃金であることは、大きな喜びであり、主人(神)に感謝すべきこととなる。
 主人(神、イエス)の立場をみるならば、1時間しか働かない労働者(異邦人、罪人)に同じ賃金を与えることは、その場でずっと立ち続けたこと対して、深いあわれみの心をあらわした愛の行いとなる。
 神はすべての人の救いを望んでいる。ユダヤ人も、異邦人も。

8/19

2014年08月18日 | キリスト教
キリスト教歳時記231  8月19日
B今日の福音
 ルカ18:9-14【「ファリサイ派の人々と徴税人」のたとえ】自分は正しい人間だとうぬぼれて、他人を見下している人々に対しても、イエスは次のたとえを話された。「二人の人が祈るために神殿に上った。一人はファリサイ派の人で、もう一人は徴税人だった。ファリサイ派の人は立って、心の中でこのように祈った。『神様、わたしはほかの人たちのように、奪い取る者、不正な者、姦通を犯す者でなく、また、この徴税人のような者でもないことを感謝します。わたしは週に二度断食し、全収入の十分の一を献げています。』ところが、徴税人は遠くに立って、目を天に上げようともせず、胸を打ちながら言った。『神様、罪人のわたしを憐れんでください。』言っておくが、義とされて家に帰ったのは、この人であって、あのファリサイ派の人ではない。だれでも高ぶる者は低くされ、へりくだる者は高められる。」


C今日の暦
 14年 アウグストゥス没(前62年-)。初代ローマ帝国皇帝
1662年 パスカル帰天(1623年-)。フランスの哲学者、自然哲学者(近代的物理学の先駆)、思想家、数学者、キリスト教神学者。『パンセ』
 「人間は葦、自然で最も弱きものに過ぎぬ。ただし考える葦である」。人間は惨めであり、偉大である。これをつなぐものはキリスト教。
 「幸せは私たちの内にあるのでもなく、外にあるのでもない。幸せは神の内にしかない。だから、私たちが神を見いだしているなら、幸せはどこにでもある」。
1901年 尚泰王没(1843年-)。最後の琉球国王(琉球は薩摩藩、清と一定の独自性をもっていたが、琉球処分により沖縄県が設置された)。
1937年 北一輝処刑(1883年-)。社会運動家、国家社会主義者。明治維新の本義は民主主義と主張、明治憲法における天皇制を激しく批判した。
1968年 ガモフ没(1904年-)。ウクライナ生まれのアメリカの理論物理学者。ルメートルの提唱したビッグバン宇宙論を支持。宇宙背景放射の存在を予言。
1991年 ソ連8月クーデター。守旧派が改革派ゴルバチョフ大統領を軟禁、政権を掌握するが、エリツィンロシア大統領の抵抗により失敗。ソ連邦解体につながる。


W今日の言葉 断食②(→1月20日P 断食①)
 律法では、苦行として新年の大贖罪日に行われた(レビ16:29、民数29:7)。
 律法によらないものとして10月10日(バビロン、ネブカドネツァルによるエルサレム包囲;II列王25:1)、4月9日(エルサレム陥落;エレ52:6)、5月7日(神殿崩壊;II列王25:8)、7月2日(ユダの総督ゲダルヤがユダヤ人により殺害;エレ41:1-)にも行われた(ゼカ8:19)。
 ファリサイ派はさらに木曜(モーセがシナイ山に入る)と月曜(シナイ山から下る)にも断食を行っており、このことを誇った。
※十分の一(→7月17日P 十分の一の献げ物)
※胸を打ちながら  悲しみと痛悔を表す。「見物に集まっていた群衆も皆、これらの出来事を見て、胸を打ちながら帰って行った(ルカ23:48)」。


Pワンポイント   
 ファリサイ派は自分の義を誇り、他人と比較して高ぶり、罪人としての自覚がないので罪のゆるしも願わない。「立って」祈るのはユダヤ人の普通の祈り方だが、この動詞には強調的な意味があるとして、フランシスコ会訳では「胸を張って立ち」と訳している。
 徴税人はただ神に自分の罪を告白し、あわれみを願う。 神からすれば義とされたのは徴税人の方だった。

8/18

2014年08月17日 | キリスト教
キリスト教歳時記230  8月18日
B今日の福音
 ルカ18:1-8【「やもめと裁判官」のたとえ】イエスは、気を落とさずに絶えず祈らなければならないことを教えるために、弟子たちにたとえを話された。「ある町に、神を畏れず人を人とも思わない裁判官がいた。ところが、その町に一人のやもめがいて、裁判官のところに来ては、『相手を裁いて、わたしを守ってください』と言っていた。裁判官は、しばらくの間は取り合おうとしなかった。しかし、その後に考えた。『自分は神など畏れないし、人を人とも思わない。しかし、あのやもめは、うるさくてかなわないから、彼女のために裁判をしてやろう。さもないと、ひっきりなしにやって来て、わたしをさんざんな目に遭わすにちがいない。』」それから、主は言われた。「この不正な裁判官の言いぐさを聞きなさい。まして神は、昼も夜も叫び求めている選ばれた人たちのために裁きを行わずに、彼らをいつまでもほうっておかれることがあろうか。言っておくが、神は速やかに裁いてくださる。しかし、人の子が来るとき、果たして地上に信仰を見いだすだろうか。」


C今日の暦
1227年 チンギス・カン没(1162年頃-)。モンゴル帝国初代皇帝。モンゴル遊牧民諸部族を一代で統一、中国北部・中央アジア・イラン・東ヨーロッパなどを次々に征服。世界人口の半数以上を統治するに到る。、「男たる者の最大の快楽は敵を撃滅し、これをまっしぐらに駆逐し、その所有する財物を奪い、その親しい人々が嘆き悲しむのを眺め、その馬に跨り、その女と妻達を犯すことにある」。
1945年 戸田帯刀(たてわき;1898年-)神父(横浜教区長)、憲兵により横浜・保土ケ谷教会で射殺される。
 札幌使徒座代理をを努めていた1942年「米英と戦争をすればどうなるか分からない」と話したと旧軍刑法違反で逮捕された。敗戦後8月16日山手教会に行き、海軍に接収されていた山手教会を返還するよう要請。 教会を以前海軍に引き渡す時「残念ながら、この戦争は日本の負けです。8月15日には終戦になるでしょう。それは、宣戦布告が12月8日マリア様の無原罪の御宿りの祝日だったから、8月15日マリア様の被昇天の祝日に終結するのがふさわしいからです」と語っていた(→8月15日P)。


W今日の言葉  裁判官
 モーセが初めすべて行っていた。しかし義父の助言で、民から選ばれた裁判人に委譲した(出エジ18:13-26)。裁判権は家長、長老に属したが、士師や王に移った(律法の解釈についての問題は祭司があたった)。さらに王のもと、町々から族長やレビ人が裁判官として選ばれた。のちに最高法院(→8月26日W)、地方法院(→4月23日W)にその任務が移された。
 ここで裁判官は無慈悲なものとして、神と対比して語られる。  「支配者らは無慈悲で、盗人の仲間となり 皆、賄賂を喜び、贈り物を強要する。 孤児の権利は守られず やもめの訴えは取り上げられない(イザ1:23)」。
 「彼らは太って、色つやもよく、その悪事には限りがない。みなしごの訴えを取り上げず、助けもせず、貧しい者を正しく裁くこともしない。これらのことを、わたしが罰せずにいられようか、と主は言われる(エレ5:28-29)」。
 「彼らは町の門で訴えを公平に扱う者を憎み、真実を語る者を嫌う(アモ5:10)」。
 不正な裁判官でさえ、やもめの訴えに重い腰を上げた。そうならば、正しい神が訴えをいつまでも放置しておくはずはない。正義の神は正しい訴えに必ず答えて下さる。神に最後まで信頼して祈ることが大事である。
※やもめ(→9月27日W)


Pワンポイント   地上に信仰を見いだすだろうか
 地上の苦しみは一時的なもの。そして神は常に、必ず聞き入れて下さっている。だからけっして心配してはならない。
 たとえ神が速やかに裁いてくださらないと見えても、それは神のせいではない。神に裁きを期待する信仰を失った人間にに問題があるからである。本当に心配しなければならないのは、イエスの来臨の時、信仰が見いだされるかどうか。そのためにこそイエスの弟子は配慮し、人々に勧めなければならない。

8/17

2014年08月16日 | キリスト教
キリスト教歳時記229  8月17日
B今日の福音
ルカ17:28-37 ロトの時代にも同じようなことが起こった。人々は食べたり飲んだり、買ったり売ったり、植えたり建てたりしていたが、ロトがソドムから出て行ったその日に、火と硫黄が天から降ってきて、一人残らず滅ぼしてしまった。人の子が現れる日にも、同じことが起こる。その日には、屋上にいる者は、家の中に家財道具があっても、それを取り出そうとして下に降りてはならない。同じように、畑にいる者も帰ってはならない。ロトの妻のことを思い出しなさい。自分の命を生かそうと努める者は、それを失い、それを失う者は、かえって保つのである。言っておくが、その夜一つの寝室に二人の男が寝ていれば、一人は連れて行かれ、他の一人は残される。二人の女が一緒に臼をひいていれば、一人は連れて行かれ、他の一人は残される。」[畑に二人の男がいれば、一人は連れて行かれ、他の一人は残される。]そこで弟子たちが、「主よ、それはどこで起こるのですか」と言った。イエスは言われた。「死体のある所には、はげ鷹も集まるものだ。」


C今日の暦
1939年 戸塚文卿(ぶんけい;1892年-)帰天。 カトリック司祭、医師。 海軍軍医総監の長男。北海道帝大助教授としてパリ留学中、神学部に転じ司祭叙階。1927年貧しい人のため東京に聖ヨハネ汎愛医院(現桜町病院)、結核患者のため千葉にナザレト・ハウス(現海上寮療養所)を開設。医療福祉と結核予防事業につくした。1938年カトリック新聞社長。
1949年 松川事件。東北本線でレールが外され列車が脱線転覆、乗務員が3名が死亡。組合員への見込み捜査で死刑判決が出たが、最高裁で全員無罪が確定した迷宮入り事件。


W今日の言葉  火
 旧約では神がそこにいることを表すしるしとなっていた。「柴の間に燃え上がっている炎の中に主の御使いが現れた(出エジ3:2)」。
  「山は燃え上がり、火は中天に達し、黒雲と密雲が垂れこめていた。主は火の中からあなたたちに語りかけられた(申命4:11-12)。
 ルカでは「火」は裁きの火を意味する(ルカ3:9,17、ルカ9:54、ルカ17:29)。洗礼者ヨハネは、自分の後に来るメシアは、脱穀場で麦と殻とを峻別し、籾殻を火で焼きつくす方として紹介した(ルカ3:17)。火は不浄を清める。
 また聖霊をあらわしてもいる(「その方は、聖霊と火であなたたちに洗礼をお授けになる」ルカ3:16)。(使徒2:3炎のような舌)
※ソドム(→4月22日W ソドムやゴモラへの罰)。ロトの妻は後ろを振り向いて、塩の柱となった(創世19:26)。
※自分の命を生かそうと努める者は、それを失い、それを失う者は、かえって保つ
  永遠の真のいのちを得るためには、時に、この世のかりそめの命も犠牲にすることが必要になることもある
※一人は連れて行かれ(→10月3日P)


Pワンポイント   死体のある所には、はげ鷹も集まるものだ(ルカ17:37、マタ24:28)
 古い格言。「その(鷲の)雛は血を飲むことを求め、死骸の傍らには必ずいる(ヨブ39:30)」。
 イエスの再臨の時は、だれもそれを見落とすことはなく、そのもとに引き寄せられ、集まる。そして人間はどこにいようとも、その場で突然、裁きを受けなければならない。一人が神の国に連れて行かれるなら、一人は滅ぶものとして(ノアの箱舟に入ることなくその場に;マタ24:37;10月3日B)取り残される。

8/16

2014年08月15日 | キリスト教
キリスト教歳時記228  8月16日
B今日の福音
 ルカ17:20-27【神の国が来る(マタ24:23ー28、37ー41)】ファリサイ派の人々が、神の国はいつ来るのかと尋ねたので、イエスは答えて言われた。「神の国は、見える形では来ない。『ここにある』『あそこにある』と言えるものでもない。実に、神の国はあなたがたの間にあるのだ。」それから、イエスは弟子たちに言われた。「あなたがたが、人の子の日を一日だけでも見たいと望む時が来る。しかし、見ることはできないだろう。『見よ、あそこだ』『見よ、ここだ』と人々は言うだろうが、出て行ってはならない。また、その人々の後を追いかけてもいけない。稲妻がひらめいて、大空の端から端へと輝くように、人の子もその日に現れるからである。しかし、人の子はまず必ず、多くの苦しみを受け、今の時代の者たちから排斥されることになっている。ノアの時代にあったようなことが、人の子が現れるときにも起こるだろう。ノアが箱舟に入るその日まで、人々は食べたり飲んだり、めとったり嫁いだりしていたが、洪水が襲って来て、一人残らず滅ぼしてしまった。


C今日の暦
1875年 チャールズ・フィニー帰天(1792年-)。アメリカの第二次大覚醒の主要な指導者。 29歳の時回心し、1824年に長老派教会牧師。
1830年代彼の教会で、奴隷所有者への陪餐を停止。1835年オベリン大学の教授。後に学長となり白人、黒人、女性の共学を最初に実現。
1929年 津田梅子帰天(1864年-)。日本の女子教育の先駆者。アメリカ留学中の1873年に受洗。、1900年「女子英学塾(現・津田塾大学)」を設立。華族平民の別のない女子教育を志向、進歩的で自由なレベルの高い授業が評判となる。
2005年 ブラザー・ロジェ(1915年-)殺害される。スイス人。「テゼ共同体」創設者で、教会一致運動に貢献。
 第二次世界大戦が始まり「キリスト者同士が和解できたら」と考え、新しい修道共同体を始める場所を探し、何も無いフランスのテゼで「とどまってください。孤独なのです」と語る老婦人に会い、一人祈りと労働の生活を始めた。ナチスから逃れるユダヤ人亡命者の支援を行い、戦後は、ドイツ人の捕虜を訪ねた。1949年復活祭に修道士ブラザーとして教派を超えてともに修道生活をする誓願をたて、7人で男子の修道会・テゼ共同体が発足した。精神を患う女性により刺され死亡。
 「彼は優れた神学者というわけでも、いわゆる偉大な説教者といわれる人物でもありませんでした。そう、説教台に立って身振り手振りで会衆を魅了するような、そんな人ではなかった。彼は、誠実の人でした。語ったこと、行ったこと、すべてが一貫していた。その顔、姿、声、存在……彼のすべてが語っていました。平和に生きる可能性を、和解のうちに生きることができるのだと(ローワン・ウィリアムズ、カンタベリー大主教)」。


W今日の言葉  神の国はあなたがたの間にある
 神の国は、イエスが降誕した時から、もうすでに始まっていて、人々の間にある。それはまだまだ完成されたものではないし、目に見えて分かるものではないかもしれない。しかしすでに現実にある。だから失望してはならない。「しかし、わたしが神の指で追い出しているのであれば、神の国はあなたたちのところに来ているのだ(ルカ11:20)」。


Pワンポイント
 神の国の到来は、ユダヤ人にとり、希望の時である。しかしその直前には、困難な時代が訪れ、戦争や病、飢きんの苦しみがある。またそれがあってもそれでも神の国の到来の時と明らかになることはない。その苦しみの中、救い主の訪れ、イエスの再臨の勝利の時の日を「一日だけでも見たい」という時が来る。その栄光の日は必ず来る。しかし弟子たちが生きている間にはその日が訪れるかどうかは分からない。この世ではまだ苦難が多い。

8/15

2014年08月14日 | キリスト教
キリスト教歳時記227  8月15日
B今日の福音
 ルカ17:11-19【重い皮膚病を患っている十人の人をいやす】イエスはエルサレムへ上る途中、サマリアとガリラヤの間を通られた。ある村に入ると、重い皮膚病を患っている十人の人が出迎え、遠くの方に立ち止まったまま、声を張り上げて、「イエスさま、先生、どうか、わたしたちを憐れんでください」と言った。イエスは重い皮膚病を患っている人たちを見て、「祭司たちのところに行って、体を見せなさい」と言われた。彼らは、そこへ行く途中で清くされた。その中の一人は、自分がいやされたのを知って、大声で神を賛美しながら戻って来た。そして、イエスの足もとにひれ伏して感謝した。この人はサマリア人だった。そこで、イエスは言われた。「清くされたのは十人ではなかったか。ほかの九人はどこにいるのか。この外国人のほかに、神を賛美するために戻って来た者はいないのか。」それから、イエスはその人に言われた。「立ち上がって、行きなさい。あなたの信仰があなたを救った。」


C今日の暦
○聖母の被昇天(1950年ピウス12世教皇が教義として宣言)
 聖母が地上の生活を終えたすぐ後に(マリアが実際に死んだか否かはふれない)、体と霊魂が共に天の栄光にあずかるようにされたことを祝う。
 マリアはいつもイエスと深く結ばれた(イエスを聖霊によって懐胎し、十字架の最期も立って見届け、いつも一緒にいた)。だからこそまっ先に(世の終わりの死者の復活の時を待たずに)イエスの復活と栄光にあずかり、共に天国で暮らす資格がある。
1549年 フランシスコ・ザビエル(イエズス会)、鹿児島に上陸。日本を聖母マリアへ奉献。
1945年 昭和天皇が「戦争終結の詔書」を読み上げる玉音放送により、ポツダム宣言受諾・連合国への降伏が日本国民に伝えられる。
1995年 村山富市首相が、第二次世界大戦における日本の植民地支配と侵略を反省し謝罪する村山談話を発表。


W今日の言葉  重い皮膚病② (→2月26日W 重い皮膚病)
 重い皮膚病の人たちは遠くに立ち止まったまま声をかける。これは「重い皮膚病にかかっている患者は、衣服を裂き、髪をほどき、口ひげを覆い、『わたしは汚れた者です。汚れた者です』と呼ばわらねばならない。この症状があるかぎり、その人は汚れている。その人は独りで宿営の外に住まねばならない(レビ13:45-46)」という規定があり、むやみに近づくと石打ちなどにされる恐れがあった。彼らは人々の住まないところで、集団で暮らさざるを得なかった。
 レビ14:1-32には重い皮膚病を患った人が清めを受けるときの指示が載せられている。重い皮膚病の癒しがなされるので、祭司のところに行けとイエスは言った。人々は信じ、祭司のもとに行く途中、実際癒しが行われた。 おそらくユダヤ人とサマリア人とでは祭司が違うので、ここで2グループに分かれたのだろう。そしてユダヤ人グループは途中で癒されたのを知り、祭司に体を見せることを優先した。癒されたことで満足した。 しかしサマリア人は、神の救いの業がイエスを通してなされたことを知り、イエスに感謝し、神を賛美するため戻った。こうして神との親しい関係を取り戻し、イエスと共に訪れた神の国に、ひとり深く入り込んだ。


Pワンポイント
日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルが上陸し日本をマリアの保護により頼んだのが1549年8月15日。 真珠湾攻撃と機をいつにして米英に宣戦布告し、太平洋戦争が始まったのは、1941年12月8日。聖母マリアが、その母聖アンナの胎内に宿ったことを記念する「無原罪の聖マリアの祝日」。 太平洋戦争が終わったのは、1945年8月15日。 サンフランシスコ講和条約が、サンフランシスコで調印されたのは1951年9月8日「聖母マリアの誕生」の日。 ちなみに日本で建国記念を祝う2月11日は「ルルドの聖母の祝日」。


8/14

2014年08月13日 | キリスト教
キリスト教歳時記226  8月14日
B今日の福音
 ルカ17:7-10 あなたがたのうちだれかに、畑を耕すか羊を飼うかする僕がいる場合、その僕が畑から帰って来たとき、『すぐ来て食事の席に着きなさい』と言う者がいるだろうか。むしろ、『夕食の用意をしてくれ。腰に帯を締め、わたしが食事を済ますまで給仕してくれ。お前はその後で食事をしなさい』と言うのではなかろうか。命じられたことを果たしたからといって、主人は僕に感謝するだろうか。あなたがたも同じことだ。自分に命じられたことをみな果たしたら、『わたしどもは取るに足りない僕です。しなければならないことをしただけです』と言いなさい。」


C今日の暦
○聖マキシミリアノ・マリア・コルベ(1894-1941年)。ポーランド人。コンベンツアル聖フランシスコ修道会司祭。「無原罪のマリアの騎士会」という信心会を作り、雑誌による宣教を始める。1930年日本にも宣教師として訪れ、1か月後には「聖母の騎士」誌を発行。6年後ポーランドに戻った後、アウシュビッツの強制収容所に入る。脱獄者が出て身代わりに10人がが死刑を言い渡された。その一人(妻や子どもと会いたいと訴えた)の身代わりを申し出て、祈りと賛美の中、毒殺された。子どもの時マリアから約束された貞潔と殉教の願いがかなえられたのだった。
1898年 米西戦争終結し、スペインが支配していたフィリピン占領のため、アメリカ軍が派遣される。
1962年 日本FEBC(キリスト教ラジオ放送)開局。超教派の放送伝道行うプロテスタント放送局(現在カトリック司祭も出演しネットでも配信)。
1980年 ポーランドの造船所で労働者がストライキに突入。「連帯」の設立へ連なる。


W今日の言葉  腰に帯
 緊張した状態、また正義と権威を表す。
 「男らしく、腰に帯をせよ。お前に尋ねる。わたしに答えてみよ(ヨブ40:7)」。
 「足取りの堂々としているものが三つ、堂々と歩くものが四つある。獣の中の雄、決して退かない獅子、腰に帯した男、そして雄山羊、だれにも手向かいさせない王(箴言30:29-31)」。
 「あなたは腰に帯を締め、立って、彼らに語れ、わたしが命じることをすべて。彼らの前におののくな、わたし自身があなたを、彼らの前でおののかせることがないように(エレ1:17)」。


Pワンポイント
 次の個所と合わせ読まなければならない。
 「腰に帯を締め、ともし火をともしていなさい。主人が婚宴から帰って来て戸をたたくとき、すぐに開けようと待っている人のようにしていなさい。主人が帰って来たとき、目を覚ましているのを見られる僕たちは幸いだ。はっきり言っておくが、主人は帯を締めて、この僕たちを食事の席に着かせ、そばに来て給仕してくれる。主人が真夜中に帰っても、夜明けに帰っても、目を覚ましているのを見られる僕たちは幸いだ(ルカ12:35-38)」。
 この世で、すぐに報いを求めてはならない。イエスもただ神のみ旨をそれだけが理由で果たしていった。その結果はこの世的に見れば失敗であり、十字架刑だった。しかしそれは神のみ旨であり、そのためにこそ、全人類の救いが達成された。
 人間も同様である。ひたすら神のみ旨を果たし、愛し、ゆるし、奉仕しあわなければならない。
 「互いに愛し合うことのほかは、だれに対しても借りがあってはなりません。人を愛する者は、律法を全うしているのです(ロマ13:8)」。

8/13

2014年08月12日 | キリスト教
キリスト教歳時記225  8月13日
B今日の福音
ルカ16:27-31 金持ちは言った。『父よ、ではお願いです。わたしの父親の家にラザロを遣わしてください。わたしには兄弟が五人います。あの者たちまで、こんな苦しい場所に来ることのないように、よく言い聞かせてください。』しかし、アブラハムは言った。『お前の兄弟たちにはモーセと預言者がいる。彼らに耳を傾けるがよい。』金持ちは言った。『いいえ、父アブラハムよ、もし、死んだ者の中からだれかが兄弟のところに行ってやれば、悔い改めるでしょう。』アブラハムは言った。『もし、モーセと預言者に耳を傾けないのなら、たとえ死者の中から生き返る者があっても、その言うことを聞き入れはしないだろう。』」
 ルカ17:5-6【信仰、奉仕】使徒たちが、「わたしどもの信仰を増してください」と言ったとき、主は言われた。「もしあなたがたにからし種一粒ほどの信仰があれば、この桑の木に、『抜け出して海に根を下ろせ』と言っても、言うことを聞くであろう。


C今日の暦
1521年 アステカ文明の湖上の都がエルナン・コルテス(スペイン人征服者、1485-1547年)により陥落。アステカ文明は完膚なく破壊され、黄金が略奪され、大量虐殺が行われた。
1910年 ナイチンゲール帰天(1820年-)。イタリア生まれのイギリス人。看護師。
 1854年クリミヤ戦争の際、戦場に出かけ、野戦病院で疾病兵の手当てに当たる。統計資料に基づき病院の改善、看護婦の養成をビクトリア女王に進言、実行。「天使とは、美しい花をまき散らす者でなく、苦悩する者のために戦う者である」。
1961年 東ドイツ政府が東西ベルリン間の全ての道を閉鎖し、有刺鉄線による最初のベルリンの壁の建設を開始。西ベルリンは、周囲を全て東ドイツに囲まれた「赤い海に浮かぶ自由の島」となり、東ドイツ国民の西ベルリンへの逃亡が相次いだ。これを防ぐため。


W今日の言葉     死者の中から生き返る者があっても、その言うことを聞き入れはしない
 聖書に預言された通り、救い主、メシアであるイエスは死んで復活した。聖書の預言を理解しなかったユダヤ人の多くは、イエスの復活を聞いても回心することはなかった。
※からし種(→4月8日W)


Pワンポイント    信仰
 「天の国はからし種に似ている。人がこれを取って畑に蒔けば、どんな種よりも小さいのに、成長するとどの野菜よりも大きくなり、空の鳥が来て枝に巣を作るほどの木になる(マタ13:31-32)」。
「イエスは、言われた。『“できれば”と言うか。信じる者には何でもできる。』その子の父親はすぐに叫んだ。『信じます。信仰のないわたしをお助けください』(マコ9:23-24)。」
 「神を信じなさい。……だれでもこの山に向かい、『立ち上がって、海に飛び込め』と言い、少しも疑わず、自分の言うとおりになると信じるならば、そのとおりになる(マコ11:22-23)」。
 「『ここに大麦のパン五つと魚二匹とを持っている少年がいます。けれども、こんなに大勢の人では、何の役にも立たないでしょう。』……集めると、人々が五つの大麦パンを食べて、なお残ったパンの屑で、十二の篭がいっぱいになった(ヨハ6:9,13)」。
 信仰は祈りを多くしたり、信心行をあれこれしたりして、自分で増やすものではない。ただ神を少しも疑わずに信頼するなら、もうそれで十分。あとは神が、神の目で一番よくしてくださる。

8/12

2014年08月11日 | キリスト教
キリスト教歳時記224  8月12日
B今日の福音
 ルカ16:19-26【金持ちとラザロ】「ある金持ちがいた。いつも紫の衣や柔らかい麻布を着て、毎日ぜいたくに遊び暮らしていた。この金持ちの門前に、ラザロというできものだらけの貧しい人が横たわり、その食卓から落ちる物で腹を満たしたいものだと思っていた。犬もやって来ては、そのできものをなめた。やがて、この貧しい人は死んで、天使たちによって宴席にいるアブラハムのすぐそばに連れて行かれた。金持ちも死んで葬られた。そして、金持ちは陰府でさいなまれながら目を上げると、宴席でアブラハムとそのすぐそばにいるラザロとが、はるかかなたに見えた。そこで、大声で言った。『父アブラハムよ、わたしを憐れんでください。ラザロをよこして、指先を水に浸し、わたしの舌を冷やさせてください。わたしはこの炎の中でもだえ苦しんでいます。』しかし、アブラハムは言った。『子よ、思い出してみるがよい。お前は生きている間に良いものをもらっていたが、ラザロは反対に悪いものをもらっていた。今は、ここで彼は慰められ、お前はもだえ苦しむのだ。そればかりか、わたしたちとお前たちの間には大きな淵があって、ここからお前たちの方へ渡ろうとしてもできないし、そこからわたしたちの方に越えて来ることもできない。』


C今日の暦
前30年 クレオパトラ自殺(前69年-)。プトレマイオス朝エジプト最後の女王。弟と結婚し共同統治。カエサル、アントニウスを後ろ盾として王国を維持するが、カエサルが暗殺され、アントニウスがローマ軍(アウグストゥス)に敗戦。自殺。
1945年 満州国鶏寧県麻生区で、日本開拓団が避難中、ソ連軍と満州国軍反乱兵により攻撃され421人が集団自決。
1985年 日本航空123便墜落事故。ボーイング747型機が、群馬県山腹に墜落。乗客乗員520名が死亡。4人が生存。


W今日の言葉  陰府 シェオル(ヘブライ語)、ハデース(ギリシア語) (→6月2日P 地獄、ゲヘナ)
 地下にあり、死者が集められる場所。
 責め苦の地獄(ゲヘナ)と違い、正しい人であれ、悪人であれ、キリスト以前に死んだすべての人の状態。正しい人々は、最後には神を見ることができるよう、陰府であがない主を待ち望んでいた。イエスは死後に陰府にくだり(Iペト3:19)、そこから復活することで、死の力を打ち砕いた(Iコリ15:26)。「十字架につけられて死に、葬られ、陰府に下り、三日目に死者のうちから復活し、天に昇って……(使徒信条→1月5日)」。
 罪人は死後、陰府に入り、復活と公審判により、霊肉共に地獄に落とされる。
 なお地獄と同義で、悪人が刑罰を受け、呪われる場所の意味でも使われる。
 「カファルナウム、お前は、天にまで上げられるとでも思っているのか。陰府にまで落とされるのだ(マタ11:23)」。
 「あなたはペトロ。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる。陰府の力もこれに対抗できない(マタ16:18)」。
 「キリストの復活について前もって(ダビデは)知り、『彼は陰府に捨てておかれず、その体は朽ち果てることがない』と語りました(使徒2:31)」。


Pワンポイント 紫
 紫はカナンでとれる貝から絞り出す染料により、エジプトでも珍重された。高貴な色と尊ばれ、紫布は王、祭司、金持ち、神殿に用いられた。
 「そして、イエスに紫の服を着せ、茨の冠を編んでかぶらせ(マコ15:17)」。(→8月25日W 布)
 「大理石の柱から柱へと紅白の組みひもが張り渡され、そこに純白の亜麻布、みごとな綿織物、紫の幔幕が一連の銀の輪によって掛けられていた(エス1:6)」。
 キリスト信者になったものに「ティアティラ市出身の紫布を商う人で、神をあがめるリディアという婦人(使徒16:14)」が登場する。
 カナンは紫色の国、フェニキアは赤紫色の意味を持つ。

8/11

2014年08月10日 | キリスト教
キリスト教歳時記223  8月11日
B今日の福音
 ルカ16:9-13 そこで、わたしは言っておくが、不正にまみれた富で友達を作りなさい。そうしておけば、金がなくなったとき、あなたがたは永遠の住まいに迎え入れてもらえる。ごく小さな事に忠実な者は、大きな事にも忠実である。ごく小さな事に不忠実な者は、大きな事にも不忠実である。だから、不正にまみれた富について忠実でなければ、だれがあなたがたに本当に価値あるものを任せるだろうか。また、他人のものについて忠実でなければ、だれがあなたがたのものを与えてくれるだろうか。どんな召し使いも二人の主人に仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛するか、一方に親しんで他方を軽んじるか、どちらかである。あなたがたは、神と富とに仕えることはできない。」
 ルカ16:14-17【律法と神の国(マタ11:12ー13)】金に執着するファリサイ派の人々が、この一部始終を聞いて、イエスをあざ笑った。そこで、イエスは言われた。「あなたたちは人に自分の正しさを見せびらかすが、神はあなたたちの心をご存じである。人に尊ばれるものは、神には忌み嫌われるものだ。律法と預言者は、ヨハネの時までである。それ以来、神の国の福音が告げ知らされ、だれもが力ずくでそこに入ろうとしている。しかし、律法の文字の一画がなくなるよりは、天地の消えうせる方が易しい。


C今日の暦
○聖クララおとめ(1193-1153年)。イタリア、アシジで貴族の長女として生まれる。フランシスコに感銘を受け、フランシスコたちのもとに家出し、断髪。やがて妹を始め彼女に従いたい女性が集まり、クララ会を創立。清貧と沈黙の生活を送った。ドイツ皇帝がイスラム教徒と共に修道院を襲った時は、聖体に助けを求めた。
1584年 天正少年遣欧使節リスボンに上陸(→2月20日C)
1919年 A.カーネギー没(1835年-)。アメリカの実業家。スコットランドから父とともに渡米。職工、電報局員、鉄道会社など勤める。1865年鉄鋼ブーム期に製鉄業を設立。アメリカの鉄鋼の4分の1を占める。1901年引退し、カーネギー協会、財団を作り、3億5千万ドルを計画的に寄付した。「蓄財は偶像崇拝の悪い種の一つだ。金銭崇拝ほど品位を低下させる偶像はない」「裕福な人はその富を浪費するよりも、社会がより豊かになるために使うべきだ」。
1988年 アルカイダ結成。 アメリカ中央情報局(CIA)とパキスタン軍統合情報局(ISI)が1978年以降ソ連邦によるアフガニスタン侵攻に対抗させるために、イスラム義勇兵を訓練・育成し武装化させたことに始まる。


W今日の言葉
 小さなことはこの世のこと。 大きなことは天の国のこと。 
 本当に価値あるものは真理の言葉。 他人のものとは神から任されたものであるこの世の財産など。
※律法と預言者(→3月8日P)


Pワンポイント  不正の冨で友を作る    冨(→3月16日W 冨、マンモン)
 冨は不正な手段で得られることが多く、不正の原因ともなる。しかし冨を善用することもできる。
 この世の冨を施すなど善用して、施される人と友となれ。そうすることでイエスを弁護人とすることができる(マタ25:34-40)。そうすれば永遠の命に入ることができる。
 さてファリサイ派は二重の偽善の状態にある。一つは自分で自分が正しいと思っていること。二つ目はそれを人にも認めさせようとすること。そういう偽善は人からは尊ばれても、神からは忌み嫌われるものでしかない。
 ところでファリサイ派は、自分たちこそが律法を正しく理解し、それを行っていると自負していた。しかし聖書全体は救い主、イエスの到来を預言しており、イエスにおいて神のみ心がしっかりと知らされて、律法は完成するものであった。

8/10

2014年08月09日 | キリスト教
キリスト教歳時記222  8月10日
B今日の福音
 ルカ16:1-8【「不正な管理人」のたとえ】イエスは、弟子たちにも次のように言われた。「ある金持ちに一人の管理人がいた。この男が主人の財産を無駄使いしていると、告げ口をする者があった。そこで、主人は彼を呼びつけて言った。『お前について聞いていることがあるが、どうなのか。会計の報告を出しなさい。もう管理を任せておくわけにはいかない。』管理人は考えた。『どうしようか。主人はわたしから管理の仕事を取り上げようとしている。土を掘る力もないし、物乞いをするのも恥ずかしい。そうだ。こうしよう。管理の仕事をやめさせられても、自分を家に迎えてくれるような者たちを作ればいいのだ。』そこで、管理人は主人に借りのある者を一人一人呼んで、まず最初の人に、『わたしの主人にいくら借りがあるのか』と言った。『油百バトス』と言うと、管理人は言った。『これがあなたの証文だ。急いで、腰を掛けて、五十バトスと書き直しなさい。』また別の人には、『あなたは、いくら借りがあるのか』と言った。『小麦百コロス』と言うと、管理人は言った。『これがあなたの証文だ。八十コロスと書き直しなさい。』主人は、この不正な管理人の抜け目のないやり方をほめた。この世の子らは、自分の仲間に対して、光の子らよりも賢くふるまっている。


C今日の暦
○聖ラウレンチオ助祭殉教者(-258年)。スペイン生まれ。バレリアヌス帝の迫害により殉教。教会財産を管理していたため、総督に全部出すよう命じられた。ラウレンチオは全部貧しい人に配り、代わりに、身しょう者や貧しい人、老人を連れて行って教会の宝物といった。鉄の網の上で少しずつ焼かれ殉教。
610年 ムハンマドに大天使ジブリールが現れ、最初の神からの啓示を与える。
1945年 ポツダム宣言受諾


W今日の言葉
※この世の子ら。 現世的精神によって支配される悪魔の僕
※光の子ら。   神の光によって導かれた人(ヨハ12:36)
※コロス=230リットル、バトス=23リットル。


Pワンポイント
証文を書き直すことで、管理人は借りある人に得をさせ、恩をつくった。これでは主人としてはますます損害が大きくなる。しかしそのようにしてまで首になった後の生活を考え、十分に対策を立てた抜け目なさ。そのような知恵を管理人はほめた。
 しかしこのようなだます行いをイエスはほめるだろうかと疑問を持つ人もいる。そこで合理的に分かりやすい説明する人もいる。
①「律法は同胞から利子をとるのを禁じていた。しかし実際には証文を作成したときに利子分を含めて上乗せし、隠しとる方法が一般的だった。管理人はこの禁じられた利息分を差し引いた証文に書き換えた。つまり利子を含めない本来あるべき数字に変えただけ。こうなれば主人は何も言えない。言えば不正を暴かれることになる。この管理人の抜け目のなさを主人はほめたのだ」とも。
②金持は自分の土地を小作人に貸しつけるが、これを管理する管理人を別に置く。管理人は小作人と直接契約し、主人に納める分と自分の取り前を、自由に決定する権限をもつ。管理人は、小作人が主人に納めるべき分は主人に納めさせ、自分が小作人から取るはずの分を取らず、その分だけ小作人に恩を売って自分の立場をよくし、将来に備えようとした。

8/9

2014年08月08日 | キリスト教
キリスト教歳時記221  8月9日
B今日の福音
 ルカ15:25-32 ところで、兄の方は畑にいたが、家の近くに来ると、音楽や踊りのざわめきが聞こえてきた。そこで、僕の一人を呼んで、これはいったい何事かと尋ねた。僕は言った。『弟さんが帰って来られました。無事な姿で迎えたというので、お父上が肥えた子牛を屠られたのです。』兄は怒って家に入ろうとはせず、父親が出て来てなだめた。しかし、兄は父親に言った。『このとおり、わたしは何年もお父さんに仕えています。言いつけに背いたことは一度もありません。それなのに、わたしが友達と宴会をするために、子山羊一匹すらくれなかったではありませんか。ところが、あなたのあの息子が、娼婦どもと一緒にあなたの身上を食いつぶして帰って来ると、肥えた子牛を屠っておやりになる。』すると、父親は言った。『子よ、お前はいつもわたしと一緒にいる。わたしのものは全部お前のものだ。だが、お前のあの弟は死んでいたのに生き返った。いなくなっていたのに見つかったのだ。祝宴を開いて楽しみ喜ぶのは当たり前ではないか。』」


C今日の暦
1871年 散髪脱刀令。岩倉具視(7月20日C)が欧米が日本の風俗を問題にして外交問題が解決しないと具申した。髪型は自由、華族・士族は刀を差さなくても構わない。
1942年 聖テレサ・ベネディクタ(十字架の)おとめ殉教者(エディット・シュタイン)帰天(1891年-)。ドイツ領でユダヤ教徒の家庭に生まれる。哲学を学んだあとカトリックにひかれ、受洗し、ケルンのカルメル会に入る。ユダヤ人迫害が及びオランダに逃れる。1942年ポーランド、アウシュビッツ収容所に送られ、ガス室で処刑される。アメリカの少女がシュタインに代願したところ、奇跡的に病気が回復し、列福を推し進めた。1998年列聖。
1945年 長崎・浦上に原爆投下(プルトニウム型)。11時12分。15万人が死亡。第1目標だった福岡県小倉が天候が悪く長崎に変更。周りが山で囲まれ、被害はそれでも少なくて済んだ。浦上地区はキリシタンと韓国人が多かったため、罰があたったと長崎市民からも差別を受けた。
1969年 マンソン(カルト指導者)の信奉者が、命令により女優シャロン・テートら5人の無差別殺害を実行


W今日の言葉   弟
 弟のことを兄は「あなたのあの息子」と呼び、自分との関係を弱めようとする。しかし父は「お前のあの弟」と呼ぶ。あくまでお前の兄弟と言いたい。
「もし放蕩息子が / 父よりも先に兄と出会ったとすれば / 果たして家に入る勇気がもてただろうか
 私たちも気をつけよう
 父の家に戻ろうとしている兄弟姉妹たちが / 私たちの態度を見て / 助けられ、招かれるどころか
 逆に妨げられてしまうことのないように
 兄の態度は私たちに次のことをおしえている
 罪が徳を装い / 敵対心が穏やかな忠実さの中に / 身を隠すこともありうるのだと」(J.タイガー)


Pワンポイント   永井隆(1908-1951年)
 被爆者の中に、永井隆がいた。 唯物論者だあったが、母が1931年脳溢血で急逝したのを機に霊魂があると信じるようになる。パスカルの『パンセ』愛読、カトリックに惹かれた。浦上天主堂近く森山家に下宿、後に妻となる一人娘の緑と出会う。1932年長崎医大卒、1934年受洗、結婚。1937年長崎医大講師となるや日中戦争で軍医として出征。1940年帰国。
 結核のX線検診に従事したが、フィルム不足で透視による診断を続け、1945年6月には被曝による白血病と診断され、余命3年の宣告を受けた中、大学で被爆。妻は即死。右側頭動脈切断という重傷の中、布を頭に巻くのみで救護活動にあたった。翌日米軍により投下されたビラで原爆が落とされたと知る。9月20日出血が止まらず昏睡状態に陥る。終油の秘蹟を受け、コルベ神父(永井が診察したことがある)に由来する本河内のルルドの水を飲んだところ回復した。「原子爆弾救護報告書」作成。
 1946年長崎医科大学教授に。1948年桜の苗木1000本を浦上天主堂などに寄贈。8月大学を休職、自身の療養のため「如己堂(己の如く人を愛せから)」に住み始める。1949年ヘレン・ケラーの訪問を受ける。
 子どものため『長崎の鐘』『この子を残して』『長崎の花』『乙女峠』など多くの著作を残した。
 原爆投下を「神の御摂理」と解釈し、原爆死没者を「汚れなき小羊の燔祭(ホロコースト)」、生き残った被爆者は「神が与えた試練であり、神に感謝」すべきと説き、賛否が分かれる。