主に古手さんの素敵でない日常

「うぇぷ」
　仕事場で私は吐き気に耐える。朝からクリスマスケーキ食べておなかがアレでは，まあ，あるんですけど。
「どうしたんです古手君。体調，わるい？」
「いえ―はい，いえ―悪いのは今日のニュースかなー…」

BBC news Middle East Christians targeted by Baghdad bombs　25 December 2013

　…うん。
　世界情勢のチェックは，通常業務のうち，だけども。

「うぁう」

主に古手さんの素敵でない日常

「ここしばらく…ものっそ…」

　ひっどいニュースの調査分析ばっかで，すっごい心が死にそう。
　あ。
　こんなときは，そうだ，歌を，元気になる歌を聞こう―

<iframe width="560" height="315" src="//www.youtube.com/embed/mmZRHGMWXzw" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>

「―うん。君，そう落ち込むものじゃないよ。元気をだしたまえ。未来への希望に満ちた，あのころを思い起こせばいいよ，ほら」

BBC news Africa A song for south Sudan: Writing a new national anthem　12 January 2011

ああ神よ！

私たちはあなたを讃える　あなたを称賛する

だってあなたの恵みがクシュに―

―偉大な戦士たちの大地に―おありだから

そこは世界の文明の誕生の地
ああクシュ！

たちあがれ　かがやけ　導きの星とともに君の旗を掲げよ

そして歌を歌え　自由の歌を　喜びと共に

平和のために　自由と正義とが

永遠に支配するように

そして我らの導き主は南スーダンを祝福する

ああ黒い戦士たちよ！

立ち上がろう，厳かにしかし敬意のうちに

敬礼をささげながらだ

―幾百万の犠牲者たちに

―我らの国の基を血で以て固めた者たちに

私たちは誓おう，我らの国を護ると―




　どぱあ。

「わあ，どうしたの古手君，そんな急に目から大汗かいて」
「とらうま。それ」
「脳天気なひとが国歌の公募にポップラブソング投稿してきたっていうんで，大笑いしてたじゃない」
「やつらはじゅうまんかいくらいぷりきゅあそんぐうたってのーみそはっぴーになっちゃえばいいんだ」

　いえ，わりとマジに。
　二年前はあんなに脳天気に新しい国の誕生を迎えたのに，今は。
　聖なる日を迎えるのに，あそこはあんなで。

「ああああクリスマスなのにクリスマスなのにクリスマスなのに！　私はこんなで，世界はこんなで！　クリスマス休戦もしらない人たちなんか嫌いだぁ！！」
「ほんとにねぇ」
「貴方もですよぉ！！！」






47NEWS 「「クリスマスケーキある」と詐取　京都、高齢女性から」2013/12/24 22:34【共同通信】

「京都府警上京署は２４日、京都市上京区の８０代の無職女性が男から金融機関での口座開設を勧められ、通帳と印鑑をだまし取られたと発表した。上京署によると、男は「ケースワーカーがクリスマスケーキを持っていく」などと言って女性をだましていた。同署は詐欺事件として捜査している」
「女性は２４日午前９時ごろ、自宅近くの路上で区役所職員を名乗る男に呼び止められ「今より金の殖える通帳を作ってあげる」「小遣いが月３万円入る」などと勧誘された」
　
　寂しく暮らし，
　町の華やいだ空気の中でもひとり寂しく暮らしていて，
　たとえ一緒に時間を過ごすわけではなくても，季節の土産をもってやってくる客人があると聞かされて

　心揺れてしまう気持ちが分る者は彼女のために祈りましょう。