英語学習は続く・・

英語ドラマや映画を繰り返しみて
そして原書をたくさん読んで☆
声を上げて読む〜☆

怪人二十面相 21

2022-11-03 21:37:14 | 怪人二十面相

 こんなにさわいでも、にげだそうともせぬところをみると、賊は息絶えているのでしょうか。

 In this havoc it didn't move. He might be dead.

  それとも、気をうしなっているのでしょうか。まさか、木の上で、居眠りをしているのではありますまい。

 Or he might have lost consciousness. He couldn't be sleeping on the tree.

「だれか、あいつを引きおろしてくれたまえ。」
 係長の命令に、さっそくはしごが運ばれて、それにのぼるもの、下から受けとめるもの、三―四人の力で、賊は地上におろされました。

"Let him get down here."
 By order from the cheif a ladder was brought. One climbed up, another recieved it. He was brought down by several people.

「おや、しばられているじゃないか。」
 いかにも、細い絹ひものようなもので、ぐるぐる巻きにしばられています。そのうえさるぐつわです。

"See, he's bound."
 Sure, he was tied up by thin rope and gaged.

 大きなハンカチを口の中へおしこんで、別のハンカチでかたく、くくってあります。それから、みょうなことに、洋服が雨にでもあったように、グッショリぬれているのです。

A big handkerchief was shoved into his mouth and another tied on it hard. And it was strange enough his clothe were soked wet as if he had stayed in rain.

  さるぐつわをとってやると、男はやっと元気づいたように、
「ちくしょうめ、ちくしょうめ。」
と、うなりました。

 When the gag was loosened, he seemed to recover and groaned.
"Damn it!"

「アッ、きみは松野君じゃないか。」
 秘書がびっくりしてさけびました。

"Oh, you are Matsuno."
 The scretary yelled in surprise.

 それは二十面相ではなかったのです。二十面相の服を着ていましたけれど、顔はまったくちがうのです。おかかえ運転手の松野にちがいありません。

 It wasn't Twenty Faces at all. He was in Twenty Faces' clothe but his face was not it. This was the chauffer Matsuno, indeed.

 でも、運転手といえば、さいぜん、早苗さんと壮二君を学校へ送るために、出かけたばかりではありませんか。その松野が、どうしてここにいるのでしょう。
「きみは、いったいどうしたんだ。」

 But speaking of the chauffer, he had gone out with Sanae and Souji to their school. Why then he is here.
"What happened to you?"

 係長がたずねますと、松野は、
「ちくしょうめ、やられたんです。あいつにやられたんです。」
と、くやしそうにさけぶのでした。

As the chief asked,
"Damned it! I'm done. He beat me."
He shouted regretfully. 

 

この章はこれで終わりです。

 


怪人二十面相 20

2022-11-03 00:05:00 | 怪人二十面相

「では、もう一度庭をさがしてみましょう。ずいぶん広い庭だから、どこに、どんなかくれ場所があるかもしれない。」

 Then let's search the garden again. It's really spacious, we don't know what kind of places to hide there are."

 ふたりがそんな立ち話をしているところへ、庭の築山の向こうから、とんきょうなさけび声が聞こえてきました。
「ちょっと来てください。発見しました。賊を発見しました。」

While two of them had this conversation there came a freakish shout from over the hill.
"Come along please. I found it. I found the thief."

 そのさけび声とともに、庭のあちこちから、あわただしい靴音がおこりました。警官たちが現場へかけつけるのです。中村係長と主任刑事も、声を目あてに走りだしました。

 With that voice a lot of dashing footsteps arose from everywhere. The policemen were running toward the spot. The chief Nakamura and the chief detective started heading toward the voice.

 行ってみますと、声のぬしは羽柴氏の秘書のひとりでした。彼は森のような木立ちの中の、一本の大きなシイの木の下に立って、しきりと上のほうを指さしているのです。
「あれです。あすこにいるのは、たしかに賊です。洋服に見おぼえがあります。」

 They arrived there to find out it was one of Hashiba's secretaries. He was standing under a castanopsis among woods and ponting upward.
"There. I'm sure it's the thief there. I saw that clothe."

 シイの木は、根もとから三メートルほどのところで、二またにわかれているのですが、そのまたになったところに、しげった枝にかくれて、ひとりの人間が、みょうなかっこうをしてよこたわっていました。

 On two pronged part at three meteres high of the catanopsis there was a person lay in the weired shape.