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萌える男 (筑摩書房 新書)辛口の書評

2006-07-30 19:24:40 | 「オタク」とは「萌え」とは
本田透氏著:萌える男 (新書)   萌えや恋愛を近代思想家などの名前の列挙で語る、少々難のある本。


2005年流行語大賞の10位に「萌え」が入賞して以来、社会的に注目を浴びているが、「萌え」=名詞に加え、「萌える」=動詞としても使うため、適用範囲が広範となり、定義が厄介な中の「萌える」当事者から一人称で発言した書。まだまだ、世間の大多数に誤解の多い「オタク」を自明なものとしたうえで、「萌え」を定義し「萌える」当事者が情報発信しているので、意義は評価できるが、いろいろな点で無理がある。

まあ、バブル以降、恋愛と純愛が別物になったという文脈から始まるが、その恋愛を語るために近代思想家の名前を出すので苦しくなってきて、第三章以降は、「エヴァ」や「Kanon」、「電車男」、「シスタープリンセス」、「マリア様が見ている」などを、「キリスト」、「ユング」、「岸田秀」、「養老孟司」といった言葉を用いながら説明している。問題は、(私は前者後者とも知っているが)前者の説明が9割、後者が1割であるところで、一般的な新書の読者としては、後者の文脈を深めてから前者を解釈するので、これは新書としては無理がある。というのか、本田氏は後者についてよくわかっていない。

正直まとめられないが、(「恋愛資本主義」と距離を置いている女性の存在を無視した上で)、「恋愛資本主義」に背を向けた「萌える男」は偉いんだ。結論しかいえないです。

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