俺の琴線

心に響いたもの、それがどんなものであっても...

ヒロシの異郷の駅前食堂にハマる

2019-12-18 09:50:57 | メディア
テレビ番組は厳選して視聴している私だけれど,旅行・紀行ものはなんとなく見てしまう.多チャンネル自動録画機が,キーワードでピックアップしたものを見ることが多いので,飛ばし見も多い.

といっても,それほど面白いものがあるわけではなく,多くは観光地を回るだけだったり,タレントや制作者側のいきすぎた演出などでつまらなくなって視聴を止めてしまう番組も多い.

その中でも,最近作り方として面白いと思うのは,ヒロシの「迷宮グルメ 異郷の駅前食堂」だ.
バラエティ番組を全く見ない私だが,ヒロシ自身は大学生の頃見た覚えがあったが,本人には申し訳ないけれど,一発屋で消えていくんだろうなあという意識しかなかったかな……

たまたまレコーダーのセレクトにひっかかったこの番組を見てみると,たちまち引き込まれてしまった.既に放送された30分番組を2本くっつけて1時間ものにしたものらしく,前半と後半で全く脈絡のない2カ国の駅周辺の食堂をヒロシが訪れて食レポするだけなのだが,これがなかなかに良い.

何回か見ていて,演出が最低限にしかなされていないのが心地良いのかもしれないと気付いた.
番組は毎度同じパターンで水戸黄門のようである.

1 電車に乗っているヒロシ
2 駅を降りて,そのへんをブラブラ.
3 疲れてきたら適当な食堂に入り食レポ

これだけの30分番組である.

しかし,この間喋るのはヒロシだけで,同行スタッフは全く口を開かない(たまに笑い声入ることはあるが,ごく稀).通訳も同行していると思われるが,現地の人とヒロシの会話が上手くいかなくても通訳の手助けがないので,ヒロシが誤解したまま番組が進んでいくことも多い(テロップで現地の言葉についての翻訳は出るが,それは後付ゖなので).その緩い感じもまた良いのだと思う.

同じようにタレントが一人で喋るだけの旅行番組に,お笑いタレントせいじの「千原せいじ漫遊記」がある.この番組も最初は楽しんで見ていたのだが,そのうちにスタッフの忖度的な笑い声が鼻に付くようになってきて,最新のミャンマー編では,途中で飛ばしてしまった.周囲の同行スタッフがせいじに気を使っているのがありありで,見ていて気疲れするようになってしまった.
さらに,このせいじの番組では,通訳が同行しせいじに全部通訳して,国の事情や歴史も語ってくれるのだが,せいじのキャラクターもあって,この現地人の通訳もじゃけんに扱われているように見えてしまうのだ.

せいじと比するとヒロシはあまり前に出ないキャラであるし,現地の人にも常識的な対応をしているので見ていて気持ち良い(あたりまえの話ではあるのだが).関西人の私から見ていても,そうなのだ.おそらく,今の年齢まで様々な苦労を重ねてきたのであろうヒロシは,他人に対して一定の尊厳を持って対応しているように見える.決して知識が豊富なわけではないが,常識人的な現地の人とのカタコトの会話が心地良いのだ.そして,なんの思考も押しつけてこない.番組から視聴者がそれぞれなにか感じればよい.
Youtubeで海外の様々なローカルな場所に行くことをネタにした動画も多くあるが,どれも配信者の人格が浅すぎて,飽きてしまう.知識ではなく人格が大事なのだ.貧しい地域に入っていって,僕こんなとこに入ってすごいでしょ,みんなは日本で幸せだと思わなきゃだめだよ,というのでは,あまりにも浅い.

そういったことも踏まえ,この駅前食堂は近年見る旅行番組では出色の出来だと思う.


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