言語系統の分類では、ベトナム語はオーストロアジア語族になるそうだ。クメール語(カンボジア語)も同じくこのオーストロアジア語族だ。
タイ語、ラオ語(ラオス)、ビルマ語はシナ=チベット語族に分類される。
なんとなく変な感じがする。
ぼくはクメール語もタイ語も読めないが、見たことはある。とてもよく似ている。ぼくのような素人は、文字を見ただけではクメール語とタイ語の違いを判断できない。
一方ベトナム語とクメール語は誰が見ても違う文字であることがはっきりわかる。ベトナム語はアルファベットを基調としているからだ。
ベトナム(キン族)がもとは中国南部の民族であったのに対し、アンコールワットを造ったクメール族はインドシナ半島中央部の民族である。地理的にも離れた民族だ。
ではなぜベトナム語とクメール語は同系統に分類されるのか。
言語系統の分類では、文字の見た目はあまり重要でないらしい。
文字以前に発生した「話し言葉」が重要なのだ。
ベトナム語とクメール語には多くの共通点があるという。
・ 時制によって語形が変化しない。過去・現在・未来を厳密には区別していない。
・ 単音節・孤立語型。一つの単語に母音が一つで、他の単語が別の単語に影響を与えることがない。
・ 人称名詞が非常に多い。ベトナム語を話すとき、瞬時に相手が自分より年上か年下か同じくらいの年齢かを判断しなくてはいけない。それによって相手を指す単語が違うのだ。クメール語も同様だが、クメール語の場合、年齢だけでなく身分によっても呼び方を変えるらしい。
さて話をベトナム語の文字の歴史に転じよう。
10-19世紀の王朝時代、ベトナムでは漢字・漢文が公式の文章として用いられてきた。漢文が公式文書として用いられてきた歴史は日本でも同じである。平安時代になると、ひらがなが発案され、一般大衆に広まった。
ベトナムでも13・14世紀ごろベトナム独自の文字であるチュノム文字が発案された。しかしこれは一部の学者が中国文化に対抗して作ったもので、漢字をさらに複雑にした文字であった。その難解さゆえに一般大衆に広まることはなかった。
17世紀ごろカソリック宣教師がベトナム語のローマ字表記を体系化した。現在のベトナム語(クオック・グー:国語)である。
19世紀後半、フランスは植民地政策としてフランス語の普及とクオック・グーの普及を行った。
その後ベトナム民族主義の立場からも、政治運動が容易になるという理由で、クオック・グーの普及が図られた。
ホーチミンが新年の挨拶で子供たちに「クオック・グーを勉強しなさい」と言っている文章を読んだことがある。
以上がベトナム語の歴史の概要である。
「ベトナム語は難しい」にも書いたが、とにかく発音が難しい。6つのの声調(アクセント)があり、声調によって意味が異なるのだ。ぼくは現地でシンチャオ(こんにちは)さえ通じなかった。長年現地に住めば馴れて話せるようになるだろうか。
写真:ヴィンロン市場の肉屋
タイ語、ラオ語(ラオス)、ビルマ語はシナ=チベット語族に分類される。
なんとなく変な感じがする。
ぼくはクメール語もタイ語も読めないが、見たことはある。とてもよく似ている。ぼくのような素人は、文字を見ただけではクメール語とタイ語の違いを判断できない。
一方ベトナム語とクメール語は誰が見ても違う文字であることがはっきりわかる。ベトナム語はアルファベットを基調としているからだ。
ベトナム(キン族)がもとは中国南部の民族であったのに対し、アンコールワットを造ったクメール族はインドシナ半島中央部の民族である。地理的にも離れた民族だ。
ではなぜベトナム語とクメール語は同系統に分類されるのか。
言語系統の分類では、文字の見た目はあまり重要でないらしい。
文字以前に発生した「話し言葉」が重要なのだ。
ベトナム語とクメール語には多くの共通点があるという。
・ 時制によって語形が変化しない。過去・現在・未来を厳密には区別していない。
・ 単音節・孤立語型。一つの単語に母音が一つで、他の単語が別の単語に影響を与えることがない。
・ 人称名詞が非常に多い。ベトナム語を話すとき、瞬時に相手が自分より年上か年下か同じくらいの年齢かを判断しなくてはいけない。それによって相手を指す単語が違うのだ。クメール語も同様だが、クメール語の場合、年齢だけでなく身分によっても呼び方を変えるらしい。
さて話をベトナム語の文字の歴史に転じよう。
10-19世紀の王朝時代、ベトナムでは漢字・漢文が公式の文章として用いられてきた。漢文が公式文書として用いられてきた歴史は日本でも同じである。平安時代になると、ひらがなが発案され、一般大衆に広まった。
ベトナムでも13・14世紀ごろベトナム独自の文字であるチュノム文字が発案された。しかしこれは一部の学者が中国文化に対抗して作ったもので、漢字をさらに複雑にした文字であった。その難解さゆえに一般大衆に広まることはなかった。
17世紀ごろカソリック宣教師がベトナム語のローマ字表記を体系化した。現在のベトナム語(クオック・グー:国語)である。
19世紀後半、フランスは植民地政策としてフランス語の普及とクオック・グーの普及を行った。
その後ベトナム民族主義の立場からも、政治運動が容易になるという理由で、クオック・グーの普及が図られた。
ホーチミンが新年の挨拶で子供たちに「クオック・グーを勉強しなさい」と言っている文章を読んだことがある。
以上がベトナム語の歴史の概要である。
「ベトナム語は難しい」にも書いたが、とにかく発音が難しい。6つのの声調(アクセント)があり、声調によって意味が異なるのだ。ぼくは現地でシンチャオ(こんにちは)さえ通じなかった。長年現地に住めば馴れて話せるようになるだろうか。
写真:ヴィンロン市場の肉屋