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南魚沼~わが故郷から~

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8月18日 日本農業新聞社説から

2016年08月18日 | Weblog
日本農業新聞は8月18日、興味深い社説を掲載しています。
戦後71年を経た現在の、日本と同じく敗戦国であったドイツと日本の違いについて書いています。
馬鹿の一つ覚えのように米合衆国追従を続け、独自戦略を持たない日本とは大きな違いがあるように思います。
ドイツのような生き方、参考になると思います。
是非読んでください。

「戦後71年を迎える中で、敗戦国の日本とドイツは奇跡の復興を遂げ、共に強固な製造業を武器に世界屈指の経済大国となった。
だが二つの国は政策的にも類似点よりも相違が目立つようになった。
特に、戦後処理の向き合い方や経済対策、エネルギー対策、農業政策などで違いは歴然としている。
いま一度、ドイツの「戦後」に学ぶときではないか。

最近、両国は違いばかりが目立つ。
記憶に新しいのが先進7カ国(G7)首脳による伊勢志摩サミット。
安倍晋三首相の国際経済認識にメルケル独首相が異を唱えた。
経済成長の後押しに借金を重ねる日本に対し、ドイツは健全財政が国是だ。
戦後、悪性インフレで苦しんだ経験から財政健全化を第一にして2015年には財政黒字化を達成した。

日独で経済政策の重点が違う。
日本は自由競争、規制撤廃を前面に出す「アングロサクソン型資本主義」に偏りすぎていないか。
安倍首相は当初、日本の国柄を踏まえた「瑞穂(みずほ)の国資本主義」を目指すとした。実際は環太平洋連携協定(TPP に典型
な新自由主義的な側面ばかりが目立つ。
ドイツは同国の大河から取った「ライン型資本主義」を推進する。
競争力重視の一方で、弱者救済のセーフティーネットを網羅している。
労働時間も短く、経済格差を示すジニ係数0.29と日本の0.3台に比べ低い。

エネルギー政策も相違点ばかりが目立つ。
メルケル独首相は東日本大震災の原発事故を踏まえ、エネルギー政策の大転換を決断した。今後は風力、地熱、太陽光など再生
可能エネルギーを主軸に据え原発全廃を進める。
既存原発の再稼働を急ぐ日本とは異なる。

農業政策ではどうか。
「日本農政の憲法」とされた55年前の農業基本法はドイツ農業法を手本に制定した経過がある。
農業白書につながる年次報告と政府所見、農業と他産業との所得均衡などだ。
だが、現在、両国の農業基礎体力は大きく差がついた。
例えば食糧自給率は日本が先進国最低の4割弱となっている一方で、ドイツは8割前後を保つ。

問題は穀物自給率の推移だ。
畜産・酪農の振興は、穀物自給が伴わなければ国際相場で経営は大きな影響を受ける。
日本の穀物自給率は2割台と韓国並みの異常な低さにとどまってきた。
最近、水田フル活用、主食用米の需給調整から飼料用米シフトを財政支援しているが、本格的な畜産とのリンク、耕畜連携は
始まったばかりである。

戦後処理の向き合い方も違う。
ドイツはナチスによるユダヤ迫害などを「負の歴史」と位置づけ人権を最重視する。
日本はいまだに中韓などと歴史認識で論争が続いているのが実態だ。
戦後71年。
アジアの海洋国家と応酬の大陸国家と置かれている立場は違うが、ドイツに謙虚に学ぶ点も多いはずだ。