教育のとびら

教育の未来を提言 since 2007
presented by 福島 毅

就学前教育

2007-02-28 | 教育事情(海外)
フィンランドやデンマークにおいては、就学前教育が行われています。就学前教育とは、義務教育がはじまる1年前から、義務教育にスムーズに移行できることを主目的として行われる教育のことです。大きく分けると、「自分でできることは自分で行うなど、自主自立に関すること」と、「人の話を静かに落ち着いて聞くなど、集団生活にスムーズに適応するための訓練」などがあります。この就学前教育においては、「いかに字を早く覚えるか、計算が速くできるか」といった早期教育的要素よりも、躾的な色合いが濃いです。実際にフィンランドの小学校の先生も就学前にこのような習慣ができているので、小学校での学習にスムーズに移行できるとそのメリットを話されていました。

昨今の日本では、教室内を立ち歩く、先生の話を静かにきけない、落ち着がなく勉強に集中できないといった、いわゆる学級崩壊が問題になっています。教師にとっても本業である授業を成立させるまでの前段階で相当量のエネルギーを裂かれている場合が多々あるわけです。集団の中での行動規範を家庭のみあるいは学校のみが教えていくことには限界があります。例えば、バスや電車、レストラン、大勢が集まるホールなどで静かにしていることは家庭の躾の範疇に入るであろうし、学校のように集団で何かを学ぶ場所においての行動規範を一つずつ教えていく役割は学校教師が担うのがふさわしいかと思います。

どの国でもそうですが、小学校入学時から、すぐに教室内での授業は始まります。そのスタートの段階で、当たり前のように学ぶ雰囲気ができているということが、すべての生徒への学力を保証する礎となるでしょう。その根底をつくる仕組みは、就学前のしつけ教育をいかに行っていくかということです。

視点を変えてみると、日本において保育園や幼稚園などの小学校前段階の教育で期待されているのは、「いかに早く字を覚えられるか、地名や動物の名前を覚えられるか、英語で言えるか、計算できるか」といった早期教育的な要素が強いですし、親もそこに関心があるようです。しかし、上記に述べたように、勉学に入る以前の準備ができるようになっておくことはもっと優先順位が高い問題なのである。その解決手段として就学前教育はもっと注目されるべきです。

また、就学前教育のメリットとして、例えば就学前教育施設と小学校が併設されていれば、就学前教育施設教員と小学校教員との間で個々の生徒の個別な対応も引き継ぎがスムーズであろうし、小学生とのコラボレーションにより、就学前教育を受けている幼児も小学生も異年齢集団の交流における学習メリットも期待できるのではないでしょうか。

なお異年齢集団の交流による学びのメリットについては別の機会に譲りたいとと思います。

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