教育のとびら

教育の未来を提言 since 2007
presented by 福島 毅

高齢者でも脳力は高められる

2007-02-26 | 番組、記事、書籍コメント
人間の理性を司ると言われる脳の前頭前野についてですが、先日のNHKスペシャル「脳を鍛えて人生を再び」では、高齢者でも訓練により脳の機能回復が可能であることをレポートしていました。結論から言うと、音読や計算といった単純な学習の繰り返しが脳を若返らせ、また感情面でも安定をもたらしたということです。

脳の活動度は、脳に流れる血流を計ることで間接的に知ることが出来ます。人間のさまざまな活動と脳の働きとの関係については、例えば東北大学加齢医学研究所  の川島隆太氏などによって詳しく調べられています。番組では、センサーの張り付いた帽子をかぶり、被験者にその状態で数々の学習や会話をしてもらうことでリアルタイムに計測されている様子が映し出されていました。

人間の脳で他の動物と違う部分、動物は自分のしたいように行動する。しかし人間の場合は、それを行って良いかどうかを他人との関わりの中で考えていく。その判断ができるかどうかは、脳の前頭前野と呼ばれる部分の働きによると言われています。ここは理性的な判断や感情の抑制なども行っているところで、ここが正常に働かないと感情面が安定しなかったりするわけです。番組では、老人福祉施設のうち、生活意欲がない、表情が少ないといった被験者に対して学習療法を行い、その成果が報告されていました。

学習療法とは、「音読と計算を中心とする教材を用いた学習を、学習者と指導者がコミュニケーションをとりながら行うことにより、学習者が認知機能やコミュニケーション機能、身辺自立機能などの前頭前野機能の維持・改善を図るもの」であり、詳細は、公文学習療法センター
などに載っています。

さて、最近若者に限らず大人でもキレる人が多くなり、突発的な事件が報道されることが多々あるようにありました。逆に、無表情・無感動で感情表現が乏しい人が増えているとも言われています。こうしたことも前頭前野に関連しているのではないでしょうか。  落ち着いて読書や音読、計算演習などを行い、前頭前野を鍛えることで、こうした問題にもアプローチが可能ではないかと感じました。
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