教育のとびら

教育の未来を提言 since 2007
presented by 福島 毅

コスタリカの教育

2013-04-20 | 教育事情(海外)
コスタリカについては、北欧諸国に比べ情報があまり入ってこないのですが、本日(4/20)、縁あって、ジャーナリストの伊藤千尋さんの話を聞く機会がありました。
伊藤さんは7~8回、コスタリカを訪問されているほか、朝日新聞のサンパウロ支局長時代もあり、周辺諸国の事情にも詳しい方です。

以下、手短に講演内容をまとめておきます。

コスタリカの特徴
・平和憲法を活用している。すなわち違憲訴訟は小学生でもでき、違憲訴訟は今までで18000件。
 誰もが愛される権利を持つという人権意識がある。

コスタリカの平和憲法背景
・中南米は内戦だらけでコスタリカも昔は内戦状態。2千人以上の死者、軍事費30%時代もあった。
 ここで、国会でこの現状を打破する方策が話し合われ、この軍事費を教育に充てることが決定した。(1949年)
 兵士の数だけ教師をつくり、軍隊を廃止することを決定。

軍隊をなくしても平和が維持される理由
・平和憲法を盾に、周辺国の平和調停を積極的に行う。もめごとは話し合いで解決するがスローガン。
 コスタリカ国内での話し合いの場を提供し、紛争当事国同士を話し合いのテーブルにつかせ、彼らが自ら紛争解決するように導いた。
 それらが評価されコスタリカには国連平和大学がある。
 アリアス元大統領は中米和平合意成立の功績によりノーベル平和賞を受賞(1987年)。
 受賞資金の半分を平和研究所に。もう半分を女性の地位向上のための資金として寄付。
・平和については常に国際世論に訴え、コスタリカが責められるようなことがあったら国際世論が許さない雰囲気づくりをしている。
 国民が平和憲法国家であることを誇りにしている(伊藤氏が現地の八百屋や女子高生に聞いても平和憲法はその歴史的経緯を含め詳しく説明できる)
・しかも、過去に2度、侵攻してこようとしたニカラグアにさえ、資金援助したりしている。

コスタリカの選挙と男女平等
・すべてが比例代表制。比例名簿は男女が交互になっており、名簿の半分が女性になっている。
・国会議員も57人中、22人が女性。
・その他の職業もかなり男女平等が進んでいる。

小学生のうちから、平和教育
・国民誰もが”愛される権利”を持つ。権利侵害があると感じたら訴えることができることが徹底して教えられている。(小学校の入学時に校長から式辞で聞くなど)
・小学生でも憲法裁判所に簡単に訴えることができる。
 形式も極めてシンプルで、憲法裁判所で「氏名、連絡先、訴える内容」のメモ書きを渡すのみ。人権に関することならなんでもOK.
 なんと驚いたことにビール瓶のシールの裏紙にメモ書きしたものでも受け付けてもらえたとか。とにかく憲法裁判所は国民のかけこみ寺的な存在だとか。
・大学生のロベルトさんは、大統領が憲法違反だとして直訴して勝訴。
 内容は、「湾岸戦争の同盟側にコスタリカがリストされていた(ホワイトハウスのHP)のは、平和国家・永世中立のコスタリカの憲法からしておかしい」というもの。
 この勝訴により、大統領の発言(同盟側につくというもの)は無いものとして削除され、コスタリカはホワイトハウスHPのリストから消去された。

難民政策
・すべての難民を受け入れている。
・難民が増えているため、そのための特別教育プログラムもつくっている。
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