色んなサイトを巡って、色々読むのですが。
ほのぼのもギャグもダークもホラーもシリアスも好きだけれども、一番好きなのは日常のお話。
山も落ちもいらないんだ、ありきたりな日常を切り取ってみせてくれ!と。
まぁ私は書けませんけどね…(てめぇ)。
ふと思いついた零崎一賊の変な小話。読んでやるよ、という奇特な方は続きからどうぞ。
朝というには遅く、昼というには早い。
窓から差し込む光で目を覚ました人識は、家の静けさに首を傾げた。
いつもなら無駄に張り切った兄双識がとっくに起こしに来ているはずだ。
この時間帯な軋識も舞織もリビングにいるはずだし。
曲識は……よく分からないが。
気配を探れば、やはり家の中にいる。
「兄貴のところか」
普段ならあの鬱陶しいテンションの兄の部屋なんぞ近寄ったりしないのだが。
いつもと様子が違うせいか、いつもと違う行動に出た。
すなわち、双識の部屋に行く。
そんな事をすれば兄があのテンションで「寂しかったのか人識!」と無駄な抱擁をかましてくるはずだが、そこまで考えが至らないのか。それともどうでもいいのか。
人識はドアを開けた。
鼻を突くのは酒の匂い。足元に転がるのはいくつものビンや缶。
(呑んでたのか…)
珍しいなと、思いつつベッドの方へ。
後一歩という距離まで近付いて、絶句した。
ベッドの真ん中に寝ているのは双識だ。
これは双識のベッドなのだし。彼が寝ているのはなんら問題ではないのだけど。
双識のベッドはでかい。そもそも身長が日本人の標準ではないから、必然的にベッドのサイズも長くなる。ついでに横幅もあるのだこのベッド。
一人で寝るにはでかいよなーと常々思っていたのだが。
なんだろうか、これは?
人識に背を向ける形で眠っている双識のその胸に、縋るようにしがみつくように曲識が眠っていた。
寝顔すらもやはり無表情のまま、まるで母親にくっつく子供みたいに。
そして双識の背後、つまり人識の側に軋識。
双識に腕枕する姿勢で。余ったもう一本の腕は、双識にまわされていた。
(新手の嫌がらせか、これは?)
思った。
(なんでくっついて寝てんだよ? 兄貴たちの付き合いが長いってのは聞いてるし、昔は一緒に寝た事もあるってのは知ってるけどよ)
これはないだろう、と。
一人は完璧に三十路。一人はあと一年か二年でやっぱり三十路。一人は後の二人より若いが成人なんてとっくに過ぎている。
とにかく、くっつきあって寝るという芸をかます年ではないだろう。
なのになんなのだ、この三人は。散らばった酒の空き瓶空き缶の量から考えて、相当呑んだのだろうけれど。
わざわざ一緒のベッドにもぐりこむ事は無いだろう?
誰かせめて一人は床で寝ろよ!
(……大将は、兄貴や曲識の兄ちゃんと比べればマシだと思ってたんだけどよ)
人識の、冷たいんだか温いんだか分からない視線を受けて、それでも軋識に目を覚ます気配はないけれど。
(あれか、男はいくつになっても心は少年のままって奴か。よく聞くフレーズだけどそれっていくつになっても成長のない奴を美化してるだけだよな。
嫌だよな、そんな体は大人頭脳は子供って。
少年を大志を抱けってか、アレ、この台詞誰が言ったけ? クラーク・ケントだっけ?)
後半、微妙に現実逃避。
とりあえず、ここに突っ立っているのも馬鹿馬鹿しい。
起こそう。
そう決めて、掛け布団を勢いよく、剥いだ。
「起きろ、あn……!?」
言いかけて、フリーズ。掛け布団の中。
外からでは分からなかったそこに、いた。
双識の腰に抱きついて眠る舞織が。
…………………………。
たっぷり十秒の静止。
「起きろ、てめぇらぁ~~~~~!!」
切れた。
穏やかな日常? あるなら見せてみろ。幻想だって言ってやる!
ほのぼのもギャグもダークもホラーもシリアスも好きだけれども、一番好きなのは日常のお話。
山も落ちもいらないんだ、ありきたりな日常を切り取ってみせてくれ!と。
まぁ私は書けませんけどね…(てめぇ)。
ふと思いついた零崎一賊の変な小話。読んでやるよ、という奇特な方は続きからどうぞ。
朝というには遅く、昼というには早い。
窓から差し込む光で目を覚ました人識は、家の静けさに首を傾げた。
いつもなら無駄に張り切った兄双識がとっくに起こしに来ているはずだ。
この時間帯な軋識も舞織もリビングにいるはずだし。
曲識は……よく分からないが。
気配を探れば、やはり家の中にいる。
「兄貴のところか」
普段ならあの鬱陶しいテンションの兄の部屋なんぞ近寄ったりしないのだが。
いつもと様子が違うせいか、いつもと違う行動に出た。
すなわち、双識の部屋に行く。
そんな事をすれば兄があのテンションで「寂しかったのか人識!」と無駄な抱擁をかましてくるはずだが、そこまで考えが至らないのか。それともどうでもいいのか。
人識はドアを開けた。
鼻を突くのは酒の匂い。足元に転がるのはいくつものビンや缶。
(呑んでたのか…)
珍しいなと、思いつつベッドの方へ。
後一歩という距離まで近付いて、絶句した。
ベッドの真ん中に寝ているのは双識だ。
これは双識のベッドなのだし。彼が寝ているのはなんら問題ではないのだけど。
双識のベッドはでかい。そもそも身長が日本人の標準ではないから、必然的にベッドのサイズも長くなる。ついでに横幅もあるのだこのベッド。
一人で寝るにはでかいよなーと常々思っていたのだが。
なんだろうか、これは?
人識に背を向ける形で眠っている双識のその胸に、縋るようにしがみつくように曲識が眠っていた。
寝顔すらもやはり無表情のまま、まるで母親にくっつく子供みたいに。
そして双識の背後、つまり人識の側に軋識。
双識に腕枕する姿勢で。余ったもう一本の腕は、双識にまわされていた。
(新手の嫌がらせか、これは?)
思った。
(なんでくっついて寝てんだよ? 兄貴たちの付き合いが長いってのは聞いてるし、昔は一緒に寝た事もあるってのは知ってるけどよ)
これはないだろう、と。
一人は完璧に三十路。一人はあと一年か二年でやっぱり三十路。一人は後の二人より若いが成人なんてとっくに過ぎている。
とにかく、くっつきあって寝るという芸をかます年ではないだろう。
なのになんなのだ、この三人は。散らばった酒の空き瓶空き缶の量から考えて、相当呑んだのだろうけれど。
わざわざ一緒のベッドにもぐりこむ事は無いだろう?
誰かせめて一人は床で寝ろよ!
(……大将は、兄貴や曲識の兄ちゃんと比べればマシだと思ってたんだけどよ)
人識の、冷たいんだか温いんだか分からない視線を受けて、それでも軋識に目を覚ます気配はないけれど。
(あれか、男はいくつになっても心は少年のままって奴か。よく聞くフレーズだけどそれっていくつになっても成長のない奴を美化してるだけだよな。
嫌だよな、そんな体は大人頭脳は子供って。
少年を大志を抱けってか、アレ、この台詞誰が言ったけ? クラーク・ケントだっけ?)
後半、微妙に現実逃避。
とりあえず、ここに突っ立っているのも馬鹿馬鹿しい。
起こそう。
そう決めて、掛け布団を勢いよく、剥いだ。
「起きろ、あn……!?」
言いかけて、フリーズ。掛け布団の中。
外からでは分からなかったそこに、いた。
双識の腰に抱きついて眠る舞織が。
…………………………。
たっぷり十秒の静止。
「起きろ、てめぇらぁ~~~~~!!」
切れた。
穏やかな日常? あるなら見せてみろ。幻想だって言ってやる!
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