かな? まだ明けてはないよね?
くっっっそ暑いけど!まだ梅雨明けではないよね? 最近の気候は判別がつかんのよ。
はい、オリジナルー。
家の中より外のほうが涼しいってことがままあるのよ。
特に夕方とか。日中家を空ける。帰宅、蒸し暑っ!?ってなるの。
一日中家にいると待ち受けるのは『死』では?
おりじなる。
果月とダーちゃん。ていうかダーちゃん。
より出でたるは、漆黒の
それは、どうしよもうなく、弱くて、みじめに、何者にも顧みられず、何物にもなれず、死ぬはずだった。
それの生死など気にする者はおらず、それの生死は世界に一片の揺らぎも与えない。
それは、そんなちっぽけなものだった。
それに手を伸ばしたものがいた。
王だ。
王は、寂しかった。王は、一人だった。
故の、きまぐれ。
強者の、絶対的捕食者の余裕からくる優しさがそれに手を差し伸べた。
死ぬはずだった。惨めに、憐れに地に還るはずだったそれは、そして力を得た。
それのあとにも王によって拾い上げられた者はいる。
あるものは炎をまとい。あるものは雷を降らせ。あるものは風を放つ。あるものは堅牢な殻を作る。
得た力は様々だった。
それは、大した力と、特筆すべき力を持たなかった。
けれども、どうしても、どうしたってそれは一番に強かった。
炎も雷も風も、それを殺せない。意味を成さない。
堅牢な殻もそれを潰すには至らない。
一番初めに力をもらったそれにできることは少なく。
けれども、一番強く、そして死ににくかった。
炎に焼かれる。焼けはした。しただけだ。
雷に貫かれる。焦げた。無意味だ。
風に切り裂かれる。切り開かれた体。血も流れない。
圧し潰されれる。飛び散った。意味はない。
凍り付く。動けない。本当に?
全てを溶かす毒。溶けた。溶けただけ。
圧縮する異空間。小さくなった。元に戻る。
何もかもがそれに対しては意味をなさない。
死なず、あるもの。
そこにあるもの。
認識し、確かにいる。
のに、触れられない。死を、生を認識できない。
それは、いつしか×××××と呼ばれるようになった。
「さて、私が相手。先手を譲ろう」
目の前に立つ黒が、小さく笑う。
無表情の多い黒がこうして笑みを浮かべるのは珍しいこと。
つまり、それだけ果月を気に入っている。
嬉しくはない。
いや、嬉しいが、可愛がり方が嬉しくない。
果月はげんなりと、顔をしかめる。
しかめたところで、目の前に立つ相手は何も止めはしないだろう。
なぎなたを構える。
先手を譲るといった。
言葉通り、黒は何もしないだろう。
果月が動くまでは。
呼吸を整え、一足飛び!
閃くなぎなた、その切っ先は黒の細い首を確かにとらえ。
ことん。
いっそ呆気ないほど、形の良い丸い頭が地に落ちる。
短く揃えられた黒髪が、丈の短い草の上に転がった。
「一思いに首を落とすか。慈悲深いな」
「っ!」
振り向く。
黒が、何食わぬ顔で立っている。
形の良い唇から、心地よい低音が紡がれる。
わかっていた。
この程度でどうにかなるわけがない。
「では、反撃だ」
一歩進み出ると同時、黒がこちらに左手を伸ばす。
ためらわず、その腕を肩から斬りおとす。
草の上に、確かな質量をもったものが落ちる、鈍い音。
構わずに、黒は左手を伸ばしてきた。
左の指先が、少し尖ったきれいな爪が果月のなぎなたを掴もうとする。
反射で、咄嗟に後ろに飛び退く。
ざっくりと、大地が切れた。
「ああ、やはり勘がいいな」
黒が呟く。
伸ばした腕は囮。
本命は、果月の足を狙った斬撃。
ふふ…。
吐息のように、黒が笑う。
ざわりと、空気が少しだけ揺らぐ。
黒の下半身から、獣が生えた。
ぐるぐると喉を唸らせ、よだれを垂らす。
黒い毛皮に赤い目をした、狼に似た獣が数頭。
頭と前半分だけ、黒の腰から生えている。
うち何頭かは果月に向かって吠え猛り、今にも噛み殺そうと言わんばかり。
「来ないと埒が明かんぞ?」
ことり、と。
黒が首を傾げる。
「わかってる、よ!」
なぎなたを振るい、噛みつく獣の獰猛な牙を避け、前脚を切り落とすが、悲痛な鳴き声すらあげず、やはり狂ったように襲い掛かるだけ。
黒のほうも落ち着いた表情のまま。じっと果月を見詰めている。
素早い動きで黒の周囲を駆け回り、時折なぎなたできちるけるがことごとくが獣に防がれる。
「もう!」
頭を落とそうが、足を切ろうが、胴体を蹴り飛ばそうが、何の痛痒も見られない。
そのうち、獣の胴体から腕が生えた。
「げぇ!?」
白い、人の、細い腕。
腕そのものも指も、細さに見合わず異常に長い。そのアンバランスさに果月は生理的に気持ち悪さを覚えてしまう。地
を這うように腕はうろうろと動き、ゆっくりと果月に伸ばされる。
「気持ち悪っ!」
なぎなたで切り裂き、時に殴り飛ばし、あるいは足蹴にして、交わす。避ける。
「はっ、た、とう!」
腕を、獣を足場に、本体であり中心にいる黒の元へ。
黒はやはり笑っていた。
もう一度、その首目掛けてなぎなたを振るい。
ぎちぃっ!
半ばまで、白銀の刃は食い込んだ。
はずだった。
「うぁ!!」
短い、ひきつった声を上げる。
喉から、切られているはずの、その部分、獣の牙が生えていた。
鋭く並んだ牙が、ぎりぎりと刃に噛みついている。それ以上の進行を防いでいる。
これ以上はまずい!
刃を噛み砕かされる!!
本能が退避を取らせる。
足場にした獣を蹴って、大きく跳躍。
距離をとる。
とっても、意味はないが。
黒にとって果月の行動はまさしく児戯なのだろう。
うっすらと笑んだまま、両手を広げた。
「もう少し、周りに気を配ったほうがいい」
「へ? ……まさか!?」
見回す。
黒い。
いつの間にか、周囲の景色は、いや景色そのものが見えなくなっている。
真っ暗だ。
黒い、繭のようなものが、包み込んでいる。取り囲んでいる。
「さぁ、頑張ってよけるよ?」
不敵に唇を歪め、黒が言った。
蠢く黒が、周囲全てが、ごぉんとたわんで。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁんっ!?」
果月の悲鳴が響き渡った。
朽ちなき想いはここにある。秘めているから意味がない、なんてそんなことはないのです!!
黒→最強。ほぼほぼ死なない。不死でも不老でもない。とてつもなく死ににくいが死ぬ。ただし人間では不可能。
くっっっそ暑いけど!まだ梅雨明けではないよね? 最近の気候は判別がつかんのよ。
はい、オリジナルー。
家の中より外のほうが涼しいってことがままあるのよ。
特に夕方とか。日中家を空ける。帰宅、蒸し暑っ!?ってなるの。
一日中家にいると待ち受けるのは『死』では?
おりじなる。
果月とダーちゃん。ていうかダーちゃん。
より出でたるは、漆黒の
それは、どうしよもうなく、弱くて、みじめに、何者にも顧みられず、何物にもなれず、死ぬはずだった。
それの生死など気にする者はおらず、それの生死は世界に一片の揺らぎも与えない。
それは、そんなちっぽけなものだった。
それに手を伸ばしたものがいた。
王だ。
王は、寂しかった。王は、一人だった。
故の、きまぐれ。
強者の、絶対的捕食者の余裕からくる優しさがそれに手を差し伸べた。
死ぬはずだった。惨めに、憐れに地に還るはずだったそれは、そして力を得た。
それのあとにも王によって拾い上げられた者はいる。
あるものは炎をまとい。あるものは雷を降らせ。あるものは風を放つ。あるものは堅牢な殻を作る。
得た力は様々だった。
それは、大した力と、特筆すべき力を持たなかった。
けれども、どうしても、どうしたってそれは一番に強かった。
炎も雷も風も、それを殺せない。意味を成さない。
堅牢な殻もそれを潰すには至らない。
一番初めに力をもらったそれにできることは少なく。
けれども、一番強く、そして死ににくかった。
炎に焼かれる。焼けはした。しただけだ。
雷に貫かれる。焦げた。無意味だ。
風に切り裂かれる。切り開かれた体。血も流れない。
圧し潰されれる。飛び散った。意味はない。
凍り付く。動けない。本当に?
全てを溶かす毒。溶けた。溶けただけ。
圧縮する異空間。小さくなった。元に戻る。
何もかもがそれに対しては意味をなさない。
死なず、あるもの。
そこにあるもの。
認識し、確かにいる。
のに、触れられない。死を、生を認識できない。
それは、いつしか×××××と呼ばれるようになった。
「さて、私が相手。先手を譲ろう」
目の前に立つ黒が、小さく笑う。
無表情の多い黒がこうして笑みを浮かべるのは珍しいこと。
つまり、それだけ果月を気に入っている。
嬉しくはない。
いや、嬉しいが、可愛がり方が嬉しくない。
果月はげんなりと、顔をしかめる。
しかめたところで、目の前に立つ相手は何も止めはしないだろう。
なぎなたを構える。
先手を譲るといった。
言葉通り、黒は何もしないだろう。
果月が動くまでは。
呼吸を整え、一足飛び!
閃くなぎなた、その切っ先は黒の細い首を確かにとらえ。
ことん。
いっそ呆気ないほど、形の良い丸い頭が地に落ちる。
短く揃えられた黒髪が、丈の短い草の上に転がった。
「一思いに首を落とすか。慈悲深いな」
「っ!」
振り向く。
黒が、何食わぬ顔で立っている。
形の良い唇から、心地よい低音が紡がれる。
わかっていた。
この程度でどうにかなるわけがない。
「では、反撃だ」
一歩進み出ると同時、黒がこちらに左手を伸ばす。
ためらわず、その腕を肩から斬りおとす。
草の上に、確かな質量をもったものが落ちる、鈍い音。
構わずに、黒は左手を伸ばしてきた。
左の指先が、少し尖ったきれいな爪が果月のなぎなたを掴もうとする。
反射で、咄嗟に後ろに飛び退く。
ざっくりと、大地が切れた。
「ああ、やはり勘がいいな」
黒が呟く。
伸ばした腕は囮。
本命は、果月の足を狙った斬撃。
ふふ…。
吐息のように、黒が笑う。
ざわりと、空気が少しだけ揺らぐ。
黒の下半身から、獣が生えた。
ぐるぐると喉を唸らせ、よだれを垂らす。
黒い毛皮に赤い目をした、狼に似た獣が数頭。
頭と前半分だけ、黒の腰から生えている。
うち何頭かは果月に向かって吠え猛り、今にも噛み殺そうと言わんばかり。
「来ないと埒が明かんぞ?」
ことり、と。
黒が首を傾げる。
「わかってる、よ!」
なぎなたを振るい、噛みつく獣の獰猛な牙を避け、前脚を切り落とすが、悲痛な鳴き声すらあげず、やはり狂ったように襲い掛かるだけ。
黒のほうも落ち着いた表情のまま。じっと果月を見詰めている。
素早い動きで黒の周囲を駆け回り、時折なぎなたできちるけるがことごとくが獣に防がれる。
「もう!」
頭を落とそうが、足を切ろうが、胴体を蹴り飛ばそうが、何の痛痒も見られない。
そのうち、獣の胴体から腕が生えた。
「げぇ!?」
白い、人の、細い腕。
腕そのものも指も、細さに見合わず異常に長い。そのアンバランスさに果月は生理的に気持ち悪さを覚えてしまう。地
を這うように腕はうろうろと動き、ゆっくりと果月に伸ばされる。
「気持ち悪っ!」
なぎなたで切り裂き、時に殴り飛ばし、あるいは足蹴にして、交わす。避ける。
「はっ、た、とう!」
腕を、獣を足場に、本体であり中心にいる黒の元へ。
黒はやはり笑っていた。
もう一度、その首目掛けてなぎなたを振るい。
ぎちぃっ!
半ばまで、白銀の刃は食い込んだ。
はずだった。
「うぁ!!」
短い、ひきつった声を上げる。
喉から、切られているはずの、その部分、獣の牙が生えていた。
鋭く並んだ牙が、ぎりぎりと刃に噛みついている。それ以上の進行を防いでいる。
これ以上はまずい!
刃を噛み砕かされる!!
本能が退避を取らせる。
足場にした獣を蹴って、大きく跳躍。
距離をとる。
とっても、意味はないが。
黒にとって果月の行動はまさしく児戯なのだろう。
うっすらと笑んだまま、両手を広げた。
「もう少し、周りに気を配ったほうがいい」
「へ? ……まさか!?」
見回す。
黒い。
いつの間にか、周囲の景色は、いや景色そのものが見えなくなっている。
真っ暗だ。
黒い、繭のようなものが、包み込んでいる。取り囲んでいる。
「さぁ、頑張ってよけるよ?」
不敵に唇を歪め、黒が言った。
蠢く黒が、周囲全てが、ごぉんとたわんで。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁんっ!?」
果月の悲鳴が響き渡った。
朽ちなき想いはここにある。秘めているから意味がない、なんてそんなことはないのです!!
黒→最強。ほぼほぼ死なない。不死でも不老でもない。とてつもなく死ににくいが死ぬ。ただし人間では不可能。
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