ジャズとボサノヴァの日々

Days of Jazz and Bossa Nova

500 Miles High performed by Юлия Рома

2015-02-23 20:00:00 | 500 Miles High
以前のブログにも書いたが、リターン・トゥ・フォーエバーReturn To Foreverのファーストアルバム(1972年)はジャズの流れを一気に変えた。

収録曲の全てが素晴らしく、しかもその楽曲を個性豊かに表現する参加ミュージシャンの演奏能力の高さが衝撃的だった。リターン・トゥ・フォーエヴァーはチック・コリアのソロ名義だが、実質的にはバンドとしてのデビュー作だ。チック・コリア(キーボード)のエレクトリック・ピアノは幻想的でありながらグルーヴ感を生み出しているし、スタンリー・クラーク(ベース)はベースがリズムと同時にメロディーを奏でることの出来る楽器だということを証明した。ジョー・ファレル(サックス、フルート)は激しいリズムの合間を縫ってリリシズム溢れた情景を描き出し続ける。アイアート・モレイラ(ドラム)のドラムも強烈なアクセントになっているし、フローラ・プリム(ヴォーカル、パーカッション)のヴォーカリゼーションは永遠への回帰を誘うセイレーンの歌声そのものだ。

リターン・トゥ・フォーエバー好きを集めて、どのミュージシャンがこのアルバムの完成度に貢献しているのか、それは何故なのかを議論させると、夜を明かして白熱した論争で盛り上がることだろう。

フローラ・プリンFlora Purimの歌声が本作品の完成度を究極まで高めているのは論を待たないが、それはセカンドアルバム"Light As A Feather"においても同様で、むしろフローラのファンにとっては2枚目の方をベストと推す向きもあるのではないだろうか。

そのセカンドアルバムに収録された曲で、後にフローラのソロアルバムのタイトルともなったのが"500 Miles High"だ。実はこの曲を歌いこなすのはかなり難しいらしく、幾多の有名女性ボーカリストが挑戦してきたが、フローラが描き出す世界観を凌駕する作品に出会ったことがない。

しかし今日紹介する女性ボーカリストЮлия Ромаの"500 Miles High"を聴いて、私は直ぐにその認識を改めた。Юлия Рома(英語表記でYuliya Roma、発音はユリヤ・ローマだと思う。以下ユリヤ)はウクライナのジャズボーカリストだが、この曲においてフローラの世界観を追いかけつつも自分なりに彩を加えているのが素晴らしい。


ユリヤは5歳の頃から歌手として頭角を現しており、地元の音楽コンテストでは常に優勝を飾っていたと言う。1994年にキエフの音楽大学に入学、そこでJazzの魅力に取り憑かれる。1997年ドネツクで開催された国際ジャズフェスティバルでJazzボーカリストとしてデビューした。 2002年にユリヤはDoDj2002国際ジャズコンテストの受賞者となる。2004年からは作詞・作曲にも取り組み始める。詳細は公式ホームページに詳しい。

ホームページを見ると最近の活動状況が更新されていないようだ。現在ウクライナの情勢が不安定なだけに、彼女の活動の場が制限されているのだとしたら残念だ。


Юлия Рома公式ホームページ

フローラ・プリンの500 Miles Highはこのアルバムだ。


オリジナルの500 Miles HighはこのReturn to Foreverのアルバムに収録されている。

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