ジャズとボサノヴァの日々

Days of Jazz and Bossa Nova

Insensatez performed by Cristina Braga

2014-12-19 21:26:53 | Insensatez
今年のシンガポールでの活動も本日で終了。現地のスタッフは大晦日まで勤務するのだけど、私は今年の活動を振り返り、来年の活動計画を上司に報告するため、明日の便で帰国します。

今年最後のシンガポールの夜は同僚のインド人とリトルインディアで本場の料理を楽しんだ。仕事の実績では成果を出すことが出来なかったけど、シンガポールという地で数々の人たちと出会い、自分の至らなさに気付かせられ、励まされて何とかここまで来た。

サラリーマンである以上、日本での報告次第では如何なる変更であろうと新たに命じられるミッションにも従わなければならない。だけど人との出会いを通じてちょっぴりだけど自分を成長させてくれたシンガポールに戻り、これまでの努力を成果に結び付けたいと心から思っている。

明日、そんな気持ちを胸に日本に帰ります。

最後の夜はハープ奏者のCristina Bragaが演奏するAntonio Carlos JobimとVinícius de Moraesの名曲Insensatezを紹介する。Cristina Bragaはヨーロッパを中心に精力的に活動しているブラジル人のミュージシャンで、南米人としては初めてミュンヘンの音楽大学でハープのクラスを受け持ったという。またミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団等の首席ハープ奏者として活躍したヘルガ・シュトルク教授に招かれザルツブルク・モーツァルテウム大学でも教鞭を取った実力派のアーティストだ。


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Maria Ninguém performed by Keico Yoshida

2014-12-18 20:39:48 | Maria Ninguém
吉田慶子さんのパフォーマンスに共感するのは、1958年前後のボサ・ノヴァがうぶごえを上げようとしてた時期の若者達はこんな風に自分でギターを爪弾きながら好きな歌を心から楽しんでいたのだろうなぁ、と感じるからだ。エバーグリーンという言葉が似合うアーティストだと思う。

彼女のことは何となく知ってはいたのだけど、本格的に聴き始めたのは2009年に発売された「パレードのあとで~ナラ・レオンを歌う」というナラが歌っていた曲を集めたアルバムで、ナラってこんなに良かったっけ、と再確認させてくれた作品集だ。



このアルバムが際立っているのは、誰でも知っているボサ・ノヴァの名曲ではなく、ナラ・レオン本人が好んで歌っていた曲が取り上げられていること。シコ・ブアルキやゼー・ケチの曲は40年以上前に若者だったブラジル人だったら誰でも口ずさんでいたに違いないと思うのだけど、吉田慶子さんも当時の若者のように音楽を楽しんでいるように感じるのだ。

そして今日の動画は彼女のライブからMaria Ninguémを紹介する。日暮里ポルトで行われたこのライブ、YouTubeで探して引用したのだけど、実は私は観客席におりました。休憩時間にもちょっとした会話も楽しませて頂きました。あ、このMaria Ninguémはこれまでアルバム未収録のはずです。「パレードのあとで~ナラ・レオンを歌う」にも入っていません。


そしてスマホで撮った写真がこれ。また彼女のライブに行きたいなぁ。



作品の詳細はこちらから。


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The Girl From Ipanema performed by Antonio Carlos Jobim and Vinicius de Moraes

2014-12-16 20:00:00 | Girl from Ipanema
昨日、リオ五輪とパラリンピックのマスコット2体のニックネームがトムとヴィニシウスに決まったという報道があった。なんでも投票で決まったそうで、ボサ・ノヴァを世界的に有名にしたアントニオ・カルロス・ジョビンとヴィニシウス・ジ・モライスが由来なんて、お偉いさんが好きそうなストーリーだ。



ヴィニシウス・ヂ・モライスをご存知でない方のため、Wikipediaから引用させて頂く。

マルクス・ヴィニシウス・ダ・クルス・エ・メロ・モライス(Marcus Vinícius da Cruz e Mello Moraes, 1913年10月19日 - 1980年7月9日)はブラジルの詩人、作家、作詞家、作曲家、翻訳家、外交官、歌手、ジャーナリスト。

1950年代後半、アントニオ・カルロス・ジョビンらとともにボサノヴァというポピュラーミュージックのスタイルを生み出した立役者の一人である。ジョビンが作曲し・モライスが作詞したナンバー「イパネマの娘」(1962年)はジョアン・ジルベルトとスタン・ゲッツの共演作品などによって世界的なヒット曲となった。洗練された詩風でボサノヴァの歌詞のあり方に指針を示し、以後のブラジルのポピュラー音楽に多大な影響を与えたと評されている。
# # # #

ジョビンを軸にボサ・ノヴァの流れを俯瞰すると、初めにジョアン・ジルベルトとの出会いでボサが生まれ、ヴィシ二ウスとの出会いで名曲が生まれ、そしてクリード・テイラーとの出会いでボサが世界中の人々に愛されるようになったと解釈できる。

ここまで書くと、マスコットのニックネームは当然の帰結だと思われるだろうが、実はこのヴィニシウス、とんでもない大酒飲みで、ライブパフォーマンスの際は、外交官という公職なのでの金銭は受け取らず、代わりに酒を要求したそうで、ライブ最中も延々と飲み続けたらしい。しかも招待した友人達の分まで要求したというから、おったまげたオヤジなのだ。

女性関係も華々しく、9度の結婚と離婚を繰り返すほどの恋多き男だったようで、リオ五輪の親善大使であるマスコットの名前には如何なものだろうね、と昨夜報道に接して唸ってしまった。勿論、それだけ人生を謳歌した人間こそがブラジル人の代表だという見方もあるけどね。

今日のビデオはタイムリーにトムとヴィニシウスの競演でGarota de Ipanema(The Girl From Ipanema)。


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The Girl From Ipanema performed by Astrud Gilberto & Stan Getz

2014-12-14 21:11:32 | Girl from Ipanema
歴史的な名盤である「Gets/Gilberto」はボサ・ノヴァを世界の音楽ファンに普及させた偉大な功績がある反面、ボサ・ノヴァ愛好家には高く評価されていないと言われる。それはこのアルバムが1963年に米国で録音された時の出来事に由来している。「Gets/Gilberto」を手がけたVerveレコードのプロデューサー クリード・テイラーは、このアルバムを売るためにあるシナリオを思いついた。つぶやくようにポルトガル語で歌うジョアン・ジルベルトではなく、可愛くて英語が喋れる(当時)婦人のアストラッド・ジルベルトを売り出そうと考えたのだ。しぶしぶ米国に録音に来たジョアン・ジルベルトとは対照的に、世界的な成功を夢見ていたと言われるアントニオ・カルロス・ジョビンは、そんなビジネスセンスに優れたクリード・テイラーと結託し、スタジオに同行していたアストラッドに「飛び入り参加のハプニング」として英語詩で歌わせてしまった。

しかもシングルカットする際にはジョアンのポルトガル語でのボーカルをカット、アストラッドの英語ボーカルだけを前面に押し出し、まんまとアメリカ人に分かりやすいボサ・ノヴァのイメージを作り出してしまった。そのマーケティング手法のお陰で「イパネマの娘」は1964年度のグラミー賞最優秀レコード賞を受賞、ボサ・ノヴァという音楽ジャンルを世界中に広めることに貢献した。

この録音がきっかけでジョアンとジョビンの仲たがいが始まったと言われている。その真偽は今となっては分からないが、ジョアンとジョビンがコラボレーションを続けていたら、どれだけ素晴らしい音楽が生まれていたのだろう。古くからのボサ・ノヴァファンが今でも悔しい気持だから、このアルバムは高く評価されていないのかも知れない。

しかしながらアストラッドとスタン・ゲッツが1964年にテレビ出演した時の映像を観ていたら、「でもこの独特の雰囲気が唯一無比だったからこそ、それを自分でも再現したくて世界中のアーティストがカバーし始めたのだし、今でも歌い継がれているのだろうなぁ」と考えた。

日本の音楽界で言えば、ボサ・ノヴァと日本ミュージシャンの最初のタッチポイントは渡辺貞夫氏であることは間違いがないだろう。氏は1962年から65年までアメリカボストン市のバークリー音楽院に留学、在学中にチコ・ハミルトン、ゲイリー・マクファーランド、ガボール・ザボ等と共演しており、ゲイリー・マクファーランドを通じてボサ・ノヴァの魅力に触れたとされている。私はこの「Gets/Gilberto」というアルバムが登場した1964年に氏が米国でリアルタイムに聴いたこと、その空気感に触れたことが氏の音楽性を決定付けたのではないかと考えている。そしてそれが日本でのボサ・ノヴァブームに繋がっていくことも看過してはいけないのだ。

ボサ・ノヴァが日本を含め世界中で愛される音楽になったのはクリード・テイラーの功績と素直に認めるしかないね。


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I Will Wait For You performed by Michel Legrand and Christiane Legrand

2014-12-13 23:58:06 | I Will Wait For You
今日はいろんなイベントがあって時間も体力もないので動画の紹介のみ。昨日紹介したi Will Wait For Youはやはり作曲者自身のパフォーマンスで聞きたい。と思ってYouTubeをぶらぶらしていたら姉弟で素晴らしいデュエットを披露してくれている動画を見つけたので紹介する。Christiane Legrandの表現力には改めて感動した。出来れば生前に見たかったなぁ。


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I Will Wait For You performed by Laura Fygi

2014-12-12 22:37:34 | I Will Wait For You
先日取引先のイタリア人と会食をしていて、ある程度ほろ酔い加減になったのを見計らって音楽の話を切り出した。彼はクラシックギターを嗜んでいることはランチなどの席で聞いて知っていたので、思い切って聞いてみた。「バンドはやっていたの?(英語だけど面倒なので会話は日本語です)」「最初にやったのがパープルのSmoke On The Waterかなぁ」というリプライで一気に盛り上がった。ほぼ同世代なので話は合うはずと思っていたけど、Smoke On The Waterから入ると後が楽だ。

「プログロックは?」と聞くと「プログレッシヴ・ロックも大好きだね(なんと今時の英国人が良く使う用語プログ・ロックではなく、プレグレッシヴと返してきた。良し良し)」と上機嫌。私からは「自分は高校時代にプレミアータ・フォルネリア・マルコーニ(Premiata Forneria Marconi 略してPFM)を良く聴いていたのだけど、本国イタリアではどうだった?」と訊くと「バンドでコピーしていた」との返事が返ってくるではないか!

彼は大の日本贔屓なのだけど、これまで日本人と夜の席を共にしたことがないらしく、在星日本人でもあまり知らない店に連れて行き、季節の旬を振舞ったから大感激していたのだろう、政治の話とかこれからのキャリアのことまで、かなり突っ込んだ意見も交換出来たけど、何が楽しかったかって、PFMを本国イタリアでリアルタイムに聴いてバンドでコピーまでしている人間にこの年齢で逢えて盛り上がるなんて、やっぱり人には会ってみるべきなのだ。

最初から目論んでいた会話の締めくくりはエンニオ・モリコーネだ。イタリアでどれだけ親しまれているのか知りたかったけど、愚問だった。知らない人間はイタリア人にあらず、という返事だった。そしてエンニオと言えば映画音楽、そしてイタリア映画と言えばソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニだ。彼曰く、マストロヤンニは別格で、彼こそがイタリア男性のアイコンとして今でも愛されている、とのこと。そして「実は彼は晩年、自分が住んでいたアパートの上の階に住んでいたんだ」という衝撃の発言が!もっとも晩年はほとんど外出しなかったらしく近所付き合いは出来なかったようだけど、近くにマストロヤンニがいたという事実だけでワクワクするよね。

本日紹介する動画はイタリアではなく、フランスを代表する音楽家で、映画音楽の巨匠でもあるミシェル・ルグランMichel Legrandの映画音楽「シェルブールの雨傘」から、とりわけ泣ける曲I Will Wait for Youをオランダ人女性ジャズボーカリストのLaura Fygiの上質なライブパフォーマンスで。


彼女のアルバムの中でも、このルグラン集はずば抜けている。




Laura Fygi公式ホームページ
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Close to You performed by Rigmor Gustafsson

2014-12-11 20:18:22 | Close to You
先日動画を紹介したRigmorのライブパフォーマンスを紹介する。バート・バカラックの有名なClose to Youのカバーである。この曲が入っているアルバム"クロース・トゥ・ユー/Close to You"でファンになった。


2010年の来日公演で見たRigmorは小柄でびっくり。自分の中の北欧人像が変わった。それから衣装も全く飾りっけがなく、シンプルの極みだったことも新鮮だったな。以下に当時のHPの告知を張っておく。



収録曲全てのアレンジ、演奏、歌声がすばらしいアルバム"Close to You"。


Close to You

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The Girl from Ipanema performed by Rigmor Gustafsson and Tina Ahlin

2014-12-07 19:00:26 | Girl from Ipanema
Rigmor GustafssonはSwedenで人気を誇る女性ボーカリストの1人で、2003年に発売された I Will Wait For You、続く2004年に発売されたClose To You – Celebrating Dionne Warwickでファンになった。後者は数あるバート・バカラック作品集の中でも極上の部類に入る出来栄えだ。

本日紹介するのは2006年12月にテレビ放映されたRigmorとTina Ahlin(ピアノ)によるGirl From Ipanemaで、彼女がギターを弾き語っている姿はこのビデオで初めて観た。Rigmorファン(日本に何人いるのだろう?)は必見の内容だと思う。



Rigmor Gustafssonオフィシャルサイト


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Mas Que Nada performed by Shigeko Suzuki

2014-12-07 01:04:37 | Mas Que Nada

この世には数え切れないほどのMas Que Nadaカバーが存在している。しかも世界のどこかでこの瞬間にも誰かがレコーディングしていたり、ライブで客席を沸かせていることだろう。そして、ほとんどのミュージシャンがMas Que Nadaという曲をピアノとパーカッションで躍動的にアレンジして楽しませてくれる。それがミュージシャン側の定石だからだし、リスナー側だってそれを期待している。

鈴木重子のデビュー10周年にして10作目となるサイレント・ストーリーズは、そのMas Que Nadaで始まる。この作品で表現されるMas Que Nadaは他のカバーとは一味違う。骨太のパーカッションに導かれて入って来る彼女のウィスパリングボイスは、アルバムのタイトルが表わす通り、静かに水墨画にような物語を紡いでいるかのようだ。

バックではベテランのFebian Reza Pane(フェビアン・レザ・パネ)のピアノがお馴染みのメロディーを小気味良く奏で、途中で入ってくるビリンバウも音楽空間を効果的に拡げている。淡々と全員で書き上げたモノクロの物語は、金子飛鳥のヴァイオリンソロが始まった瞬間、風景がさっとカラーに変わる。

夢の中で浮遊しているような、不思議なMas Que Nadaなのだ。

作品の詳細はこちらから。


サイレント・ストーリーズ

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