全国で唯一、弁護士がいなかった大津地裁長浜支部(滋賀県)管内に2日、弁護士事務所が開業することになり、“弁護士ゼロ”地域が解消される。とはいえ、過疎地域で活動する弁護士を中心に、「弁護士不足」を指摘する声は根強い。また、裁判官不在の地裁支部も少なくないため、「裁判所側の態勢も貧弱。弁護士が増えるだけでは司法過疎は解消しない」と抜本的な問題解決を求める声も上がっている。
全国に50ある地裁には、計203支部が置かれており、管内の弁護士がゼロまたは1人しかいない地域が「ゼロワン地域」と呼ばれている。ゼロワン地域に住む人が法的な問題を抱えた場合、遠くの弁護士をわざわざ訪ねる必要があり、手間や経済的なことを考え、泣き寝入りするケースも少なくなかったという。
弁護士が少ない地域での事務所開業などを支援するため、日本弁護士連合会(日弁連)は平成11年に「日弁連ひまわり基金」を設置。翌12年には、島根県で基金を利用した初めての事務所が開業した。法務省などがバックアップする日本司法支援センター(法テラス)も法律事務所の開設に取り組んでおり、8年に78カ所あったゼロワン地域を、今年4月には24カ所にまで減少させた。
大津地裁長浜支部管内に弁護士事務所を開く藪下貴幸弁護士も、ひまわり基金の利用者で滋賀県内の弁護士事務所に勤務しながら、長浜市内で開業する準備を進めてきた。
ただ、弁護士ゼロの地域がなくなっても、1人しかいない「ワン」の地域はまだ多く、2人以上いる地域でも、弁護士不足などさまざまな問題を抱えているのが現状だ。弁護士が2人いる釧路地裁根室支部(北海道)管内で活動する梅本英広弁護士は、「200件ほどの事件を抱えていて、それを処理しながら、法律相談を受けるのは大変。相談は2カ月ほど待ってもらう状態だ」と窮状を説明する。
弁護士不足だけでなく、裁判所側の問題を指摘する声もある。盛岡地裁宮古支部(岩手県)に裁判官が来るのは週2日だけ。同支部管内で活動する新谷泰真弁護士は「これでは、弁護士が増えて裁判所に事件を持って行っても、事件がたまっていくだけ」と話す。裁判所側は、事務処理の効率化などを理由に、業務を盛岡地裁に集中させる可能性もあり、司法過疎解消に取り組む関係者は危機感を募らせる。
日弁連で弁護士過疎対策に取り組む田岡直博弁護士は、弁護士ゼロの地裁支部がなくなる意義を強調する一方で、「弁護士過疎だけではなく、裁判所、検察庁の過疎も含め、抜本的に司法過疎の問題を考える必要がある」と指摘している。
全国に50ある地裁には、計203支部が置かれており、管内の弁護士がゼロまたは1人しかいない地域が「ゼロワン地域」と呼ばれている。ゼロワン地域に住む人が法的な問題を抱えた場合、遠くの弁護士をわざわざ訪ねる必要があり、手間や経済的なことを考え、泣き寝入りするケースも少なくなかったという。
弁護士が少ない地域での事務所開業などを支援するため、日本弁護士連合会(日弁連)は平成11年に「日弁連ひまわり基金」を設置。翌12年には、島根県で基金を利用した初めての事務所が開業した。法務省などがバックアップする日本司法支援センター(法テラス)も法律事務所の開設に取り組んでおり、8年に78カ所あったゼロワン地域を、今年4月には24カ所にまで減少させた。
大津地裁長浜支部管内に弁護士事務所を開く藪下貴幸弁護士も、ひまわり基金の利用者で滋賀県内の弁護士事務所に勤務しながら、長浜市内で開業する準備を進めてきた。
ただ、弁護士ゼロの地域がなくなっても、1人しかいない「ワン」の地域はまだ多く、2人以上いる地域でも、弁護士不足などさまざまな問題を抱えているのが現状だ。弁護士が2人いる釧路地裁根室支部(北海道)管内で活動する梅本英広弁護士は、「200件ほどの事件を抱えていて、それを処理しながら、法律相談を受けるのは大変。相談は2カ月ほど待ってもらう状態だ」と窮状を説明する。
弁護士不足だけでなく、裁判所側の問題を指摘する声もある。盛岡地裁宮古支部(岩手県)に裁判官が来るのは週2日だけ。同支部管内で活動する新谷泰真弁護士は「これでは、弁護士が増えて裁判所に事件を持って行っても、事件がたまっていくだけ」と話す。裁判所側は、事務処理の効率化などを理由に、業務を盛岡地裁に集中させる可能性もあり、司法過疎解消に取り組む関係者は危機感を募らせる。
日弁連で弁護士過疎対策に取り組む田岡直博弁護士は、弁護士ゼロの地裁支部がなくなる意義を強調する一方で、「弁護士過疎だけではなく、裁判所、検察庁の過疎も含め、抜本的に司法過疎の問題を考える必要がある」と指摘している。