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日本人として日々の暮らしの中で思うこと、知りたかったこと

日本語の起源に関する議論と縄文人の言葉

2019-03-17 20:09:58 | 古代
2018/8/25(土) 午前 3:17

「ロマンス諸語」とはイタリア語、ルーマニア語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語など俗ラテン語から派生したものを指し、これらは英語、ドイツ語、オランダ語などの「ゲルマン諸語」にも文法や語彙の面で多大な影響を与えたとされる。要するにこれらの言語は「兄弟言語」なのだ。


一方、我々が使っている「日本語」という言語は系統関係の不明な「孤立した言語」のひとつであり、他の言語との系統関係が未だ明らかになっていない。


日本語と琉球列島の琉球語(琉球方言、あるいは琉球語派、琉球諸語)と日本語(本土言語、あるいは日本語)の関係は明らかである。国際的には両者を別言語とみなし、合わせて日本語族を形成するという立場が一般的だそうだが、日本語の起源論では、琉球語と日本語の系統関係は証明済みであるようだ。


アイヌ語は語順(SOV語順)において日本語と似るものの、文法・形態は類型論的に異なる抱合語に属し、音韻構造も有声・無声の区別はなく、閉音節が多いなどの相違があり、基礎語彙の類似に関する指摘もあるが、例は不十分で、一般に似ているとされる語の中には、日本語からアイヌ語への借用語が多く含まれるとみられる。目下系統的関連性を示す材料は乏しい。


一部では古事記や風土記のような口伝による伝承がアイヌ語で解釈可能であることから、縄文時代の日本語がアイヌ語と同系統の言語であるとする意見もあるそうだ。遺伝学的には日本人の内、最も縄文人の核ゲノムDNAを色濃く受け浮いでいるのはアイヌであることから、アイヌ語が縄文時代の言葉に近いという見方は妥当に思える。


日本は現在、中国を中心とした漢字文化圏に属しており、中国語(古典中国語)は、古来、漢字・漢語を通じて日本語の表記や語彙・形態素に強い影響を与え、拗音などの音韻面での影響や、書面語における古典中国語の文法・語法の模倣を通じた文法・語法・文体の影響もみられたが、言語学的には日本語と中国語(古典中国語)に系統的関連性は認められないそうだ。


日本語の起源説には「アルタイ語族説」「ドラヴィダ語族・タミル語説」「オーストロ語族説」「アイヌ語起源説」その他諸説あるが、まだ結論には至っていないようなのだ。


ところで我々現代日本人は今からおよそ1400年前の額田王の和歌を理解できるのである。
 
  熟田津尓 船乗世武登 月待者 潮毛可奈比沼 今者許藝乞菜
 にぎたつに 船のリせむと 月待てば 潮もかないぬ 今はこぎでな 
(熟田津に船出しようと月を待っていると潮の流れもちょうどよくなった。さぁ今こそ漕ぎ出でよう)


上の段のものは「万葉かな」で、名詞などの単語には「漢字」をそのままの意味で「訓読み」で使い、助詞などにはその字義に関わらず日本語の一音節の表記のために漢字の一字一字を充てて表記するもので、万葉集を一種の頂点とするのでこう呼ばれている。「古事記」や「日本書紀」の歌謡や訓注などの表記も「万葉集」と同様である。「古事記」には呉音が、「日本書紀」には漢音が反映されている。


万葉集が編纂されたのは7世紀後半から8世紀後半にかけてであるが、そこから更に1400年ほど前というのは縄文時代晩期である。果たして額田王は縄文時代の言葉を理解しておられたであろうか。


万葉集は日本に現存する最古の和歌集であり、天皇から貴族、下級官人、防人など様々な身分の人間が詠んだ歌を4500首以上も集めたもので、日本文学における第一級史料であることは勿論で、方言による歌もいくつか収録されており、更にその中には読み人の出身地も記録されていることから、方言の資料としても非常に重要な史料とされている。


額田王は大枠でいえば「本土ヤマト人」であろうし、その言語が縄文人の影響をどこまで受けていたのかを知ることが、「日本人=縄文人+弥生人」という従来の仮説が果たして正しいのかどうかを知る手がかりとなるのではないだろうか。「古事記や風土記のような口伝による伝承がアイヌ語で解釈可能である」ならば、アイヌ語と万葉集との系統的関連性については、更に研究していくべきテーマであろうかと思われる。



引用:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E3%81%AE%E8%B5%B7%E6%BA%90

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%87%E8%91%89%E4%BB%AE%E5%90%8D

http://masa-b.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/102410-4df4.html


参考:
「縄文人の言葉」 http://aomori-jomon.jp/essay/?p=10005




コメント

コンバンワ
「日本語の起源に関する縄文人のコトバ」と題して重要な手掛りを提案なさって居られます。そうですね、最古の歌集が万葉集で、これ以前の日本語の起源を推察するに足る文献は残念ながら有りません。縄文人の会話テープでも残っているのならこれ程悩まずに済むのですが、そうは行きませんね。とすると「方言」でしょうか?ラジオ・テレビが出てきて60年、ラジオは既に戦前から有ります。テレビラジをの影響は方言を駆逐しました。今から方言を研究しても縄文語が推理できるか?という方も居る事でしょうが、仮に額田王のコトバが縄文語であるとすると、アイヌ語との差が、どう説明されるか?です。金田一がアイヌ語は日本語とは別のコトバだと言って以来、そんな風潮に成って仕舞った。
2018/8/27(月) 午後 10:04 [ 井頭山人(魯鈍斎) ]


果たして、現在言われて居る様な縄文人と弥生人の差異は在るのか?どうも疑問です。「古事記」の気になる点を、もう一度突き詰めて開明しないといけませんね。テレビもラジオも新聞も雑誌もない当時ですから、言葉の変化は現在よりもズーッとスローで合ったでしょうね。現代の日本語の形成史の最も大きな謎の一つに、「縄文人」とは何か?という問いが有ります。また日本語はいつの頃より話され、それはどの様な過程を経て現在に至っているかと云う問いである。言葉は漢字の様に外部から取り入れても、基本的には骨格は残るのだし、その上に内部的にも自己変化する事もありますから。ご指摘された手掛かりは、突き詰めて考えて見たいテーマです。(魯鈍斎)
2018/8/27(月) 午後 10:22 [ 井頭山人(魯鈍斎) ]


> 井頭山人(魯鈍斎)さん
こんばんは。コメントを頂きありがとうございます。日本人という集団の中で、遺伝学的には縄文人に一番近いのがアイヌの人々だということが判っていますね。

ネットで調べてみますと、「数理学者の安本美典氏の計算によれば、上古日本語の基礎語彙と現在アイヌ語の基礎語彙は、一部の借用語を除いては「偶然の一致」を超えるほどの一致が見られない」ということです。また、同氏によれば、アイヌ語と日本語が同一系統の言語であったとしても、分岐したのは一万年以上前だということです。ちなみに、基礎語彙の一致数に関しては、アイヌ語は上古日本語よりも中古朝鮮語の方が多い」などと。

「言語学者の中本正智氏によれば、アイヌ語にはポリネシア系言語の影響が見られるそうです。例えば、アイヌ語で「水(mizu)」を「wakka」と言うそうですが、ハワイ・フィジー語では「水」を「wai」、サモア・トンガ語では「vai」と言い、それらは同一語源の可能性がある」そうです。

しかし、縄文人の言葉を探る手がかりは実は他にもあるようです。
2018/8/27(月) 午後 10:27 kamakuraboy


> kamakuraboyさん
いつも好奇心溢れる興味深い記事ですね。本当に話題が豊富で教えて頂く事が多いです。そうですね、日本語のルーツは、当然の事ですが日本人(日本国の成立は6世紀でしょうから、定義上はそうなりますが、それ以前はどう形容したらいいのか?列島人は連綿として絶えることなく今に至っていると思いますので、一応日本人と云う名称で代表します)の起源とも深く係わっている。お取り上げになった、安本美典氏は、卑弥呼や邪馬台国などの日本古代史に、斬新な提言や考察を示して居られるアイデアマンですね。彼の特徴は統計学を歴史の推定に応用している所です。ここに彼の特徴が有るようですし、それが或る意味で説得力の元に成って居る。日本語も必ず自己変化はある。日本人の特質が海洋民族である事を思えば、当然に南方のスンダランドからの移住も、彼らの南太平洋への進出もあるでしょう。ハワイとイースター島を含むポリネシア、ミクロネシア、台湾、フィリッピンからの影響が遥かな昔からあると考える事は正しいと思います。
2018/8/29(水) 午後 0:24 [ 井頭山人(魯鈍斎) ]


専門は英語学のようですが、鈴木孝夫氏の一連の著作は日本語と日本文化の特質を鋭く捉えていて面白い物でした。言葉は文化と密接に関係して居て、その背景には決定的な文化を規定する自然観が隠れている。神道は宗教か?と云う問いには、現代の世界を支配する一神教とは全く異なり、旧約や新約、コーランのような教義は、書物としては書かれていない。ある意味で神道は、一神教の様な極めて厳格な、制限・制約がない。ただ大いなる神聖なものの前では、身を清め心を正しく保つ。という暗黙の教義が有るだけです。仏教も日本化するのに相当の時間を要しました。また夥しい神社が日本にはあること。面白い事が沢山あります。またヤフーのほかにもgooにも井頭山人のブログが有りますので、お時間が有れば覗いて見て下さい。(魯鈍斎) 削除
2018/8/29(水) 午後 0:54 [ 井頭山人(魯鈍斎) ]


> 井頭山人(魯鈍斎)さん
こんにちは。コメントを頂きありがとうございます。ご指摘のように、神道は日本人の自然観やものの考え方に深く影響していますね。「大いなる神聖なもの」への畏敬の念があるからこそ、時には非情で過酷な自然災害をも、命をのみこみ人間を試しつつ、それを乗り越えていくための強さを授けてくれるもののようにも感じているのですから。

我々日本人はつくづく精神がタフでそして何より勤勉な民族だと思います。(災害復興のボランティア活動されておられる方々には本当に頭が下がる思いです)神社は不思議なくらいパワースポットになっていますね。「大いなるもの」への感謝の気持ちと無事に育つことを祈って子供が生まれるとお宮参りに連れていきますし。

井頭山人さんのgooブログを開設なさっておられるとのことで、これから時々訪問させて頂きます。宜しくお願いいたします。
2018/8/29(水) 午後 4:01 kamakuraboy

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