韓国の首都ソウルでゴールデンウイーク中の5 月1日に2000人が出入りしたナイトクラブを発生源に強烈なクラスターが起きている。感染者数は5月10日現在で約54人となり、今後もさらに増える可能性もあるらしい。
数日前から韓国紙中央日報で、「京畿道龍仁(ヨンイン)に住む20代の男性と関連した新型コロナウイルス感染者が次々と確認され、地域社会での感染拡大が懸念、特にこの男性が訪れた梨泰院(イテウォン)のクラブでの接触者から多数の患者が確認され、クラブ発の感染者がさらに増える可能性」と報道されていたが、どのくらいのクラスターになってしまったのか、注目していた。
京畿道竜仁市でも1か月ぶりに市中感染による新型コロナウイルス感染者が発生。
しかしながらこれは実は当然予想された事態だったのではないだろうか
「日経バイオテクONLINE」から画像をお借りしました
◼超過密都市ソウル
先月も書きましたが、ソウル市は面積 605.21km² 総人口、974.4万人(2018年) 、人口密度 16102 人/ km² というOECD加盟国の主要都市の中で断トツの1位の超人口過密都市なのだ。
ソウルの人口密度はOECD国家の主要都市との比較でシドニー(2100人)の8倍、ローマ(2950人)の5倍、パリ(3550人)とベルリン(3750人)の4倍、東京・横浜(4750人)とロンドン(5100人)の3倍に達するとも指摘されている。
NY市人口密度は10630 人/ km² とされるので、ソウルはNY市の1.5倍、OECD加盟国ではないが、唯一防疫に成功している台湾の台北都市圏の人口密度は2581 人/ km² で、ソウルは台北の6.2倍の過密都市なのだ。
つまり、普通の生活をしていても、ソウルはいたる場所で「3密」にどうしてもなりやすい都市なのだ。
極論を言えば、国の人口の20%ががソウルに集中しており、人口密度が高いため、「3密」となる確率を減らすためにやるべきことは、ソウルの人口を半分くらい地方に分散させることが普通に考えて最もよいと思われる。当面可能で簡単な方法としてはソウルの住民を半分か3分の1のペースで「外出する日」、「家から出ない日」でローテーションして生活するなどの方法を選ぶしかない。
因みに、世界全体でみると人口過密都市の第1位はバングラデシュのダッカの47400人/ km² 、2位はソマリアのモガディシュ、3位はインドのスーラト、、4位がムンバイ、5位が香港と続き、実は意外にも北朝鮮の平壌は16400人/ km² で世界で13位の人口過密都市ということらしい。
新たな感染者が1桁台に落ち着いていたからといって、早々に韓国内での感染が終息したとみなし、外出自粛や営業自粛を段階を踏まずに全面的に緩め、国の人口の5分の1が集中しているソウルで、住民が一斉にマスクをつけずに外出すればどうなるかということは感染症の専門家でなくても予想できたことである。
韓国・ソウルの繁華街、
5月11日、マスク姿の乗客で混み合うソウル地下鉄の新道林駅
◼認識の甘さ=リーダーの不在
ソウル市長も文在寅大統領も極めて浅慮な人物で、安易なことを平気で度々口にする、韓国人の言うところの「希望拷問」( 注)タイプの政治家。
( 注)「希望拷問」については以下の記事参照
これまでのところ、彼らはMERSの経験で非常に上手く感染拡大を食い止めることが出来た。しかし、これは朴槿恵前大統領の試行錯誤の賜物であって、文氏を讃える材料にはならない。
それに加えて、MERS での経験は今回の新型コロナには通用せず、人類にとり「未知のウイルス」との戦いであることが十分認識出来ていないようなのだ。新型コロナウイルスはMERSよりも遥かに手強く、感染症が「治癒」したとみなしていいのかどうかの基準はこのウイルスの特性がまだまだ未知であるだけに難しいと思われている。抗体ができれば果たして治癒といってよいのか。
一部の科学者たちは、新型コロナウイルスのワクチンを作ることは不可能かもしれないと恐れており、例えば英国の主席医務官は4月24日、「抗体が出来ても人々がウイルスに再感染する可能性を示す「心配な」エビデンスがある」と警鐘を鳴らしている。
勿論一定の「基準」をつくってそれに従う対応が必須なのであるが、その一応の「治癒」の基準すら韓国内ではかなり曖昧になってきている。
■そもそも新型コロナウイルス感染症の「治癒」とは何を持って判断しているのか
日本での新型コロナウイルス感染症の治癒基準を見てみると
厚労省見解
「発熱や咳等の呼吸器症状が消失。
鼻腔や気管などからウイルスを検出できなくなった状況を「治癒した」と判断」(注)
更に以下の様に回答している。
「この新型コロナウイルスそのものに効く抗ウイルス薬はまだ確立しておらず、ウイルスが上気道や肺で増えることで生じる発熱や咳などの症状を緩和する目的の治療(対症療法)として、解熱剤や鎮咳薬の投与や、点滴等が実施されています。対症療法により、全身状態をサポートすることで、この間ウイルスに対する抗体が作られるようになり、ウイルスが排除されて治癒に至ると考える」
(注)鼻腔スワブ中のウイルスゲノムがPCR検査(厳密にはRT-PCR)で2回続けて陰性となるなどで判定。臨床所見、全身状態の回復が前提となる。
■「不都合な現象」が多数発生している韓国
5月7日付ロイターより
「韓国の保健当局は今年4月、新型コロナウイルス感染症から回復した患者がその後の検査で再び陽性と判定された事例を多数報告し、新型コロナを巡って「再感染」という新たな懸念が浮上した。再感染が起こり得るなら、隔離措置やワクチン開発などに厄介な問題が生じる。」「韓国疾病予防管理局(KCDC)によると、こうした事例は6日までに350件余りが報告されている。」
韓国のこの現象、「回復して検査でウイルス陰性になった後に、再び陽性に転じている症例数が多数出現している」ことに対し、WHOが調査に乗り出していると報じられていた。
この現象について、韓国の当局者は再感染やウイルスの再活性化など、いくつかの仮説について検証して、政府の専門家委員会が、再検査の結果は「偽陽性」との説が最も有力と結論づけたようなのだ。
■韓国では「治癒」の基準が極めて曖昧
しかし、「偽陽性」がこれほど多数出てしまうのであれば、韓国で行われている感染の有無を調べている標準的な検査の「特異度」と、「陽性反応適中度」が低いということを意味している。
これはつまり、韓国の検査では疾病の有無を正しく反映している割合「有効度」が低いということになり、ではそもそもそのような有効度の低い検査で「偽陽性」であるとどうやって判断するというのであろうか。
「(韓国)中央大学のワクチン開発専門家の Seol Dai-wu氏はRT-PCR法は感染力を持つウイルス片と、感染力を持たないウイルス片を区別することができず、ウイルスの断片があるかどうかを判定するだけなので、一部の事例でウイルスの古い断片を検出している可能性があり、こうした断片は患者にとっても他の人にとっても、もはや重大な危険はない」という見解を語っている。
何のためのPCR 検査かという根幹が既に崩れている。
保健福祉省の鄭銀敬(チョン・ウンギョン)・疾病管理本部長は6日「ウイルス片が死んだウイルス細胞の一部であるとの仮説を裏付ける証拠集めが続いている」と述べたとある。ウイルスには「細胞」というものはそもそもないのですが。
鄭銀敬本郡長は今回のウイルスとの闘いで韓国民の信頼を集めている人物なのだそうで、ソウル大学医学部を出た医師で、国立保健院伝染病管理課長を務める感染症の専門家なのだそうだ。
更に、記事では「いったん回復した後の検査で、陽性と判定された患者が感染を広げることはなさそうだ。鄭局長によると、KCDCの調査では回復後の再検査で陽性と判定された患者から感染が起きた事例は1件も見つかっていない。KCDCは、回復後に症状を再発したように見える患者についてウイルスを培養する検査を実施しており、この作業では信頼に足る結果が判明するまでに2週間余りを要する。」
「6日までに培養試験を完了した29例すべてで、判定は陰性に戻った。少なくとも79例でまだ培養試験が続いている。鄭局長は「再発事例のウイルスには、ほとんど、あるいは全く感染力がない」と述べた」などとある。
ウイルスは人工培地では増殖できないため、培養には生きた動物や細胞が必要であり、つまりは被験者の体そのものが培養条件として最適なわけで、そこで陽性と出ているものをわざわざ、検体を取り出して陰性結果に持ち込むことを意図した「ウイルスの培養検査」をやるのは妥当な検証の仕方には思えない。
KCDCが現在やっていることは「多数の再陽性者を偽陽性とするための結論ありきのアリバイ工作」にしか思えない。
実際に、今回のコロナウイルスの培養を豪国が成功したということが、以前ニュースになっていたぐらい、ウイルスを他の病原性微生物と完全分離して培養することは高度な技術が必要なのだ。日本では当然ながら既に成功している。
極めて曖昧な「治癒」基準で、感染終息と判断するには時期尚早なのに、文大統領の人気のための「終息」なのか、文大統領の支持率はおめでたいことに、70%台なのだそうだ。おめでたい人々のようである。
引用:
(注)ウイルスの基本構造は、粒子の中心にある核酸(DNAまたはRNA)と、それを取り囲むカプシドと呼ばれるタンパク質の殻から構成された粒子。ウイルスによっては、エンベロープと呼ばれる膜成分などをもつ。
(注)
感度=検査で正しく発見された罹患者/全罹患者
=a/(a+c)×100(%)
=a/(a+c)×100(%)
感度:実際に疾病にかかっている者が検査で陽性となる割合で、検査による疾病発 見の能力を表す。値が高いほど良い。
特異度=検査で正しく発見された非罹患者/全非罹患者
=d/(b+d)×100(%)
=d/(b+d)×100(%)
疾病にかかっていない者が検査で正しく陰性となる割合で、非罹患者を陽性 としない能力。値が高いほど良い。
陽性反応適中度=実際に疾病を有する対象者/全陽性所見者
=a/(a+b)×100(%)
=a/(a+b)×100(%)
有効度=(a+d)/(a+b+c+d)
a:疾病あり陽性、b:疾病なし陽性、c: 疾病あり陰性、d:疾病なし陰性
5/8 12人
5/9 18人
5/10 24人
3日間の合計が54人ということですね。
クラスターの状況から今後どのようになっていくのか予断を許しません。
安倍さんは慎重すぎる感もありますが、文在寅とトランプの言動にはやや似たところがあって楽観的な希望で予想を述べます。
科学を重視しない発言は、まさに「希望拷問」ですね。
愚かに無能だったのか、悪意があったかはともかく、中国は世界の多くの国々を敵に回してしまいましたし、北朝鮮の金王朝の体制は事実上機能不全になってしまったようですし、韓国の文政権は歴代最狂の反日政権なので、日本はやっと日韓併合、満州事変以来の「悪い友達」との悪縁を断ち切れそうですね。
ワクチンは無効かもしれませんが、このところの傾向を見ると、日本は必ず出口をみつけられると冷静な「希望」は持っていたいですね。油断は禁物ですが。
しかしタガが外れるとドッと規制から解放されて夜の店に押しかける韓国の民族性がなせる技でしょうかクラスター発生です。
韓国は位置情報データを駆使して接触追跡ができると大見得を切っていましたが、結局感染者を確認するのはナイトクラブの客の名簿。
ゲイが集まるクラブに本名を書く者がどれだけいるのかわかりそうなものです。
追跡できなければ感染拡大は避けられません。
安倍首相が韓国を「他山の石」にすると言ったのはまさにぴったりの表現でしたね。
解除後の日本では絶対に韓国のようにならないようにしたいものです。