My Painting Life

絵付けに係る日々の出来事を徒然なるままに、、、。

IPATサンフランシスコ大会

2012-08-21 17:43:44 | 日記
昨日IPATサンフランシスコ大会から戻って参りました。今回は私にとってIPAT大会初参加から丁度10年目に当たり、日本代表と言うボードメンバーの一人としての参加でしたので特に感慨深いものが有りました。
2年間の任期中は個人的に本を出版したり、様々な事情で大変な忙しさの中の役員でしたので全てが満足にできたわけでは無かったのですが、一つぐらいボードを務めた記念の仕事を残したいと思っていました。任期中にIPATから出版されたMaster Certification BookのAssigmentsの日本語翻訳をIPATに寄付しようと思っていましたので、それが間に合ったのは嬉しかったです。今後IPATのMasterの資格を取得する際には全てのIPATメンバーが利用できますので、日本人会員は事務局に頼んで、本の購入の際に付けてもらうか、既に本を購入済みの人はメールの添付ファイルで送ってもらうことができます。

IPATの日本代表の仕事は一般会員の人にはなかなかわかってもらいずらいのですが、会の懸案事項を討議するためにボードの会議がメールで行われます。その閲覧メールが常時送られてくるので眼を通して、自分が所属する委員会に関係する話し合いに参加し、協力しなければなりません。意見が分かれた話し合いでは激しい応酬もあり、はらはらしながらアメリカ人ボードのメールのやり取りを閲覧したのも一度や二度ではありませんでした。意見を出しつくした後、最終的には投票で決めますが、まさに民主主義のダイナミズムを肌で感じる経験でした。忙しい時には、このとめども無い閲覧メールをチャックするのが本当に苦痛で、朝になってパソコンを開くのが恐ろしくなったことも一度や二度ではありませんでした。しかも今期は資格のスクリーナー(審査員)も兼務していたので、そちらの関係の仕事もあり、自分に降りかかった運命を泣きたい思いでかみしめたものでした。しかしアメリカ人や香港のボードメンバーのIPATにささげる働きっぷりも尋常では無く、一旦引き受けた以上、泣きごとを言っても申し訳ないので歯を食いしばって最後まで投げださずにやり遂げました。任期中、協力して下さった方々には改めてこの場で御礼申し上げたいと思います。今はその両方の任が解け、解放感と幸せををかみしめています。はたから見ればいたらぬ日本代表であった点が多々あったと思いますが、自分としてはできる範囲のせい一杯をやったつもりですのでこれでお許し頂くしかないと思っています。
終わって見れば、2年間にボードの間には同志のような仲間意識が芽生え、お互いに尊敬する気持ちを持ち合うことができたことは大きなご褒美でした。次期日本代表は無事に関西在住の岸田周子さんにバトンを渡し今大会で正式に承認されました。
2014年の次回IPAT大会地はフロリダ州のオーランド(Orland)で"OCEANAPART, SHAREDART”をテーマに行われます。皆さんも是非早めに予定を調整してご参加下さい。

7月の中頃、月末に毎年恒例の母と二人の二人展とセミナーを控え、その準備でも忙殺されている最中に、IPATのPresidentのMarileeからCertification ChairmanのVictoria Georgeが大会に参加できないのでCertification Breakfastの司会をやってくれないかとの打診がありました。びっくりすると同時に大変名誉なことでもあるので思い切ってやって見ることにしました。Certification Breakfastはこの2年間にIPATの資格を取ったメンバーを表彰する朝食会で、IPAT大会の公式行事の一つです。通常はCertification Chairmanが司会を担当するのですが、今回事情で不参加なので8年間資格のスクリーナーを務め、今期辞任宣言をしたた私にMarileeが「最後の花」を持たせてくれる気持ちになってくれたのかもしれません。早速Cahirman of the boardのCelesteに会の流れのアドバイスを受け、8月に入ってから近くに住むネイティブスピーカーの絵付友達、Gloriettaさんに急遽、時間を作ってもらい原稿と発音のチェックをしてもらいました。おかげで朝食会当日は自信を持って司会を担当することができました。

今回はサンフランシスコと言うアジアからたくさんの直行便が有る立地の良さもあり、香港、韓国、日本からも大勢のペインターが参加していました。コンペティションでは日本からの参加者が大量に金賞を受賞し、皆大喜びでした。銀賞の人も大勢いて、改めて日本人ペインターのレベルの高さを認識するような結果でした。私の出品した2作品も両方とも金賞が取れ、自分としても目的の一つを果たした思いです。一つの作品は冷や汗をかく思いで8月に入ってから制作を始めたので本当に運が良かったです。

寄付作品によるオークションではコロラド在住の日本人ペインターTさんが清水桂子さんや私の出品した作品を高値で落札してオークションを大いに盛り上げてくれました。特に清水さんの作品は競り合うライバルがなかなかあきらめなかったのでとても値が上がり会場は大いに沸いたのでした。清水さんはブースも出されて大変盛況のご様子でした。

今回私はIPATのブースで新しくIPATから出版された3冊のCertification Booksを販売する仕事も手伝わなければなりませんでした。IPATから新しく出版された本のうち2冊は今回初お目見えでしたが見てびっくりしました。私の作品が相当なスペースで掲載されていたのです。編集担当のコリンナが5月メアリーのセミナーに参加し私の家に立ち寄った際にたくさんの私の作品写真を取って、IPATの本に使っても良いかと聞いていたので了解したのですが、まさかこんなに使うとは、、、。絵付けした我家の表札まで掲載されていてびっくりでした。本の販売の手伝いをしたので初日には思うようにデモを見に行ったりできませんでしたが、私自身のデモをした中日には、自分のデモが終わった後あれこれ覗いて少しは勉強することもできました。この日、全てのデモの見学を終えて仕事場のIPATブースに戻ると、以前参加したスクールで友達になったPさんが私を見つけ「あなたのこと一日中探していたのよ、ちょっと来て」と言って私をある女性のもとへ連れて行きました。彼女はSusanneと言ってGeorgea Seminars by the seaという今アメリカで今一番大きな絵付スクールを経営する女性でした。彼女は私にいきなり自己紹介をし「あなたを2014年のスクールの講師として正式に招待したい、詳しくはこれこれあれこれ、、、。」と早口で説明を始めました。私はびっくりすると同時に、自分のデモが終わった後に、もう一人のスクール友達が「Susanneにあなたのデモのこと話してくる。」と言っていたのを思い出しました。私はSuannneが誰だかちゃんと認識していなかったので一体何の話かと思っていたのですが、こういうことだったのかと改めて納得したのでした。彼女は私に契約書を見せて、「日本へ帰ってから考えてから返事をくれても良いわよ。」と言ってくれたのですが、私は彼女の気が変わったら困るのでその場で契約書を読んでサインしました。家族へは事後承諾です。あまりのBig offerに夢を見ているような気分でしたが俄然やる気が出てきました。それにしてもあまりのスピード契約に狐につままれたような気分でしたが、帰国後にその謎が解けました。
帰国後、この数カ月忙しくて全く見ていなかったFacebookのメッセージを数カ月ぶりにチェックし、その中にSusanneからの古いメッセージを発見したのでした。彼女は既に私にこの件についてメールで打診してくれて、IPAT大会に来るかどうか確認していたのに私は気付かずに返事もせずに放りっぱなしにしていたのでした。どうやら今回のIPAT大会の私の出品作品とデモはダメ押しの最終テストだったようでした。私のデモと同じ時間帯にMarciというとても人気のあるモダンテクニックのペインターがデモをしていたので人の流れの多くはそちらへ行っていたにもかかわらず、私のクラスにも私がデモした『イングレーズと他のマテリアルのコンビネーションを和柄に生かす』というテーマに興味を持った20人くらいの熱心なペインター達が集まって、とてもホットに盛り上がり、集まってくれた皆さんはとても満足してくれた様子でした。自分としても成功であったと確信を持てるデモでした。コロラドの日本人ペインターTさんがサポート役として付いていてくれたのも、落ちついてできた要因の一つだったと思います。今回デモを申し込んだのも滑り込みセーフでしたし、私は自分の運について改めて考えずには居られませんでした。大会参加の直前に義母と兄のお墓参りをしてきたのがこんなにてきめんに効いたかと思ってしまいました。

最終日のバンケットではいろいろな友達とはしゃぎまわって大いに盛り上がりました。ボードの一人Cherryl Meggからは「あなたが初めて参加した頃はひどい英語だったけどずいぶん上手になったわね。」と褒められ、昔のことを思い出して急に恥ずかしくなってしまいました。この10年間、折に触れて絵付しながらCNNを聞いていたのがちょっとは役に立ったのかもしれません。
大会中に実はもう一つ、Big Offerが有ったのですが、その話はいずれ又改めてお話しいたいと思います。

涼しかったサンフランシスコから酷暑の日本に戻り、しばらく忍耐が続きますが、8月30日31日には3年に一度のJPPAの作品展が新橋の第一ホテル東京で開催されます。お時間のある方、どうぞ足をお運びください。私は陶画舎大賞受賞作品と今回の金賞受賞作品のどちらか一方を展示する予定です。