美と知

 美術・教育・成長するということを考える
( by HIGASHIURA Tetsuya )

岡山県備前訪問

2007年09月28日 | ノート
陶芸クラブによる岡山県備前の窯元訪問をしました。

バスで西宮北口を出発し、宝塚ICから中国道~山陽道を通り~和気ICまで走ります。

そして、JR伊部(いんべ)駅前の備前陶芸美術館を見学してから、香登(かがと)の備前焼窯元“五郎辺衛”さんをお訪ねしました。

五郎辺衛窯では、武用光一(ブヨウコウイチ)氏より備前焼の歴史や備前焼の取り組みなどについてお話をうかがい、

武用務(ブヨウツトム)氏より技法の説明をしていただいて、皆それぞれに作りたい器にチャレンジしました。



元倉敷民芸館館長外村吉之介氏(1898年生、関西学院神学部卒業、民芸運動家、1993年没)が
「備前焼は日本の焼物のメッカとして語られているが、元来無釉焼締め(器:セッキ)で“備前水がめ水が腐らん”と言われて日用の雑器として用いられていた。その実用の機能性は実に高度なものであり、その備前特有の風情は室町桃山時代早くから趣味人たちの注目するところとなり、趣味的な指導が入り込み、技巧による雑味、幽玄の世界、崇高の美を求め過ぎて現代に至ります。日常のやきものとして大切な実用性を忘れる道に走ってしまって現代に至ります。その大きく永い(300~400年)犠牲が備前の歴史である。」
と備前焼を評価しています。

五郎辺衛窯の武用光一氏はそのことを受け、

 *器を美のために造るなら、用にも堪えず、美にも堪えぬ。用に即さずば工芸の美はあり得ない。これが工芸に潜む不動の法則である。

 *美術は理想に迫れば迫るほど美しく、工芸は現実に交われば交わるほど美しい。

 *用と美が結ばれるもの、これが工芸である。

と強い信念を持ち、実用の機能性、格調と趣きの深さを兼ね備え、それを手にする人に心の安らぎをもたらし、そして、使う人には楽しさと生活の励ましとなり「頼りになる作品」を創ることこそ、大衆の窯元としての使命であると日々取り組んでおられます。
また、実用という面で、備前焼の持つ不思議な力を科学的にも究明されています。


普段触れることのできない、歴史ある窯元のお仕事も拝見でき、楽しく、そして、有意義な一日でした。


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