以前『現時点のシュルタイス』という題で、SKFサイト掲載のアドリアンのプロフィールを訳したことがある。それのクリストファー版が出たので紹介しときます。
80年代半ば、ヨーテボリ郊外ランドヴェッテルのスケートリンクで、5歳男児のグループがフィギュアスケートを練習していた。ふざけたり遊んだり。中でも一番元気なのはリンクからわずか5分のところに住んでいる小さな亜麻色の髪の坊やだった。この子はその後、15歳でナショナルチーム・デビューを果たして史上最年少の国代表選手となり、更にその数年後、2000年のナショナルで男子選手として初めてトリプル・アクセルを成功させるというおまけまで付けた。
少年の名前はクリストファー・ベルントソン、現在27歳だ。彼はこう語る:
「小さい時はサッカー、バトミントン、卓球と、いろんなスポーツをやっていた。だけど結局フィギュアに落ち着いた、理由はそれに喜びがあり、アイス上で自己表現出来る可能性があったから。それ以外に僕は創造的なことが好きなので-誰もやったことのないことを試みる勇気があるので」
今やクリストファー・ベルントソンは、1ダースにもおよぶナショナルチームでの年を振り返ることが出来る。
ワールド(2007)の9位、ユーロ(2008)の7位、ノルデック一位6回とナショナル一位8回を最高のメリットとするヨーロッパと世界における上位。
「僕が最も誇りに思うのは、絶えず成長しようと本気で努め続けてきたこと、立ち止まって満足しなかったことだ。どういうことかと言うと、ナショナル、ノルデック、ユーロ、ワールドといった大会に向けてだけでなく、日常生活にまでも目標を定めている。例えば、練習で特定のジャンプを5回決めるとか、気分が重い時にもなんとか動機を失わないように頑張るとかいうように」
ベルントソンによると、年月は痕跡を残している:
「以前はただスケート場に入ってスケート靴を履いて、そしてすぐ練習に入れた。昨今は綿密な準備を身体が要求する。精神面の準備以外に、身体を慣らし負傷を予防する為の特別な体操をしなければならない。だから以前より時間が長くかかるよ」とシーズン中には準備以外に週約20時間の練習をするベルントソンは語る。
2009‐2010シーズンの大目標はバンクーバー五輪の唯一の枠を取ることだった。それが不成就に終わって、様々な思いが脳裏を過ぎりはじめた-継続するか、それとも辞めるか?
「自明の決定ではなかった、が、依然としてスケートが楽しく練習が喜びをもたらしてくれるので、継続することにした。これからもう一年、2011年の東京ワールドでスウェーデン代表になることを目標に頑張る。それが出来た場合の目標は、2007年の9位を上回ることだ」
日本はベルントソンの心を温めてくれる国だ。不思議なことでもないだろう、だってそこにはファンレターやメイルを送ってくれる若い女の子がメインの、彼のファンクラブがあるんだから。今年4月2日エリクソングローブで開かれたフィギュア・ショー、ストックホルムアイスの時には、ショー後のVIP晩餐会のベルントソンのテーブルのスタンドに、一人の日本のファン嬢から署名入りの美しい花束が贈られてきた。
.
「うん、日本のファンは良いね。彼ら(彼女ら?)は僕のスケートを喜んでくれるし、喜んでもらえるのはいつだって嬉しい」
アイス外の日常-すなわち学校、ユテボリのシャルマーズ工科大学の5年制電気技術科、に於いても創造的でありたいと言う彼。いよいよ『電気モータ駆動のためのパワーランチ』というテーマのもとに卒業論文を作成する時だ。
「本当いつも常に如何に問題を解決するかってことなんだ。だから、僕のこと創造的エンジニアと見做してくれても良いと思うよ」
.
即答5題:
肉それとも魚?
答え:肉
レッドそれともホワイト?
答え:レッド
ニューヨークそれとも東京?
答え:東京
地下鉄それとも市電?
答え:地下鉄
プルシェンコそれともランビエール?
答え:ランビエール
スウェーデン・フィギュア連盟のスポーツ・マネジャー、カリーナ・スコーグは、ベルントソンについてこう語る:
「クリストファーが継続してくれることはスウェーデンのフィギュアスケートにとってポシティブだし貴重だ。彼はナショナルチームに於ける良きお手本であり、肯定的な力である。スウェーデン国内男子の競争は今や刃の鋭さであり、国際級の高レベルだ。これは国際試合のタフな状況とあわせて、我々が更に良い成績を得るための更に良い前提となっている。
########
長い付き合いでクリストファーの性格はかなりわかってるつもりだが、こうして本人が明確に語るのを聞いたのは初めて。やっぱり凄いな・・
アドリアンが絵の具をカンバスにどばっ!!ぶっちゃけて「これが俺の気持ちだ、わかったかあ」と叫ぶアブストラクト・インプレッショニスト(なんじゃそりゃ?)であるとするならば、クリストファーはしつこく細部にこだわってこつこつ仕上げる一徹な伝統工芸家。頑固が服着て歩いてるみたいなお人です。
別な見方をすれば、アドリアンは天才型、クリストファーは秀才型、信長と光秀、ハリーとハーマイオーニー、モーツァルトとサリエリ・・は言い過ぎか
マヨ君が「そんな細かいことばっかやってても点にならんだろ」というような、批判とまではいかなくともある程度の・・やっぱり批判だな、を仄めかしてた。それは確かにそうなんだが・・
秀才が天才にはかなわないってのは世の決まりだし。
が、そう言われたからといって、態度を変える男ではないんだぜ、クリスは。
いくら不器用なやりかたでもとことん貫けば天地は動く、と私は信じてる。
それを彼に証明して貰いたいんだ。
馬鹿の一念岩をも砕く・・男の意地を見せてやれよな、ベルントソン
・・と言ったからといって、別にクリストファーにアドリアンを負かして欲しいと思ってるわけじゃない。来シーズンは二人共同で世界制覇に挑戦して欲しいんだってば。で、アドリアンのど心臓はもう充分わかってるから、クリスのへタレがなんとかなりますようにって・・要するにそういうことね
あの凄まじいイケメンが眼くらましになって誤魔化されるけど、クリスって実はくそ真面目で面白味のない典型的ガリ勉タイプなんじゃないかな。
いや、面白味がないってのは当たってないな。顔と性格のギャップがグランドキャニオンな点に於いて、既に彼はアドリアンの奇天烈さに充分対抗できてるとみるべきだ。
そうさ、何事も見方次第
それはそうと、日本ラブがツーマッチ過ぎて、なんか恥ずかしいくらいだな。
こりゃあ、彼をして継続を決意させた原因のかなりの部分が日本発なのはどうやら間違いなさそうだ。
花束を彼のテーブルに送った方、どなたです?もしかしたら、それが彼を決意させた最後のワンプッシュだったかもですね!
素晴らしい
80年代半ば、ヨーテボリ郊外ランドヴェッテルのスケートリンクで、5歳男児のグループがフィギュアスケートを練習していた。ふざけたり遊んだり。中でも一番元気なのはリンクからわずか5分のところに住んでいる小さな亜麻色の髪の坊やだった。この子はその後、15歳でナショナルチーム・デビューを果たして史上最年少の国代表選手となり、更にその数年後、2000年のナショナルで男子選手として初めてトリプル・アクセルを成功させるというおまけまで付けた。
少年の名前はクリストファー・ベルントソン、現在27歳だ。彼はこう語る:
「小さい時はサッカー、バトミントン、卓球と、いろんなスポーツをやっていた。だけど結局フィギュアに落ち着いた、理由はそれに喜びがあり、アイス上で自己表現出来る可能性があったから。それ以外に僕は創造的なことが好きなので-誰もやったことのないことを試みる勇気があるので」
今やクリストファー・ベルントソンは、1ダースにもおよぶナショナルチームでの年を振り返ることが出来る。
ワールド(2007)の9位、ユーロ(2008)の7位、ノルデック一位6回とナショナル一位8回を最高のメリットとするヨーロッパと世界における上位。
「僕が最も誇りに思うのは、絶えず成長しようと本気で努め続けてきたこと、立ち止まって満足しなかったことだ。どういうことかと言うと、ナショナル、ノルデック、ユーロ、ワールドといった大会に向けてだけでなく、日常生活にまでも目標を定めている。例えば、練習で特定のジャンプを5回決めるとか、気分が重い時にもなんとか動機を失わないように頑張るとかいうように」
ベルントソンによると、年月は痕跡を残している:
「以前はただスケート場に入ってスケート靴を履いて、そしてすぐ練習に入れた。昨今は綿密な準備を身体が要求する。精神面の準備以外に、身体を慣らし負傷を予防する為の特別な体操をしなければならない。だから以前より時間が長くかかるよ」とシーズン中には準備以外に週約20時間の練習をするベルントソンは語る。
2009‐2010シーズンの大目標はバンクーバー五輪の唯一の枠を取ることだった。それが不成就に終わって、様々な思いが脳裏を過ぎりはじめた-継続するか、それとも辞めるか?
「自明の決定ではなかった、が、依然としてスケートが楽しく練習が喜びをもたらしてくれるので、継続することにした。これからもう一年、2011年の東京ワールドでスウェーデン代表になることを目標に頑張る。それが出来た場合の目標は、2007年の9位を上回ることだ」
日本はベルントソンの心を温めてくれる国だ。不思議なことでもないだろう、だってそこにはファンレターやメイルを送ってくれる若い女の子がメインの、彼のファンクラブがあるんだから。今年4月2日エリクソングローブで開かれたフィギュア・ショー、ストックホルムアイスの時には、ショー後のVIP晩餐会のベルントソンのテーブルのスタンドに、一人の日本のファン嬢から署名入りの美しい花束が贈られてきた。
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「うん、日本のファンは良いね。彼ら(彼女ら?)は僕のスケートを喜んでくれるし、喜んでもらえるのはいつだって嬉しい」
アイス外の日常-すなわち学校、ユテボリのシャルマーズ工科大学の5年制電気技術科、に於いても創造的でありたいと言う彼。いよいよ『電気モータ駆動のためのパワーランチ』というテーマのもとに卒業論文を作成する時だ。
「本当いつも常に如何に問題を解決するかってことなんだ。だから、僕のこと創造的エンジニアと見做してくれても良いと思うよ」
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即答5題:
肉それとも魚?
答え:肉
レッドそれともホワイト?
答え:レッド
ニューヨークそれとも東京?
答え:東京
地下鉄それとも市電?
答え:地下鉄
プルシェンコそれともランビエール?
答え:ランビエール
スウェーデン・フィギュア連盟のスポーツ・マネジャー、カリーナ・スコーグは、ベルントソンについてこう語る:
「クリストファーが継続してくれることはスウェーデンのフィギュアスケートにとってポシティブだし貴重だ。彼はナショナルチームに於ける良きお手本であり、肯定的な力である。スウェーデン国内男子の競争は今や刃の鋭さであり、国際級の高レベルだ。これは国際試合のタフな状況とあわせて、我々が更に良い成績を得るための更に良い前提となっている。
########
長い付き合いでクリストファーの性格はかなりわかってるつもりだが、こうして本人が明確に語るのを聞いたのは初めて。やっぱり凄いな・・
アドリアンが絵の具をカンバスにどばっ!!ぶっちゃけて「これが俺の気持ちだ、わかったかあ」と叫ぶアブストラクト・インプレッショニスト(なんじゃそりゃ?)であるとするならば、クリストファーはしつこく細部にこだわってこつこつ仕上げる一徹な伝統工芸家。頑固が服着て歩いてるみたいなお人です。
別な見方をすれば、アドリアンは天才型、クリストファーは秀才型、信長と光秀、ハリーとハーマイオーニー、モーツァルトとサリエリ・・は言い過ぎか
マヨ君が「そんな細かいことばっかやってても点にならんだろ」というような、批判とまではいかなくともある程度の・・やっぱり批判だな、を仄めかしてた。それは確かにそうなんだが・・
秀才が天才にはかなわないってのは世の決まりだし。
が、そう言われたからといって、態度を変える男ではないんだぜ、クリスは。
いくら不器用なやりかたでもとことん貫けば天地は動く、と私は信じてる。
それを彼に証明して貰いたいんだ。
馬鹿の一念岩をも砕く・・男の意地を見せてやれよな、ベルントソン
・・と言ったからといって、別にクリストファーにアドリアンを負かして欲しいと思ってるわけじゃない。来シーズンは二人共同で世界制覇に挑戦して欲しいんだってば。で、アドリアンのど心臓はもう充分わかってるから、クリスのへタレがなんとかなりますようにって・・要するにそういうことね
あの凄まじいイケメンが眼くらましになって誤魔化されるけど、クリスって実はくそ真面目で面白味のない典型的ガリ勉タイプなんじゃないかな。
いや、面白味がないってのは当たってないな。顔と性格のギャップがグランドキャニオンな点に於いて、既に彼はアドリアンの奇天烈さに充分対抗できてるとみるべきだ。
そうさ、何事も見方次第
それはそうと、日本ラブがツーマッチ過ぎて、なんか恥ずかしいくらいだな。
こりゃあ、彼をして継続を決意させた原因のかなりの部分が日本発なのはどうやら間違いなさそうだ。
花束を彼のテーブルに送った方、どなたです?もしかしたら、それが彼を決意させた最後のワンプッシュだったかもですね!
素晴らしい
クリスってホント頑固で一途ですよね。・・・プレッシャーに弱いけど。このギャップが応援したくなる要因かも。
この不利な状況下での現役継続は、やはりその一途さ、生真面目さ故でしょうね。本人が自分のフィギュア人生にまだまだ納得していないのかなと。
日本へのコメントは、多分にリップサービス込でしょうが、嬉しいですね。ただ、中にはミーハーなファンがいて、ショーではなく競技で来日するのに、出待ちなどの迷惑行為をするのでは・・・と心配もしておりますが。SWE的美形探訪で書かれていた通り、凄いイケメンですからねー(悦様のこの考察、すっごく面白かったです♪)
今後もブログを楽しみにしております!長々と失礼致しました~
なんか昨日はSKFずいぶんたくさん更新あったようですね。
現在の彼の談話が読めて嬉しいです。
絵の具ぶちまけアドリアンと緻密細工クリストファーという例えがいいですね~。でもどっちもMoMA収蔵モダンアートだったり。
感性の右脳派、理論の左脳派とも言えるかもしれません。
そう、二人揃って世界にうって出るところが見たいんだ!
初めまして
あの顔で頑固ってのはなんかミスマッチだけど、そうなんですよね(笑)仰るとおりそれでいてプレッシャーに弱いってのがなんとも・・ツボ(爆)
こうなったからにはなんとか無事来日、良い思いでをつくって頂きたいですが、さて。
勝手なこと書き過ぎブログですが、これからも宜しくお願いしますね。
>はしるんさん
ほんと最近SKF頑張ってますね。ストックホルムアイスの成功は一般からも評価され、定例化決定。今月19日ー22日には早くもナショナル・チームの来季に向けたキックオフWSを様々なスペシャリストを迎えて開催中等々、いろんなニュースで賑わってます。
そういう中にクリスがどう加わっていけるか、いよいよこれからが本番ですね。来シーズンはなんとか、べるシュル二翼でいって欲しいんだけど。
初めまして
Google訳、日本語にするとさすがにかなり意味不明ですが、英語だと正確に出てくるんですね。技術の進歩に驚愕します。
ご指摘の部分、そのものずばりの正しい翻訳です。意味するところも仰るとおりだと思います。日本にファンが一杯いるってことをちょっとオーバーに、ユーモアをまじえて「ファンクラブがある」と言っただけのことでしょう。別に他意はないと思います。
他の事項につては、熟考のうえ後ほど改めて私見を述べたいと思います。お教えいただきどうも有難うございました。
>ぺと蓮子さん
どうも有難うございます。こちらこそ宜しく。
なにか感じられたら、どうかまたお気軽にコメントしてくださいね。
ニコニコの書き込みとか見ても、髪の問題が日本人にとって如何に重要なことなのかが伝わってきて、ちょっと気にしすぎじゃない?と正直思います。そんなこと気にしてたら、北欧には住めないよ(笑)
ちなみにキャンデロロさん、今でもそれなりにご立派な髪を保持しておられるんじゃないですか?(違うかな)おでこが広いってのはその後の進展(?)とはあまり関係ないと思ってるんですけど。