静学スタイル・井田勝通・P123
◆15歳までにボールを100万回触れ
「15歳までにボールを100万回触れ!」というのが、俺のポリシーだということは、これまでにも何度か話した。
だから、学園では2時間の全体練習の最低でも半分はボールコントロール練習に割いてきた。
現在、指導しているバンレオール岡部の中学生は、練習時間の90パーセント以上、ボールに触っている。
たとえば向かい合ったワンタッチのパス練習はやらない。3対3のボールポゼッションをやるとしても、普通はワンタッチとかツータッチでやれと言うだろうけど、俺は違う。ワンタッチパスはいらない。ドリブルしてDFを抜いてからパスを出せと囗を酸っぱくして言うんだ。
そうすると、自然とボールタッチが増えて、テクニックも身につく。ワンタッチパスというのは、ボールに触れる時間が1秒にもならないだろう。オレの発想だと、小さい時からそればかりをやっていたら、絶対にうまくならないと思う。
それなのに、今の日本は小学生からパスサッカーばかりを追い求める傾向がある。みんな「パス、パス、パス」。ボールをつなぐ練習しかやっていない。一体、ドリブルの練習をいつやるのか。
日本人は一人当たりのボールを触る回数がとにかく少なすぎるんだ。
確かに、それはそれで強くなる。だけど、ワールドカップでゴール前に入って、相手の裏をかくドリブルをしたり、イマジネーション溢れるというか見ている人の度肝を抜いたりするようなプレーは絶対に生まれてこない。ワールドカップブラジル大会の日本代表がまさにそう。日本人の足りない部分をハッキリと露呈したんだ。
小さい時はとにかくテクニックだ。ドリブルをやれ。
それは、俺の信念でもある。
ボールコントロールのことを、俺はよく「箸(はし)」に例える。箸を使うことは子供の時にお母さんやお父さんから教わって、最初はうまく使えないけど、だんだん自由に使えるようになる。
サッカーも同じ理屈で考えていい。ボールを足で扱うスポーツだから、うまくなるために足で触る回数というのはすごく大事。
「他の人がボールを1万回触るなら、学園は10万回触れ」
「相手が10万回触ったら、学園は50万回、100万回触れ」
俺はそれを口癖のように言っている。
相手よりうまくなって、テクニックで凌駕しようと思うなら、それ以上にボールを触らなきゃならないんだ。
岡部のジュニア、ジュニアユースでここ数年、取り入れている、ある日の練習の流れはこんな感じだ。
■ジュニア=1時間半
①1人1個ずつボールを持って、まず右足でのドリブルとボールキープ。じゃんけんで負けた人が鬼になって、他の子を追いかける。1分間やって鬼で終わった人は、罰ゲームとして前転1回
②左足でのドリブルとボールキープ。1分やって鬼で終わった人は、罰ゲームで後転1回
③両足でのボールキープ。1分やって鬼で終わったら、もも上げジャンプ
④少しグリッド広がってリフティング。1年生はワンバウンドで20回。2年生はノーバウンドで30回。2度トライして2回目は1回目を超えるように努力する
⑤右足だけで細かいドリブル。1年生は10秒、2年生は15秒で10セットを行う
⑥左足だけで細かいドリブル
⑦両足で細かいドリブル
■ジュニアユース=2時間
①タッチライン~タッチラインの間(60m)を左右両足での細かいドリブルで往復
②同じ距離を両足、肩、胸でリフティングしながら往復
②2人1組で柔軟体操。集合
(移動して、センターサークル程度の広さを使って)
④全員でごちゃ混ぜになって両足交互のボールキープとドリブル
⑤片足のボールキープとドリブル
⑥両足を使ってボールキープとドリブル
⑦④~⑥を連続で行う
⑧右足裏
⑨足裏クロス
⑩左右交互のインサイド。横に移動しながら行う
⑪ボールに足裏をつけて前後に動かす
⑫ボールに足裏をつけてターンする・浮かす
(時間を徐々に延ばしていき)
⑬右足裏、左足裏、両足裏を10秒ずつ
⑭これを30秒、1分と伸ばし、スピードも上げて負荷を高める
⑮肩や頭でのボールコントロール。これも時間を延ばしていく。
(タッチライン際に移動して、20mのエリアを往復す亘
⑯右足裏でボールをまたぎながら前へ進む
⑰左足裏でボールをまたぎながら前へ進む
⑱両足交互のインサイドと足裏クロスを織り交ぜながらのドリブル。ターンも入れる
⑲左右のインサイド
⑳左右のイン、アウト
㉑ボールを引いてまたぐ。次に後ろ向き匚なってボールを引きながらまたぐ
テクニックの習得は本当に一筋縄ではいかない。長い時開かかかるものだ。前にも言ったけど、手で箸を持って自由自在に物をつかんで食べられるように、足で無意識にボールを扱えるようになるには、ひたすら反復するしかないんだ。
こういうメニューをやらせると、学園の高校生が3年間やって身につけられることを、中学生なら1年か1年半でこなせるようになる。
小学五年生や六年生なら、もっと短期間で習得できる。
実際、子供は好奇心旺盛だし、試行錯誤することも厭わない。体も柔軟性があり、何でもすぐに覚えられる。8~12歳は集中力と体力の問題があるけど、そこで体得したリズムやボール感覚、ハーモニーは一生使えるものなんだ。
中学・高校生くらいの年代だったら、ある程度、強制的に毎日、練習させるくらいのアプローチが指導者には必要だと思う。
もちろん、3歳からサッカーを始めてもモノにならないやつはいるし、早くからやったからといって全員がプロになれるわけではないけど、やはりスタートが早い方が有利。
ただ、子供のうちに高度なボールテクニックを体得したとしても、トレーニングを継続しなければやはりスキルは落ちる。ボール扱いに関しては、プロになっても練習しなければダメなんだ。
ペレは、テニスボールをいつもポケットの中に持っていて、暇があれば自分でリフティングやドリブルをして、腕を磨くことを欠かさなかったという。サッカーの王様でもそうなんだから、一般の選手はどれだけ努力が必要か分かるだろう。
名選手の例を踏まえて、繰り返しになるが、何度でも言う。
「ボールを100万回触れ!」と。
◆15歳までにボールを100万回触れ
「15歳までにボールを100万回触れ!」というのが、俺のポリシーだということは、これまでにも何度か話した。
だから、学園では2時間の全体練習の最低でも半分はボールコントロール練習に割いてきた。
現在、指導しているバンレオール岡部の中学生は、練習時間の90パーセント以上、ボールに触っている。
たとえば向かい合ったワンタッチのパス練習はやらない。3対3のボールポゼッションをやるとしても、普通はワンタッチとかツータッチでやれと言うだろうけど、俺は違う。ワンタッチパスはいらない。ドリブルしてDFを抜いてからパスを出せと囗を酸っぱくして言うんだ。
そうすると、自然とボールタッチが増えて、テクニックも身につく。ワンタッチパスというのは、ボールに触れる時間が1秒にもならないだろう。オレの発想だと、小さい時からそればかりをやっていたら、絶対にうまくならないと思う。
それなのに、今の日本は小学生からパスサッカーばかりを追い求める傾向がある。みんな「パス、パス、パス」。ボールをつなぐ練習しかやっていない。一体、ドリブルの練習をいつやるのか。
日本人は一人当たりのボールを触る回数がとにかく少なすぎるんだ。
確かに、それはそれで強くなる。だけど、ワールドカップでゴール前に入って、相手の裏をかくドリブルをしたり、イマジネーション溢れるというか見ている人の度肝を抜いたりするようなプレーは絶対に生まれてこない。ワールドカップブラジル大会の日本代表がまさにそう。日本人の足りない部分をハッキリと露呈したんだ。
小さい時はとにかくテクニックだ。ドリブルをやれ。
それは、俺の信念でもある。
ボールコントロールのことを、俺はよく「箸(はし)」に例える。箸を使うことは子供の時にお母さんやお父さんから教わって、最初はうまく使えないけど、だんだん自由に使えるようになる。
サッカーも同じ理屈で考えていい。ボールを足で扱うスポーツだから、うまくなるために足で触る回数というのはすごく大事。
「他の人がボールを1万回触るなら、学園は10万回触れ」
「相手が10万回触ったら、学園は50万回、100万回触れ」
俺はそれを口癖のように言っている。
相手よりうまくなって、テクニックで凌駕しようと思うなら、それ以上にボールを触らなきゃならないんだ。
岡部のジュニア、ジュニアユースでここ数年、取り入れている、ある日の練習の流れはこんな感じだ。
■ジュニア=1時間半
①1人1個ずつボールを持って、まず右足でのドリブルとボールキープ。じゃんけんで負けた人が鬼になって、他の子を追いかける。1分間やって鬼で終わった人は、罰ゲームとして前転1回
②左足でのドリブルとボールキープ。1分やって鬼で終わった人は、罰ゲームで後転1回
③両足でのボールキープ。1分やって鬼で終わったら、もも上げジャンプ
④少しグリッド広がってリフティング。1年生はワンバウンドで20回。2年生はノーバウンドで30回。2度トライして2回目は1回目を超えるように努力する
⑤右足だけで細かいドリブル。1年生は10秒、2年生は15秒で10セットを行う
⑥左足だけで細かいドリブル
⑦両足で細かいドリブル
■ジュニアユース=2時間
①タッチライン~タッチラインの間(60m)を左右両足での細かいドリブルで往復
②同じ距離を両足、肩、胸でリフティングしながら往復
②2人1組で柔軟体操。集合
(移動して、センターサークル程度の広さを使って)
④全員でごちゃ混ぜになって両足交互のボールキープとドリブル
⑤片足のボールキープとドリブル
⑥両足を使ってボールキープとドリブル
⑦④~⑥を連続で行う
⑧右足裏
⑨足裏クロス
⑩左右交互のインサイド。横に移動しながら行う
⑪ボールに足裏をつけて前後に動かす
⑫ボールに足裏をつけてターンする・浮かす
(時間を徐々に延ばしていき)
⑬右足裏、左足裏、両足裏を10秒ずつ
⑭これを30秒、1分と伸ばし、スピードも上げて負荷を高める
⑮肩や頭でのボールコントロール。これも時間を延ばしていく。
(タッチライン際に移動して、20mのエリアを往復す亘
⑯右足裏でボールをまたぎながら前へ進む
⑰左足裏でボールをまたぎながら前へ進む
⑱両足交互のインサイドと足裏クロスを織り交ぜながらのドリブル。ターンも入れる
⑲左右のインサイド
⑳左右のイン、アウト
㉑ボールを引いてまたぐ。次に後ろ向き匚なってボールを引きながらまたぐ
テクニックの習得は本当に一筋縄ではいかない。長い時開かかかるものだ。前にも言ったけど、手で箸を持って自由自在に物をつかんで食べられるように、足で無意識にボールを扱えるようになるには、ひたすら反復するしかないんだ。
こういうメニューをやらせると、学園の高校生が3年間やって身につけられることを、中学生なら1年か1年半でこなせるようになる。
小学五年生や六年生なら、もっと短期間で習得できる。
実際、子供は好奇心旺盛だし、試行錯誤することも厭わない。体も柔軟性があり、何でもすぐに覚えられる。8~12歳は集中力と体力の問題があるけど、そこで体得したリズムやボール感覚、ハーモニーは一生使えるものなんだ。
中学・高校生くらいの年代だったら、ある程度、強制的に毎日、練習させるくらいのアプローチが指導者には必要だと思う。
もちろん、3歳からサッカーを始めてもモノにならないやつはいるし、早くからやったからといって全員がプロになれるわけではないけど、やはりスタートが早い方が有利。
ただ、子供のうちに高度なボールテクニックを体得したとしても、トレーニングを継続しなければやはりスキルは落ちる。ボール扱いに関しては、プロになっても練習しなければダメなんだ。
ペレは、テニスボールをいつもポケットの中に持っていて、暇があれば自分でリフティングやドリブルをして、腕を磨くことを欠かさなかったという。サッカーの王様でもそうなんだから、一般の選手はどれだけ努力が必要か分かるだろう。
名選手の例を踏まえて、繰り返しになるが、何度でも言う。
「ボールを100万回触れ!」と。