25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

南風に行ったら

2019年09月22日 | 日記
  尾鷲市内に新しい料理屋さんができたので、岡田さん夫妻とぼくと細君の四人で行ってみた。このところ尾鷲では魚が揚がらないらしく、刺身関係については申し訳なさそうだった。馬刺しは美味かった。他の料理も相当美味かった。冬になればフグもやるそうだ。
 トイレにいくのに、座敷の戸を開けて、カウンターを見ると、ご老人が一人で座って食べている。誰かと思ったら南くんだった。小学の頃の同級生で3年一緒のクラスだった。
 小学校を卒業してからはクラスも変わったことで、付き合いすることもなく、ぼくは相撲部でひたすら稽古をしていた。

 「久しぶりやなあ・・・。57年ぶりやない?」
  と驚いて言ったら、
 「ちゃうで、ほらピエロで逢うたやないかい」
  そういえば 10年くらい前に偶然出逢ったことを思いだした。
 「めちゃめちゃ、よい肌しとるんやん。しみのひつつもないな。この白髭もええやないか・・・あれ、南風、この店、南くんの息子さん?」と板前の男を見ると、安心感があったのだろう。嬉しそうな顔をした。息子さんであった。オープンしてまだ1週間である。
 今一番緊張しているだろう。どんなメニューがあるか、美味しいか、値段は、店内は、とすぐに尾鷲市内の噂になる。今来ている客は偵察隊のようなものだ。ぼくらだってそうだ。 

 「冬はフグもやりますんで、よろしくお願いします」
 「そうかい、あんたの息子かい。長男かい?」
 「三男の末っ子さ」
 大分で修業をしたということだった。奥さんは熊本から来たらしい。それで馬刺しの仕入れルートがあるのか、と思ったのだった。

 やがて、トイレに行き、戻ると、南くんはワインと酒を差し入れしてくれた。今後とも息子をよろしくということだろう。ぼくもすっかり馴染みの店のような気持ちになってしまった。

 最後のシメは宝来へ行こう、と言うので、よしよし宝来のあの旨い焼きそばを食ってみようと注文したのだった。ところが前ほどに美味しいとは思えない。自分が何度か作ってみた味と同じである。えっ、こんなもんだったか?腹いっぱいだからか?

 家に帰ると11時近かった。「昭和史」を読みながら眠ってしまった。愉快な晩だった。



 


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