25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

科学の先端

2018年04月26日 | 文学 思想
 人類が進化の過程で作っていった遺伝子や、そこから派生する神経系統や細胞の仕組みの解明が世界の研究者によって進められている。パラダイムシフトを起こす研究者はノーベル賞や別の賞をとる。
 福岡伸一はエッセーを書くのがうまい。簡潔に、比喩も使って、科学者の研究を解説してくれる。彼は、相反する反応をするものが流れのなかでバランスを保つことを「動的平衡」と呼び、生命とはいかなるものか、という問いに彼なりの考えを発表したのだった。たんぱく質が毎日入れ替わっても、細胞が毎日によう取り替えられてもぼくはぼくとして存在する。これが「動的平衡」だ。
 
 すると老いとは何であるか。動的平衡が少しずつ均衡を失い始めることだとも言える。人間のゲノム解析があっという間にできたように、超複雑にしくまれた人体もやがて100%解明される日も近いように思われる。と同時に人間の若さへの執着が示すように、若返りという人間になかったことも作り出してしまうのではないかと思ってしまう。
 外界からのストレスや自己の物の考え方によるストレスがどのような病気を作ってしまうものなのか、こんなこともわかってくるのだろう。あるいは細胞同士のコミュニケーションが量子論的であることもわかるかもしれないのだ。

 人間の欲望は秦の始皇帝の時代から不老不死を望み、富を望んできた。分子生物学の研究者たちは「生命とは何か」、それを解き明かすために「今何が必要な課題」か、を見つめ、試行錯誤を繰り返す。そこには、富も不老不死もないように思える。探究も人間の好奇心という欲望であるはずだ。彼らは、全員とまでいかないまでも、自由に研究できる環境を求める。そして生命の謎解きの一員となる。そして結集する。
 第四次産業革命がシンギュラリティーの時期を迎えると予測される2035年には医学、分子生物学、物理学なども総合化してシンギュラリティーを迎えるもかもし
れない。
 それまで生きていたいものだと思うのも欲望のひとつであるが、切り替えさえすれば「意志」とも言えるからジタバタしてでも生きてやろう、と思っている。ひそかにその時が宗教の終わりの始まりではないかと思う。
 
 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿