Little Tree

日々のいとなみのなかで感じた子どものこと、季節の移ろいやこころに映る風景

雲の切れ間から水色の空・・・

2006-08-09 16:57:17 | Weblog
あわただしい数日を過ごしておりましたので、PCの前でしばし、お散歩をしてきました。

ふと、窓から外に目をやると…

上空には、まだグレーの雲が厚く垂れ込めていますが
遠くの空は、切れ間から白い夏の雲が筋状に光って、きれいな水色が覗いています。

どこかの国の、木綿地の織物にこんな色合いのものがあったような…
そんな懐かしい風景が広がって、少しだけこころがほどけてきたようです。


いつものことではありますけれど、どちらかというと不器用なくせに
いろいろなことが同時に進行しつつ流れております。

そんな中から、思うままに、気にかかることを書いておりますので
私の中では、当たり前のようなもの・ことの流れが
あまり、きちんと整理できていないのかもしれません。

もしかするとお読みになっている方には
唐突な、不思議な飛躍をお感じになるかもしれませんが
どうも、これが私の今の書き方のようなので、
できることならば、お許しをいただけるとありがたいです。
(…と前置きをしながら…次の言葉を待っております。)


さて、現実世界に足をつけながらも
もう少し、異なるところを旅をしてみるのもワルクナイかしら…ということで
思い切って、最近読んだ瀬戸内寂聴さんの「釈迦」のお話をいたします。


(今思うと、その少し前に、キアヌ・リーブスが美しいブッダを演じていて
チベットの砂の曼荼羅も描かれている「リトル・ブッダ」という映画を
久振りに借りて観ていたのも、何かの伏線になっていたのでしょうか?)


先日、スクーリングに出かけた乗り換え駅のホームで
電車を待つほんの数分の間に、ふと目をやった売店の本棚に、その本はありました。

一瞬、いえ…おそらくためらうことなく、手を伸ばして買い求めていたような気がします。


瀬戸内寂聴さんといえば、あの年齢からは想像もできないくらい
はりのあるお声と、生き生きとした表情で「生きること」をお話していらっしゃる…
そんなお姿が、すぐに思い浮かびます。

TVや雑誌などでお話されたりお書きになったものは、目にしたことはありますが
小説をきちんと読むのは、この「釈迦」がおそらく初めてです。


ただ、遡ること二十数年まえに、何度か嵯峨野にある寂庵を訪れたことがありました。


大学生のころ、気ままな一人旅が好きであちらこちらに出かける中
比較的近いこともあり、京都はよく歩きました。

といっても、せいぜい2泊くらいなので、春ならば「仁和寺の桜」
秋やそれ以外は、なぜかいつも嵯峨野に行っていました。

今思うと、ほんとうにたくさんのお寺があるのに
なぜだかは、よくわかりませんが、決まったところに行く習性があるかのようでしたね…

歩く道順もほとんど同じで(そのころ持っていたガイドブックも、いま手元にありませんが
地図を検索しながら)記憶を頼りに、思い出すことができるでしょうか…

たいてい、渡月橋あたりを振り出しに、
時間のあるときは大きなお庭のあるお寺もいいのですが

野宮神社、常寂光寺、落柿舎、二尊院

それから、祇王寺と滝口寺は、少し階段を登ったような気がします。

その頃、滝口寺には、滝口入道と横笛の二人の悲恋のお話の口上をなさる方がいらして
その方の切々と語るお声を、暗くて涼しいお堂の中でうかがうと
どこか、時間が止まったような不思議な感覚に陥るような…気がしました。

それから、もう少し足を伸ばして、仏野(あだしの)念仏寺まで歩きます。

こちらは、行かれたことのある方はご存知のように
まさに、此方と彼岸(あちら)の境にあるような…

そんな特別な空気を感じてしまうような、ところです。

それから、たぶん目の前に畑や自然の広がる道を少し歩いてゆくと
(少なくとも当時は)ひっそりと、というか何も主張することなく
さりげないたたずまいで、寂庵が、そこにあったように記憶しています。

そちらで、瀬戸内さんにお目にかかったこともありませんが
いつだったか、応対に出てくださった方から
お花祭りの時に撒く、蓮の花びらを模した赤や黄色のものを頂戴したような気がします。


思えば、なぜそちらを訪ねたのか、何を想いながら歩いていたのかも
全くといっていいほど、心当たりもなく
ほとんど、忘れてしまっておりましたのに…


読み終わった瀬戸内さんの「釈迦」には
そんな不思議なご縁を、思い起こさせるものがありました。


ただ、読んで私が感じた「なにものか」を、本当はお伝えできれば良いのでしょうが

私の感じるものと、お読みになる方の感じるものは
きっと、まったく違うと思いますので、ここにあらためては書きません。

ただ、人として、生きていらしたお釈迦さまのお言葉やお姿が
これまでの瀬戸内さんの仏さまとのつながりを通して

ほんとうに生き生きと、そしてこの上なく美しい響きとなって
私の元に、届いてきました。

さらには、お隠れになる前のお釈迦さまのお側近くに侍していたアーナンダの心模様に
どことなくつよく惹かれるものを感じていたのかもしれません。



坐禅の折には「仏に帰依し…」と唱えておりましたが

自分自身、それほどのものではないことは、重々承知しているつもりです。

けれど、なぜでしょうか…自分の中のどこにでしょうか…

理屈では説明のできないような、どこかわからないところで

何かが触れるような、つよく響くような「なにものか」を感じているような気がします。


さて、どことも、いつともつかぬところを旅してまいりました。

夫の実家のお仏壇やお墓に、お花やお水をあげて、時々お参りするくらいの
不信心者の私です。


気がついたら、こちらではもうすぐお盆ですね…


忙しい毎日の中で

どこか、真っ白な自由帳のような空白に、身を置いてみるのも

たまには、おもしろく楽しいような気がしています…


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5 コメント

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嵯峨野 (hama-wind)
2006-08-09 22:12:39
嵯峨野は僕も好きです。ことに人の少ない(料金の安い!)冬場がお気に入りで…はらはらと雪が舞ってきたときなどは、身震いするほど嬉しくなってしまいます。実際に寒いのもありますが…。

寂庵は残念ながら行ったことがありません。知りませんでした(汗)でも祇王寺と念仏寺は印象深いですね。幽玄の境い目…念仏寺はまさしくその思いがします。万灯供養の時に一度訪れてみたいと思っています…。

少しこことは離れていますが、苔寺の近くに“竹の寺”の地蔵院があります。ここが僕のお気に入りで…人が少ないうえに、“竹の音の静けさ”がすごいんです!機会があったら、ぜひ一度あすすめしたいです。
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はじめまして。ranoです。 (rano)
2006-08-10 00:34:56
はじめまして。

千葉県松戸市に住むranoです。

「山本敏晴さん」を検索していたところ、HPに訪問いたしました。

野口先生については、よく知らないのですが、

山本さんのHPで紹介がありました。

私は、山本さんの存在・活動を知り、一言でいえば、目覚めた一人です。(書くと長くなりますのでココでは失礼)色々学ぶことも多いです。

8/20の講演会(横浜)は席の空があれば、行く予定です。申し込みが遅かったので、アウトか?!。通知まちです。

で、そちらのHPも拝見しています。

ありがとうございます。

これから、訪問することがあると思います。

よろしくお願いします。

アドレスがわからなかったので、こちらにコメントしました。



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京都から・・・横浜から・・・吹く風になって・・・ (風待人)
2006-08-10 00:43:05
hama-wind さん



冬の嵯峨野も、きっといいでしょうね・・・



“竹の寺”の地蔵院は、行ったことがありませんでしたが



写真を見ましたら、夢窓国師を開山とする臨済禅宗ということで

地蔵院本堂は、円覚寺の禅堂だったか、左手にある建物と

そっくりのように見えます。



風が吹きぬける竹林の中に、身を置くのも良いですね・・・



rano さま



はじめまして!



私は、まだ山本さんのお話を伺って、間がありませんが

その行動する力強さと、語られるお言葉の真摯であたたかいお気持ちが

とても、心につよく響きました。



ささやかなことからでも、私にできること

そして、多くの方々や子どもたちに伝えていくこと

一人ひとりの意識の変革が、何かを変えていく可能性などを

心に刻むことができました。



山本さんのお話を聞く機会に恵まれますように。



ranoさんのような方が、増えることはとても心強いことですね!

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Unknown (ぴーまん)
2006-08-10 08:09:28
お久しぶりです♪

お互い、慌しい?夏休みって感じですかね^^;苦笑



京都。



>今思うと、ほんとうにたくさんのお寺があるのに、なぜだかは、よくわかりませんが、決まったところに行く習性があるかのようでしたね…



私も、10年近くいながら、いつも同じところにばかり行きました^^;二条城&清水。何度行った事か…^^;



引っ越してから、あそこも行きたかった!という感じです。

いつか、うっでぃと二人で、懐かし旅行したいと思います♪



>キアヌ・リーブスが美しいブッダを演じていて、チベットの砂の曼荼羅も描かれている「リトル・ブッダ」という映画



ここ数年、大好きな映画から離れていて

夏休み中に、ボケーっと、息子と観るのもいいですね♪

異宗教のものをみせるのも、大事なような気がします!

早速、声をかけようと思いま~す!

返信する
まさに、慌しい?夏休み!!? (風待人)
2006-08-10 09:40:22
ぴーまん さま



いま、kirikouがはまっ子での

夏休みの特別企画の「陶芸」に出かけて行きました。



一向に生活リズムや生活習慣が身につきにくく

朝からグズグズ、ダラダラ、超マイペースになっています。



なにか「目的があると行動できる」というあたり

人間の行動に関する脳のメカニズム・・・が解明されることを期待したいです!



映画にしても、まぁそれぞれ賛否両論あるのは世の常ですので



好きな映画を好きなように楽しむのもよし

何か目的を持って観るのもよし

直観で選んで、ナニモノかを得るのもよし・・・でしょうか?



気がついたら、夏休みも半分のところまできました!



あともう少し『ファイト!!』ですね・・・
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