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[ワカメ] 食生活について語ろう

2020年03月05日 | 美容ダイエット

◎若布 若女 若芽Brown seaweed/Wakame seaweed わかめ

  古くから日本人に親しまれてきた海藻です。日本で広く食用としていたことが縄文時代の遺跡からワカメを含む植物遺存体が見つかっています。
古くは、藻類の「も」に対し、食用としていたものを一般を「め」と呼んでいました。漢字では、古くは「海藻」(平城宮木簡 710~784)、「和布」(色葉字類抄いろはじるいしょう:平安末期)などと当てられています。それまでに食用としていた海藻の主体はワカメであったと思われ、この「め」は、特にワカメを指していたと推測します。また一説には女性(海女)の手で採られたことから「メ」と云われたともいわれます。後にカジメ(搗布)・ヒロメ・アラメ(荒布)・ホソメ(細海布)等々の海藻にも「布(メ)」があてられています。ワカメという語は、「ワカ+メ」、つまり若い新芽の海藻に由来するといわれます。ワカメの別名に海布(め)、若布(にきめ)、和布(にぎめ)、海藻(にぎめ)、海布葉(めのは)、布の葉(ぬのは)などがあります。古代は海藻類全般を指し漢字の藻は、水に身を任せて動く植物体の状態に起因していますが、「モ」と訓で読む場合には、いまの分類学上の藻類に属するものだけではなく、淡水産、海産の種子植物にも使われ、それが今日にも及んでいます。

現在のワカメのみを指すようになったのは中世以降という説があります。主に食用として用いられ、酢の物、汁物の具として用いていましたが、豊作祈願の神事などにも利用していました。
 各地で採れたワカメを朝廷への献上品としていたことが確認できる平城宮木簡、延喜式(927)によれば、ワカメを含む多くの海藻が神饌〔しんせん〕として奉納しており、さらには正倉院文書などによると、給与としても用いられていたようです。
ワカメを食用に供する習慣は、日本と朝鮮半島ぐらいで、海藻を食べる習慣がある中国ですら食べられていなかったようです。一方で、朝鮮半島ではワカメを日本以上に多食し、韓国国民一人あたりの年間ワカメ平均消費量は、日本の三倍と言われています。出産時には、乳児への授乳を通じての栄養補給のために、ワカメを茹でてスープを作って食べる、誕生日にワカメのスープ(ミヨックク:ミヨッは韓国語でワカメ、ククはスープ)を飲む習慣があります。またワカメは触るとぬるぬるしていることから、滑るにつながるとして、試験の日にはミヨッククを食べてはいけないという迷信が伝えられています。
中国でも近年は日本からの養殖技術の導入により、産出量は、1位中国 2位韓国 3位日本で、日本向けの輸出用に養殖されたものが中国国内の市場に出回り、食べられているようです。国内では、2016年(平成28年)で岩手県177百トン、宮城県164百トン、徳島県59百トンで、日本で算出している量の35%~40%を岩手県で養殖・採取して、市場でみられる国内産の養殖物が97%を占めます。 昭和30年(1955年)ごろより三陸沿岸地域で養殖が行なわれています。1年生で初夏より多く繁茂(はんも)して葉は薄く黄褐色で茎と共に平たい形状です。翌年に成熟すると根元に近い茎の部分に成実葉(せいじつよう:めかぶ)となってひだ状で身が厚く粘質を持つ黒褐色のものができます。めかぶ(成実葉)が初夏に成熟すると遊走子嚢(ゆうそうしのう:胞子嚢)をつくり放出し受精、秋から冬にかけ成長して葉体(わかめ)になります。その年に採取されずに残っているワカメの葉の部分が秋には海流に乗って流れていきます。

  海藻類は、生長に伴って海水中の窒素やリンを吸収し、海水の富栄養化の防止に効果のあることが知られています。とくにワカメは生長が早いため、それだけ海水の浄化効果が高いことや、他の水産有用生物の滋養効果があることが言われており、各県においても海の森づくり事業などを積極的に推進しています。
養殖わかめの管理は1年を1回としたサイクルで行われ、その生産過程は「採苗(さいびょう)」、「保苗(ほなえ・ほびょう)」、「本養成」、「養成管理」、「収穫」の5つに分かれおこなっています。
    
採苗 7月下旬~8月上旬:ワカメのメカブを用いて人工的に遊走子を採苗器に付着させる作業を採苗といい、一般に水温が17℃を越える7月下旬~8月上旬に行います。 海水を張ったタンクにメカブを入れ遊走子を放出させ、そこへ採苗器(種糸)を浸し、遊走子を付着させた後、海中に投入します。 
保苗 8月~9月:採苗したわかめ採苗器(種糸)を海中に置き幼葉をそろえ育成させます。 7月~8月に採苗したワカメの配偶体は9月に入り水温の下降にともない成熟を初め、水温20℃以下になるころから芽胞体となり始めます。芽胞体が生長し肉眼的になったものをわかめの芽と呼んでいます。
本養成(巻き込み) 10月~11月:採苗器(種糸)にわかめの幼葉の大きさが1~2cm程度に揃った頃に、沖合施設に巻き込み、本養成用の綱(養殖綱)に巻き付けます。芽落ちといって水温や栄養塩の条件が悪いとわかめの幼葉(5mm程度)が脱落することがあります。 
養成管理(間引き)12月~1月:高品位で均一なわかめを作るためには、適正な水位と密度で養殖します。適正水位は通常3mよりも浅くあることが望ましく間引きは適正な養殖密度で養殖網1m当たりのワカメの本数を140本程度にしています。
収穫 3月〜4月:3月に入ると急激に成長し、4月には全長が3mを超えるものも出てきます。刈り取ったわかめは出来るだけ早くボイル加工をして生の状態で茶褐色から、きれいな緑色に変化します。
 我が国のワカメ養殖業は、1960年代のワカメ養殖技術の湯通し塩蔵ワカメの発達と普及によってワカメの生産量が急増しました。1970年代に開発したカットワカメなど新しい製品化技術の確立があります。ワカメ市場が拡大するなか1970年以降は韓国産の輸入量が急増し国内のワカメ養殖業は輸入品との市場競争を展開しています。1990年以降には中国からの安価な塩蔵ワカメおよびカットワカメの輸入が増大しています。ワカメの国内需要量24万t(輸入が18万t)に対して自給率は25%にまで低下しています。 

  ワカメはコンブ目 Laminariales、チガイソ科Family Alariaceae、ワカメ属Genus Undaria、褐藻類で自然界の天然物では北海道西部より九州、南朝鮮まで太平洋、日本海沿岸、岩礁地帯に分布しています。
長さ30cm~1m、幅10~20cm程、緑褐色、中央に中肋(ちゅうろく:あばら)状となり産地により葉の形状が異なります。大きく茎の長い葉の切れこみの深いナンブワカメ(北海産)、茎の短いナルトワカメ(南方産)に大別しています。
ワカメは、めかぶ和布蕪(成実葉、胞子葉)が成熟する前の旨みが凝縮する3~6月の若い葉体を採取し旬とし食用としています。採取はわかめに日光が当たらない夜に行います。
 芽株・雌株・和布蕪〔めかぶ〕Fruit-bearing leavesはワカメの根元に近い茎の部分で黒褐色をし、ひだ状で身が厚く粘質を持っています。メカブが初春(2月下旬)より初夏(5月上旬)に主に採取し旬です。食用に細く刻んで熱湯をかけると鮮やかな緑色となり大根おろしと二杯酢、汁の実、麺の具、乾物として利用しています。雌株の表皮近くに存在するヌメリの成分は粘膜管から分泌され藻体の水分を保持する天然の潤い成分で海藻の葉や茎が潮の流れ、砂などで傷ついたり、引き潮で紫外線にさらされ傷んだり乾燥したときに藻体自身を守る役目をしています。
         
ニシンがワカメ、昆布に卵を生みつけた子持ちワカメ、昆布がありますが海外で養殖もしています。ニシンは1回の産卵で3万から10万粒の卵を産み水に沈み、卵膜に強力な粘着層を形成しているので、コンブやワカメなどに付着することができるのです。 現在では崩れた数の子をワカメや昆布にくっつけている加工品が多くみられています。
ワカメは保存するのにそのままでは、わかめ自身の酵素が働きベトベトになってしまい保存法として、昔からいろいろな方法が考えられてきました。多くは、干しワカメ、塩蔵ワカメに加工、もみわかめ、茎ワカメ、灰ワカメにしています。灰ワカメは、採取した生ワカメに灰をまぶし、天日乾燥、灰付きの状態のを「灰ワカメ」、海水で灰を充分洗い落とし、水切り後真水で洗浄して再び乾燥したものを「灰干しワカメ」としています。アルカリ性の灰には色素の保持、軟化防止の効果があり貯蔵期間が長く、色合いがよく鳴門海峡沿岸で生産、加工され鳴門ワカメとして知られます。酢のもの、汁の実、麺の具、煮物、和え物にメカブはとろろのようにして利用します。

チガイソ(千賀磯・稚海藻)科Family Alariaceae ちがいそか
 真核生物Eukaryota 、不等毛植物門Heterokontophyta 、褐藻綱Phaeophyceae、コンブ目 Order Laminariales、チガイソ科Family Alariaceae、あるいは黄藻植物門(オクロ植物門)Phylum Ochrophyta、褐藻綱Class Phaeophyceae、ヒバマタ亜綱Subclass Fucophycidae、コンブ目Order Laminariales、チガイソ科と分類しています。
3属より構成し、アイヌワカメ属 Genus Alaria (ホソバワカメAlaria angusta Kjellman・チガイソAlaria crassifolia Kjellman・クシロワカメAlaria marginata Postels et Ruprecht ・フウチョウワカメAlaria paradisea (Miyabe et Nagai) Widdowson・アイヌワカメAlaria praelonga Kjellman)・オニワカメ属 Eualaria Areschoug(オニワカメEualaria fistulosa (Postels et Ruprecht) Wynne)・ワカメ属 Undaria Suringar(アオワカメUndaria peterseniana (Kjellman) Okamura・ワカメUndaria pinnatifida (Harvey) Suringar・ヒロメUndaria undarioides (Yendo) Okamura )が知られます。 
 生100g中のワカメの成分として16kcal,水分89.0g、たんぱく質1.9g 脂肪0.2g 炭水化物5.6g 灰分3.3g ナトリウム610mg カリウム730mg カルシウム100mg、マグネシウム110mg、リン36mg、鉄0.7mg、亜鉛0.3mg、銅0.02mg、マンガン0.05mg、ビタミンA160μg(カロテン940μg)、ビタミンD(0)mg、ビタミンE0.1mg、ビタミンK140μg、ビタミンB1:0.07mg、ビタミンB2:0.18mg、ナイアシン0.9mg、ビタミンB6:0.03mg、ビタミンB12:0.3μg、葉酸29μg、パントテン酸0.19mg、ビタミンC15mg、食物繊維3.6gを含みます。
ワカメの特徴ある成分は、生でカリウム(利尿作用)730mg(灰干し水戻し60mg)、カルシュウム100mg、マグネシュウム(Caを定着させる)110mg、亜鉛0.3mg、銅0.02mg、鉄を0.7mg、ビタミンA(皮膚と粘液を正常に保つ)160μg、ビタミンE0.1mg、ビタミンK(血液凝固作用)140μg、ビタミンC(結合組織を丈夫にする)15mg、食物繊維(アルギン酸が多い。保水作用)3.6g、ヨード(エネルギー代謝をよくする)わかめ(乾):7~24mg/100gを含みます。ヨウ素がカットわかめ8500μg・生わかめ1600μg/100g、一回の可食量乾燥わかめのヨードは0.2mg(200μg)/1g程度、上限値は、3mg/1日として示されていますが日本では不足することは殆どありません。

メカブにはフコイダンFucoidan(食物繊維)の抗がん(特に乳がん)、発毛促進作用、ヨード(エネルギー代謝をよくする)を多く含みます。フコイダンを健康食品、化粧品、シャンプーにも利用しています。
沃素(ようそ)Iodineはヨードともいい海藻、岩塩、海水に多く含まれます。黒褐色の結晶で水にわずかに溶け、アルコール(ヨードチンキ)、ヨウ化カリウムの水溶液によく溶け黒褐色の液体をつくり穏やかな加熱でただちに紫の蒸気になり昇華(しょうか)という現象を生じます。人体に25mg存在しそのうち15mgは甲状腺に含まれます。サイロキシンThyroxine、ヨードチロシンIodotyrosineの2種の甲状腺ホルモンの主成分であり欠乏、過剰摂取により甲状腺腫の原因となります。
推奨量成人で150μg/1日であり海藻をよく食べている日本人には、不足することは少なく平均1~4mg/1日摂取しているといわれています。上限量とし3mgを定めていますが上限摂取量のほうに付いては、まだはっきりした化学的根拠が示されていなく国際基準、日本の比較的海藻を多く摂取している集団のヨウ素平均摂取量を参考にして定めています。日本では、不足より過剰摂取(甲状腺腫、眼球突出、頻脈)が気になるところです。ヨードを使ったうがい薬は、日に何度もヨード入りのうがい薬を使い続けているうちに、動悸がひどくなり、甲状腺機能亢進症になっていたという人もみられむやみに使わないようにしましょう。 ヨウ素は、陸の植物には、あまり含んでいないので海藻類に多く含んでいることより海岸より離れた地域での欧米では、沃素の添加がおこなわれているところもあります。ヨウ素は、カットわかめ8500μg・生わかめ1600μg/100gを含みます。
ワカメに多く含む食物繊維、アルギン酸、フコイダン、色素成分のクロロフィルなどで、血中コレステロール値を下げたり、動脈硬化や心筋梗塞、高血圧症に有効です。
 5月5日は、ワカメの日として1983年(昭和58年)に日本わかめ協会が制定しました。子供の成長、発育に欠かせないミネラル、カルシウムなどを含む新物わかめが店頭に 出回るこの時期にワカメをもっと子どもの日に食べてもらおうと設けています。
近年では、ワカメは年中みられるようになりましたが、新鮮なメカブは、磯の香りが色が心地よく早春の食材として是非食べていただきたい食材です。
欧米諸国では、ごく一部の例外を除き、近年まで海藻食の習慣はなかったのですが、海藻成分についての研究が積み重ねられた結果、保健食品とくに熟年層への食品価値が見直され、欧米でも海藻食が普及しようとしています。それに応じてアメリカでは海菜sea vegetablesと呼ぼうとの動きもあります。 

 

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