・朮 おけら
キク科、日当たりの良い野原に草丈1mになる宿根草で自生する。
葉は互生で楕円状で表面は無毛でつやがあり、裏は一面に綿毛でおおわれ、縁は細かい切れ込み状で柄があり、茎の下方から3~5裂に羽状に分裂する。
秋に先端に白色あるいは淡紅色の花をつける。根茎はやや長く節がある。
世間のことわざとして「山で旨いは、オケラにトトキ(ツリガネニンジン)、里で旨いは、ウリ、なすび(茄子)」が残っている。
春先の4、5月を旬とし若芽、若葉を採取し汁の実、お浸し、和え物、揚げ物としている。
晩秋に太くなった根を乾燥させ、お正月の屠蘇散(とそさん)に、精油成分のアトラクチロン(Atractylon)に特異な芳香があり健胃剤として、漢方で蒼朮(そうじゅつ)といいホソバオケラの根茎が健胃・利尿・発汗・鎮静・血糖値降下作用などあるとして用いている。
夏には蒼朮(そうじゅつ)を燻した煙で蚊(か)を追い出したり梅雨の時の湿気払いやかびの防止にも使用していた。
蒼朮(:ホソバオケラの根茎)は発汗に作用し、 白朮(びゃくじゅつ:オケラ・オオバナオケラの根茎)は止汗に作用すると本草綱目 (1578年 漢方薬の古書) に記載している。