・無花果Fig いちじく
クワ科、アラビア南部原産。地中海沿岸地方での加工品として乾果の消費が多い。中世ペルシャ語のanjir(アンジール)が中国に渡って映日果(いんじーくぉ)といわれ日本に渡り、イチジクというようになったという。
日本には、江戸時代に入ってきたといわれ関東以南で栽培、温度が高く、乾燥した土地が適し湿気に弱く早朝に採取する。一部ハウス栽培も行われているが夏から秋(6~10月)にかけて結実し、秋いちじくといわれる9、10月に取られ赤みの強いものがおいしく旬とする。
一般に果実としている部分は、内部に花の蕾を無数に持っていて実際に表面で開花しないで果実となるところから無花果という字が当てられている。
傷みやすく日持ちしない。生食の他、ジャム(熱湯につけ皮むき)、シロップ漬け、ワイン煮、干しいちじくとしている。
イチジクの果肉の色素は、アントシアン色素、糖分10%、果糖とブドウ糖でショ糖は少なく、酸味が薄いのでジャムにするときには、クエン酸を加える。果実、茎、葉から出る乳汁には、タンパク質分解酵素(フィシンFicin)が多い。脂肪分解酵素(リパーゼ)、デンプン分解酵素(アミラーゼ)も含まれ消化吸収促進、脳の活性化、美肌効果がある。色素は、アントシアニン系であり毛細血管保護作用を持ち、ペクチン(水溶性)が食物繊維で腸の運動を活発にし便秘改善によい。カリウムの高血圧予防、利尿作用があり、以前より葉を煎じて神経痛、冷え性改善の生薬としても使われていた。
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(初版2020,9,15)