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[大豆の伝播] 食生活について語ろう

2020年11月08日 | 美容ダイエット

・大豆の伝播 Soybean propagation だいずのでんぱ

 大豆の起源については東アジアに自生する野生種ツル豆と考えられていました。

しかし近年ではイネ(稲)と同じ中国南西部の雲南省とする説が合理的であるとする研究者が多く、正確には特定していません。

中国最古の詩集「詩経シキョウ:BC1027~BC453」の中に、大豆を菽(しゅく)、あずきを峇(とう)と表して区別し生長の盛んな様子が謳(うた)われています。

さらに神農本草経(推定紀元25~220)などに大豆についての記載があることから紀元前5000年、今から7000年前、あるいはそれ以前には既にツルマメ、大豆を栽培していたのではないかといわれています。

 近年2007年に縄文中期(BC4000年)から後期にかけては日本列島における存在を確認しています。

 栽培種のツルマメの痕跡が九州の長崎県の縄文後期中頃BC1500、大野原(おおのばる)遺跡や熊本県の三万田(さんまんだ)遺跡から出土した縄文土器に残っていた跡を、豆の「へそ」と呼ばれる部分の形状などから大豆と特定しています。他にも大豆の跡を確認しています。弥生時代(紀元前200年~西暦300年前後)の山口県の宮原遺跡でもBC200年ごろの大豆が出土しています。西暦100年ごろには千葉県の阿玉台(おたまだい・あたまだい)遺跡でも大豆が出土していました。時代とともに九州から本州に伝わっていったと考えられます。

 朝鮮半島の百済(くだら:4世紀前半~660年)から、一部には中国からの帰化僧が持ち込んだもの、奈良時代(710年~794年)の遣唐使が持ち帰った大豆食品より538年(日本書紀【720年】では552年)の仏教の伝来と共に大豆の加工技術、加工品の豆腐、納豆、味噌、醤油、ゆば、豆乳、凍み豆腐などなどとともに伝来との説があります。古事記(712年)にも五穀の一つとして登場し大宝律令(702年)には大豆を原料とした「醬(ひしお)」を管理する役所の記載があります。大豆は貴重なたんぱく源であり、923年から927年に書かれた延喜式(えんぎしき)には醤の配合を記載しています。

精進料理が一般的の僧侶たちの栄養をまかなうため大豆による食品開発が寺院を中心として展開していくこととになったのです。

 

大豆の生産面では20世紀初頭まで、中国、朝鮮、日本だけで大規模生産が行われていました。欧州では、根粒菌がなく近年まで大豆は家畜の飼料が主で食用としての大規模栽培は行われていませんでした。

既に他の豆類を数多く栽培していたことや、土壌が合わなかったこと、根粒菌が土壌にない場合があったことなどが挙げられています。

20世紀に入り搾油用の需要が拡大していったことにより日本からアメリカに持ち帰ったのが、1853年の黒船で日本を訪れたマシュー・ペリー(Matthew Calbraith Perry:1794年~1858年)です。以来、アメリカでは搾油用、飼料用として需要が高まり、やがて一大生産国となります。

第二次世界大戦後には、アメリカは世界最大の大豆生産国となりました。1973年にアメリカの大豆の輸出規制を実施したことにより、当時の田中角栄政権は、ブラジルで放棄されてきた内陸部のサバンナ地帯セラードCerradoに着目、1979年より大豆生産を働きかけたところ軌道に乗り、2015年にはブラジルはアメリカに匹敵する規模の大豆生産国となります。

1999年にはアメリカ食品医薬品局FDAでは大豆たんぱく質の摂取は健康維持に効果あり、との発表により、アメリカでは大豆の加工食品を食べるようになりました。デザイナーフーズ・ピラミッド(1990年)に🧄ニンニク、🥕ニンジンなどと共に大豆はピラミッドの頂点に位置しています。

アメリカやブラジルは大豆の2大生産国ですが、それぞれの国内で食用として使われるのは2016年現在で1割もないようです。海外では油脂として燃料、家畜の飼料など食用以外の用途でほとんどを消費しています。

日本では、消費量の3割が食用としての大豆です。タンパク質含有量の高いダイズを様々な食品に加工し利用してきました。

 最近では動物性たんぱく質だけでなく、植物性たんぱく質の重要性が世界的に広まり、植物性たんぱく源として大豆の利用・加工利用が高まっています。牛肉に比べて栽培コストが低い大豆はこれからの食料不足を解決する食物と考えられます。

世界的に1960年代3,000万トンにも満たなかった大豆の生産量は、2015年には3.2億トンと10.7倍と大きく増加し他の穀物(小麦3.1倍、米3.2倍、とうもろこし4.9倍)の増加率と比較して圧倒的に高くなっています。

 

欧米では生産した大豆の大部分は、牛肉、豚肉、鶏肉、牛乳、卵、アイスクリームといった製品に姿を変えての利用でした。世界的な大豆生産と消費の現状については、世界の総耕地面積のほぼ3分の1が家畜用飼料の栽培に充てられているのが現状です(FAO, 2006)。世界の家畜が消費する飼料は46億トンに上り、これは世界中の人を養うのに必要な量の4倍以上に当たるといいます(Flachowsky,2008)。肉1kgを得るのに飼料、餌がトウモロコシで換算して牛肉で12kg~8kg、豚肉で7kg、鶏肉4kg必要だといわれます。

 

大豆と豚肉の成分を比較してみました。

ゆで国産大豆100g中でエネルギー180kcal、水分63.5g、タンパク質16.0g、脂質9.0g、炭水化物9.7g、灰分1.8g、ナトリウム1mg、カリウム570mg、カルシウム70mg、マグネシウム110mg、リン190mg、鉄2.0mg、亜鉛2.0mg、銅0.24mg、マンガン-mg、ビタミンA効力:1μg(カロテン3μg)、ビタミンD:(0)μg、ビタミンE:1.6mg、ビタミンK:7μg、ビタミンB1:0.22mg、ビタミンB2:0.09mg、ナイアシン0.5mg、ビタミンB6:0.11mg、ビタミンB12:(0)μg、葉酸39μg、パントテン酸0.29mg、ビタミンCTrmg 食物繊維7.0gを含みます。

豚肩ロース肉100g中でエネルギー253kcal 水分62.6g 蛋白質17.1g 脂質19.2g 炭水化物0.1g 灰分1.0g Na54mg K300mg Ca4mg Mg18mg P160mg Fe0.6mg Zn2.7mg 銅0.09mg マンガン0.01mg  V.A効力6μg V.D:0.3μg   V.E:0.4mg V.K:2μg VB1:0.63mg VB2:0.23mg ナイアシン3.6mg VB6:0.28mg  VB12:0.5μg  葉酸2μg パントテン酸1.18mg VC:2mg  食物繊維0gを含みます。

部位により赤身125kcalタンパク質21.4g  脂身754kcal タンパク質4.1g/100g中


嗜好の問題はありますが、大豆は、立派に、タンパク質源として有効です。以前のアミノ酸スコアは過少評価だったのですが、現在では100としています。

日本人の大豆の摂取量は15g/1日ぐらいでイソフラボンの量は欧米人と比較し7~10倍高く、20~40mg/1日程度摂取しているといいます。

欧米に比較してカルシウムの摂取量は1/2程度なのですが、更年期の骨粗鬆症が少ないことから大豆製品の摂取によってカルシウムの流失を抑えているのではといわれます。

大豆は高度成長によって欧米型の肉食中心の食事からもたらされた弊害から救ってくれようとしています。しかし大豆製品といえども完全な栄養食品ではありません。ビタミンD,B12を含まず、ビタミンA、Cの成分は、微量にとどまっています。緑黄食野菜を一緒に取りましょう。1985年に各種アミノ酸の基準変更があり、現在では動物性タンパク質と同じくアミノ酸スコアは100とアミノ酸組成に優れています。新陳代謝の促進、特に成長期には、動物性たんぱく質も欠かせません。有用であることを認めながらも三食のバランスのとれた食事の大切さを改めて認識致します。

 

 

 ご愛読戴きましてありがとうございます。よりよい情報をお届けしてまいります。

 

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