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大学出ても仕事がない

2012-05-01 08:41:26 | 日記
大学出ても仕事がない 新卒無業の春 2012/5/1 7:00日本経済新聞 電子版

春は新しい生活が始まるシーズンだ。だが厳しい経済状況を反映し、今春も多くの若者が就職先が決まらないままに大学を卒業した。
新卒採用市場は回復基調にあるものの、いまだ低水準。スタートでつまずき、将来展望を描けない不安が新卒無業の春を覆っている。

■大学卒業したが就職決まらず
 自宅から東京都心の大学まで往復の電車賃は1160円。通学定期がないと思いのほか費用がかさむと山本正史さん(仮名、22)は今痛感する。
今春大学を卒業したが就職が決まらず、活動を続ける。大学就職部に情報収集に行かなければいけないと分かっていても足は遠のく。
「交通費は貯金から出す。いつまでこの生活が続くか分からず、節約もしなければ」
 得意な英語を生かしたくて商社や物流会社を志望し、3年秋から就職活動に取り組んだ。だが夢はかなわず内定ゼロ。連戦連敗で自信も失った。
「もう業種や職種にこだわりはない。とにかく働きたい。でも自分にできる仕事があるのか」
 「今の時期、企業は来春の新卒採用に目が向いていて、既卒は相手にしてくれない」と村田靖さん(仮名、23)は表情を曇らせる。金融機関を中心に約30社に志望書を送ったが、採用通知は最後まで届かなかった。
家族と同居。弟もいて、いつまでも親に負担は掛けられない。就職活動の傍ら、日払いの派遣業務で日当を稼ぎ、その半分を生活費として家に入れる。
「就職できたらすぐ働きたいので、飲食店など継続的に働くバイトはできない」と嘆く。

■大卒内定率は過去3番目の低さ
 2012年大学卒の就職内定率は80.5%(2月1日時点)。前年同期比3.1ポイントの上昇だが、過去3番目に低い。
就職コンサルタントの上田晶美さんは「学校基本調査によれば昨年は約10万7千人(アルバイトなど一時的な仕事に就いた者を含む)が未就職のまま卒業した。
改善の兆しはあっても厳しさは同様。今年も10万人弱が就職先が決まらないままに卒業したとみられる。日本では新卒で就職できないとリカバリーが難しい」と話す。

■大学、既卒者対象の就職支援を強化
 大学も対応に力を入れる。龍谷大学は4月に卒業生向けの就職支援セミナーを大阪梅田キャンパスで開いた。
既卒者67人が参加、モチベーションアップ講座のほか、既卒を採用する企業8社との面接会も設けた。法政大学は10年度から未就職卒業生に既卒OKの求人情報をメールで配信。
例年百数十人が登録、十数人が卒業後に就職を決める。今年も未就職者と思われる卒業生に、登録を呼びかけ中だ。

 国も6月末までを集中支援期間に設定し、全国57カ所の新卒応援ハローワークを拠点に活動している。4月以降、東京新卒応援ハローワーク(東京都新宿区)の利用者は多い日には300人を超える。
求職登録者は約5千人。「未経験可の一般向け求人と既卒可の学生向け求人を紹介する。
その多くは中小企業。企業規模や知名度にこだわらず、粘り強く頑張れば既卒でも就職可能だ」と川野辺哲夫室長は助言する。

■合格者には派遣の仕事をあっせん
 「返事は短くはっきり『はいっ』」。4月中旬、スーツ姿の若い男女20人がオフィスビルの一室で厳しい指導を受けていた。
新卒無業者を対象にしたパソナの研修だ。参加費は無料。3日間かけてビジネスマナーや社会人の心得を徹底的にたたき込む。
研修は選考も兼ねており、合格者には派遣社員として仕事先をあっせんする。
 10年度に制度を開始。今春も約1300人が研修を受けた。派遣先で社員に登用されたり職務経験を生かして転職したりして、多くは2年以内に正社員になる。
パソナ新卒キャリア支援プロジェクトの土田浩子マネージャーは「新卒無業の多くは適職を絞りきれなかったり自己PRが下手だったりして、つまずいただけ。
働く資質は劣ってはおらず、就業を体験し自信を取り戻せば社会で十分に通用する」と話す。
 新卒無業の主な原因は景気低迷による新卒採用の抑制だ。ただ独立行政法人労働政策研究・研修機構(東京都練馬区)の統括研究員、小杉礼子さんは「ネットを活用した就職活動の広がりなど構造的な課題も見過ごせない」と指摘する。
 ネットで企業と学生が直接つながり、大学が職業あっせん機能を果たせない。学生は仕事の内容や職場の実情を知らないままに規模や知名度を手掛かりに求職する。
その結果、ミスマッチが相次ぎ、内定獲得が遠のく。「大学は卒業生の状況など情報が豊富。大学を使い尽くす気持ちが学生には大切だ」

(編集委員 石塚由紀夫)