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『英語屋さん』の宝箱

『英語屋さん』『英語屋さんの虎ノ巻』(集英社新書/電子書籍版)、『英語で夢を見る楽しみ』(財界研究所)の著者のブログ

adjunct professor (非常勤教授)

2006-10-03 12:45:54 | 英語・翻訳

 海外留学経験がない私は、あちらの学校の制度がよくわからなくて、大学の学科名や役職名が出てくるとそのつどインターネットで調べ回っています。


 米国の大学にはassociate professor(準教授)という地位があります。一方、日本の大学では「準教授」ではなく「助教授」という肩書が一般的に使われています。しかし、米国の大学におけるassistant professor(助教授)は、associate professorよりも地位や待遇が低く、むしろ「講師」に近い仕事のようです。してみると、日本の大学の「助教授」は、英語ではassociate professorと訳したほうがいいのかもしれません。


 そのあたりまでは何となく知っていましたが、以前翻訳を引き受けた文書にadjunct professorというのが出てきて、訳語の選択に少し戸惑いました。手元の辞書やインターネットで調べてみると、客員教授とか特別教授とか補助教授など、使われている訳語がまちまち。これに該当する適当な日本語がないのか、ウェブサイトでは日本語に訳さずに"adjunct professor"と英語のまま使っている例もずいぶん見かけました。


 いろいろ調べてみた結果、adjunct professorは他の仕事と掛け持ちで教えている教授の職名らしく、日本語訳には「非常勤教授」または「兼任教授」あたりが使われていることがわかりました。「非常勤講師」と訳している例も見かけましたが、professorとなっている以上、「講師」ではなくて「教授」と呼んだほうがいいと思います。


 なお、「客員教授」という肩書もありますが、これは英語ではふつうvisiting professorと呼ばれています。


(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第49号掲載、一部改稿)