『英語屋さん』の宝箱

『英語屋さん』『英語屋さんの虎ノ巻』(集英社新書/電子書籍版)、『英語で夢を見る楽しみ』(財界研究所)の著者のブログ

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blackmail (ゆすり、恐喝)

2006-10-28 20:58:31 | 英語・翻訳

 blackmail「ゆすり、恐喝」と名詞で、また「ゆする、恐喝する」と動詞でも使います。 英英辞典でその定義を調べると、Extortion of money or something else of value from a person by the threat of exposing a criminal act or discreditable information(犯罪行為または不名誉な情報を暴露すると脅して、金銭または価値のあるものを人からゆすりとること=American Heritage Dictionary)とあります。


 しかし、広義では、個人が金銭を脅し取る行為に限らず、たとえば nuclear blackmail(核兵器による脅し)、terrorist blackmail(テロリストの脅し)のように、「脅し」という意味で広く使われています。extortion(ゆすり、恐喝)という言葉がおもに金銭等をゆすり取る犯罪行為を指すのに対して、blackmailは人を脅して何かを人に強要するという広い意味でも使うようです。


 おそらくblackmailをもじって作られた言葉に、greenmail(グリーンメール)があります。会社の株を大量に買収して乗っ取ると脅し、その株を高値で引き取らせる行為のことです。かつてライブドアがフジテレビに買収を仕掛けた事件では、結局「インターネットとマスメディアの融合」どころか、フジテレビ株の引き取りと自社への出資という形で多額の金銭的補償をフジテレビに求めた行為が、結果的にグリーンメールと受け取られました。green(緑色)はたぶん、ドル紙幣(greenback)に由来するものでしょう。



brownout (電圧低下)

2006-10-23 14:17:47 | 英語・翻訳

 電源事情が良い日本ではあまり心配がありませんが、海外の国や地域によっては、電子装置に不安定な電源供給への耐性が求められることがあります。「停電」ならblackoutですが、「電圧低下」という意味ではbrownoutという言葉がよく使われています。


 brownoutにはこのほか(戦時、空襲から街を守るための)「灯火管制」という意味もあるそうです。



green package (環境に優しいパッケージ)

2006-10-20 17:19:59 | 英語・翻訳

 green packageは文字通り「緑色のパッケージ」という意味になることもあるでしょうが、実務(技術)文書ではよく「環境に優しいパッケージ」という意味で使われています。packageは「包装」という意味で使われることももちろんありますが、集積回路(LSI)で「パッケージ」といえば、半導体回路を包んでいる部分(外装)のこと。その場合、文脈によって「環境に優しいパッケージ」、またはそのままカタカナで「グリーンパッケージ」と訳すのが正解です。

 greenが「環境に優しい」(=ecofriendly)という意味で使われている言葉としては、このほかgreen consumer(グリーンコンシューマー)がよく知られています。「環境意識の高い消費者」「環境に配慮した買い物や生活をする人」という意味です。

 このような新語は、少し古い辞書ではなかなか見つかりません。インターネットで検索するか、または『ビジネス技術実用英語大辞典』のような新しい実用英語辞典を駆使して意味や使い方を調べるといいでしょう。


magistrate [judge] (下級判事)

2006-10-17 14:54:37 | 英語・翻訳

 magistrate [judge]を手元の英和辞典などで引くと、まず出てくる訳語が「治安判事」。しかし、ちょっと妙な気がしました。荒くれ者をじゃんじゃん縛り首にした西部開拓時代のアメリカならともかく、いまどき「治安判事」などという言葉で呼ばれる役職があるのかな、という疑問が起こります。


 例によってあれこれ検索してmagistrateの定義を調べてみたところ、"A minor official, such as a justice of the peace, having administrative and limited judicial authority"(American Heritage Dictonary) という説明が出てきました。「治安判事のような下級官吏で、執行権限および限定的な司法権限を持つ」とあります。ということは、magistrateの意味は「治安判事」(justice of the peace)よりも広そうです。


 さらにWikipediaで詳しい説明を読んでみたところ、米国でいうmagistrate [judge]は、各州の裁判所と連邦裁判所どちらにもある役職だとか。まず州の司法制度としてのmigrateを見ると、"In many state judicial systems in the United States, magistrate courts are the successor to Justice of the Peace courts"(アメリカ合衆国の多くの州の司法制度で、magistrate courtは治安裁判所を継承した組織である)と説明がありました。つまり、かつての治安裁判所が、今日ではmagistrate courtに代わっている州が多いようです。


 いっぽう、連邦の司法制度においては、magistrate は1968年に初めて設置され、1990年にmagistrate judgeと改称された、という説明が出ていました。刑事裁判では令状の発行や軽い犯罪の審理、社会保険に関する訴訟、民事では当事者双方がmagistrateによる審理を受けることに同意した事案などを扱えるようです。


 そう考えると、結論としては、少なくとも今日の米国の司法制度で使われているmagistrateに関する限り、「治安判事」よりも「下級判事」と訳しておくのが無難な線かもしれません。


 もちろん、司法制度は国によって大きく異なります。英国にもmagistrateと呼ばれる役職が古くからあり、こちらは「治安判事」と訳していいのかもしれません。(今回訳したのは米国に関する記事だったので、そこまでは調べませんでした。いずれにしても、国によって司法制度は違いますので、それぞれ適した訳語を選択したほうがいいと思います。)


 なお、magistrateの起源は、行政官と司法官を兼ねた役職だったそうです。江戸時代の日本でいえば、町奉行のような仕事に該当するのでしょう。



quarantine (臨検)

2006-10-16 17:39:37 | 英語・翻訳

 核実験を強行した北朝鮮に対する制裁案の議論では、「臨検」という日常耳慣れない言葉が聞かれます。海上(公海)を航行する船舶に停船を命じて立ち入り検査を行うことですが、軍事力による強制を伴うことがあるので、憲法上武力を行使できない日本がどの程度この手段を使えるかについては、議論が分かれるところです。


 1962年のキューバ危機では、米ケネディ政権がキューバに対する海上封鎖を実施しました。このときは海上封鎖(blockade)という言葉を避けて、臨検(quarantine)という言葉が使われました。当時キューバに向かっていたソ連の貨物船は、米海軍の威嚇を受けて引き返しました。


 国連による北朝鮮制裁決議では、臨検よりさらに弱い船舶検査(inspection)という言葉が使われたようです。しかも、船舶検査は加盟国の義務ではなくて要請という形になったため、中国や韓国は早くも及び腰になっているようです。海に囲まれたキューバと違って、北朝鮮と陸続きの中国が貨物を調べなければ、国際社会による制裁も「ザル」に終わってしまうかもしれません。


 なお、法律的な用語としての「臨検」にはvisit [for inspection]という言葉も使われているようです。また、quarantineには一般の「検疫」という意味もあります。


(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第63号掲載)



transflective LCD (半透過型液晶ディスプレイ)

2006-10-13 16:21:24 | 英語・翻訳

 transflectiveという言葉は、少し古い一般向けの英和辞典ではまず見当たらないでしょう。transflective LCD(またはtransflective display)をインターネットで検索すると、「半透過型液晶ディスプレイ」(半透過型ディスプレイ)という訳語が見つかります。


 液晶ディスプレイ(LCD = liquid crystal display)のうち、バックライトを光源とするものを透過型液晶ディスプレイ(transmissive display)、外光を反射させて光源とするものを反射型液晶ディスプレイ(reflective display)といいます。半透過型LCDとはこの両者を組み合わせた技術で、明るいところでは外光を利用して消費電力を抑え、暗いところではバックライトを使って表示を見やすくするものです。


 transflectiveは、どうやらtransmissiveとreflectiveを足して二で割った造語のようです。いろいろ検索してみたところ、「半透過型」の意味でsemi-transmissive という言葉も使われているようですが、transflective と表記している例が圧倒的多数を占めていました。



walled garden (囲い込み)

2006-10-11 14:06:13 | 英語・翻訳

 walled gardenは、携帯電話によるインターネットアクセスに関して使われる比較的、新しい言葉のようです。「壁に囲まれた庭園」という元の意味でもよく使われていますが、この新しい意味では、携帯電話からアクセスするコンテンツをクローズドな環境の中で提供することを指しています。よくいえば「閉ざされた安全な利用環境」ですが、否定的な意味に解釈すれば、通信事業会社による「囲い込み」戦略ということでしょう。


 今日の世界の市場環境は、より汎用性の高いモバイルウェブサイトを提供することでモバイルインターネットの利便性を改善し、wall gardenは排除される方向にあるようです。



biped (二足歩行の)

2006-10-10 21:39:26 | 英語・翻訳

 bipedは"bi(2つの)"+"pedal(足の)"からできた言葉。もともとは人間のような二足歩行動物を意味する言葉でしたが、最近はむしろ、二足歩行ロボットとかCGの二足歩行キャラクターに関連した文脈でよく見かけます。biped [walking] robot(二足歩行ロボット)のように、形容詞としても使われます。


 CGアニメーションやロボットの専門家の間では、よくそのままbiped(バイペッド)と英語で表記しています。


 SF映画や漫画の世界では、ロボットが二足歩行するのを当たり前のように見てきましたが、アシモ(ASIMO)を開発した本田技研の苦労話によると、二本足で歩くというのは非常に複雑な運動で、今日のレベルに到達するまでにかなり試行錯誤を繰り返したそうです。


 bipedに対して(事業としてはすでに撤退を決めたようですが)ソニーのアイボ(AIBO)のように四足で歩くロボットはquadruped(クワドロペッド)と呼ばれているようです。


(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第60号掲載、一部改稿)



rainmaker (やり手)

2006-10-09 14:47:40 | 英語・翻訳

 翻訳原稿の中に出てきたrainmakerという単語を見て、前にもどこかで見たことがあるような気がしました。Googleで検索してみたら、弁護士を主人公にした90年代のアメリカ映画のタイトルに使われていました。


 "rain(雨)+maker(作る人)"ですから、元の意味が「雨乞いの祈祷師」だということは想像がつきます。たぶん、アメリカ原住民のそれに由来する言葉でしょう。


 手元の辞書を引いてみたら、米語(口語)で「顧客集めがうまい弁護士」とありました。英英辞典(American Heritage Online)には、"One who is known for achieving excellent results in a profession or field, such as business or politics"(ビジネスや政治などの分野や専門職で優れた成果を上げることで知られている人)と定義されているので、それよりももう少し広い意味で使われるようです。別の辞書(『グランドコンサイス英和辞典』三省堂)で引いてみたら「辣腕弁護士、やり手の実業家、政界などに広いコネを持つ人、フィクサー」といろいろな訳語が出ていました。


 rainmakerの職業は弁護士とは限らないようです。私が訳した文章では、顧客との関係を上手に構築する公認会計士にこの言葉が使われていました。その文脈に応じて「やり手の~」とか「顧客集めのうまい~」と訳すといいかもしれません。


(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第59号掲載、一部改稿)



certified public accountant (CPA) 公認会計士

2006-10-04 22:31:22 | 英語・翻訳

 国家試験に合格し、企業の財務諸表の作成や監査業務を職業とする人のこと。特にアメリカの公認会計士certified public accountant(CPA)といいます(単にaccountantというと、企業の経理担当を指すことがあります)。


 公認会計士は、イギリスではchartered accountant(勅許会計士)と呼ばれているようです。19世紀の産業革命期に国王の勅許状を受けた歴史に由来する言葉のようですが、試験を受けて資格を取得する会計士という意味では、公認会計士と似たようなものでしょう。イギリスは会計士制度が少し複雑らしく、次のような各種の会計士協会があります。


  • ICAS=スコットランド勅許会計士協会(the Institute of Chartered Accountants of Scotland)
  • CIMA=管理会計士勅許協会(the Chartered Institute of Management Accountants)
  • ACCA=勅許公認会計士協会(the Association of Chartered Certified Accountants)
  • ICAEW=イングランド・ウェールズ勅許会計士協会(the Institute of Chartered Accountants in England & Wales)

(メルマガ「略語で学ぶ英単語」第149号掲載、一部改稿)